とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

ラブライブ!ss(ALL)スクールデイズ

ピクシブにあげたもの

R-18注意


 ミューズ――それは古代ローマ・ギリシャ神話に登場する、文芸や音楽など、さまざまな芸術を司る9人の女神達の名である。
 無論、そこから名前をいただいた我らがスクールアイドルグループ「μ’s」もまた、とある人物のスピリチュアルな陰謀の末、9人のグループとして構成されている。その内の誰か一人でも欠ければミューズとして完成しない彼女達は、ある意味運命に導かれた9人と言える。
 そんな偉大なる女神達の名を冠する彼女達には、それぞれがそれぞれに“特別”と呼べる存在がいた。それは恋情であったり愛情であったり、つまるところ恋愛の対象だったり恋人だったりする。
 彼女達はまるで、惹かれ合う事は必然で、恋焦がれることが運命だと、世界の中心で愛を叫ぶかのようにお互いを求め合う。色恋の話など、花も恥じらう女子高生ならではと言ったところだが、しかしここで問題点が一つ湧き上がった。
 さて、考えても見てほしい。
 ミューズ――「μ’s」は9柱の女神。9という数字が何を意味するのか。いくら数字に疎い生粋の文系でも答えに辿りつくことはそう難しくない。
 つまり、それぞれに特別な人がいたとして、9人いれば必ず1人余りが出る。9を2で割れば必然的に4組余り1となるのは自然の摂理。そこには割り切れない想いが存在することになり――、

 結果として、このような事態を引き起こすことにも繋がるのである。





(20XX年X月X日 月曜日(晴れ) PM12:50 部室より)


 気付けば部室でお昼休みを過ごすのが当たり前になりつつあった。教室が嫌というわけじゃないが、何だかんだ部室にいると落ち着くので、事ある毎に利用するようになっていた。
 1年生の星空凛と小泉花陽、西木野真姫の3人はアイドル研究部部室を根城にランチタイムを満喫していた。が、すでに昼食を済ませていた真姫は、曰く「借りていた本を図書室に返してくるから」とのことで一足早く部室を後にしていた。
 真姫が戻ってくるにしろ、そのまま教室に直行するにしろ、当然、後に残された凛と花陽はこの狭い部室内に二人きり、となるわけで。

『ごちそうさまー!』
『わっ、凛ちゃん食べるの早いね。私なんてまだ半分も残ってるのに…』
『にゃー、私が早いんじゃなくて、かよちんがちょっと遅すぎるだけだよー』
『えぇー、そうかなぁ…。でもごはんはよく噛んで食べないと、お米の神様に申し訳ないし…もぐもぐ』

 その幸せの粒達を一粒残らず味わう花陽の頬は幸せに緩んでいた。

『あはは、かよちんは相変わらずだねー。でもそんなかよちんも大好きにゃー!』
『っ…も、も~、からかわないでよぅ凛ちゃん』

 からかってないにゃーと元気いっぱいに告げる凛に、花陽はごはんを頬張りながらも頬を赤らめていた。
 たとえそれが嘘でも…いや凛に限って嘘はないと断言できるが、想い人に「好き」なんて言われては、たとえからかい半分だとしても意識してしまうものだろう。
 後片付けを済ませた凛は、その後何をするでもなく、もくもくと白いごはんを幸せそうに食べる花陽の様子を伺っていた。向かい合って座っていたのに何故か隣の席を陣取り、彼女の顔を覗き込むようにして。

『…にゃー』

 その様子はどこかそわそわと落ち着きがなく、まるでご主人様が用事を済ませるのを今か今かと待っている犬猫のようにも見えた。そんな彼女の様子に気が気じゃない花陽。ごはんに集中しながらも凛の事が気になって仕方がない。

『ど、どうかしたの? 凛ちゃん?』
『んー? 別にどうもしないにゃー』

 ならそんなにジッと見つめないでよ、照れるよ、もう。
 花陽がそう思うのも当然と言えば当然で、自分がお弁当を食べている姿を、穢れを知らない純真無垢なつぶらな瞳でジッと見つめられては、別に花陽じゃなくても動揺を生むだろう。

『ご、ごちそうさまでした…ふぅ』

 白米と凛の視線のダブルパンチを味わいつつ、ようやくお弁当を食べ終えた花陽は、お弁当箱を片付けながら一息ついた。
 するとその瞬間を待っていたと言わんばかりに凛の体が条件反射の如く動いて、

『かーよちーん!』
『ひゃわっ!? ど、どうしたの凛ちゃん?』

 彼女の名を呼びながら花陽に飛びついた凛は、自分の頬を花陽のそれにすっぽんみたいにくっつけて頬擦りした。
 一体何事かと思案する余裕もなく、花陽はすぐそばにある凛の顔に心臓が飛び跳ねる思いだった。頬擦りする度に凛の柔らかそうな唇が目に飛び込み、顔が嫌でも熱くなる。すでにその顔は茹でダコみたいに真っ赤に沸騰していた。凛にされるがまま、どうしていいか見当もつかない。

『ちょっ、り、凛ちゃんくすぐったいよぉ~』
『にゃ~、かよちんのほっぺすべすべにゃー』

 傍から見たらご主人様にじゃれつく猫にしか見えない。凛は満足したように花陽を解放すると、今度は何を思ったのか、花陽のそのμ's内№3の胸囲に頭から突貫した。

『ひゃんっ!? ちょ、り、凛ちゃん!?』
『ふにゃ~』

 効果音があるとしたらむにゅっとかふにょんっと聞こえてきそうな柔らかなそれ。そんな魅惑の双丘にダイブした凛は夢見心地で頬擦りをして感触を楽しんだ。

『だ、ダメだよそんなこと…! ここ部室――ふぁっ!』

 さすがに抵抗を試みたが、身じろぎした瞬間、凛の頭が胸の敏感なところを擦り上げ、変な声をあげてしまう。自分が出したちょっぴりエッチな声に羞恥を覚え、顔が燃えるように熱くなった。
 とは言え、凛の方は深い意図があるわけではなく、本当に純粋に、ただじゃれついているだけ。まさにご主人様に懐く子猫のようで、少しずつ落ち着きを取り戻してきた花陽も素直に可愛いと思ってしまう。

『かよちんの匂い、いい匂いにゃー。みるみるうちにかよちん分が回復していくよー』
『な、なんなのその不思議成分?』
『かよちんをギュッてしてると溜まっていく素敵成分だよ! これがないと凛は3日で死んでしまうのにゃー』

 死ぬという物騒なワードに一瞬ギョッとしたが、つまりそれは元気がなくなるという意味と同義だ。確かに凛のスキンシップは程度の差はあれど、毎日の日課と言っても過言ではない。よくよく思い返してみると、凛が抱きついてこない日はなかった。

『というわけで、かよちん分を余すことなく補充するにゃー』
『くすっ♪ も~仕方ないなぁ凛ちゃんは。でも、あんまりくすぐらないでね、お願いだから』

 花陽がなんと言おうと凛のスキンシップには容赦も遠慮もない。花陽もそれは分かっているのか特に文句も言わず、凛の頭を撫でながら微笑んでいた。
 大好きな花陽のぬくもりに包まれながら、猫撫で声をあげて、幸せそうに目を細める凛。鼻腔を擽る花のような香りに背筋がぞくぞくと震えながらも、世界中の何よりも安心するその匂いに安らぎと癒しを覚え、途端に凛の瞼はウトウトと船を漕ぎ始めた。

『ふにゃ…なんだか眠たくなってきたよ、かよちん…』
『凛ちゃん…?』
『んー…』

 抱きつく力も徐々に緩まり、そのままずり下がるようにして花陽のふとももに導かれる凛の頭。
 ぽすんっと音がした瞬間、必然的に膝枕が完成していた。その一連の流れに目をぱちくりしていた花陽も、自身の膝の上で丸まった子猫に思わず頬が緩む。

『眠かったら寝ててもいいよ? 時間になったら起こしてあげるから』
『んにゃ…』

 果たしてそれは、凛の耳に届いていたかどうか。花陽の言葉が届くか否か、凛はすでに夢の中へと旅立っていた。大好きなご主人様の膝の上で幸せそうに頬笑みながら、静かな寝息を立てて。

『……おやすみ、凛ちゃん』

 橙色に煌めく髪を撫でながら、愛おしそうにその寝顔を見つめる花陽。
 さらさらと指の隙間からこぼれ落ちる髪の毛をそっと掻き分けて、赤く色付いた凛の頬にそっとキスを落とした。

『…大好き…』

 精一杯の気持ちを込めて。


 ――それは、初々しい恋人達の幸せなひととき。


  *




(20XX年X月X日 火曜日(晴れのちくもり) PM17:50 部室より)


 出来る仕事はその日のうちにこなすように心掛けている。生徒会とアイドル活動の二足のわらじ生活を続けているが故に、普段から真面目に取り組んでいかなければ日常サイクルにも支障がでるからだ。
 無論、手が追い付かないほどの仕事量を押しつけられることも少なからずあるし、そうなるとどうしてもアイドル活動が疎かになってしまうこともある。
 そこは生徒会長という役職に就いている以上、仕方がないと半ば諦めてはいる。自分が選んだ道なのだから、文句を言うつもりもない。まぁ、表に出さないだけで愚痴がないと言えばさすがに嘘だったが。
 今日という日はまさに仕事が山のように押しつけられた日で、山盛りで差し出された書類を見たときはさすがに溜息をついたものだ。同じμ's兼生徒会役員の東條希と他数名の役員と協力し分担したのが幸いか、なんとか本日中に片付けることはできた。
 できたのだが、時刻はすでに部活終了時間を過ぎていた。アイドル活動を含め、本日の活動はすべて終了ということになる。さすがにこの時間まで残っているはずはないので、μ'sのみんなは練習を終えて帰ってしまっただろう。
 だからそう、別にそのまま帰路についてもよかったのだ。よかったはずなのに、

『明かり、ついてるわね…誰かまだ残ってるのかしら?』

 何故かはわからない。理由があったわけでもない。でも自然と足が部室へ向いていた。予感とか直感とかそういう感じ。希に言わせればスピリチュアルな何かに突き動かされた。
 結果から言えば、その予感は当たっていたらしく、暗がりの中、見慣れた扉の隙間から漏れる光がそれを教えてくれた。
 つまり、まだ生徒が残っている証拠。
 扉に手をかけると、やはりまだ鍵は掛っていない。戸締りを忘れたわけではないのだろうから、人がいるのは間違いなさそうだ。

『まだ残っているの? そろそろ帰らないと――ってあら?』

 扉を開けて中に入った早々、忘れようにも忘れられない明るい茶色の髪の毛が目に飛び込んだ。
 高坂穂乃果がそこにいた。
 絵里をμ'sに引き込んだ張本人であり、そのせいか絵里にとっては色々な意味で特別な人。素直で真っ直ぐで太陽みたいに眩しい存在で、自分にはないものをたくさん持った少女。
 思えば、初めて出会ったときから惹かれていたのかもしれない。けれど、それを認めると恥ずかしくて死にたくなるので考えないようにしていた。

『穂乃果? 何してるの? 練習が終わったなら帰らないと――』

 呼んでもピクリともしないので不思議に思ったが、

『んん…むにゃ…』
『って、寝てるの? はぁ、まったく何やってるのよ…』

 穂乃果はテーブルに突っ伏したまま眠りに落ちていた。
 起こさないようにそっと顔を覗き込むと、

『っ…』

 そこには天使がいた。安らかな寝息を立てながら、あどけない寝顔を晒す穂乃果。
 ふいに胸がキュッと締め付けられる。思わずごくりと生唾を飲み込んだ。が、すぐにハッとして頭を振った。顔が熱い。何を考えているんだろう。

『……どうして1人だけ部室に残ってたのかしら?』

 顔の火照りを誤魔化しながら思考する。他のメンバーが見当たらないのだからすでに解散しているはずだ。穂乃果も穂乃果で、普段なら仲良し幼馴染2人と和気あいあいで帰宅するのに。

(もしかして、私のこと待っててくれたのかしら?)

 ふと自惚れたことを考えてしまう。まさかそんな、あるわけないと思いつつも期待する心は止められない。

『ねぇ穂乃果、私のこと、待っててくれたの?』
『んー…ふにゃ…』

 返事は可愛らしい寝息だった。頬が自然と緩み、気付けばその手で穂乃果の頬に触れいていた。柔らかくて、暖かい。それにとってもぷにぷにですべすべ。まるで穂むらのおまんじゅうみたいだわ、なんてね。

『穂乃果、起きなさい…』

 もはや起こす気のまったく感じられない声量で呼び掛ける絵里。その頬を指先で撫でたり突っついたりして弄び、反応や仕草を楽しんだ。
 指先でつつーっと滑らせると、穂乃果は擽ったそうに身をよじる。やがて指先は穂乃果の瑞々しい唇の上を走っていて、

『柔らかい…』

 頬とは比べ物にならないくらい柔らかく、そして熱い。
 自分の唇に触れたってなんとも思わないのに、穂乃果の唇に触れているだけで心臓の鼓動が早鐘のように高鳴る。
 熱い吐息が指先にかかると、まるで痙攣を起こしたみたいに指先が痺れる。背筋がぞくぞくと震えた。全身の毛が逆立つような感覚に身震いした。
 そんな時、穂乃果の唇が微かに動いて、

『…えりちゃ…』
『ぁ…』

 解き放たれたそれは、とても甘くて、蕩けるような何か。
 夢の中で絵里の名を呼ぶ穂乃果はとても幸せそうで、その瞬間、絵里の心は確かに高坂穂乃果という存在に支配された。世界中に絵里と穂乃果の2人きりしかいないような感覚。穂乃果のことしか考えられない思考。穂乃果以外を視界に入れたくないとすら思った。
 私は、いつからこんなにも穂乃果のことを好きになっていたんだろう。

『穂乃果起きて、起きないと――』

 結果から言えば、魔が差したのだった。人間誰しも一度は感情の赴くままに行動してみたいと思うもの。穂乃果を求める衝動に突き動かされ、欲望は形を変えて絵里に言葉を紡がせる。

『――キス、するわよ?』
『……』

 寝ているのだから返事がないのは当たり前。しかし絵里は返事がないのは肯定の証と勝手に受け取り行動を起こした。

『穂乃果が悪いのよ? そんな無防備な寝顔さらして…狼に食べられたらどうするのよ?』

 この場合、狼は自分かなどと考えながら、絵里は顔を寄せる。
 ふわっと鼻腔をかすめる穂乃果の香りに意識が飛びそうになるも、決して止まらない絵里の衝動。
 穂乃果を自分のものにしたい。穢れを知らないこの少女を自分の手で汚してしまいたい。そんな黒い欲望と感情の高ぶりだけが、絵里を突き動かす原動力だった。
 それでも最後の最後に踏み止まれたのは、絵里の中の穂乃果を愛する心が本能より勝ったからなのか、それとも最後の最後でひよったからなのかは、絵里にしかわからない。

『…ん』

 絵里の唇に触れる柔らかな感触。
 触れたのは唇――ではなく、穂むら特製おまんじゅうの如き柔らかさを持つ頬だった。
 絵里は瞬時に唇を離すと、こほんと咳払いしつつ、意味もなく辺りをキョロキョロ見渡した。

『は、はらしょー…さ、さすがに唇にするのはダメよね、うん。寝込みを襲うみたいでいい気はしないもの、うんうん』

 傍から見れば完全に寝込みを襲った犯人だが、にも関わらず、絵里の中では唇にさえしなければ問題無と自分の行為を正当化していた。
 さて、王子様にキス(頬だが)されたお姫様はと言えば、

『ん…ふぁ…ん? えりちゃん…?』

 まるで狙いすましたようなタイミングで目を覚まし、

『っ…ほ、ほのか? 起きたの?』

 目元をごしごしと袖で擦りながら、絵里をボーっとした様子で見上げた。まだ少し寝惚けているのか、自分のおかれた状況が把握できないでいるようだった。穂乃果は大きなあくびをすると、大きく伸びをして関節をぱきぱき鳴らした。

『ん~~! あれ、穂乃果寝てたの…?』
『そ、そうよ、それはもうぐっすりとね』
『そっかぁ』
『と、ところで穂乃果、どうしてまだ残ってるの? 練習、終わったんでしょ?』
『あ、そうだった! 絵里ちゃんと一緒に帰ろうと思って待ってたんだよ!』
『あ、あら、そうなの? 別に待ってくれなくてもよかったのに…』

 絵里の心臓がとくんと跳ねる。そうだったらいいなと思っていたけれど、まさか本当に自分のことを待っていてくれたなんて。本当は嬉しいくせに心にもないことを言ってしまう。

『私が部室に来る保障なんてどこにもなかったのよ? そのまま帰ってたらどうするつもりだったの?』
『はっ!言われてみればそうだね。ぜんぜん気にしてなかったよ!』

 相変わらず真っ直ぐで破天荒。そんな風に元気いっぱいに返されるものだから絵里も面喰ってしまう。
 でもすぐにぷっと吹き出して、笑ってしまっていた。

『ふふふ、穂乃果らしいわね。でも、もし今度こんなことがあるなら生徒会室に直接来なさいね。ただ待たせとくのも悪いから』
『え? で、でも私、お仕事の邪魔にならない?』

 邪魔なんてとんでもない。穂乃果がいれば仕事だって捗るわ。なんて気持ちを込めて穂乃果の頭を撫でてやる。
 柔らかい髪が気持ちよくて、お日様みたいな匂いは心地よくて、絵里はこの瞬間、確かな幸せを感じていた。
 穂乃果も嬉しそうに目を細め、もっと撫でてと言わんばかりに頭を差し出してくる。本当に穂乃果は犬みたいね、なんて考えながら気の済むまで撫でてやった。

『さて、それじゃ帰りましょうか。戸締りは大丈夫よね?』
『うん!』

 満面の笑顔で返事をする穂乃果にクスッと笑みを漏らす。そしてそのまま部室を後にしようとしたその時、

『あ、そうだ絵里ちゃん。私、絵里ちゃんに言いたいことがあるんだけど…』
『ん?なにかしら』

 扉に手をかけたところで、穂乃果に呼びとめられた。
 振りかえると何故か頬を赤らめて上目遣いで絵里を見やる穂乃果がいて、

『いくじなしのオオカミさん、今度はちゃんと“ここ”にしてね?』

 そう言って穂乃果は、悪戯っ子みたいな笑みを浮かべて唇を指差した。
 それが何を意味するのか、わからない絵里じゃない。
 急速に集まっていく熱が絵里の顔を一瞬で真紅に染めあげて、

『ほ、穂乃果っ!? あ、あなたまさかっ…さっき起きて――!』
『さ~て帰ろっかぁ絵里ちゃん、ほらほら、ぐずぐずしてるとおいてっちゃうよ~』
『こ、こら待ちなさい穂乃果! ちゃんと話を――!』
『ヘタレの絵里ちゃんには教えてあげないもーん』

 不本意ながら妙な称号を受け取らざるを得なかったが、汚名返上は近いうちに。
 そう心に固く誓って、絵里の1日は終わりを告げた。


 ――それは、不器用な恋人達の愛の駆け引き。


     *




(20XX年X月X日 水曜日(くもり) PM16:30 部室より)

 
 滅多にない機会だからこそ、今日こそはこの曖昧な関係に変化が訪れるんじゃないかと期待した。それが偶然でも必然でも、今こうして二人きりになれたことにはそれなりの意味があると思っていたから。
 けど、現実はそうそう思い通りには働いてくれないらしく、甘酸っぱい青春の1ページは、窓から覗くどんより曇り空のように灰色に塗りつぶされてしまう。
 そう、それはまるで自分の心を鮮明に映した鏡のようだった。

(はぁ…、なんでこううまくいかないんだろ…)

 他のメンバーは示し合せたように買い出しに出掛け、お留守番を言い渡された以上はきっちり任務を全うしなくてはいけない。それはわかるのだが、ある意味チャンスなこの状況で、今動かなければいつ動くのかと考え出したら止まらなかった。
 おまけに完全に受け身に回ってしまっている自分が情けない。まさに板挟み。実行に移すなら移すで、自分から行動を起こせばそれなりに結果は変わってくるだろうに、持ち前の天の邪鬼気質もといツンデレ体質がそれを阻んでしまう。
 にこは人知れず溜息をつくと、半分くらい内容の入ってこないパソコンから目を離し、ちらりと横目で背後を見やる。
 その目に映るのは、自分より2つも年下の下級生、西木野真姫。
 赤い髪をくるくると弄びながら、見ただけで眩暈がしそうな分厚い本を淡々と読み耽っている。その横顔からは彼女の感情は読み取れない。そのひょうひょうとした態度がにこをイラつかせた。

(せっかくにこと二人きりなんだから少しくらい会話しなさいよね!ったく!)

 にこはぎりっと歯噛みしながら、二人きりになってもまったく態度の変わらない真姫に憤慨する。

(ホントはにこのこと好きなくせに。好きなんでしょにこのこと? 好きなら好きってはっきり言ったらどう? ねえってば!)

 心の声が届けばきっと誰も苦労はしないし、たぶん、勇気なんて持つ必要もないのかもしれない。
 2人の関係は何と表現すればいいのか、とにかく曖昧で不明確だった。事実上の先輩後輩、それ以上に友人同士でもある。もちろんμ'sとして先輩後輩の垣根を越えた関係ではあるものの、2人の関係は依然としてそれ以上の進展はなかった。
 一歩先の関係に進みたいにこと、実のところにこちゃんと二人きりでちょっぴり期待しちゃってる真姫の心が交わる日はいつの日か。果てしなく遠い未来か、はたまた近い未来なのか。

(いや今日でしょ!今日やらないでいつやるの!やるなら今でしょ!)

 同じ天の邪鬼の真姫が動き出すのを待っていたら日が暮れる。チャンスはみんなが帰ってくるその時まで。次の機会なんてそれこそいつ訪れるかわからない以上、動き出すなら今しかなかった。
 どちらにしろ早いに越したことはない。先延ばしにしたところでいい結果は生まないし、ここ最近は寝ても覚めても真姫のことばかり考えてしまい堪ったものじゃないのだ。
 よし!と心の中で気合いを入れ、にこは後ろを振り返ることなく軽いジャブを放った。

『み、みんな遅いわねー、何してんのかしら』
『………そうね。おおかた穂乃果あたりが道草食ってるんでしょ』
『な、なるほどねー。さすが真姫ちゃん、あったまイイー』
『べ、別に…』
『……』
『……』

 会話終了。シーンと静まり返る部室内に、本のページを開く音だけがやけにはっきりと耳に届いた。

(いや!もっと話広げていきなさいよ!もっとなんかあるでしょ!?)

 まさか30秒も持たないとは思わなかった。普段ならもっと普通に接することができるのに、今日に限って話題が途切れてしまう。良くも悪くも緊張感に包まれる部室がいけないのか、それともこれが二人きりの魔力なのか。

(うーん…何かいい方法ないかしら…)

 にこは赤点ギリギリの脳細胞をフル回転させた。
 自然に真姫の気持ちを聞き出す方法。あまつさえそんな真姫とあんなことやこんなこと。そして将来的には庭付き一戸建ての家を購入し2人はめでたく結婚。仕事から帰ってきた真姫ににこはこう言ってしまうのだ。

(――お帰りなさいアナタ♪ ごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し♪――これだっ!って違うし!なんで私が真姫ちゃんの奥さんやってんのよ!?)

 脳裏を過ぎるのは妄想と言う名の未来予想図だけ。やはり赤点ギリギリの脳細胞では根本的な解決策は見出せなかったらしい――と諦めかけたその時、

(…ん? でも待って…真姫ちゃんは根本的にはにこと同じ…つまり、押してダメなら引いてみろってことで…はっ!)

 にこの脳裏には先ほどの赤裸々な夫婦生活とは打って変わって、この状況を一気に覆す策をひらめくに至った。さすが同族だけあって対処法なんて考えるまでもなかった。むしろどうしてこんな簡単なことに今まで気づかなかったのか情けない気持ちでいっぱいになった。

(ふふ…見てなさいよ、今にその小生意気なツラを泣きっ面にしてあげちゃうんだから!)

 勝利を確信したにこは、不敵な笑みを浮かべながら、オホンっとわざとらしい咳払いをした。
 真姫に一瞬ちらっと様子を伺ったが、すぐに本に目を落とした。

『ねぇ真姫ちゃん』
『……な、なによ』

 にこは軽く深呼吸をして真姫の傍まで寄ると、

『実はちょっと相談があるんだけど…』

 と言って、稀に見る真剣な表情で真姫を射抜いた。その心は真剣さとは打って変わって嬉々としていたが、それを真姫が知る由はない。

『にこちゃんが私に相談? なによ、改まって?』

 にこちゃんが私に相談なんて明日はヤリでも降るのかしらね。なんて皮肉を口にする真姫に、それでも内心笑みを浮かべながら放った一言は、真姫を動揺させるには十分すぎるほどだった。

『あのね、私好きな人がいるの』
『……え』

 それを聞いた瞬間、真姫は鈍器で殴られたような衝撃を受けた。立ち眩みを起こしたようによろめき、手にしていた本をどさりとテーブルに落としてしまうほどの動揺。さすがのにこも「あれ?」と疑問に思う。

(な、なんか効果ありすぎじゃない?)

 にこの思いついた策とは、端的に言えば恋愛相談だった。自分には好きな人がいると告げ、相手の反応を伺いつつ、その好きな人が実は相談相手でした、というある意味お約束の展開だ。
 この反応を見る限り、作戦はほぼ成功したも同然。でもあまりにうまく行き過ぎて、にこも動揺を隠しきれない。

『へ、へぇ…に、にこちゃん好きな人いたんだ…ちょっと意外』
『意外って何よ。これでも年頃の女の子よ? 好きな人の一人や二人いるに決まってんじゃない』
『そ、そうね…ま、まぁ別に、にこちゃんが誰を好きでも、私にはぜんっぜん関係ないけど…』

 それが関係ないって思ってる人間の顔かと、にこは内心呆れ溜息。
 さっきまでのクールオブビューティー真姫は鳴りを潜め、今にも世界が終ってしまうんじゃないかと錯覚するほど絶望した表情でにこを見上げる。その瞳には涙さえ浮かんでいた。たぶん100人見れば100人が口を揃えてにこと同じように答えるだろう。

『…で? 相談って何よ…その好きな人が関係するわけ?』
『んーまあね。好きな人に好きって気付いてほしいんだけど、これがなかなかうまくいかなくってね。どうしたもんかなーって』
『そ、そんなのはっきり好きって言えばいいだけじゃない』
『それができないから相談してんの。いろいろ試してはみたんだけどぜんぜん効果なくってさー』

 今この瞬間に実行している作戦がまさかの大当たり。ここまで効果抜群とは、罠にかかった本人には想像もできないだろう。

『…どんだけ鈍感なのよ、その人』
『まぁねー』
『どっ、ど、どんな人なの…にこちゃんの好きな人って…?』

 さっきにこの好きな人が誰でも関係ないと言った矢先だが、それを改めて告げるようなマネはしない。これ以上話が拗れても面倒なだけだし、とにかく今は流れに乗る時だ。

『んーそうねー。生意気だし、天の邪鬼で素直じゃないし、おまけに人一倍プライド高くって相手にするのも大変だけど…』
『はぁ? なんでそんなのが好きなのよ? にこちゃんちょっと趣味悪いんじゃない?』

 アンタのことよ!とは口が裂けても言えない。ちょっと言いそうになったけど、そこはあえて我慢した。

(おかげでいいこと思いついたわ、ふふ)

 自分の事になると途端に鈍感になる彼女に想いを伝えるには、安易な言葉よりももっといい方法がある。それはとても衝撃的で、確実に相手に想いを伝えられ、なおかつお互いに決して逃れられない上等手段。
 でもその前に、ひとこと。

『まぁね、自分でもなんでこんなの好きになっちゃったんだろって思ったけどさ、でもしかたないじゃん?』

 しかたない?と不安げな眼差しで問い返す真姫に、にこは諦めたような笑みを浮かべて肩をすくめる。

『だって、好きになっちゃったんだもん』
『っ…』

 真姫は息を呑んだ。目の前に立つ自分より小柄な先輩が自分の知らない誰かのように感じてしまった。
 そして悟った。自分の気持ちは絶対に届かないことを。にこがその人を好きでいる限り、自分には入り込む余地なんて初めからないのだと。

『好きになったらね、他の細かい理屈なんてどうでもよくなってた。たぶんさ、本気で恋をするっていうのはこういうことだと思うんだよね』

 恋は盲目で、人を狂わせる。それは良くも悪くもその人の心に大きな影響を及ぼす。
 にこは高校3年生になって初めてその事に気づいた。それを教えてくれたのは間違いなく真姫だと言うのに、その真姫ときたら勝手に失恋したと思い込み、溢れそうになる涙を必死に堪えながら、悔しそうに、不貞腐れたような顔でそっぽを向いていた。
 そんな真姫ににこは頬を緩めて、救いの手を差し伸べる。

『さて真姫ちゃん、ここで問題です。私の好きな人は一体誰でしょーか?』
『っ…し、知らないわよ! ど、どうして私が知ってる前提なのよ! いみわかんない!』

 もう放っておいてとプレッシャーをかけて突き放そうとする真姫に、じゃあ質問を変えるわね、と全く引く気のないにこ。

『どうやったら私の気持ちに気付いてくれると思う?』
『知らないわよ…そんなのキスでも何でもすれば一発じゃない。好きにすれば?』

 その返答に、にこは内心笑いが止まらなかった。にこも同じように考えていたからだ。

『そっか♪ じゃあ好きにするわね!』
『え――』

 それはもう、瞬く間の出来事だった。一瞬で間合いを詰めたにこは、真姫の胸ぐらを掴むと、ムードもへったくれもない勢いだけのキスを真姫の唇に浴びせた。

『んんっ!?』

 勢いがつき過ぎてカツンと歯がぶつかる音が響く。ちょっと痛い。だけどそれ以上に柔らかくて、暖かくて。脳みそが痺れてしまいそうなほど甘美な感触と、眩暈がするほどの甘い香りが鼻腔を刺激した。

『ぷは…はぁはぁ…』
『はぁ…はぁ…に、にこ、ちゃん…?』

 息苦しくなって唇を離すと、同じように肩で息をつきながら、放心した様子で目をぱちくりしている真姫の瞳が映った。
 どうして?なんで?そんな疑問符が浮かんでは消えてなくなる。思考が思うように働かないにも関わらず、真姫の心音はひどく高鳴り、顔は熱したように火照っていく。

『ど、どうよ…これでさすがに気付いたでしょ』
『っ…あ…そ…う゛ぇ…?』

 言葉にならない声を上げながら、真姫の顔が見る見るうちに熟したリンゴへと変化していく。ここまでされて気付かない人間はいない。それは真姫も口にした言葉だった。
 好きとか、愛してるとか、そういう言葉も確かに悪くない。一般的にはそれで済む話。だけどお互い素直になれない者同士どうしても口にできない言葉なのだ。
 だからこそのキス。ある意味こっちの方が難しいはずなのに、行動力だけは人一倍のにこにはこっちの方が余計な考えを生まない分、楽だった。
 想いを伝える方法は言葉だけじゃないことの証明。面倒な理屈なんて取っ払って、紫電の如く愛情を伝えるもっとも効果的な方法。選択した以上、決して逃れられない、たった一つの冴えたやり方。

『に、にこちゃんの…ばか』
『何よ? 文句あるわけ?』

 キスした後でも相変わらずの喧嘩腰。とは言え、キスされたことも、キスの意味も嫌というほど知った真姫の心は先ほどまでなかった安堵感が生まれていた。
 今の今まで他の誰かに対しての想いを聞きたくもないのに聞かされていたはずなのに、その相手が自分だと知ると途端にどうでもよくなった。我ながら現金なものだと思う。

『…い、1回くらいじゃぜんぜんわかんないわよ! バカにこちゃん!』

 それは真姫にとって最後の抵抗だったのかもしれないけれど、

『ふん、上等じゃない。ならわかるまで何度だってしてやるわ』

 さすがに100回もすれば嫌でもわかるでしょ、と楽しそうに笑うにこ。
 負けじと真姫も涙で濡らした目を精一杯吊りあげて対抗した。
 やがてその目は閉じられて、2人はどちらからともなく唇を重ね合わせる。
 重なり合う2人の唇は1つに溶けてしまいそうなほど甘く蕩け、2人は飽きることなくキスに没頭し続けた。
 何度も何度も、この気持ちに終わりがないことを証明し続けるために。


 ――それは、素直になれない恋人達の一瞬の永遠。


  ※



(20XX年X月X日 木曜日(雨) PM16:00 部室より)


 その日はあいにくの大雨で、日頃から屋上を貸し切ってアイドル活動に勤しんでいたμ’sにとってはまさに天災。最悪のコンディションだった。
 一部からは部室で筋トレや歌のレッスンでもしようかという話も持ち上がったが、結局その日はミーティングだけでお開きとなり、その日の活動は完全に終了した。……かのように見えた。
 何故なら、とある2人にとってはこれからが本番だったから。

『海未ちゃぁん…』
『ことり…』

 脳を蕩かせるような甘い声で互いを呼び合い、揺れる琥珀の瞳は目の前の存在以外を映さず、濃厚に絡み合っていた。その様子は誰が見ても恋人同士のそれで、今まさに事に及ぼうとしていることが分かる。
 南ことり、そして園田海未の2人は、誰もいなくなった部室で愛を確かめ合っていた。
 部室に残った最初の理由こそ単純で、衣装作りの参考にパソコンで調べ物したいからと部室に残ったことりと、それに付き添う形で残った海未。だが所詮それは建前でしかなく、本音――というより本能が求めるものは別のところにあったのだ。
 愛し合う2人が誰もいない室内に2人きり。性欲旺盛な年頃の彼女達が事に及ぶ理由なんてそれだけで十分だったのかもしれない。気付けば2人、自然と相手を求めていた。

『んっ…ちゅ…うみちゃ…』
『はぁ…ん…こと、り…』

 椅子に腰かけた海未に跨りながら、ことりは海未の唇を奪う。吸い寄せられるように自分のそれを重ね合わせ、小鳥が啄ばむようなキスを何度も何度も、角度を変えながら浴びせていく。やがて二つの影は淫らに重なり合い、触れ合った唇も卑猥な水音を立て始めた。

『ちゅぅ…んっ、ちゅるっ…あ…はぁ…んっ…』

 ことりの舌が海未の唇を割って入り、待ってましたとばかりに海未の舌が絡みつく。いつもは興奮剤として作用するはずの唾液が絡み合う音が雨音に掻き消されてしまう。そのせいなのか、いつも以上に深く口内を掻き混ぜ、執拗なまでに舌同士が絡み合い、異様なまでの快感を生んでいた。

『んんっ…はぁ…ことりは本当にキスが好きですね』
『はぁ…はぁ…うん、好き…海未ちゃんとキスしてると頭がとろんってなっちゃうの…ねぇもっとしてよぉ海未ちゃぁん』
『ふふ、ことりは欲しがりさんですね。まぁ、そこが可愛いんですけれど…んっ』

 海未は微笑を浮かべながら、物欲しそうに瞳を潤ませておねだりすることりに、深く深くキスをする。
 何度も何度も行為を重ねるうちに、お互いが気持いいキスの仕方というものを自然と学んでいる。まるで舌同士が性感帯にでもなったかのような強烈な快感が全身を駆け巡り、抑えきれない欲情は次のステップへの原動力となる。

『んちゅっ…はぁ…んっ…う、うみちゃ…?』
『……ん? なんですか、ことり』

 キスに夢中で気付かなかったことりは、自分のおかれた状況を再認識する。気付けば制服どころかブラウスの前まで肌蹴させられていて、ピンク色の可愛らしいブラを覗かせていた。海未は何をいまさらと言った感じで口元を歪ませると、ブラウスの隙間から手を差し入れ、ブラの上から形のいい豊満な乳房を揉みしだく。

『んっ…あっ…うみ、ちゃ…だめ…ぁぁ…』
『だめなんですか? ことりの顔はもっとしてほしいと言ってますが…』
『んんっ…い、いわないでぇ…ふぁあ…』

 熱い吐息を漏らしながら喘ぐことりに気を良くした海未は、手早くブラをたくしあげると直接胸を愛撫し始める。ことりの白い肌に指を這わせ、触れるか触れないかの強さで、もどかしくなるような刺激を断続的に与え続ける。

『っ…く…ぁあ…う、うみちゃん…そこ…』

 いつまで経っても強い刺激がこないことに痺れを切らしたことりは堪らず声を上げる。それもそのはずで、海未はわざと敏感なところを避けて触れていた。

『ふふ…どうしました? 言わないとわかりませんよ?』

 なんて、海未らしからぬいやらしい笑みを浮かべながら、胸の先端で自己主張を続ける蕾――その周りを指で執拗に円を描いて攻め立てる。

『…ぁあ…それ、だめぇ…!』

 与えられる切ない刺激に、ことりの理性はたちまち焼き切れてしまい、堪らず震える唇を開いた。

『海未ちゃんの…指で…んっ…むねの先っぱ…気持ちよくしてぇ…』

 それを聞いた海未はくつくつと楽しそうに笑いながら、しかたないですねと、胸の先端で固くしこったそれを摘み取った。親指と人差し指でくにくにと捏ね繰り回してやると、ことりは堪らず音をあげた。

『ぴぃっ…やっ…うみちゃっ…それ強すぎっ…もっと優しっ…く』
『でも、気持ちいいんでしょう? 顔が蕩けてますよ? 乳首をこんなに固く尖らせて…本当にことりはいやらしいですね』

 海未の指摘にやんやんと首を振り乱しながら否定することりだったが、海未の言うとおり、体の方は実に正直な反応を見せていた。耐えようとすればするほど快感が増し、乳首に与えられる強い刺激がことりの全身に甘い痺れを生んだ。声を我慢しようと必死に閉ざす口も徐々に綻び、すぐにいやらしい喘ぎを漏らしてしまう。

『ひ…ぁ…んぁ…らめっ…もうっ…い…く!』
『いいですよイっても…』

 そう耳元で囁かれた瞬間、ことりの目の前が真っ白に染まり、たちまち絶頂を迎えた。

『ぁああっ…んっ…!!』

 ひときわ大きな嬌声を上げると、ビクンビクンと体を痙攣させ、海未の体に強く抱きついた。

『…ぁっ…ぁあ…ぁ…はぁ…ん…』
『ふふ、イったときのことり、とっても可愛かったですよ』
『…うぅ…いわないでよぅ…海未ちゃんのばかぁ…』

 目尻に涙を浮かべながら非難することりに、ごめんなさいの意味を込めて頬に優しくキスを落とす。

『でもまさか、胸だけでイってしまうなんて…やっぱりいつもより感じてるみたいですね』

 部室とは言え学園内。お互いの家でしか性行為をしたことのない彼女達にとってそれは未知の体験と言えた。本来勉学に勤しむはずの学び舎でこのような行為に及んでいる事実が、ことりの体をいつも以上に敏感にさせていたのかもしれない。

『ぶぅ…海未ちゃんのいじわる…今日の海未ちゃん、いつもの海未ちゃんじゃないみたい…』
『何言ってるんですか、そんなことありませんよ。私は私、いつもと変わりません。南ことりを愛している園田海未はここにいる私だけです』

 愛していますよ、なんて。耳元で優しく愛の言葉を囁かれて、ことりは一瞬くらりとした。

『じゃ、じゃあ…証拠見せてよ』
『証拠、ですか?』
『キス…もっといっぱいして?』

 頬を赤らめながら恥ずかしそうに告げることり。その生娘の如き反応に海未の心臓がとくんと跳ねる。キスなんて今まで数えきれないくらいしてきたというのに、まるで初心な反応を見せることりに海未も見惚れてしまう。

『海未ちゃん…』

 蜂蜜色の綺麗な瞳が海未の瞳をジッと見つめる。絡み合う視線は熱を持ち、落ち着き始めていた部室内の空気が一瞬にして甘ったるい雰囲気に包まれていく。

『ん…』

 そっと目を閉じて唇を差し出すことりに、海未は頬を緩ませながら唇を重ねた。何度くちづけを交しても飽きることのないその感触。あたたかくて、やわらかくて、そしてとてもいい香りがする。

『はぁ…』

 一度唇を離すと、とろんと蕩けた蜂蜜色の瞳が何故?と問い掛ける。もっと欲しいのに、そんな欲望が見え隠れするその瞳に海未は軽くキスを落とす。

『ねぇ…うみちゃん…もっとしよ』
『はい…』

 もちろん初めからそのつもりだった。海未は優しく髪を撫でながら、ことりの耳に舌を這わせた。ぴちゃぴちゃとわざと音を立てながら興奮を煽り、耳たぶを甘噛みするだけで、ことりの口からは気持ちよさげな喘ぎ声が漏れ出る。

『んっ…んぁ…うみ、ちゃ…ぁ』
『ことり、可愛いですよ』

 耳に軽く息を吹きかけると、ことりの体がビクンと跳ねた。海未はクスッと笑みを漏らし、今度はことりの首筋に唇を這わせ、何度も何度もキスの雨を降らせる。ちゅっちゅっと啄ばむと、そこには赤い痕がいくつも出来あがっていた。

『痕…残っちゃいますね』
『いいよ、もっとつけて? 私が海未ちゃんのモノだって証…』

 そうしたいのは山々だったが、海未としてはそろそろ我慢するのも限界だった。海未にとってことりの痴態はこれ以上ない媚薬であり興奮剤。冷静さを装ってはいるが、これでも内心、今すぐことりを汚してしまいたいと思っていた。
 だから最後の理性を振り絞って胸の中心にひときわ大きな痕を残すと、もういいですよね、という顔をして、その手をことりのふとももに伸ばした。

『っ…ん…ぁ…』
『ことりのふとももはすべすべしてて気持ちいいですね。ずっと触っていたいです』

 くすぐったそうに身をよじることりの反応を楽しみつつ、海未の手はいやらしくふとももを這い回る。それは徐々に上に上り詰めていき、やがてスカートの裾にまで到達する。
 無論ことりも、これから何をされるのか頭ではわかっていたし、するならするで早くして欲しいとすら思っていた。くすぐったいのと気持ちいいのが半々で訪れるこのもどかしい気持ちから解放されるなら……そんな気持ちが作用してか、気付けばことりは無意識に腰を動かしていた。

『どうしたんですかことり? 腰が動いてますよ? ふふ、もしかして我慢できないんですか?』
『やんっ…いわないで…!』

 キュッと目を閉じて羞恥に頬を染めることりの頬に軽くキスをして、海未はスカートの中へと手を差し入れた。限界ギリギリまで高まった性感を解放するように、ゆっくりとゆっくりと焦らすように秘部へと指先を這わせた。
 すると、そこはすでに下着が意味を成さないほどの染みが広がっていて、

『ひぅっ…やっ…』
『ことりのここ…すっかりびしょびしょになってますね。まだ触れたばかりですよ?』
『~~~っ!』 

 どうしてこんなことになってるんですか?と耳元で囁いても、ギュッと目を瞑って恥ずかしそうに体を震わせるだけ。ならばと思い、ひどくぬかるんだ秘部を下着越しにさらに上下して、わざとらしく音を立てて責め立てる。指に絡みつく愛液がぬちぬちといやらしい音を立てると、ことりはさらに顔を赤くしてやんやんと首を振り乱した。

『ふふ、ことり見てください、ほら』

 ことりの反応に気を良くした海未は、股間から指を離して指先に付着した蜜を見せつける。指先で擦ればくちゅくちゅと音がして、指を離すと糸が引くほど粘ついていた。

『やっ…そ、そんなの…恥ずかしいから見せないで…!』
『くすっ…ことりのいやらしい蜜があそこからいっぱい溢れてきますよ? ちょっと味見してみてもいいですか?』

 執拗な辱めを前にことりは遂に顔を逸らしてしまった。ダメとは言われなかったので試しに指先についたことりの恥ずかしい蜜を舐め取り口に含んでみる。

『少し、しょっぱいですね、ことりの蜜は…。ことりのことだから、全身くまなく甘いお菓子で出来てるかと思ってましたが、どうやら違ったようです』

 なんて言いながら、まぁ甘いモノを食べた後はしょっぱいものが欲しくなるので丁度いいですが、と恥ずかしげもなくそう続けた。

(そろそろ、いいでしょうか…)

 海未は思案する。ことりの体は度重なる愛撫と執拗な言葉責めで限界まで性感が高まっている状態だ。あまりいじめすぎるのもかえって逆効果になりかねないので、もうそろそろ楽にしてあげようと次のステップへと移る。

『ことり、じっとしていてくださいね』
『えっ…あっ…な、なに…うみちゃん?』

 海未に跨ったままのことりをそのまま抱きかかえて、そのままテーブルへと腰かけさせた。それからそっと膝に手を添えて、ことりに促した。

『ことり、足、開いてください』
『っ…』

 ことりは息を飲んで、反射的に足を閉じてしまう。やはりまだ若干の抵抗があるのか、ぴっちりと膝を閉じて開こうとしなかった。

『ことり、もっと気持ちよくして差し上げますから、私にことりの恥ずかしいところ全部見せてください』

 それは、ことりにとっては言葉の麻薬だった。限界まで高められた性感を解放するためには、海未の言葉に従う他選択肢はないのだ。だけど最後まで根強く残った羞恥心と理性がことりを縛り付けていた。

『しかたのない子ですね…ちゅっ』

 それならばと海未はことりにそっとキスを落とす。キスならば遠慮なく受け入れてくれると知っているので、すぐに舌を絡ませて唾液の交換を行った。

『んっ…んっ…はぁ…うみちゃぁん…』

 頭が蕩けそうなほど優しいキスにことりの体から力が抜けていく。唇を離せば唾液の糸が引き、糸が途切れそうになるとすかさず深々と口づけ相手の口内を弄る。気づけばことりの体からは抵抗する力はなくなっていた。
 海未はキスをしながらそっとことりのふとももに手を添える。すると力を入れるまでもなく足は左右に開かれ、恥ずかしい部分を惜しげもなくさらけ出してしまう。

『ああ…ことりのあそこ、すごいびしょびしょですよ。こんなに濡らして…いけない子ですね』
『やんっ…あ、あんまり見ないでよぉ…!』
『隠してはダメですよ? ちゃんと私に見せてください』
『うぅ…いやぁ』

 ことりは両手で顔を隠して頭を振って哀願する。しかしそんな羞恥とは裏腹に視姦されて感じてしまっているのか、ことりの下着の染みはどんどん広がって大きくなっていく。

『うふふ、それじゃあそろそろご褒美の時間です。よくここまで頑張りましたね、ことり。今すぐ楽にして差し上げますから…』

 海未は静かにそう告げると、下着の中に手を差し入れた。薄い茂みを掻き分けて、じかに蜜を垂れ流すその部分に触れると、待ってましたとばかりに愛液が溢れ出してくる。粘ついたそれを潤滑油にワレメをなぞれば、ことりの喘ぎはさらに甲高いものに変化していく。

『んぁっ…はっ…ああっ…い、いいっ…』
『どうですことり? 気持ちいいですか?』
『う、んっ…ぁぁっ…うみちゃ…きもち、気持ちいいよぉっ…もっと、もっとぉ!』

 さきほどまであれほど抵抗していたのに、今ではすっかり理性を失くして感じてしまっている。だらしなく涎を垂らして、恍惚な笑みを浮かべながら、自らも腰を揺り動かしていたことに果たしてことりは気付いていただろうか。
 もはやことりの下着は愛液を吸い切れず、テーブルさえも汚していた。ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる蜜壺を激しく攻めたて、絶頂への階段を駆け上がっていく。

『ぁあっ…うみちゃっ…わた、し…も、ダメっ…いっ!』
『いいですよことり…! イってください…!!』
『んくっ!ぁあぁぁっっ!!』

 瞬間、ことりは体を弓なりにさせ、全身を痙攣させながら絶頂を迎えた。後ろに倒れそうになることりの体をそっと支え、自分の胸に抱きかえる。海未の胸の中で、ことりは熱い吐息を漏らしながら絶頂の余韻に浸っていた。

『ことり、大丈夫ですか…?』
『はぁ…はぁ…う、うん…ちょっと飛んじゃってた…』
『気持ち、よかったですか?』
『うん…とっても…、ねぇ海未ちゃん…』
『はい?』
『キス、して』

 お姫様のささやかなお願い。海未はやれやれ、しかたないですね、と嬉しそうに微笑むと軽く触れるだけのキスをした。

『ん…はぁ…ね、海未ちゃん…もっとしよっか』
『ふふ、まだ足りないんですか? これじゃいつ帰れるかわかりませんね』
『じゃーあ、このまま2人で部室に泊まっちゃおっか? そしたらいっぱいエッチ出来るよ?』
『それはダメです。家に帰ったらたっぷり可愛がってあげますから、それまで我慢してください』
『ぶぅ、海未ちゃんのいじわるぅ』
『やれやれ、困ったお姫様ですね…私のことりは』

 不貞腐れてしまったお姫様には王子様のキスが一番効果的、なので。
 気のすむまで、何度でも、キスを交わそう。
 

 それは、深い絆で結ばれた恋人達の淫らな遊戯。


  ※



 世の中には限度、というものがある。何をするにも善と悪の境目があり、一歩間違えればどちらに転んでもおかしくない天秤の上で、常にバランスを保とうというのはある意味もっとも難しい生き方なのかもしれない。
 そして今、止まっていた時間が動き出す。すべてはそこから始まる。それぞれがそれぞれに時を進め沈黙を破るかと思われたが、しかし誰一人として動き出すものはいなかった。
 たった一人を除いて――。
 そのたった一人――東條希はふぅと一息つくと、長らく部室を支配していた沈黙を破った。

「――まぁ、あれやね…うちが何を言いたいか、もちろん分かるよね?」
「「………」」
「「………」」
「「………」」
「「………」」

 液晶画面に映し出されたハンディカメラの映像が全てを物語っていた。
 それは公開処刑という名の鑑賞会。
 まさか、今までの赤裸々な逢引の数々がすべて映像として残されていたなどと、当人たちはもちろんのこと、一体誰に想像できただろう。
 それを行ったであろう犯人はただ一人、東條希その人である。
 ただし希は「偶然に偶然が重なっただけ」と容疑を否認していた。これはすべて偶然の産物なのだと。偶然にもその日その時、部室に設置されていたハンディカメラの録画ボタンが押されていただけのこと。
 そう、これは誰かの陰謀によるものではなく、スピリチュアルな偶然が重なっただけの悲しい事件だったのだ。などと供述しており以下略。

「あんな? うちもこんなことは言いたくないんやけど、最近どうもみんなたるんどるんとちがう?」

 うっ…とそこにいた誰もが息を詰まらせた。

「では問題、この部室は何をするためにあるでしょう。はい、えりち?」
「……は、はらしょ…あ、アイドル活動をするためよ」
「そうやね、うん正解。凛ちゃんとかよちんくらいのアレなら全然許せるんよ。むしろキュンキュンしたわぁ。ええねぇ、仲良しこよしで」
「…にゃー」
「うう…お願いだから言わないで…」

 凛と花陽は自分達の逢引を客観的に見せられて大いに照れていた。まだ照れるだけで済んだのは、他に比べればマシだったからかもしれない。

「あとは、そう…えりちと穂乃果ちゃんのもまぁ、青春のひとコマって感じで良かったね。ほっぺにちゅーしかできないヘタレなえりちなんてなかなか見れるもんじゃないし」
「くっ…」
「で、どうなん穂乃果ちゃん? その後えりちとはちゅーしたん?」
「えぇ!? そこで私にふるの!? い、いやそのっ…実はその日の帰り道に絵里ちゃんから――」
「はらはらはらしょおおお!!それ以上はダメよ穂乃果!!みんなには内緒だって言ったで――はっ!」

 語るに落ちるとはこのことか。その一言で全てを悟ったμ'sのメンバーだったが、絵里の名誉のためあえて聞かなかったことにして心の中に留めておくことにした。これもまた、一つの優しさである。

「まぁええねん。問題はここからなんやけど…なぁ、にこっち?」
「な、なによ…」
「っ…」

 希はにこを呼んだつもりだったが、条件反射のように相方の方もビクッと飛び跳ねる。

「その後、唇の調子はどうや? さすがに100回もキスしとったら唇ふやけるんとちがう? ちゅっちゅちゅっちゅとよくもまぁ飽きもせんとあれだけしたもんやなぁ。お母さんびっくりや」
「う、うっさいわね! 大きなお世話よ! 真姫ちゃんの唇があまりにも気持ち良くて――って何言わせんのよ!」
「う゛ぇぇ…」
「ちょ、ちょっと真姫ちゃん泣かないでよ!」
「な、泣いてなんかないわよ! ただ目にゴミが入っただけで!」
「はいはい、ケンカは家に帰ってベッドの上で仲良くやったらええよ」

 呆れたように希がそう言うと、ツンデレ組二人は同時に噴火した。

「ベッ!?な、なに言ってんのよ!私達まだそこまで行ってないんだからね!」
「そ、そうよ!ヘタレのにこちゃんに私を襲う勇気なんてあるわけないじゃない!」
「はぁあ!? 聞き捨てならないわね!? 誰が根性なしだって? なんなら今から私ん家で実戦してやってもいいのよ!?」
「で、できるものならやってみなさいよぉ!」
「あーはいはいそこまで」

 とりあえず、うちが言いたいことは一つだけや。と希は全員に向かって言い渡す。

「いちゃいちゃするなとは言わへんけど、節度はもってな? 部室は君たちが乳繰り合うためにあるんやないんやから。わかるよね? 海未ちゃん? ことりちゃん?」

 ついに来たかと、海未とことりを除くメンバーが色めき立つ。ざわ…ざわざわ…。

「………」
「………」
「あー…なんやね…なんていうか…ごめん…」

 しみじみと謝罪を述べては見たものの、海未とことりには相変わらず反応がない。
 と、よくよく見れば、海未は完全に真っ白に燃え尽き(気絶とも言う)、ことりに至っては完全にオーバーヒートしていた。頭から真っ白い蒸気を発し、完全に故障してしまっている。たぶん今日中に動き出すことはないだろうと、そこにいる誰もが思っていた。

「いやねー、まさかあそこまでのもんが映ってるとは思っとらんかったんよ。まさか部室であんなことしてるなんて誰も思わへんやん? なぁみんな?」

 そ、そうね…とμ'sを代表して絵里が発言する。2人の痴態を一部始終鑑賞してしまったメンバーは、もはやなんて言っていいかもわからず俯くしかない。そわそわと落ち着きがなくなる者、顔を真っ赤にして俯く者、反応は様々だったが、皆一様に興味深々だったのは確かだった。まぁそこはお年頃の高校生なので、性的な行為に興味があって然るべきだろう。
 さて、延々と黙りこくる海未とことりに追い打ちをかけるように、垂れ流し状態だった件の映像が声を上げた。すでにライフ0の彼女達にとってはあまりにもひどい仕打ちだった。

『あっ…あんっ…いいのぉっ…海未ちゃんもっとぉ!』

「「……」」
「「……」」
「「……」」
「あー…ごめん、止めるの忘れとったわぁ」

 なんて悪びれもせず言ってのける希。悪いと思うなら早々に止めてさしあげろと言いたいメンバーだったが、どうやらまったく止める気がないらしい。鬼だった。悪魔だった。希だった。

『んっ…すごい締め付けですねことり。こんなに奥まで咥え込んで、私はことりのおやつではありませんよ?』
『やぁんっ…! 私が海未ちゃんのおやつなのぉっ…!』
『ふふふ…こんなに涎を垂らして…そんなに私のは美味しいですか? もぐもぐって、美味しそうに食べてますよ?』
『ぁっ!…ぁあっ!…んぁっ!…も、らめっ!…また、またイクっ、イっちゃうよぉ!…うみちゃぁあん!!』
『もう、またそんなに恥ずかしげもなく腰を振って…はしたないですね』

 でも、と海未は耳元で囁きながら「そんないやらしいことりが、私は好きですよ?」なんて言うものだから、ことりはたちまち絶頂へと導かれてしまう。

「あ、ことりちゃんがイったにゃ」
「えぇぇえぇえ!?!? ことりちゃんイ゛ッチャッタ゛ノ゛ォ゛ォ!!!」

 しみじみ告げる凛に、花陽が真っ赤な顔で咆える。

「は、はらしょ…その、さ、参考になるわね…今後のためにも…」
「え、絵里ちゃん…今後ってその…するの?」
「うんする――ってちょっ、穂乃果! そ、そんなはしたないこと言わないの!! 仮にも女の子なんだから!!」
「う、うん…その、わ、私は…いつでもいいからね」

 真っ赤な顔でもじもじしながらOKサインを出す穂乃果に、絵里の顔面がたちまち茹ったタコになった。2人が結ばれるのもそう遠くない未来なのかもしれない。絵里が根性を見せれば、の話だが。

「ね、ねぇ真姫ちゃん…その、今日うち寄ってかない?」
「え…に、にこちゃん…?」
「い、いやなら…いいけど…」
「う、ううん…べ、別にいいけど」
「そ、そう…」
「う、うん…」

 何はともあれ、今回の騒動でμ’s(1名除く)が学んだことは一つ。
 何事もほどほどにしておかなければ後々痛い目に合う。
 これはそう言う教訓だ。


[ 2013/12/15 07:58 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。