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とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

ラブライブ!ss(ほのえり)空色デイズ

ピクシブにあげたもの



「いっしょやんなぁ」

 そもそものきっかけは、希のこの一言だった。
 何が一緒なの?――と小首をかしげて声の主を見やると、やっぱりなぁと言った感じで希は頷いた。わけがわからず怪訝な顔をすると、希は「ほらそれ」と私の顔を指差す。

「目の色。穂乃果ちゃんといっしょやん?」

 要領を得ずきょとんとする私に苦笑しながら希はそう言った。

「ああ、そういうことね…」

 なるほど納得。それならそうと最初から主語をつけて話してくれれば良かったのに…。
 そんな風に思ってはみたものの、脈略のない語り出しは希らしいとも思った。大方またスピリチュアルな何かを感じたとかそう言う類の話だろう。

「なんかスピリチュアルな運命感じひん?」

 ほらね、と苦笑すると、希は目をぱちくりさせた。

「それを言ったら海未とことりも一緒じゃない?」

 ふと頭に浮かんだ群青と鶯色の髪をした2人の少女。
 あの2人もまた、お互いに鮮やかな黄金を瞳に宿している。

「あの2人もある意味、運命の2人やん? 運命の赤い糸で結ばれた2人、的な意味でね」
「まぁ、確かにね…」

 となると、私と穂乃果も運命の赤い糸で結ばれているのかしら?――なんて。そんなわけのわからないことをふと真面目に考えてしまい、顔が熱くなる。
 何考えてるのかしら、私…。

「で? 私と穂乃果のどのへんが運命的なの?」

 穂乃果に運命を感じるかと言われれば、確かにそうだとも言える。でも、そこまで大げさに言うほどでもないような気もする。
 それならまだ、9柱の女神「μ's」として、私たち9人が揃った事の方が運命的じゃないだろうか。まぁそれも、希の手の平で踊らされていた感が否めないけど。

「いろいろあるやん?」
「そう?」

 μ'sが完成するまでに色々あったなぁ、なんて。しみじみと昔を懐かしむ希。
 昔、というほど昔でもないけど、振り返れば色々思い出すことも多い。楽しいこと、辛いこと、悲しいこと、そのどれもが今ではいい思い出。私もμ'sの一員として沢山の思い出を共有できたことを嬉しく思う。

「音ノ木坂スクールアイドル計画の発端者は穂乃果ちゃんやったな」
「……そうね」

 全ての始まりは、確かにあの子だった。

「そんな穂乃果ちゃんと何かと対立してたね、えりち」
「う…」

 スクールアイドルを始めると言って生徒会室に乗り込んできたあの子に、私は何て言ったかしら。うーん覚えてないわね。ええ全然覚えてないわ。記憶にないもの。

「学校の許可ぁ? 認められないわねぇ!的な? あの頃のツンツンしたえりちも、それはそれで悪くなかったんやけどね」
「そ、それは言わないで…今思い出すといろいろ恥ずかしくなるのよ」

 自分の黒歴史を前にして途端に顔が焼け野原。忘れてたのに、思い出させないでよ、まったくもう。
 今でこそ先輩後輩の垣根を越えて仲睦まじい私と穂乃果。だけどあの頃を思い出すとどうしても首を吊りたくなる。あんないい子そうそういないのに。そんな子と対立していたなんて昔の私はなんて鬼畜だったのかしら。
 今の私ならそう、あの可愛らしいワンコにお願いされたら二つ返事で力になってあげるし、おまけと言っちゃなんだけど気の済むまで頭をなでなでしてあげるわ。
 頭を撫でてあげると「もっとして!」って感じで懐いてくるのがとっても可愛いのよ。本当、世界の中心でハラショーを叫びたくなるわね。

「今はちゃんとμ'sの一員なんだからいいじゃない、別に」
「まぁ、そうなんやけどね」

 にやにやと肩をすくめる希をジト目で見つめる。その、のほほんとした態度にムッとした。

「知られざるμ’s結成秘話。その始まりと終わりが穂乃果ちゃんとえりちなんて、話としては出来過ぎやん? 運命、感じるやん? 主人公と敵対していたもう一人の主人公が実は最後の仲間でした、みたいな? 王道RPGとしては上出来やなぁ」
「べ、別に敵対してたわけじゃないわよ! それに最後って言うなら希が最後じゃない」
「うちは最初からμ'sの味方のつもりやったで? 誰がμ'sの名前考えたと思っとるん? えりちがあんまりにも頑固やから、しかたな~く見守る側にまわっとっただけやし」
「くっ…」

 物は言いようだ。けど、あながち間違いでもないので大きくは言えなかった。
 もはや「もし」でしか語れないけれど、あの日、私と同じ空色の瞳をした少女の手を取っていなかったら、未来は今どんな形をしていただろうか。

(ぜんぜん想像できないわね…正直あんまり考えたくないし)

 穂乃果の手を取ったから今の自分が在る。それは変えようのない事実で、後悔なんてあるわけがない。もし昔の自分に会えるなら「良くやった」と褒めてやりたい。

「でもそうね…そう考えると希の言うこともわかる気がするわ」

 つまり、私と穂乃果も運命の赤い糸で結ばれてる可能性があるということね。ハラショーだわ。

「あれ? 今さりげなく赤い糸で結ばれてるとか言わへんかった?」
「言ってないわ」

 気のせいよ気のせい。それか耳が腐ったのよ。早々に耳鼻科に行くことをお勧めするわ。

「そか。ま、いつまで経っても告白できへん根性なしが相手じゃ、穂乃果ちゃんも苦労するわなぁ」
「誰が根性なしよ!!」
「別に~? えりちのこととは言ってへんよ?」
「っ…そ、それもそうね。エリチカとしたことが早とちりしてしまったわ!」
「うふふ、えりちのうっかりさん♪」


 と、まぁ…。――そんなやりとりがあったから、気になったというのが理由としてはほとんどで、運命云々は置いておくとしても、その瞳に宿るものが本当に私と一緒なのか、一度近くでじっくり見たくなったのかもしれない。
 私のそれはロシア系クォーターとしての副産物だけど、穂乃果のそれは果たしてどんな色彩を放つのだろうか。
 そんな事を延々と考えていたせいか、部活にもあまり集中できずにいた私。ダンスレッスン中にもかかわらず、視線が穂乃果を追ってしまう始末。完全に重症だ。穂乃果のことが気になって練習に身が入らないなんて私はなんて愚かなの。
 みんなに迷惑をかけるわけにもいかないし早々に手を打たなくては。――ということで、屋上でのアイ活もひと段落し、休憩に入ったところを見計らって私は穂乃果に声をかけていた。

「穂乃果、ちょっといいかしら」
「あ、絵里ちゃん! どうしたの? 穂乃果に何か用事?」

 声をかけられただけで何がそんなに嬉しいのかわからないけど、声をかけられた穂乃果は私の顔を見るなりその顔を満面の笑顔でパァーっと輝かせると、私目掛けて一目散に駆け寄ってくる。
 なんて可愛い。まるで天使――いや犬だ。
 飼ってもいいかしら?

「え、えぇ…ちょっと、ね」

 もし穂乃果に犬のしっぽがついていたら、間違いなく嬉々としてパタパタ振り乱しているわね、とちょっと思った。
 一瞬この子に犬耳としっぽ――それと鎖のついた首輪をつけてしまいたい衝動に駆られたが、さすがに自重。
 そういうプレイはさすがにまだ早い。穂乃果はまだ高校生。せめて穂乃果が高校を卒業してから――…いえごめんなさい、今のは忘れてお願いだから。エリチカからの一生のお願いよ。忘れてくれなきゃエリチカお家に帰るわ。

「穂乃果、少しだけじっとしていてね?」
「え?え?」

 頭の上にはてなを何個も浮かべる穂乃果の頬にそっと優しく手を添えて、すっと顔を近づける。別に他意はない。そうした方がよく見えると思ったからだ。

「っ…え、えりちゃ!?」

 反射的に離れようとする穂乃果の腰に間髪入れず腕を回し、グイッと抱き寄せる。穂乃果の柔らかな体の感触が伝わって、少しドキドキするけれど、今はそんな事を考えている場合ではない。
 というか、どうして逃げようとするのかしら? 
 別に変な事なんてしていないわよね?

「どうしたの穂乃果、そんなに慌てて…?」
「だ、だって…その」

 ――えりちゃんが急に顔近づけるから…びっくりして…。
 目を伏せてぶつぶつ何かを言っている穂乃果に、私は意味もわからずにふっと頬笑みながら、頭を優しく撫でてあげる。
 やわらかな髪質が手に心地よくて、穂乃果も気持ちよさそうに目を細めている。本当はもっと撫でてあげたいけれど、休憩時間も限られていることだし、そろそろ本題に入ろう。

「穂乃果、すぐ済むから、じっとしていてね?」
「…う、うん」

 穂乃果の動揺の理由はわからないが、とにかく目的を果たさなければと思い、さらに顔を近づける。もともとの身長差を補うために、頬に添えた手にやんわりと力を込めて、そっと上を向かせる。

「え、え、えりちゃっ…!」
「穂乃果、私の目を見て…」
「は、はぃ…!」

 言われた通りに私の目をじっと見つめる穂乃果に、いい子ね、と呟いて。その瞳を私のそれに映したその瞬間――、

 私の全身は、雷に打たれたような衝撃を受けた。

「――」

 それは、呼吸すら忘れるほどの感動だった。
 私のそれが透き通るような碧い瞳なら、穂乃果のそれはどこまでも吸い込まれそうな蒼い瞳。一点の曇りもない、果てしなく澄んだ空色。きらきらとした光を宿すそれは、穂乃果の心をそのまま映し出した鏡のようだった。あの天空に広がる青空のように、すべてを包み込んでしまいそうな、優しさを秘めた瞳。

「綺麗ね、本当に綺麗よ…」

 気付けば私は、何かにとりつかれたように魅入っていた。目を外すなんて選択肢は最初から存在すらしていない。

「あ、あぅ…え、えりちゃんに比べたら…穂乃果なんて道端に生えてる雑草だよぉ…」
「何言ってるの? 穂乃果の方が綺麗よ」
「ふぇ…」

 私が何かを告げる度に、穂乃果の顔は朱色に染まり、瞳は揺れる水面のように潤みを増す。
 それがまたとても綺麗で、私の本能をくすぐってやまない。

「ねぇ…もっと近くで見ていい?」
「~っ!?」

 いっそ私の碧と穂乃果の蒼がひとつに混ざり合って溶けてしまえばいい、そんな風にすら思った。
 それはきっと、穂乃果とひとつになりたいという欲求のあらわれだったのかもしれない。だけどそれを冷静に考える余裕などあるわけもなく、私はただ、夢遊病患者のようにその瞳の深さに吸い込まれ、溺れていく。

 ――こ、これってつまり…そういうことだよね…え、絵里ちゃんがいいなら、私……。

 だがしかし、穂乃果がぼそりと何かを告げた瞬間、不思議なことが起こった。
 何故かその瞳がそっと閉じられたのだ。その顔をほんのり赤く染めて、まるで何かを求めるように熱い吐息を漏らす唇は、ほんの少しだけ開かれて、私に向けられている。

「…穂乃果?」
「…っ…!」

 予期せぬ事態に、私はきょとんとすることしかできない。
 一体何が起こっているというの? 誰か教えてプリーズ。
 
「ねぇ、穂乃果? どうして目を閉じてしまうの?」
「えっ…だ、だって…」

 もっと、ずっと見ていたかったのに…。
 ねぇ、もっと魅せて穂乃果?
 あなたの青を――。

(はっ…もしかしてこれ、いじわるのつもりなのかしら?)

 ふと、驚愕の事実に気付いてしまう私ことエリーチカ。
 つまりは、そういうことなのだろう。認めたくはないけれど、これが事実だと言うなら受け入れるしかない。

(そうなのね…私があまりにも夢中で見つめるから、嫌になってしまったんだわ)

 だから目を閉じて私に瞳を見せまいとして…ちょっとショックね。ううん、かなりショック。エリチカお家に帰りたい気分だわ…ぐすん。
 でも負けない。負けるわけにはいかないのよ。今日のエリチカはひと味違うんだから。

「ねぇ穂乃果、お願いだから目を開けて? あなたの瞳をずっと見ていたいの。そのきれいな瞳に私をうつして…?」

 いっこうに目を開けてくれない穂乃果に優しく呼び掛けると、

「ふぁっ…で、でも、その、目を開けたまま――なんて…は、恥ずかしいよ…えりちゃん…」

 そんな風に言いながらも、穂乃果はしぶしぶと言った感じで目を開いてくれた。

「ありがとう穂乃果…」
「うぅ…」

 今度めいっぱい頭を撫でてあげるから、私が満足するまでもう少しだけ我慢してね。と、心の中で呟いた。
 ぽーっと熱に浮かされたその瞳。一度閉じられた瞼の奥には、やはりどこまでも続く空が広がっていた。キラキラと煌めいてやまない揺れる空色は、波打つ度に私の心を虜にする。
 気付くと穂乃果を抱く腕にも力が篭り、穂乃果は私の胸にすっぽりと収まっていた。見上げるように私を見つめる穂乃果はとても愛らしく、このままお持ち帰りしたい気持ちでいっぱいだったけれど、それは今度の機会にでも。

「あ、の…えりちゃん…あんまり、くっつかないで…穂乃果いっぱい汗かいてるし…汗臭いでしょ?」
「ふふ、穂乃果の汗なら大歓迎よ? それに、汗かいてたって穂乃果はいい匂いだわ…ん」
「っ…だ、だめっ…嗅がないでっ…!」

 すんすんと鼻を鳴らすと、鼻腔を擽る穂乃果の甘い匂いに眩暈がした。汗の匂いが混じり合っているせいか変に胸がドキドキする。でも、それは間違いなく私の好きな匂いだった。ずっと嗅いでいたいとすら思う。

(私、もしかして匂いフェチなのかしら? まぁ、穂乃果フェチではあるかもしれないけれど…)

 ――と、そうこうしているうちに休憩時間も終わりに近づいていた。
 残念だけど、どうやらここまでのようね。本当はこのままずっと穂乃果の瞳を堪能していたかったのだけど、練習時間を選んだ私が悪いのだから、ここは素直に引き下がるしかない。

「穂乃果、私のわがままに付き合わせてしまってごめんなさいね」
「う、ううん…いいよ、そんな」
「そう…じゃあ、そろそろ時間だから、ね?」
「は、はぃ…ん」

 私の言葉の意味を正しく理解しているのか否か、穂乃果はまたも瞳をギュッと閉じてしまった。やはりその顔はリンゴのように赤に染まっていて、唇は何かを求めるように突き出されている。そこから漏れる吐息は先ほど以上に熱く、暑く、そして何かを欲している。

(ええ? どういうこと? なんなの? またいたずらのつもりなの?)

 もう私の要件は終わりだと言うのに、さすがにそれはないだろう…と思いたい。まさか追い打ちをかけたいわけじゃないだろうし。
 それにしてもどうして穂乃果の顔はこんなに赤いのかしら? もしかして風邪でも引いた? 季節の変わり目は風邪を引き易いと言うし、あり得ない話じゃないわね。
 そう思って、そっとおでこに手を添えてみたけれど、ビクッと体が反応しただけで、特に熱はなかった。どうやら風邪という線はないらしい。それはそれで一安心だ。となると、後は――、

(はっ…なるほど…つまりそういうことなのね…さすがのエリチカもわかったわ)

 さすが、かしこいかわいいエリーチカと呼ばれた私。冴えわたる頭脳はひとつの真実を導き出した。真実はいつもひとつ。かの有名な名探偵の言葉が今こそ身に染みる。

 つまり、熱中症の危険性だ。

(夏も終わりとはいえ、まだまだ暑い日が続くものね。水分補給もさせずに私のわがままに付き合わせてしまって悪いことをしたわ。さっそく水分補給を――)

 穂乃果が求めるもは水分補給――そう結論づけた。
 そうとわかれば話は早い。私は穂乃果を解放すると颯爽とスポーツドリンクを掴み取り、穂乃果に差し出した。

「穂乃果、はいこれ。これが欲しかったんでしょう?」
「………え?」
「ほら、なんだか顔赤いし、息も荒くなってるし、ちゃんと水分摂りなさいね」
「………」
「私としたことが迂闊だったわ。私のわがままに付き合わせた挙句、穂乃果を熱中症にしてしまうところだったなんて…。ホント、どうしようもないわね私は…。ごめんなさいね、穂乃果?」
「………」

 ドヤ顔で差し出すスポーツドリンクを無言で受け取る穂乃果。

 だがその顔は、どこまでも無表情だった。

 え、何? 私何か間違えたの? 誰か教えてプリーズ!

 ざわ…ざわざわ…

 あとそこ、外野うるさいわよ。何か文句でもあるの?


『あそこでおあずけなんて絵里ちゃんもむごいことするにゃー…』
『穂乃果ちゃん…かわいそう』
『いやあ…まさかえりちがあそこまでにぶちんだとは…ほんま苦労するなぁ穂乃果ちゃん…』
『まぁまぁ、確かに穂乃果はかわいそうですが、結果的によかったではありませんか。……そもそもですね、神聖な学園内でそう言った行為に及ぼうなんて破廉恥です。ええ、破廉恥極まりありません。するならせめて家に帰ってから――』
『へぇ~…海未ちゃんがそれを言っちゃうんだぁ? この前ぇ、我慢できずに私をトイレの個室につれ込んで〈ピー〉を〈ピー〉して〈ピー〉なことまでしたの、どこの誰だっけぇ?』
『こここ、ことりっ――!?』
『『『…海未ちゃん…』』』
『ち、違うんです! あ、あれはその…わ、若さゆえの過ちというか……、そ、そう! こ、ことりがあまりにも可愛らしくて自制がきかなくなってですね!』
『もうええよ…海未ちゃん。海未ちゃんがむっつりスケベなんはようわかったから…』
『ち、違うんです希! は、話を聞いてください!』

 なるほど…海未はむっつりスケベ、と。その話、もっと詳しく聞きたいわね。いったいトイレの個室でどんなハラショーなことをしていたのかしら。

『――ね、ねぇ真姫ちゃん…』
『何?』
『そ、そういえば~…わ、私の瞳の色と真姫ちゃんの髪の色って一緒だよねー』
『そうね…だから?』
『う、運命…感じちゃわない?』
『別に? あ、そういえば私と花陽の目の色もちょっと近いわね』
『――っ!? う、うぅ…うわーーん! 真姫ちゃんのバカぁああ!』
『ちょっ…な、なんでそんなに怒ってるのよ! イミワカンナイ!』

 真姫…あなたって本当に鈍いわね。それとも知っていてわからないフリをしているのかしら? 
 まあ、どちらにしてもあまり鈍感過ぎるのも考えものよね。私みたいにもう少し相手の気持ちを察してあげないと、いつか嫌われてしまうわよ?


 余談だが、それから3日間、なぜか穂乃果は私と会ってもまともに会話をしてくれなかった。
 理由を尋ねてみても「自分の胸に聞いて!」の一点張りで、取り付く島もない。
 ほっぺをぷくぅーっとハムスターみたいに膨らませてぷんぷんしている穂乃果も、それはそれで可愛くて愛らしいんだけどね。

「ほ、穂乃果? 私、何か悪いことしたかしら? 身に覚えがないんだけど…」
「むぅ~! 絵里ちゃんなんてもう知らないもん! バカ!にぶちん!とーへんぼく!」
「そ、そんなっ…あ、そうだ…あ、頭撫でてあげるから機嫌直して? ねぇ穂乃果? なんならお菓子もつけるわよ?」
「っ…む~…そ、そんなこと言ったって許してあげないから! 絵里ちゃんのバカ!!」

 あ、今ちょっとゆらいだわね。

[ 2013/12/15 07:54 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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