とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『飼い猫に手を噛まれる』

※あずにゃん誕生日記念
※追記からどうぞ。



11月11日は私の誕生日である。
だけど周囲から見れば何の変哲もないただ平日で、学校もあれば部活も通常営業、日常的にはなんら変化はない。
昨日までと違うところがあるとすれば、それは今夜、私の家でバースデーパーティーが催されるくらいだろう。主催者は言わずと知れた軽音部の先輩たち。以前から計画していたそうだ。
私が知っている時点でサプライズパーティーではないのは言うまでもないことなので、心の準備は当の昔に出来ている。あとはその時が来るのを楽しみに待っていればよかったのだ。

だがしかし、事はそう単純じゃない。

誕生会を楽しみにすればするほど、他の事など考えられなくなるのは少なからず誰でもそうだと思いたい。どんな料理が出るのか、とか。プレゼントは何かな、とか。そんな事ばかり考えて時間は過ぎていく。
それは時間が差し迫れば迫るほど、意識が強くなり気持ちが昂ぶっていくわけだ。今の私には、もう間も無く始まる誕生日パーティーの事で頭が一杯だった。
それが間違い……とは言わない。そもそも間違いではないのだ。
とにもかくにも、私はもう少し身構えておくべきだったかもしれない。なぜならば、こんな風に私が余計な事に気を取られている隙を見計らってサプライズを仕掛けてくるのが、唯先輩の常套手段だと知っていたから。

それはパーティーを数時間前に控えた誕生日当日の放課後の事――。
何の因果か唯先輩と音楽室で二人きりにさせられたが故に起こった突発性の大事件だった。


「ねぇあずにゃん、今日が何の日だか知ってる?」
「え?」


他の先輩たちを待つ間、手持ち無沙汰で待ちぼうけを食らっていた最中。
呆けたようにテーブルに突っ伏していた唯先輩が突然顔を上げてそんな事を言い出した。


「何って…私の誕生日じゃないんですか?」


淡々と無難に答える。
実際に私としてはそう答える他ない。事実として間違ってはいないし、唯先輩だってそんな事はとっくに承知してるはずだ。
そもそも誕生日パーティーを主催した本人が知らないはずがないのに…。
それなのにこんな事を素で言い出すって事は……まさか遂にボケた?
何気にひどいことを思考しつつ首を傾げている私を他所に、唯先輩は首を横に振った。


「もちろんそれもあるけど」


どうやらボケが始まったわけではないらしい。


「他に何かあるんですか?」


聞き返すと、唯先輩はふんすっと胸を張って小ぶりだが形のいい胸を揺らして見せた。
自然とその膨らみに目が行ってしまうことに遺憾に思いながらも平静を装って問い返す。


「もちのろんです! あずにゃんの誕生日にも匹敵するくらい重要な日だよ!」
「……?」


疑問符を浮かべずにはいられない。
私の誕生日にも勝るとも劣らないとは言っても、世間一般から見て私の誕生日がどれほど重要視されているかわからないので正直ピンとこなかった。
ていうかそもそも、世間から見たら一般庶民の誕生日なんて、特に重要でもなんでもない気がする。
それが日本に数人といない有名人の誕生日ならいざ知らず。私なんて所詮、約70億人の中のたった一人に過ぎないのだから。


「てことは…そんなに大した日じゃないってことですか?」


そう言ってやると、唯先輩ははじかれように身を乗り出し珍しく怒りの声を上げた。


「何言ってるのさあずにゃんっ!? あずにゃんの誕生日は一年で一番大事な日じゃん! クリスマスとかバレンタインなんかよりよっぽど大事なイベントだよ!」
「い、いや…さすがにそれは言いすぎじゃ…」
「言いすぎじゃないもん! ぷんすかっ! 私の可愛い仔猫ちゃんが生まれた日が大切じゃないわけないでしょ!」
「誰が『私の』で、誰が『仔猫ちゃん』なのか激しくツッコミたいところですが…それってつまり唯先輩の中だけってことですよね?」
「ふんすっ!」


自信満々にドヤ顔を見せられると、それ以上は何も言えなかった。
話を元に戻すが、今日11月11日が私の誕生日でないなら他に考えられそうなのは……。


「あの…まさかとは思いますけど、ポッキーの日とか言い出すんじゃないですよね?」
「あ…あずにゃん…どうしてわかったの…? もしかしてエスパー…?」
「自分から質問してきといてなんて言い草ですか。唯先輩のことだからどうせそんな事だろうと思っただけです」
「へぇ~、あずにゃんって、私のことなら何でもお見通しなんだね!」
「な、何言ってんですか…ばか」


クリッとしたつぶらな瞳が私の心臓をズキュンと撃ち抜く。そんな瞳で上目遣いをされると堪ったものじゃない。とりあえず落ち着け私。


「というわけで、はいあずにゃん!」


そう言ってどこからともなく取り出したるは、日本人なら一度はお目に掛かった事があるであろうお菓子、ポッキーの箱だった。
正直なところ訳がわからない。突然ポッキーを出されて私にどうしろと言うのか。だから私としてはこう問うしかない「そのポッキーがどうかしたんですか?」って。


「一足早い誕生日プレゼントだよ! あっ…もちろんちゃんとしたプレゼントは用意してあるから心配しないでね!」
「べ、別に心配はしてないですけど…まぁくれるって言うなら頂きます」


厚意を無下に扱うのも忍びないので素直に貰う事にする。
つまり私の誕生日プレゼント第一弾はポッキーになってしまった、ということだ。自分の誕生日とポッキーの日が重なったからってポッキーを誕生日プレゼントに貰ってるのは、もしかしたらこの世で私一人かもしれない。
なんて考えながら、ポッキーの箱に手を伸ばしかけたその時、唯先輩はその手をひょいっと上げて回避の姿勢を取った。


「……なんですか? もしかしておちょくってんですか?」


手を伸ばしたままの姿勢で唯先輩をジトっとした目で睨みつける。もしここで実はからかってましたなんて言われたら、どんな暴挙に出るかわからないので覚悟してください。


「ちがうよぉ~。ただぁ、普通にあげるんじゃあんまり面白くないから、ちょこーっと手を加えてみようかなって」


新しいおもちゃを見つけたような悪戯っ子みたいな顔で不敵な笑みを漏らす唯先輩に、一抹の不安が過ぎる。嫌な予感がした。それは確信にも似た何か。


「…て、手を加えるってどんな風にですか…?」


私としては普通に貰えるだけで十分なのだが、唯先輩はそれじゃ満足できないらしい。


「うふふ♪ こうするの!」


と、ポッキーの箱から一本のポッキーを取り出すと、自分の口に加えて、私に向かって突き出してきた。まるでその先っぽから私も喰らいつけと言わんばかりに、徐々に接近してくるポッキー&唯先輩の顔。
つまるところ、嫌な予感は見事的中したわけだ。


「…ちょっ…ゆ、唯先輩?」
「んー♪」


見るからに唯先輩に躊躇いはない。それどころかポッキーごと自分を頂けと言われているみたいだった。と言うより、焦り慌てふためく私の様子を楽しんでいるようにすら思える。
案の定、唯先輩の思惑通り私は焦っていた。迫ってくる唯先輩に仰け反り姿勢のまま「うぅ…」と呻き声をあげながらゴクリと生唾を飲み込む。
そんな私の様子を薄目を開けながら見守る唯先輩に憎たらしいニヤニヤ顔が気に食わない。どうして私が唯先輩なんかに遅れを取らなきゃいけないんだ。


(まったく…! この人は本当にもうっ…!)


唯先輩はいつだって唐突だ。
その言動から行動まで、何もかも。それらは全て予想外の不意打ちで、当然の如くこちらには心の準備期間はない。虚を突いて、裏を掻いて、息つく暇さえ与えてくれない。

まさに歩くハニートラップ。

私はただ日常を平々凡々と普通に過ごせればいいだけなのに、そうさせてくれないこの人にはほとほと参っている。そしてそれ以上に参っているのは…、

そんな唯先輩をキライになれない私。

それどころか逆に――はぁ…。ホント、どうしようもない。
いっそキライになれたら自由になれるのに、それを望んでいない私が心の奥底に根を張ってる。あの人が植え付けた心の種はすでに芽を出してしまっているのだ。
あとはこのまま花が開くのを待つばかり…なのだが。

いいのかこのままで?
このまま何も出来ず唯先輩の思い通りに事が進んで、それで私は満足か? いや、そんなのは真っ平御免だ。それだけは何となく負けた気がしてイヤだった。
たまにはそう、私が唯先輩を出し抜いて困らせてやりたいと思った。いつもドヤ顔で得意げになってるあの人を、ぎゃふんと言わせてやるってね。


(死なば諸共! こうなりゃ自棄です!)


決意を新たに私は一度目を伏せて深呼吸した。
それからキッとした鋭い視線を送りながら、


「…わかりました。唯先輩がそういうならありがたく頂きましょう」


と、地の底から這うようなドスの利いた声でそう言ってやると、


「ふもっ!?」


唯先輩は周囲の空気が一変したことを感じ取ったのか、クワっと目を見開いて、反射的に一歩後退する。それを逃す私じゃないので、間髪入れずその腕を掴み取りグイっと引っ張って、唯先輩が加えたポッキーの先に狙いを定めて、勢いそのままに咥え込んだ。


「さくさくさくさく…」
「んー!んんー!!」


容赦なく食べ進めて行くと、唯先輩は汗を飛び散らせながら途端に焦りだす。まさかこんな事態になるなんて露程も思っていなかったのだろう。その狼狽しきった様子は見てて滑稽だった。
やっぱり私をからかっていただけだったのだ、この人は。でなきゃこんなに取り乱したりはしない。私がこう言う事を出来ない性格だと知っているから平然とこんな事が出来る。
言うなれば私は安全牌。唯先輩の都合の言い様に扱われるだけのまさにオモチャ。そこまで卑屈に考えるつもりはないが、とにかく私は内心ほくそ笑んでいた。


(当てが外れましたねぇ唯先輩。あなたのしてきた事をそっくりそのままお返ししますよ)


正直なところ既に十分過ぎるほどの仕返しにはなっているのだが、だけど今までの事を考えると、やはりまだまだやり足りない。私が受けた屈辱(スキンシップ)の数々、忘れたとは言わせない。


「さくさくさくさくさく!」
「ふむぅ~…! ふむむぅ~…!」


息が掛かる距離まで来ると、唯先輩は顔を赤らめて潤んだ瞳を向けてくる。
唯先輩の目は語っていた。「こんなはずじゃなかったのに…」と。
二人の距離が残り5cmを切った時、遂に唯先輩は目を閉じた。ギュッと力いっぱい瞑って、その目尻には涙さえ浮かべて、その顔はすでにリンゴのように赤面している。
私は背筋がゾクゾクするような、まるでそう言う感覚に目覚めてしまったかのように、気分が高揚していく。今まで一度だって見た事のない唯先輩の乙女チックな仕草に胸がキュンキュンしてる。


(…でもまぁ…さすがにホントにするわけにはいかないよね)


もうちょっとだけ今の状況を楽しんでいたかったが、既に距離は2cmあるかないか。これはあくまで唯先輩の度肝を抜くための仕返しなので本当にキスしてしまうわけにはいかない。
少し名残惜しいが“とりあえず”はここまでだ。

――パキンッ

私と唯先輩を繋げる架け橋は残り僅かのところで折れた。
私は口に残ったポッキーの欠片を早々に噛み砕いて飲み込み、ポッキーが折れた事にも気付かず、目をギュッと瞑ったままプルプル震えている唯先輩に声をかけた。


「唯先輩、いつまでそうしてるつもりですか?」
「ほぇ? あ…」
「もうとっくに終わってますよ?」
「~~っ!?」


己の失態に気付き、唯先輩の顔が茹ったタコのように蒸気を噴出した。
私はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら、からかうようにこう追求してみた。


「あれ~? もしかして本当にキスされるとか思ってたんですか? 意外といやらしいんですね、唯先輩って」
「ち、ちがうもん…! そ、そんなんじゃ…!」


唯先輩は赤い顔のままプルプルと首を横に振って否定してみせたが、正直そんな顔で言われても説得力の欠片もない。
まぁこれ以上いじめても可愛そうですし、ここら辺で折れておきますか。


「ふーん…まぁいいですけどね」
「うぅ…あずにゃんがネコさんからライオンさんになっちゃったよ…」


唯先輩はトホホ…っと落胆した様子でうな垂れながら意味不明な事を言い出した。


「何訳わかんないこと言ってんですか。そもそも最初にこんな事し始めたの唯先輩ですよ?」
「そ、それはっ、わかってるけど…。でもだって…ホントにするなんて思ってなかったもん…。いつものあずにゃんなら、顔真っ赤にして逃げ出すのに…」
「ま、私だってやる時はやるんですよ。これに懲りたら少しは自重してください」
「うぐぅ」


そんな風に呻く唯先輩だったが、とりあえずは五体満足でポッキーゲームが終わった事実にホッとしているようで、胸を撫で下ろしながら落ち着き上々。
私としてもこれ以上ない成果を得られて大満足だ。
今回の所はこれ位で勘弁してあげましょう。

……と言いたいところですが。

ところがどっこい現実はそう甘くはないんですよ唯先輩。


「ちょっと唯先輩、何終わって一安心みたいな顔してんですか」
「え?」
「まだ終わってませんよ。ていうかまだ始まったばかりじゃないですか」
「…ど、どゆこと?」


唯先輩は顔を引き攣らせて聞き返す。
私はクスッと笑って、テーブルに放置プレイを食らっていたポッキーの箱を拾い上げ、唯先輩にも意図が伝わるように、中身の音を立てながら揺すって見せた。そしてこう告げる。


「まだ、こんなに残ってるじゃないですか」
「えぇ!? そ、そんな…だってあれ一本だけじゃ…」
「何甘いこと言ってんですか。今日は私の誕生日で、誕生日プレゼントにポッキーとポッキーゲームを贈ったのは唯先輩でしょう? 私がそのプレゼントを受け取ると決めた以上、唯先輩には責任を持って最後まで続ける義務があるんですよ」


言いながら、口の端だけ歪めた笑みを浮かべた。


「そ、そんなっ…!」


そうなると驚愕必至の唯先輩。
自分の撒いた種がここまで大規模な展開になるなんてさすがに思うまい。
だからって逃がすつもりはない。
唯先輩には過去何度も煮え湯を飲まされ続けてきたのだから、今日という日にまとめてお返ししておこう。
二人だけの一足早い誕生日パーティー、今ここに開幕です。


「さぁ唯先輩、そんな所に突っ立ってないでさっさと続きをやるです」
「あ、あずにゃん…! まずは落ち着いて話を…!」


もはや語る事なんてありません。
どんな言葉よりも行動にこそ意味があるんです。


「あ…一応言っときますけど、他の先輩たちが来たからって途中で止めるつもりはありませんので、そこんとこ覚悟しといてください」
「…ぎゃ、ぎゃふんっ…!」


こうして私は自分の誕生日というめでたい日に、
あの唯先輩を相手に「ぎゃふん」と言わせる事に成功したのである。
めでたしめでたし。



おしまい



【あとがき】
何番煎じかもわからない使い古しのネタですがお楽しみいただければ幸いです。
ここだけの話、誕生日のネタも無限ではないんです…(泣
去年あれだけ続けられたのが今でも不思議です(汗

それでは次は唯先輩の誕生日SSでお会いできればと思います。

[ 2011/11/25 00:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)
金たろう様、お久しぶりです(o^∀^o)
長いこと、コメントすることができずにすみませんでした(>_<)
金たろう様も、大変お忙しいということを目にしましたが、無理なさり過ぎないように気をつけてくださいね(ρ_;)
久しぶりの唯梓SS、金たろう様の作品、とっても楽しませていただきました♪
素直になれないあずにゃんが、唯ちゃんに手懐けられちゃうお話も微笑ましくて好きなのですが、たまに、あずにゃんの思わぬ反撃に戸惑う唯ちゃんを見るというのも、刺激的で好きです!(^w^)(笑)
そう言えば、昨年のこの時期は、毎日金たろう様のSS企画が楽しみで楽しみで…毎晩、ゆいあず分を補給しに来ていたなぁ…なんて、ふと思い出しました。
1年経っても、金たろう様のゆいあず愛…褪せずに伝わってきます!(>_<)(笑)

これからも、応援してますo(^-^)o
[ 2011/11/25 22:22 ] [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2011/11/26 00:42 ] [ 編集 ]
まさに「あず×ゆい」!!後輩が先輩に対して主導権をにぎる展開!たまりません///

いや~付き合っている状態でのあずゆいも読みたくなってきましたよ。あっ、連載SSで一部ありましたね~また新作で読みたいものです!

しかし唯先輩がかわいすぎます!最初は余裕だったのにあずにゃんの思わぬ行動であせった様なんか!

やっぱりこの二人はサイコーのカプです(感涙)

次回も楽しみにしております。
[ 2011/11/26 22:41 ] [ 編集 ]
お久しぶりの作品は「あずゆい」ですか…

うん、やっぱリバはありですなぁ…
個人的にはこの後開き直った唯ちゃんの逆襲があって欲しい物です。
特にみんなが来た後に。


だいぶ季節が傾いてきましたがお風邪など召しませぬよう御自愛の程を
[ 2011/11/27 01:46 ] [ 編集 ]
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