とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ゆるゆりSS 櫻子×向日葵 『好きって気持ちに嘘はつけない』

※追記からどうぞ。




4月1日――。


「ひっまわりぃー!ちょっといーい?」


新学期早々騒がしい金髪少女、大室櫻子は私の幼馴染である。
私の机の前を陣取った彼女の顔は、それはもう満面の笑顔で埋め尽くされていた。この子がこんないい笑顔をする時は、決まって私に良くないことが起こる前兆。その笑顔を見た瞬間、それなりに嫌な予感はあった。
もはや確信と言ってもいいほどに。
またなにか厄介事に巻き込まれるのか、と。


「……ハァ…いちいち大声張り上げないで…、いったい何の用ですの?」


軽く溜息をつきつつ、一呼吸おいてから返事を返す。
すると櫻子は、話に乗ってくれさえすればこっちのものだと言わんばかりにニヤっと不適な笑みを浮かべて、


「今日何の日か知ってる? もちろん知ってるよね? 知らなきゃ人間じゃないよ?」
「人間じゃないって…、大袈裟ですわね…、今日って新学期ですわよね? それが何か?」


そう、今日は新学期。先刻、始業式が終わったばかりだった。
その後教室に戻ったが、今はクラス担任の先生が来るまでの、束の間の自由時間を満喫している最中である。
そんな私の回答に櫻子は納得いかない表情でその場で地団駄を踏み散らし、


「ちーがーう!そーじゃなくて!もっとあるでしょ!今日という日の一大ビックイベントが!」
「はぁ?」


そんなご大層な行事なら、生まれてから14年間生きてきた私としても覚えているはずだが、それでも覚えていないということはそれほど重要というほどでもないのだろう。
とりあえず壁に掛かったカレンダーに目を移し、今日の日付を確認する。
まぁ新学期なのだから結果は最初から決まっている。
4月1日――つまり、


「ああ、そういうことですの。そう言えば今日はエイプリルフールでしたわね」


確かにある意味で一大ビックイベントだが、それでも日常生活ではさほど重要性はない。実際やらなくても普通に生活は出来るし、エイプリルフールだからって嘘をつかなきゃいけない決まりはないのだから。
それでもやはり櫻子にとってはそれが正解だったようで、なぜか大喜びだった。


「そう!それそれ!もうっ、このまま向日葵の口からその単語が出なかったらどうしようかと思ったよ」
「普通に教えればいいだけの話じゃなくて?」
「そうだけどさー、こう言うのは自分で気付かなきゃ意味ないじゃん?」


何が意味ないのか激しく疑問だが、グッと親指立てた櫻子は良いこと言いましたと言わんばかりにドヤ顔だった。その顔がちょっとイラッとしたのは内緒。別に相手は櫻子ですから言っても良かったんですけど。
それじゃあ話が進まないような気がしたのでここは大人しく引き下がることにする。


「今日は年に一度、すべてが嘘で許される日!ってことで私今から嘘つくから。これから言うの全部嘘だから。そこんとこ勘違いしないでよね!」
「……なにがなんだかさっぱりですわ……」


なぜそこまで念を押す必要があるのか。
そもそも嘘をつくと最初から言ってしまってはあまり意味がないのではないか。
色々疑問に思うことはあるが、とにかく。
櫻子の意図がどこにあるのか、まったく理解できないのは確かだ。


「いーから向日葵は黙って私の話を聞いてればいいの!」
「……分かりましたわ。ならさっさとしてくださいな。私だって暇じゃないんですから」


少し納得いかないものがあったが、そもそも櫻子の思惑などに興味がないので話を進めるように急かす。ちなみに暇じゃないというのは実は嘘。別にエイプリルフールだから嘘をついたというわけじゃない。たんに、櫻子に付き合っている時間よりも暇な時間の方がよっぽどマシだと、そう言っているだけ。


「えーと、それじゃあ…」


櫻子は、姿勢を但し、なぜか制服の乱れを直し、前髪をパラパラと整え、それから胸に手を添えて深呼吸をした。その気合の入りようにいささか不安を覚え、若干身構えながら言葉を待つ。
櫻子の目が私の目を射抜く。
やがて視線は絡まり、そして――、


「わ、私…、ひ、向日葵の事が好きっ…!大好きっ!!」
「――」


頬を赤らめながら、必死に叫ぶように、切実な想いを私にぶつけてくる。
解き放たれたそれは私の心に情け容赦なく突き刺さった。
一瞬、思考が止まり、呼吸をすることすら忘れる。


「~~っ!!」


止まった時間が動き出したその瞬間、私の顔が真っ赤に染まり、茹蛸みたいに頭から蒸気を噴出した。
あまりの衝撃に声をあげることすらままならない。気が動転していたとも言う。
櫻子の思惑が何であれ、すでに私の頭の中から「エイプリルフール」なんていう単語は消失していた。


「なっななな、何言ってるんですの!? さ、櫻子が、わ、私の事…す、すっ…好きっ…だなんて!? そ、そんなっ…きゅ、急に言われても困りますわ…!こ、心の準備と言うものが、まだ…!」


櫻子にとってそれは予想外の反応だったのだろう。
顔を真っ赤に火照らせて狼狽する私に中てられたように、なぜか櫻子まで羞恥に顔を赤らめわたわたと慌てだした。


「ちょっ…だ、だから嘘だって言ったでしょ!ほ、本気にすんなバカっ!ひ、向日葵のことなんかこれっぽっちも好きじゃないんだからね!」
「ぁっ…!」


そこまで言われてハッとする。
世界の果てを旅していた「エイプリルフール」という単語がマッハでご帰還なされる。
まさかあの櫻子に一杯食わされる日が来ようとは、古谷向日葵始まって以来の不覚。櫻子が嘘をつくと言い始めて、時間にして1分も経過していないというのに忘却の彼方とは、正直恐れ入った。

私をここまで追いつめた櫻子の嘘。

その破壊力は見て聞いた通り。混乱の追加効果に加え、記憶にまで影響を及ぼす脅威だった。
しかしだからと言って、ここで櫻子の思い通りになってしまったことを認めるわけにはいかない。
認めてしまえば、つまりそれは事実上私の負けを意味する。

この私が、櫻子に負ける?
そんなこと――、


(…櫻子に屈服するなど…それだけは死んでもあってはなりませんわ…!)


生涯屈指のライバルにこんなところで膝をつくなど言語道断。プライドが許さない。
だからこそ私は櫻子に対抗するべく、水面下にて戦いを挑むことにした。このおバカに目にもの見せるために、そして少しでも「嬉しい」と思ってしまった胸のときめきを取り戻すために。
私、古谷向日葵13歳。威風堂々エイプリルフール戦争に参戦ですわ!


「そう…嘘でしたのね…、分かっていても辛いですわね…」


私は窓の外を遠い目で見つめる。その目尻には涙さえ浮かべて…。


「え…ど、どういうこと?」


あっけにとられる櫻子。思惑通り、見事に食いついてくる。
私はさらに悲しそうに顔を伏せ、一筋の涙を零すという迫真の演技を見せつけた。


(…私の演技力もなかなか捨てたものじゃありませんわね…)


だからと言って油断は禁物。言うなればここからが正念場なのだから気は抜けない。
気持ちを新たにして、自分の持てる全ての演技力を駆使して櫻子に人泡吹かせようと次なる行動に移った。


「櫻子…」
「な、なに? な、なんなの?」


そっと顔を上げて櫻子を見据える。そして絡まる視線は熱を持つ。
瞳を濡らしながら櫻子を見つめると、櫻子は照れたようにポっと頬を赤らめて、視線を泳がせ始めた。


(…いいですわ、その調子。その調子でドキドキしてなさい)


なかなかの反応に内心ほくそえみながら、私は止めの一撃を容赦なく叩き込んだ。


「だって私…、ずっと櫻子の事好きだったんですわよ? 本当に好きで好きで堪らなくて…、櫻子に好きだって言ってもらえた時、本当に嬉しかったのに……それがまさか嘘だったなんて…」


よよよっと泣き崩れたフリで気分を盛り上げると、


「あっ…なっ…ちょっ…な、なななに言ってんの向日葵っ?!」


先ほどとは対照的に、顔を限界まで真っ赤に染めたのは櫻子だった。
喜んでいるような、戸惑っているような、そんな様子で慌てふためいている。
これ以上ないくらいの結果に笑いが込み上げ、私は我慢できずに吹き出した。


「ぷふっ! な、なんて顔してるんですのこのおバカ。そんなの嘘に決まってるじゃありませんか。櫻子のマネしただけですわよ。この程度の嘘も見破れないなんて、あなたもまだまだですわね」
「なっ…ムカっ…!」


ネタばらしすると、今度は羞恥と別の意味で顔が赤く染まる。ぷるぷると小刻みに体を震わせながら、目尻には涙を浮かべて、自分が騙されていたことを悟った櫻子は、完全にご立腹のようだった。
いい気味ですわ。私を追い詰めた罰ですわよ。少し反省なさい。


「ふ、ふんだ! そんなの初めから分かってたし! ただ向日葵の嘘に乗ってあげただけだし!」
「その割には随分と照れていたようでしたけど? 実はちょっと嬉しかったんじゃなくて?」
「う、うっさい!このおっぱい魔人!もぐぞ!」
「なんですって!この洗濯板!もげる胸も無いくせに!」
「んだとー!!」
「なんですの!!」


一触即発。これがいつもの私達のあり方と言っても大袈裟じゃない。
今にも掴みかかりそうな勢いで睨み合う私達だったが、予想に反して、最初に折れたのは櫻子の方だった。櫻子はどこか哀愁漂う様子で溜息をつき、それから一言こう告げた。


「ま、まぁ…冗談抜きにして…向日葵に好きって言ってもらった時、ちょっと嬉しかったけどさ」
「っ…」


いやまて落ち着け。これは罠だ。たぶん櫻子の嘘はまだ続いている。
となれば私も負けるわけにはいかなかった。
こうなれば、とことんやってやりますわ。


「わ、私こそ…櫻子に好きって言われて、少しですけど嬉しかったですわ」


そう言って返すと、櫻子は目をカッと見開いてパチクリ。
それから私の意図を察したようにニヤリと楽しげな笑みを浮かべる。


「そっかー、向日葵の好きは嘘だったのかぁー、残念だなー、私の好きは嘘に見せかけて実は本当だったんだけどー」
「へーそうですの、実は私も嘘というのは嘘で、本当に櫻子の事が好きなんですのよ」
「へ、へぇ~、で、でも好きって言っても私の好きに比べたらまだまだじゃん? どうせ向日葵の好きは友達としての好きとかでしょ。私のは違うし」
「櫻子…、あなた私の好きを少々甘く見てるんじゃなくて? 正直、櫻子のそれに比べたら私の好きの方が何千倍も大きいですわ。顔洗って出直してきなさいこのおバカ」


負けじと言い返すと、櫻子はぐぎぎっと歯軋りしながら悔しそうに、


「わ、私の好きの方がすごいもん!向日葵なんか足元にも及ばないくらい!」
「ふん!私の方がよっぽど好きですわよ!月とスッポンですわ!」
「ちがうし!私の方が向日葵の事好きだもん!向日葵ちょっとムキになりすぎ!」
「ムキになってるのはあなたの方でしょう?! 私は櫻子のこと好きすぎて毎晩夢にまで見るんですから!」
「わ、私だって、向日葵の夢よく見るし!夢の中でチューとかしちゃってるし!」


チューという甘酸っぱい単語に私の顔に火がついた。
もはや真っ赤どころの騒ぎじゃなかったが、それでも櫻子なんかに負けたくない、その気持ちだけが私を突き動かす。


「わ、私だって…さ、櫻子といつも、その、き、キスしたいと思ってましたわ! そ、それくらい櫻子の事好きなんですの! 愛してると言っても過言じゃありませんわ!!」
「あ、あああ愛ぃ!? お、おまっ…なななっ何言って…!!」


心の叫びは櫻子のハートに大ダメージを与える。効果は抜群だ。
ここは一気に畳み掛けて勝利をこの手に――そう思って口を開きかけたその時。
しかし人は勝利を確信したときにこそ油断するもので、


「うぅ…! わ、私だって向日葵の事愛してるもん! 子供の頃からずっとずっと!!」
「くぅっ!」


お見事。その一言に尽きる。敵ながら天晴れとしか言いようがない。
その効果は絶大で、無防備にも等しかった私の心はもはや瀕死の重傷。
次にダメージを貰ったら確実にあの世逝きだった。


(や、やりますわね…櫻子…! さすが私のライバル…!)


それでもやはりまだ終わるわけにはいかない。これはもう勝ち負けを超えた意地の張り合いだ。
この命ある限り、櫻子と対等でありたいという願い、想い。そんな気持ちが心のどこかにあった。
そしてそれはきっと、櫻子も同じだと、私はそう信じている。
なぜなら櫻子は、私が唯一認めた好敵手なのだから――。


「わ、私だって…! 幼稚園の頃から…、それこそ櫻子と出会った日からずっとあなたの事想ってきましたわ! 最初に好きになったのは私ですわよ!」
「ちがうもん! 絶対私の方が先だし! 私なんて一目惚れだよ?!」
「私だって一目惚れですわよ! 人目見た瞬間に恋の花が咲き乱れましたわ!」
「私なんて、いつか向日葵のこと絶対に私の嫁にしてやるんだって、そう思ってたし!」
「それは聞き捨てなりませんわ?! 嫁になるのはあなたの方ですわよバカ櫻子! 私が夫で櫻子が嫁、これ以上ないくらいの絵面ですわ!」
「違うのっ!! 向日葵の方が嫁なのっ!! ウエディングドレス姿の向日葵とバージンロード歩くのが私の夢なんだから、こればっかりはぜったい引けないからね!!」
「私だって一切引くつもりありませんわ!!」
「ぐぬぬ…!」
「むぐぐ…!」


そうして睨み合いの硬直状態が一分ほど続き…、


「もういい! これ以上向日葵と話してても埒があかないよ!」
「同感ですわね、こうなったらどっちが嫁に相応しいか、他の人に聞きましょう」
「いいね、それ賛成、ぜったい向日葵の方が相応しいって言うよ」
「ふん! あとで吠え面かいても知りませんわよ」


ゴゴゴっと、その瞳にめらめらと炎を宿して一歩も譲らない私達。それから一斉に、後ろの席に目を向けた。
どちらが正しいのか、その答えを知るために。聞くべき相手は満場一致であの二人しかいない。
私と櫻子、共通の友人にしてクラスメイト。赤い髪の特徴的なお団子を二つも頭に乗っけた赤座あかりさんと、これまた特徴的なピンク色のもふもふヘアーの吉川ちなつさんが当たり前のようにそこにいた。


「ねぇあかりちゃん! どっちが嫁に相応しいと思う?! 絶対向日葵だよね?!」
「いいえ、それはおかしいですわ! 10対0で櫻子の方が相応しいですわよ! ねぇ、吉川さん?!」


さて一方、突然話を振られた赤座さんと吉川さんはと言えば…、なぜか苦笑いと無表情。
ちなみに苦笑気味なのは赤座さんで、無表情なのは吉川さん。おまけに赤座さんは視線を世話しなく泳がせながら何故か顔が真っ赤だったし、吉川さんにいたっては赤座さんとは対照的に、その身にどす黒い歪んだ暗黒のオーラを発しながら終始無言だった。


「あはは…、ふ、二人とも本当仲良しだねぇ。と、ところでそのぉ…、一応確認なんだけど…、こ、これって全部嘘ってことでいいんだよね…? え、エイプリルフールって言ってたもんね?」
「………」
「あ、あかり、耳おかしくなっちゃったのかなぁ。な、なんだか途中から嘘とか関係なくなってたような…、き、気のせいかなぁ…、気のせいだよね…? ち、ちなつちゃんはどう思う?」

「末永く爆ぜろ」



おしまい



【あとがき】
「お前らもう結婚しろ!」とか「だめだこいつら早くなんとかしないと…」
みたいな台詞はこの二人のためにあると言っても過言じゃないと思う今日この頃です。
最後まで読んでくださりありがとうございました!

[ 2011/09/03 01:20 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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