※山なしオチなし以下略な小ネタ。
※追記からどうぞ。
朝、目を覚さますと見慣れた天井が広がっていた。
清々しい朝の目覚め。チュンチュンという小鳥の囀りが耳に心地よい。
私は寝ぼけ眼で大きなあくびをしつつ、軽く伸びをして、筋肉の緊張を解す。
「…ん?」
そんな時だった。
ふと隣に気配を感じる。
それはもう圧倒的な存在感だった。
気になって視線を移す。
瞬間、思考が停止する。
――隣に、裸の唯先輩が眠っていた。
「え? ドユコト?」
たらり…と嫌な汗が頬を伝う。
動き出した思考をフル回転させ、現状の把握に尽力してみた。
「ど、どうして唯先輩が素っ裸で私のベッドに…?!」
なぜだか知らないが、裸の唯先輩が、ツヤツヤした顔で、幸せそうに眠っている。
「ごくっ…」
いけないとは知りつつも、どうしてもある部分に目が行ってしまう。
厳密に言えば、胸とかお尻とか、食べたら美味しそうなその場所に。
(…見えない…)
肝心な所は唯先輩の腕でちょうど影になっていた。
見えそうで見えない。
だがそれがいい。
それすなわち正義。
チラリズム万歳。
「ってそうじゃなくて!! そんな事よりどうして唯先輩が隣で寝てるかってことの方が先決でしょ!! ……し、しかも裸で……」
ゴクリと生唾を飲み込む。
視線は唯先輩の見えそうで見えない先端ポッチからは離れてくれなかった。
目を抉り取ってしまいたい、半ば本気でそう思う。
とりあえずこのままではいけないと考えを改め、ぶんぶんと頭を勢いよく振り、軽く深呼吸をして目を閉じる。
そしてすぐに開ける。
「…は、裸で寝てるってことは、もしかして…」
ま、まさか…知らないうちに一線を越えてしまったとか…?
唯先輩をこの手で…、この手で…、その若い蕾を…、ふおぉぉぉぉぉぉ!!!
頭を振りみだし雑念を払う。
邪念は得盛だった。
そもそもどうして唯先輩がいるのか考えてみる。
……が、何故か頭がズキズキして思い出せない。
まるで二日酔いにでもなったような…って二日酔い?
もしやお酒でも飲んだとか?
お酒の力を借りて、なし崩し的に唯先輩を頂いちゃったとか?
そういうこと?
「あれ? 昨日お酒なんて飲んだ記憶は…そもそも私未成年だし…あーもう!! ぜんぜん思い出せないし!!」
チラリ、と横目で唯先輩の裸体を拝んで心を落ち着け…って落ち着けるか!!
こうしていても私の目の保養になるだけで話が進まないと判断した私は、しぶしぶながら唯先輩を起こすことに決め、あまりその裸体を目に入れないように体を揺さぶった。
「唯先輩、唯先輩起きてください。朝ですよ」
「ん~…あと五分~…」
「もぅ! お、起きないとチューしちゃいますよ…?」
「んぁ?…ふわぁ~……んー…あずにゃ~ん、おはよー…」
「……どうして起きちゃうんですか」
少し残念に思いながら軽く溜息をつく。もしかして私とキスしたくないんですか?
唯先輩は目元を擦りながら、のそりと起き上がる。私は慌てて顔を逸らした。
まぁ、言わなくても分かって頂けるかと思うが、唯先輩は見事なまでの素っ裸。
私としても色々と我慢が利かなくなりそうだったのだ。
「ゆ、唯先輩っ…こ、これいったいどういう状況なんですか?」
「ほぇ? どういう状況って何が?」
「わ、私達素っ裸じゃないですか!」
「ん? あー、ホントだね」
今更気付いたように自分の体に目を移して納得する唯先輩。
「き、昨日の夜何があったんですか…?」
「何がって…あずにゃん覚えてないの?」
「え?」
「もぅ…あんなに熱い夜を過ごしたのにぃ、忘れるなんてひどいよあずにゃん」
「はぃぃぃ?! ど、どどどどゆことですか!?」
テンパっている私を他所に、唯先輩はうっとりとした表情で顔を逸らす。
頬を赤らめつつ、昨日を思い出すようにぽつりぽつりと語りだす。
「あずにゃんったら、私が嫌だって言っても聞いてくれなかったんだよ?『唯先輩の足腰立たなくなるまで徹底的に犯ってヤルデス!!』って、獣みたいに襲いかかってきて、そのまま激しく…」
「ごぶふぅぅッッ!?」
「おかげでまだ腰がヒリヒリするよ。あずにゃんって見掛けによらず絶倫なんだね。……私、もうあずにゃんなしじゃ生きられない体になっちゃったよ。……責任、とってくれる?」
「――」
赤らんだ頬。濡れた瞳。物欲しげに半開きの唇。そこから漏れる熱い吐息。
唯先輩は大人のオンナを思わせるような風貌で私を見つめて離さない。
私は今、人生の分岐点に立たされていた。
一つ、立ち向かう。
一つ、逃げる。
私に迷いはなかった。
→逃げる。
「あぁ…そっか、なるほど分かりましたよ。実はこれ、私の見ている夢ですね? でなきゃ唯先輩と一夜を共にしたり、にゃんにゃん的なお楽しみイベントなんて起こるはずないもん」
夢の中で私は、ただ一つのことだけを願う。
目を閉じて、次に目を開けたとき、別の風景が見えますように、と…。
「あれ?」
目を閉じて、開ける。その動作を何度も何度も繰り返す。
しかし、開けた瞬間に目に映るのはやはり生まれたままの唯先輩。
ためしに頬を抓ってみる。
こうなれば強攻手段。なりふりかまっていられない。
「痛い…」
「何してるのあずにゃん?」
痺れるような痛みが頬を刺すが、まるで目覚める気配がない。
あれ?おかしいな。目が覚めないよ。
そろそろ目覚めの時だよ。
起きないと遅刻だよ。
朝~朝だよ~♪ 朝ごはん食べて学校行くよー♪
って違うし!!
「あの…ちなみに聞きますけど、オチは?」
「え?ないよそんなの」
私は再び布団に潜り込む。
次に目覚めた時、全てが元通りであることを祈って二度寝を決め込むことにした。
おやすみなさい。
おしまい
【あとがき】
マジで何があった?! 私も知りたい!!
唯先輩とあずにゃんに何があったのか、それは皆さんの推理にお任せしますw
丸投げじゃないですよ!丸投げじゃないですよ!