とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『女王様ゲーム』

※追記からどうぞ。





「王様ゲームしよーぜ!!」


時は放課後。
部室という名の音楽室を占領してティータイムを嗜んでいた頃。
優雅で穏やかな午後のひとときは何の前触れもない部長様の一言で波乱を呼ぶ。


「最近思うんだけどさ…うちの部活、なんとか団とか娯楽部とかに改名した方がいいんじゃないか?」


溜息混じりに紅茶のカップを置いた澪先輩の言葉など当然部長殿の耳には入っていない。不憫です、澪先輩。そして律先輩、あなたはもう少し空気を呼んでください。


「いいねそれ!HTT団とかどうかな!放課後にお茶を嗜む団、略してHTT団!」
「唯先輩、あなたは少し黙ってください。唯先輩がしゃしゃり出るとろくなことにならないんですから」
「いやぁ~そんなに褒められるとテレりんこ♪ 最近あずにゃん、私のこと持ち上げすぎじゃない? もしかして私に狙ってほしいとか思ってる? いいの?狙っちゃうよ?あずにゃん私のモノにしちゃうよ?」
「ムギ先輩、大至急精神科の手配をしてください。唯先輩が末期です」


ムギ先輩は何故か私と唯先輩に向けて構えていたビデオカメラをそっとテーブルに置き、両肘をついて手を交差させポーズを作ると、キラリとまゆ毛と言う名の沢庵を輝かせた。


「かまわん、続けたたまへ」
「……どこの司令ですかあなたは……」


そしてとりあえず鼻血を拭いてください。いったい何を見て鼻血出したんですか。何もなかったはずなのに…。
はっ!! ま、まさかすでに妄想だけでイメージを形にできるようになったんじゃ…。
この人もだんだん人間離れしてきてるな…。


「あ~もうっ!この軽音部には良心と呼べる人が誰もいないんですかっ!」
「あ、あれ…梓? 梓の中じゃ私もすでに良心じゃないのか?」


残念ながら澪先輩の呟きは風に乗って虚空の彼方へと飛んで消えた。
簡単に言えば私の耳には届いていなかった、ということである。すみません澪先輩…。
それはさておき、私達のコントのようなやり取りなど右から左に聞き流していた律先輩は、


「よし!できたぞ!」


どこからともなく取り出した割り箸にペロリと舌を出しながら得意げになって何かを書いていた。
しばらくしてそれも終わり、テーブルの上に並べられた割り箸に全員の目が集中した。
本数は全部で5本。番号は1から4まで。残りの一本は「王様」と王冠マークつきで書かれている。
本数から察するに、どう考えても私達全員参加決定だ。たぶん拒否権を発動しようものなら、1秒却下が待っているだろう。


「はい先生!」
「何かな琴吹クゥゥン!」


キラッキラな沢庵まゆ毛を輝かせながら挙手したムギ先輩に、律先輩がノリノリで応対する。


「王様ゲームって何ですか?」
「なんだムギ? 王様ゲーム知らないのか?」
「うん。私ってこういうゲームとか遊びとか疎くって」
「なるほど。じゃあ王様ゲーム初心者のムギのためにここは説明タイムだ。それじゃあ澪、あとはよろしく頼む」
「…なんで私なんだよ…」
「なんでって、お前は私の助手だろ?」
「ぶはぁっ?!」


ムギ先輩何故か吐血。


「つ、つまりりっちゃんの乗る車の助手席はお前だけの特等席だよ、と? つまりそういう事なのね? あ…新手のプロポーズなのかしら?」
「…ムギ先輩、妄想も大概にしてください。あまりにも飛躍しすぎですよ」


そして飛び散った血はとりあえず拭いてください。


「はぁ…やれやれ、分かったよ。説明すればいいんだろ」


と、肩をすくめながら頭を振る澪先輩。



「王様ゲームっていうのは、簡単に言えば王様を引いた人が王様以外の人に命令できるっていう単純なゲームだ」
「王様以外って言うと、この1から4までの番号を引いた人のこと?」
「そう、たとえば王様を引いた人が『1番の人は一発芸』と命令すれば、当然1番を引いた人は一発芸をしなくちゃいけない。あ、でも名指しじゃいけないぞ、ちゃんと番号で言うんだ」
「ふむふむ、なるほど」
「あとは複数の番号を組み合わせることもできるぞ。『2番と4番が熱い抱擁』とかな。あとは『王様以外の全員が好きな人を言う』とか」


あ、あの…澪先輩? 今、自分が何を言ったのか分かっていますか?
ムギ先輩の前でそんな餌を撒いたらその結果がどうなるか…、


「まぁとにかくだ、王様の命令は絶対なのが王様ゲームの醍醐味ってわけ。分かったかムギ?」
「さぁゲームの時間よ! 皆の者、準備はよろしいかしら!」


フィーッシュ!!! 釣れたァァーーッッ!!!
つまりそれは水を得た魚のように生き生きとした琴吹紬の完成を意味する。


(…あぁ…ダメだこりゃ…)


私は思った通りの展開に頭を抱えて唸った。
ならば私は、ただ一つの願いを込めて天に祈る。

―――ずっとムギ先輩のターンになりませんように、と。



こうして何の脈略もなく始まった王様ゲーム。
さっそく第一回戦の開始だ。


「「「「「王様だぁ~れだ!」」」」」


律先輩の手に握られた5本の割り箸をそれぞれ引き、そぉ~っと割り箸の番号をチェックする。
さて、一発目の王様は誰だ? 私は……違う。私の番号は2番だった。
ニャンだから2番になったんじゃね?とか言う人はただのアホです。
その後も、私じゃない、私じゃないと、割り箸をチェックしていく一同。
しかしある時、ピッと天高らかに挙手したものがいた。


「私が王様です!!」


ふんすっ!と荒い鼻息をついてドヤ顔を見せたのは、何を隠そう唯先輩だった。
別に、隠してはいないけど。とりあえずムギ先輩にならなかっただけマシだった。
唯先輩は腕組みしながら命令を考えはじめ、大体1分くらい悩んだところで、


「それじゃーねー、1番が~」


1番か…私じゃありませんね。まぁいっか。


「王様とハグをする!」
「なッ!?」


は、ハグっ?! つ、つまり抱擁、抱きしめ合うってことですか?!
しかも王様とだなんて…つまり唯得以外のナニモノでもないじゃないですか。
しかもどうして1番なんですか!! そこは2番を宣言するところでしょ!!
そしたら私が唯先輩と熱い…ゲフンッフゲンッ!!
ちょ、ちょっとまて…私は何を言ってるんだ? 
もしかしてムギ先輩の百合フィールドにあてられたか?


「あらあら、私が1番よ、唯ちゃん」


しかも1番はムギ先輩とか…、まったく誰得ですか…、これはゆいあずssであってゆいむぎssじゃないんですよ? 空気読んでくださいよムギ先輩。


「お、おい梓…か、顔が怖いぞ…ど、どうした?」


律先輩が真っ青な顔で私に問う。その隣で澪先輩がガクブルしながら頭を抱えていた。


「別にどうもしませんが、何か? 律先輩視力落ちたんじゃないですか? すぐに眼科に行くことをお勧めします」
「そ、そうだな…行ったほうがいいかも…」


そうこうしているうちに、王様である唯先輩の目の前まで寄ったムギ先輩は、


「それじゃあいいですか、王様?」
「ふんすっ!くるしゅうない、思う存分ギュッとしてくれたまへ」


バッと両手を広げた唯先輩をそっと引き寄せたムギ先輩は、その豊満な双丘へと唯先輩の頭を誘った。“ふよん”とか“ぽよん”とでも擬音が聞こえてきそうなほどゆったりと沈みゆく母なる双丘。


「ふ、ふぉおおお!! な、なんてやわっこいんだっ!! 思わず食べてしまいそうです隊長!!」


当然その二つの肉まんに堪らず興奮する唯先輩。
そんな時、ムギ先輩が私を見てニヨニヨと気持ち悪い笑みを浮かべた。
己の武器を最大限に発揮して唯先輩を虜にしたことを自慢でもしたいのかそうでないのか、本当のところ分からないし、今の私には正直どうでもいいことだった。


「…………」


胸の底から湧き上がってくるドス黒い何かが私を覆いつくして、
ミシミシミシッ!!!という何かを締め潰すような鈍い音が私の手の中から響く。


「おおお、おいっ!梓っ!割り箸折れる!! 折れちゃうから!! それしか割り箸ないんだから絶対折るなよ?!」


律先輩の叫び声でハッとして我に帰った。私はいったい今まで何を?


「おっとすみません。手が滑りました」
「手が滑ったって…思いっきり握ってたじゃないか」
「まぁそれはいいですから、そろそろ離れたらどうですかムギ先輩?」
「うふふ、そうね。これ以上イジワルしたら不吉を届けられちゃいそうだもの」


意味不明なセリフを言い残し、ムギ先輩はパッと離れ、唯先輩を解放した。
胸の谷間に埋まっていたせいかちょっとばかり息苦しそうな唯先輩。しかしその顔はどこか至福に彩られていた。
ムカムカムカッッ!!!っと、そんな唯先輩を目にして私の頭に血が一気にのぼる。


「何ニヤニヤしてるんですか唯先輩っ!! そんなにムギ先輩のおっぱいが良かったんですか?! だったらいっそ今度からムギ先輩とイチャイチャスキンシップでもすればいいんですっ!! その代わり今後一切私へのスキンシップは禁止ですからねっ!!」
「え…えぇーーっ!? や、やだよぅ…あずにゃんとイチャイチャできないなんて…私死んじゃうよぅ…」
「そうよ!私も死んでしまうわ!」


グスッと涙ぐむ唯先輩に私の怒りもだいぶ和らいでいく。まったく、そんな嬉しいこと言われたら許すしかないじゃないですか。
とりあえず私はムギ先輩の戯言は無視して唯先輩から目を離し、プイっとそっぽを向き怒っていますって顔を見せ付けながら、


「だ、だったら…今度からは私のおっぱいで…が、我慢してください…。ち、ちっちゃいですけど、唯先輩だけのと、特別ですから…」
「えぇ!? ほ、ほほほ本当に?! そんなこと言ったら私、あずにゃんのおっぱいスリスリしちゃうよ?! あまつさえぱふぱふしちゃうよ?! 挙句の果てにちゅっちゅっしちゃうよ?! いいのいいの?!」
「ちゅっ!?…そ、そのっ…ちゅっちゅっはダメです!!……は、恥ずかしいです」


ふんすっふんすっと鼻息を荒くして興奮気味の唯先輩をなだめるには一苦労したが、何とかスリスリとぱふぱふだけで手を打ってもらうことに成功した。
そしてそんな様子を他人事のように見守っていたムギ先輩、澪先輩、律先輩はと言えば…、


「キマシタワー!!」
「スリスリとぱふぱふはいいのか…」
「ていうか梓の大きさじゃぱふぱふは物理的に不可能じゃね?」


とりあえず暴言を吐いた律先輩だけは後でたっぷりとお灸を据えることをここに誓った。




「じゃあ気を取り直して第2回戦、行くぞー」


律先輩の宣言に「おー!!」という掛け声。それぞれ割り箸を引いていった。
番号のチェックに入り、王様じゃないと分かった途端、残念そうに頭を横に振る番号組。
かくいう私も王様ではなかった。番号はまたもや2番。
何これ?私もしかして2番に呪われてるの?


「ふふ…ふふふ…」


そんな時だった。
笑いを押し殺したような声を上げながら俯いていたムギ先輩が、スゥーッと取り出した割り箸を私達に見せつけるようにテーブルに置いた。
そこに書かれていた文字に一同息を飲んだ。


「私が、王様みたい…くふっ…」


王様――。
そこには見間違うはずもない天下の役職が王冠つきでデカデカと書かれていた。
つまり、今度の王様は…、この…、


「さぁ、みなさんお待ちかねのこの私、琴吹紬が今回の王様を務めさせていただきます! みんな覚悟はいいかしら?」


ムギ先輩、ということになったわけだ…。そして勿論、ムギ先輩が王様になることなど誰も待ってはいない。むしろ断固拒否だ。
唯先輩はどうか分からないが、私を含め、律先輩や澪先輩は高確率で私側の人間だと思う。


(…ムギ先輩が王様なんて、百害あって一理なしだもん…)


一番危惧していた人物が王様になってしまうとは…。
しかも覚悟って…いったいどんな命令をするつもりなんだこの人は…?


「それじゃあねぇ~、ん~…2番と」


な、2番って私じゃないですか!
しかも今、ムギ先輩私の事チラっと見たような…? 気のせい?


「4番が…」


4番、と言うコールに唯先輩の体が一瞬ビクンと震えた。なんて分かりやすい人だ。
これじゃ唯先輩が4番と宣言したようなもの。私だって気付いたのだからムギ先輩が気付かないはずはなかった。
ムギ先輩は唯先輩の番号が4番であると悟ったのか、唇の端を歪ませながら邪悪な笑みを浮かべると、


「ううん、違うわね。ここは2番が4番に、キス。これにしましょう」
「なッ!? き、キスってあのキスですか?!」


そう声を荒げて聞き返すとムギ先輩は躊躇いもなく首を縦に振った。


「そうよ。キス。マウストゥマウス。接吻。ベーゼ。どれでも好きな呼び方を選んでね。それで2番と4番は誰かしら?」
「に、2番は私です…」


差し出した私の割り箸の番号はまごうことなき2番。


「よ、4番は私だよ…」


私に続くように割り箸をそっと差し出す唯先輩の番号はやはり4番だった。
そしてここに来てようやくこの不自然な組み合わせに疑問を持つ私。
どう考えたってこれはムギ得といわざるを得ない組み合わせなのだから。


「狙いましたねムギ先輩? 唯先輩の番号に気付いたのはまぁよしとしましょう。私も気付きましたし」
「えぇ!?」


驚愕の事実と言わんばかりに声をあげる唯先輩。本当、自分の事になると無頓着ですね。


「でも実は私の番号も知ってたんじゃないですか? 2番って言ったとき一瞬私の事チラって見ましたよね?」
「なんの事かしら?」


言葉の意味が分からないといった感じで白を切るをムギ先輩だったが、ここで負ければムギ先輩の思うつぼだ。ここは攻めて攻めて攻めまくるが吉!!


「イカサマですよね? イカサマなんでしょ? 白状してくださいよ。今ここで白状すれば許してあげますから」
「あらあらまぁ、それは心外だわ梓ちゃん。確かに4番が唯ちゃんなのは気付いたけれど、梓ちゃんのはまったくの偶然よ? そもそも割り箸を握っていたのはりっちゃんだもの。イカサマなんて仕掛けようがないわ」


「ね?りっちゃん?」と律先輩に目配せすると、律先輩は「うむ!」と自信満々な表情で頷いた。


「ぅ…そ、そんな…」
「たんに、何となぁ~く、梓ちゃんが2番なんじゃないかなーって、そう思っただけ。それに梓ちゃんだって、自分の番号を人に読み取られるようなヘマはしないでしょ?」


それを言われると痛かった。


「わ、分かりました。イカサマはしてないってことは何となく。でもダメですよ、たかがゲームでキスなんて!」
「あら? 澪ちゃんの説明聞いてなかったの? 王様の命令には“絶対”と言っていたはずだけど…違うのかしら?」


ムギ先輩の眼光に澪先輩がカチーンと固まる。完全に金縛り状態だった。


「ねぇ澪ちゃん。確かそうだったわよね?」
「ハイ。ソウデス」
「どうしてカタコトなんですか! 洗脳されてどうするんですか澪先輩!」
「センノウナンテサレテナイヨ」


どう見ても洗脳されてますよ!! 目に光がありませんもん。完全にレ○プ目ですよ!!


「ムギ先輩が言わせましたよね今?! とにかくキスなんてダメですっ! ゲームでなんて不謹慎です!」
「もう…梓ちゃんったら…仕方ない子ね…、それじゃあホッペにキスならどうかしら? それなら納得してくれる?」
「え?……うーん…ホッペですか…。まぁホッペくらいなら…まぁ…。唯先輩もそれでいいですか?」
「え?う、うんいいよ!……べ、別に唇でもいいんだけど」
「何かいいました? 唯先輩?」
「ううん! なんでも!」


最後の方、何かボソボソ呟いていたような気がしたが、気のせいだと思うことにした。
気にしたら負けかなと思うから。
そうしてムギ先輩はニコニコとした顔を絶やさぬままポンッと両手を叩いて、


「それでは2番梓ちゃんから4番唯ちゃんのホッペに熱いチューをお願いします!」
「分かりましたからそんなに急かさないでください…。こっちにも心の準備ってものがあるんですから」
「あ、あずにゃん…」


唯先輩は頬を赤く染めながらそわそわしていた。
そのもじもじとした乙女な仕草がまた可愛くて愛らしくて。
なけなしの理性が一瞬で飛びそうになったがなんとか持ち堪えることに成功した。


「あ、あの…私はジッとしてればいいの?」
「はい、後は全部私がやります。任せてください!」
「……なんだかんだ言ってもやる気満々なのね梓ちゃん……」


ムギ先輩は呆れ顔で溜息をついた。


「う、うるさいです!黙るです!」


唯先輩を正面に見据えて、そっと肩を抱く。


「ぁ…」


ちょっぴり甘い声を漏らしながら、徐々に瞳を濡らしていく唯先輩。
そんな色っぽい唯先輩に内心ドキドキしながら顔を近づけていく私。
狙うは唯先輩の頬。
マシュマロのようにぷにぷにで甘い味のするであろう桃源郷。
そっと、そぉ~っと唇を寄せていく。


「…ハァハァ…ゴキュっ!」
「…梓ちゃん、鼻息が荒いわ…興奮してるの?」


そこ黙るです!私だって一杯一杯なんですから少しくらい大目に見てください!
だ、だって唯先輩の愛らしい顔がもう10センチも満たない至近距離にあるんですよ?
いつものスキンシップでだってこんな距離感ほとんど体験したことないのに。
ああ…イケナイとは知りつつもその瑞々しい唇に目が行ってしまう…。
ぷっくりとしたプリンのようなその唇に吸い付いたらどんなに気持ちいいんだろう…。


(…うぅ…ちょっと後悔…)


いまさら唇が良かったです、なんて言えるはずもないし言うつもりもない。
そんなの私のキャラじゃないし、ここはホッペで我慢するしかないか…。


「い、いきますよ…唯先輩…」
「う、うん…」


唯先輩の甘い香りが鼻腔をかすめた。
そろそろゴールに差し掛かる。唯先輩の頬は目と鼻の先だった。 
逸る気持ちを抑えながらゆっくりと唇を寄せていき、唯先輩の頬に私の唇が触れるか触れないかのその時。
アクシデントは何の前触れもなく訪れる。


「あっ、唯ちゃん!」
「え――んぐっ!?」
「ふぐ?!」


突如として鼓膜をついたムギ先輩の声に反応した唯先輩が顔を動かしたため、私の唇と唯先輩のそれが重なってしまったのだ。
ホッペなんかとは比べ物にならないほどの感触が唇を通して伝わる。
思考が完全停止した。ただ本能ではずっとその唇に触れていたいと思っていたのかもしれない。
温かくて、ふにゅっとしてて、それにとっても甘い。極上のプリンがそこにはあった。
しばらくその感触に身を委ねていたのだが、時間が経てばだいぶ思考がはっきりしてくるもので、


「「ッ!?」」


まったくの同時にパッと離れる私と唯先輩。
唯先輩の顔はリンゴみたいに真っ赤になりながら私を見つめていた。
たぶん、私も今は唯先輩みたいに真っ赤になってるんだろうなって、顔の火照り具合から何となく察していた。
お互い言葉もなく俯く。事故とは言え、正真正銘のキスをしてしまったのだ。何の弁解のしようもない。
そしてこんな状況を作り出した張本人はと言えばニヤニヤを通り越した変態染みた笑みを浮かべながら、


「あらまぁ大変だわ~。でもこれは事故だからノーカウントかしら? でも二人とも満更でもなさそうだし…このまま付き合っちゃったら? うふふ♪」
「むっ、むっ、ムギ先輩ィィィーーッ!! はっ…ハメましたね!!! 卑怯ですよ!!!」
「あら? なんの事か分からないわぁ~」
「ならなんでさっき唯先輩のこと呼んだんですか! あとちょっとでホッペにキスって時に!!」
「………」


何も言わずにフイっと顔を逸らしたムギ先輩。


「やっぱり狙ってたんですね? そうなんですね?」
「ねぇ梓ちゃん、あなたは唯ちゃんとキスしてどう感じた?」
「そりゃもちろん気持ちよかったに決まってます! 何当たり前のこと聞いてるんですか!」
「あ、あずにゃん…」


ポっと頬を染めてもじもじしている唯先輩はそりゃもう可愛くて――って、そうじゃないです!!


「話を逸らさないでくださいムギ先輩!」
「唯ちゃんの唇の感触はどうだった?」
「そりゃもちもちしててぷるんぷるんで――って何言わせるんですか!」
「味は?」
「よくレモンの味とか言いますけど、あれ間違いですね。唯先輩の唇は『唯先輩の味』がしましたよ。なんていうか、すごく興奮する味でした――ってどこまで私をおちょくれば気が済むんですかあなたは!!」
「うふふふ♪」


今日の事で改めて分かったことがある。
ムギ先輩にこの手のゲームは絶対に教えてはいけないってことだ。
そう、絶対に――。


「で、肝心の唯ちゃんは梓ちゃんのことどう思ってるの?」
「え? そ、それは…その…好き、だよ…」
「それはラブの意味で?」
「う、うん…好きです」
「ゆ、唯先輩…」
「あ、あずにゃん…」


ぜ、前言撤回しとこうかな…。
王様ゲーム改め、ムギ先輩の独断と偏見で展開する女王様ゲームというのも、
これはまた刺激があってたまにやる分にには悪くないかもしれない。


「さぁー、第3回戦逝ってみよぉ~!」




おしまい




【あとがき】
王様ゲームなんて使い古しのネタだけど何となくやってみた。
やはりこの手のゲームではムギ師匠の天武の才が発動するのかほぼ無敵ですw
きっとこのあとも口には出せないようなことを命令されちゃうんですよ、うふふw

[ 2011/08/17 21:47 ] 未分類 | TB(0) | CM(3)
最後の方からは2828が止まらない作品だねぇw

今回の見どころは攻めニャンってところもあるけど・・・・・やっぱ、一番はお嬢様かなw
とりま。乙
[ 2011/08/18 02:50 ] [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2011/08/19 00:28 ] [ 編集 ]
現世に降臨なされた生ける百合神ことムギ師匠の手に掛かっては割り箸の番号を知る事など児戯に等しいのです!いえ、呼吸よりも簡単なこと。
このまま部活が終わるまでずっとムギ師匠のターンで御願い致します。
そして、唯梓も律澪も百合神様の御手の上で転がされつつイチャイチャベタベタキャッキャウフフをしていれば良いんです。
だってそれが軽音部のもう一つの姿なんですから(ぇ
[ 2011/08/22 10:28 ] [ 編集 ]
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