とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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魔法少女まどか☆マギカSS ほむら×まどか 『慟哭の雨』

※拍手SS23
※追記からどうぞ。




あの日――。
私は震える指先で銃の引き金を引いた。


『…私っ…魔女にはなりたくない…っ!』


彼女の最後の望みを叶えるために。
彼女の心を救うために。
私は彼女を「殺す」


「…り…がと」


それが彼女の最後の言葉だった。
微かに聞こえた感謝の言葉は無常にも虚空へと消え去って。
でも確かに私の鼓膜を震わせた。

彼女の小さな手が微かに震えた。
それが彼女の最後だった。
彼女はそれっきり動かなくなった。
そして理解した。彼女はもう二度と動かないことを。
それは人間としての――いや魔法少女としての最後。
つまり「死」を意味する。

自然と涙が溢れた。


「ぅ…あぁ…ぁぁあ…っ!」


心の底から湧き上がる悲しみは嗚咽となって吐き出される。
頭の中はグチャグチャで何も考えられない。


「…う、して…どうして…っ!!」


彼女はこんな結末を迎えるために「魔法少女」になったわけじゃないのに。
夢や希望の象徴たる「魔法少女」に憧れた一人の少女は、今日をもってその短い人生に幕を閉じた。
あとに残されたのは私と、私に砕かれたソウルジェムの残骸と、彼女――鹿目まどかの亡骸だけ。
私は彼女の亡骸を抱き抱えて、そっと顔を寄せる。
頬を伝って流れた涙が彼女の顔を濡らして止まなかった。


「鹿目さん……まどか…」


笑いかけて欲しかった。
もう一度その愛らしい笑顔で。
名前を呼んで欲しかった。
その優しい声で何度でも。


「…ん…」


それは最後のキス。
唇を寄せて物言わぬまどかの唇へと口づける。
私の涙で濡れた唇は少しだけしょっぱくて。冷たくて。でもとても柔らかい。
「ありがとう」と「ごめんなさい」と「大好き」を込めて。
私は彼女に最後の贈り物をした。


「…まどか…好き…大好きっ!」


まどかを守りたい。
まどかに守られる私じゃなくて、まどかを守れる私になりたい。
いつでもどこでも駆けつけて彼女の助けになりたい。
そのためなら何を犠牲にしたって厭わない。

たとえ何度繰り返すことになっても――。
彼女を――。



 **



ふいにポツリと頬を濡らした何かに目を開けると自分の意識が飛んでいたことに気付いた。
連日連夜の魔女狩りにさすがに体が悲鳴をあげているのか、私の意志に反して眠気はあとからあとからやってくる。
たぶん、それもついには限界を迎えてしまった、ということだろう。
しかしだからと言って休んでいられないのもまた事実で、
この道を選んだ時からこうなることは半ば覚悟の上だった。


「………懐かしい夢を見たわね………」


愛しいあの子の名前をそっと呼びながら、私は空を見上げた。
見上げた空はどんよりとした雨雲が日の光を覆い隠し、
そこからポツリポツリと雨が、そして私の頬を濡らしていた。

とあるビルの屋上、給水塔の上に私はいた。
いつ魔女が現れてもいいように。いついかなる時でも対応できるように。
しかしどうやらその際に眠りに落ちてしまったようだ。
やはり仮眠くらいは取っておくべきだったか。


(……でもおかげで……)


久しく見なくなったあの頃――あの「時間軸」の夢を確かに見たような気がした。
私がまだ「変わる」前の、病弱で引っ込み思案で人見知りが激しくて、何もできない弱かった頃の私の――。
あの頃はまだメガネをしていて、髪も下ろしてはいなくて、三つ編みにしていたのを思い出す。
もはや思い出の中にしか生きていない昔の自分に少しばかりおかしくなった。


「…ふっ…」


微かな笑みを漏らす。
もう戻れない自分。戻るつもりのない過去。
捨て去った自分は未だに私の心の中に息づいているがそれも時間の問題だろうと思う。
「繰り返す」うちに徐々に薄れていく過去の自分。
別にどうでもいいと思う反面、それに恐怖している自分もいた。
昔の自分を振り切ったとき、あの時決意した想いすら忘れてしまうんじゃないかって。
それが恐かったのだ。

今はまだいいが、それでもこの先どうなるかなんて誰にも分からないのだから。
魔法少女になって、まどかを守ると決意して、でも何度繰り返してもうまくいかなくて。
それでも諦めきれずにまた繰り返して。
あの子のために。
あの子と交わした約束を果たすために。


――それだけのために私は――。


小雨だったはずの雨はすっかり雨脚を強め、今では私の体中を濡らしていた。
でもその場から動こうとは微塵も思わなかった。逆にその雨が気持ちいいとすら思った。
両手を広げて雨をその身に受ける。
迷いも、荒んだ心も、涙さえも洗い流してくれる慟哭の雨。
私にとっては恵みの雨なのかもしれない。


「あの日も…こんな冷たい雨が降っていたわね…」


雨に打たれながら、昔の――思い出の中の数少ない幸せだった頃の時に思いを馳せる。
それは今でもはっきりと思い出に残る元の「時間軸」の記憶。
私とあの子の二人だけの大切な思い出――。



それは始まりの時間軸――。
病気の療養で休学していた私は、転校初日に運命の人に出会った。
右も左も分からない私に親切にしてくれたその少女――鹿目まどか。
彼女が私にとってかけがえのない存在になるのはそう時間はかからなかった。


「雨、止まないですね…」
「そうだね…ぜんぜん止まないや…。天気予報で雨が降るなんて言ってなかったのに…」


それはとある日の放課後。
午後から降り出した雨は放課後になった今も止む気配なく、逆に雨脚は徐々に強くなっていく一方だった。
雨宿りを初めて30分ほど経ったころ、私と鹿目さんは校舎の玄関から空を見上げ二人揃って溜息をつく。
一歩外に出れば濡れねずみは確定。
しかも降るはずのなかった雨を前に傘など持ってきているはずもない。
このまま雨が止むのを待っていたら日が暮れるどころか日が変わってしまいそう。


「ど、どうしよう鹿目さん…」
「……」
「鹿目さん?」


返事がないのでもう一度呼びかけると、何故かムスッとした鹿目さんの横顔が目に映った。


「まどかでいいって言った」
「え?え?」


言っている意味が分からなくて疑問符が頭の上を飛ぶ。


「ほむらちゃんには『まどか』って呼んでほしいなって、ずっと前から言ってるんだけどなぁ」
「あ、あぅ…」


どうやら苗字ではなく名前で呼んでくれないことに機嫌を損ねているようだ。
彼女と出会ってひと月余り、確かに再三にわたって名前呼びを要求されているのにもかかわらず私は頑なに苗字で呼び続けていた。
できれば私も「まどか」って名前で呼んでみたいけれど、今まで他人を名前呼びしたことのない私にとってかなりハードルが高い。
それと言うのも、私は今までずっと心臓の病気で療養生活を送ってきたのだ。
人付き合いだって過去にそれほどあったわけじゃないし、
人前に立つだけでも持ち前の引っ込み思案が災いして会話にすらならないということが度々続いているのが現状だった。
人見知りが激しいのも考え物だ。
それでもこんなに沢山話せるようになった人は後にも先にも鹿目さんだけ。
私にとって鹿目さんは特別な人だった。


「友達には名前で呼んでほしいなって。特にほむらちゃんには…ね」


ドキンと胸が躍る。顔に熱が集まり火照っていくのを止められない。


(そ、そっか…友達でいいんだ…私達…)


生まれて初めて出来た友達に喜ぶ暇もなく、
赤いリボンで束ねられたピンク色のツインテールを揺らしながら鹿目さんの瞳が私を射抜く。
見つめ合う視線に熱がこもっていくのを確かに感じて思わず目線を逸らしてしまう。
鹿目さんの瞳、とっても熱かった。それに、どこか顔が赤かったような…?
私の気のせい…?


「ご、ごめんなさいっ…あ、あの…もうしばらく待ってくれると嬉しいです…まだちょっと心の準備というか…そのっ…」
「ううん、こっちこそごめんね。急かしちゃって。ほむらちゃんのこと困らせるつもりなんてないんだよ」
「鹿目さん…」
「ゆっくりでいいから。いつか呼んでくれると嬉しいな」
「は、はいっ…か、必ず…」
「うん!」


鹿目さんの笑顔に花が咲いた瞬間、また私の心臓がドキンと跳ねる。
思わず見惚れてしまった笑顔に釘付けになって顔を逸らすことができないでいた。
やっぱり私どこかおかしいのかも。
友達に“こんな”感情を抱いてしまうなんて。


「ほむらちゃん!」
「え? あっ…!」


見惚れていたのも束の間、突然私の手を引いて走り出す鹿目さん。
雨の中へと躍り出た私達は、案の定濡れねずみとなってアスファルトを駆けていく。


「あ、あのっ…鹿目さん…!?」
「ここで待ってても雨止みそうにないしね! 私の家ここから近いからそこまで頑張ろ! さぁ走って走って!」
「えぇ! ちょっ…あのっ…か、かなめさ~ん…!」


雨も滴るなんとやら。
私は鹿目さんの行動力に驚かされながらも、その手を振り払うことはしなかった。
そして、冷たい雨に打たれながら有無を言わさず彼女の自宅へと案内された。



鹿目家――。


「今お風呂の用意してくるから待っててね。あっ、その前にタオルで身体拭かないとね。待ってて、今タオル持ってくるから」
「あ、あのっ…」
「うん? なぁに?」


自室に案内され、タオルを取りに部屋を出ていこうとする鹿目さんを慌てて呼び止める。
振り向いた彼女はただ頭に疑問符を浮かべながら一直線に私の顔を捉えた。


「あ、えーと…その…迷惑じゃないですか? 急に上り込んだりして…。家の人にも迷惑になるんじゃ…」
「そんな事気にしてたの? ふふ、大丈夫だよ、ほむらちゃんなら大歓迎だから! それに今はその、家に誰もいないから…だから大丈夫」
「っ…!」


そんな風に言われて期待しないわけがなかった。
心臓がドキドキと高鳴り、確かな熱が頬を赤く染める。
誤魔化しようのない感情の放流を胸の奥底から感じた。
この気持ちは、いったいなんなんだろう。
友達としてのそれなのか、それとも別の――?


「ほむらちゃん、髪拭いてあげるね」
「え? あっ…」


いつの間にか手にしていたタオルを私の頭にポフっと乗せて優しく拭いていく鹿目さん。
不幸中の幸いは、タオルが影になって赤い顔を鹿目さんに見られなかったことだろう。


「ほむらちゃんの髪、黒くて長くてとっても綺麗だよね」
「そ、そうですか…? そんな風に言われたの初めてです…」
「そうなの? じゃあ私がほむらちゃんの初めての人だね」
「はぅっ…!」


誤解を招きそうな言い方だった。
天然なのか、それとも狙って言っているのか定かではないけれど、
もしこれが狙ってのことだとしたら鹿目さんは中々のやり手なのかもしれない。
さすがに本人に向かって「狙ってるんですか?」なんて聞けないので押し黙ることしかできない。


「………」


ふいに鹿目さんの手が止まった。
不思議に思って顔を上げると、鹿目さんの顔がすぐそばまで迫っていることに気づいた。
近い。とても。唇が触れ合ってしまいそうなほどに。


「ぁ…か、鹿目さ…っ」
「ほむら、ちゃん…」


濡れた瞳は切ないほど熱くて、どこまでも澄んでいた。
そんな瞳で見つめられた私は金縛りにあったみたいに微動だに出来ない。
熱に浮かされた瞳が徐々に近づきそっと閉じられ、
そして私も、そうする事が自然のように思えてそっと瞳を閉じる。
鹿目さんの熱い吐息が唇にかかると、途端に心臓の鼓動が増していく。


「…ふっ…」
「…んっ…」


自然と重なる唇。雨に濡れた私達の唇は確かな湿り気を帯びていた。
熱湯をかけたみたいに茹った唇。今まで感じたどの感触よりも柔らかくて、そして甘く切ない。
どちらからともなくそっと唇を離すと、最初に目に映ったのは真っ赤な顔で瞳を潤ませた鹿目さんだった。


「鹿目さん…顔真っ赤ですよ…」
「ほむらちゃんこそ…」


やはりというか何というか。
確かな熱を感じる私の顔は鹿目さんの言うとおり赤く染まっているのだろう。
でも今は、それを恥ずかしいことだとは微塵も思わなかった。


「どうしてこんなことしたのか、聞いてもいいですか?」
「……言わなきゃわかんない?」
「うん」


ごめんなさい。私、嘘つきました。
鹿目さんがこんな事をした理由。
そして私が鹿目さんに抱いていた感情。
今のキスでぜんぶ理解した。
私も、鹿目さんも、お互いに恋焦がれていたんだ。


「ほむらちゃんって、意外とイジワルなんだね」
「まどかほどじゃないよ」
「……やっぱりイジワルだよ。こんな時に名前で呼ぶなんて」
「嫌だった?」
「嫌なわけないよ」


まどかは優しく包み込むように私の身体を抱きしめて、そっと押し倒していく。
抵抗はしない。する必要なんてない。それはきっと私自身も望んでいることだから。


「私、ほむらちゃんの初めての人になりたいな」


それは私とまどかが初めて結ばれた日。
心も体も一つに溶け合って、消えない楔を刻み込んだ日の記憶――。



 **



「やぁ、こんな雨の中で偶然だね暁美ほむら。もしかしてお邪魔だったかい?」
「……相変わらず神出鬼没ね…あなた…」


思い出に浸る私を現実に引き戻した声の主は忘れようにも忘れられない相手だった。
声のした方に足を向けると、そこには当たり前のように鎮座する白い四足歩行動物。


「キュゥべえ…」


名をキュゥべえ――。
一見人畜無害のぬいぐるみにしか見えないそいつの正体は、
インキュベーターと呼ばれる地球外生命体の末端であり、
願いを一つ叶える代わりに「魔法少女」の契約を少女に負わせる存在でもある。
つまりこの呪われた運命の諸悪の根源だ。


「やれやれ、神出鬼没ということならキミには負けるよ暁美ほむら。『時間操作』の能力を有するキミの方が僕よりよっぽど神出鬼没に向いてると思うけど、どうだい?」
「何の用かしら」


表情にまったく変化のないその顔を睨みつけながら要件を聞く。
こいつが何の意味も無しに魔法少女の前に現れるなんてあり得るはずがない。


「聞く耳持たずか…まぁいいけどね」
「……で?」
「ワルプルギスの夜」
「っ!?」


その名を聞いてビクリと反応する私の身体。
キュゥべえに悟られないように指先の震えを必死に隠しながら平静を装う。


「それが、何?」
「もうじきワルプルギスの夜がこの町にやって来る」
「知っているわ」
「さすが『時間遡行者』暁美ほむら。それで、どうするつもりだい?」
「どうする、とは?」
「巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子が死んだ今、戦える魔法少女は暁美ほむら、キミだけだ。それがどう言う意味を持つか、分からないキミじゃないだろう?」
「……」


言い返すことはできなかった。
『ワルプルギスの夜』は単独の魔法少女では対処する事ができない超弩級の大型魔女。
私も数多の時間軸で幾度となく戦いを挑んだがまったく太刀打ちできなかった相手だ。
だからこそ佐倉杏子とは一時的な協定を結んでいたのに…。


「佐倉杏子の死はキミにとって結構堪えたんじゃないかい?」
「……」


佐倉杏子と『ワルプルギスの夜』の対策と準備を進めていたのは数日前までのこと。
しかしその佐倉杏子は先日、魔女化した美樹さやかと共に自爆し、死んだばかりだった。
計画は水の泡と消え、後に残されたのは私一人で『ワルプルギスの夜』に立ち向かわなければならないという事実だけ。


「別に」


精一杯の抵抗の言葉だった。


「そうかい? この際、鹿目まどかに魔法少女になってもらって一緒に対処したらどうだい?」
「本気で言っているの?」
「もちろん本気だよ」
「ふざけないで…っ!」


私は左腕に装備した円形の盾、その異空間から素早く銃を取り出した。
愛銃のデザートイーグル。これまで何度も死線を越えてきた大事な相棒を片手に、
瞬き一つしない赤い眼を向けるキュゥべえの眉間にその銃口を突き付けた。
だと言うのにキュゥべえには何ら変化はない。
それどころかその銃口に向かってトコトコと近づいてくる。


「そう言うと思ったよ。キミは鹿目まどかを魔法少女にはしたくない。そして僕はまどかを魔法少女にしたい。相互の利害が一致していない時点で争いは免れないよね」
「だったら初めから言わないで」
「だってキミひとりじゃ結果は目に見えているからね。一応の妥協案だよ。それともキミは無駄な戦いをして死ぬつもりかい?」
「私は死なないわ」


まどかを守りきるまで、永遠に――。


「時間遡行者らしいセリフだね。そうしてまた繰り返すつもりかい。自分の望む未来を手に入れるまで?」
「…そうよ」
「いまだに時間の中を彷徨っているキミにできるとは到底思えないけどね」


トリガーを引く指に力が籠った。


「言いたいことはそれだけかしら?」
「やれやれ…キミも本当に懲りないね。ここで僕を消したとしても意味がないことくらい、数多の時間軸を経験しているキミなら分かっているはずだけど?」
「人間は無駄と分かっていてもやらなきゃいけない時があるのよ」
「僕にはまったく理解できないけどね。まぁせいぜい頑張るといいよ、一人でね」


皮肉めいたその言葉を最後に、私はその無表情の眉間に銃弾を撃ち込んだ。


『…キュゥべえに騙される前の…バカな私を…助けてあげてくれないかな…っ』


あの日、まどかと交わした約束と、


「まどかを魔女にはさせない、絶対に…」


雨に消えたその言葉を胸に抱きながら私は今日も引き金を引く。


まどかは私が守り続ける。
たとえこの身が滅びようとも。

焔の名のもとに――。
その身が燃え尽きて灰燼と化すその日まで――。



END

[ 2011/08/09 20:35 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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