とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『鬼ごっこ』

※追記からどうぞ。



今日も今日とて私達軽音部はティータイムに――と、いつもならそうなっている所だが、今日は珍しく部室からは楽器の音が絶えず響いていた。それはつまり本業である軽音の方に精を出しているということ。
その理由は単純に。澪ちゃん作詞、ムギちゃん作曲の新曲が完成したからだ。曲自体が完成したからと言ってそれは真の完成とは言い難い。曲は演奏されて初めて完成を見るのだ。そういうわけでまだ未完成の曲を早く演奏したいという気持ちが全員の心を一つにした。今日に限ってはティータイムをしている場合じゃなく、逆にいつも以上に演奏に力が入ってしまうのは仕方がない。


「ふんふふぅ~ん♪」


パート別に練習を始めることしばし、私は新曲の1フレーズを鼻歌混じりに軽やかなストロークで弦を弾いていた。しかしある時を境に一番細い弦が『ギャンッ!』という鈍い音を立てて切れてしまったのだ。突然のことに「え?え?」と一瞬何が起こったのか分からなくてただ呆然と立ち尽くす。
そして何が起こったか理解したころには私の足は自然とある人物の元へと向っていた。


「あずにゃぁ~~ん! ギー太の弦が切れちゃったよぉ、助けてぇ~」


とまぁこんな感じで。こう言ったアクシデントに見舞われたときは決まってあずにゃん先生にヘルプをお願いするのが私のスタイル。そして今日もさっそくあずにゃんに泣きつく私だった。
あずにゃんは「またか」みたいな呆れ顔でやれやれと首を振った。


「もう、弦くらい唯先輩でも一人で交換できるでしょ? いい加減自分でやってください」


大きな溜息と一緒に告げられたセリフは案の定。拒否の姿勢で応対するあずにゃん。しかしここまでは半ば予想通りの反応。あずにゃんを相手にする場合ここで諦めてしまわないことが重要なのだ。


「そんなこと言わずにお願いあずにゃん。次からは自分でやるから」
「ダメです! そう言ってこの前もその前も私がやったじゃないですか!」


あずにゃんは基本、素直にうんとは言わない。つまりそれこそがあずにゃんスタイル。あずにゃんのあずにゃんたらしめる所以なのだ。それが私に対してだけなのが少々気になるが、気にしていても始まらないので今はあずにゃんを抱き込むことだけ考えよう。
押してダメなら引いてみろ。引いてダメなら更に押せ。頑張れ私!!


「ぶぅー、だって自分でやると時間掛かっちゃうんだもん。弦換えるだけで日が沈んじゃうよ。ね? お願いあずにゃん?」


私は潤んだ瞳であずにゃんの瞳をズキューンと射抜いた。この時上目遣いでやればさらに効果は高い。今まで何度もお願いを聞いてもらった私が言うんだから間違いありません。ふんすっ!


「ぅ…もう…ホント仕方ない人ですね。今回だけですよ?」


子犬のようなつぶらな瞳は思いのほか効果があったようであずにゃんついに陥落。
今回だけとは謳っているが、その『今回』が今まで何度続いたことか。あずにゃんは何だかんだ言いながらもいつも私を助けてくれる。そんなあずにゃんだからこそ私も甘えずにはいられないわけでして。


「うん! ありがとあずにゃん!」


いつもありがとうの意味も込めて、最後に「だぁ~い好き!」も付け加えておくことを忘れずに。


「……ふんっ、最後のは余計です」


プイっとそっぽを向いたあずにゃんの頬は見て分かるくらい朱に色づいていた。
きっと照れてるんだね。可愛いなぁ。抱きしめてもよかですかい?


「リンゴみたいに真っ赤なあずにゃんに可愛いって言ってもいいですか?」
「……やってあげませんよ?」
「わーん!うそうそ!お願いしますあずにゃん先輩~!」
「あずにゃん先輩言うなです!」


あずにゃんは私からギー太を受け取るとテーブルへと移動して、ギー太に傷を付けないように優しくギー太を寝かせた。


「よく見たら他の弦も錆びついてますね。せっかくだから全部交換しましょうか」
「うん! にしてもあずにゃんって嫌々言うわりには結構面倒見がいいよね」
「……不用意な発言は身を滅ぼしますよ?」
「もうしわけありませんあずにゃん隊長!!」
「あずにゃん隊長言うなです!」


あずにゃんのしなやかな指がギー太のペグを緩め始める。私はその間、自前の弦とニッパーを用意してあずにゃんの補佐役を務めることに専念する。あずにゃんが「ん」と手を差し出してきたので私はニッパーを「はい」と手渡す。
まるで熟年夫婦みたいなやり取りに私の頬は途端に緩みだしニヤニヤが止まらない。


「なにニヤニヤしてんですか? 気持ち悪いですからその顔やめてください」
「しどいよあずにゃん! いたいけな乙女を捕まえて気持ち悪いだなんてっ!」
「…えーとまずは弦を外してっと…」
「無視っ!?」


あずにゃんは私の話を右から左に聞き流しながら弦の張替えに集中していた。ちょっと納得いかないものがあるけどお願いを聞いてもらっている手前、文句も言えなかった。
あずにゃんはペグを緩み終えるとニッパーで弦を切り取り外した。


「ああんっ! 私のギー太が裸にされてゆくぅ~」
「アホなこと言ってないで新しい弦くださいよ」
「…はい」


取り付く島がないとはこう言うことを言うのかもしれない。
ノリの悪いあずにゃんにしぶしぶ弦を手渡して今度こそ私は何もすることがなくなってしまった。出来ることと言えばあずにゃんの勇姿をこの目に焼き付けるくらいのことだけ。仕方ないのであずにゃんの横の席に座って頬杖をつきあずにゃんの横顔をジッと見つめた。


「っ…」


その瞬間、呼吸が止まってしまいそうな感覚に陥った。
真剣な表情でギー太に向うあずにゃんの横顔は凛々しくてカッコよくて。思わず吸い込まれてしまいそうな綺麗な瞳はその可愛らしい外見に似合わず抜き身の刀身のように鋭く輝いて。
私の心臓を鷲掴んで離さない。


(はぅんっ!)


ふいにくらりと眩暈がしてよろめく。
その鋭い瞳で射抜かれちゃったりなんかしたら、私は成す術もなくハートキャッチされちゃうかもしれない。現に今の私は間違いなくあずにゃんの虜だった。


(…あずにゃんカッコいいなぁ…あずにゃんってこんなにイケメンさんだったっけ?)


本当は可愛い仔猫ちゃんのはずなのに。そんな彼女の新たな一面を見た気がする。
なんだか少しドキドキしてきちゃった。いつも見ているはずのあずにゃんがまるで別人のように思えてならなかった。それでもそこにいるのはやっぱりあずにゃんで。あずにゃん以外の何者でもなくて。


「……い……唯先輩!!」
「ひゃぅ!?」


突然の呼び掛けに私の体がビクンと飛び跳ねる。見つめていたはずのあずにゃんの横顔が正面にはなく、何故か私の顔のすぐ傍に移動していた。覗き込むように至近距離から見つめられ、否応なく心臓の鼓動が激しさを増していく。
って、顔近いよあずにゃん先輩!!


「どうかしたんですか? ボーっとして?」


あずにゃんは疑問符を浮かべて首を傾げた。


「なっなななっなんでもないよっ! ホントだよっ!」
「は、はぁ? ま、まぁいいですけど。とにかく弦の交換終わりましたよ、はい」


見ればすっかり見違えたギー太があずにゃんの腕の中に納まっていた。
差し出されたギー太を私は慌ててあずにゃんから受け取る。
お帰りギー太。お前との再会を喜びたいのは山々だけどご主人様は今それどころじゃないんだよ。


「あ、ありがとねっ、あずにゃん!」
「いえ、どういたしましてですけど…。それよりやっぱり少し様子が変ですよ唯先輩? やっぱり何かあったんじゃないですか? さっきからなんか挙動不審ですし…」
「なっ何にもないよっ! あずにゃん目が悪くなっちゃったんじゃない? 眼科行ったほうがいいよ!」
「残念ながら両目とも1.5です。ていうかどう見たっておかしいですよ。顔真っ赤ですし。もしかして風邪でも引いたんですか?」
「――ッ」


思いがけない指摘に羞恥を覚え、咄嗟に顔を両手で覆い隠し、踵を返した。どうりで顔が燃えるように熱かったわけだ。きっと今の私は熟したリンゴのように赤々と色付いているに違いない。私にも人並みに恥ずかしいと思える気持ちがあったことが若干驚きだった。
あずにゃんの射抜くような視線が私の背中に突き刺さる。居た堪れなさを感じた私は、頭を抱えながら徐々に小さく縮こまりダンゴ虫のように丸まって防御の構えを取った。


「もうっ!そんな風にされたらますます気になっちゃうじゃないですか!」
「ど、どうしてあずにゃんが気にするのさ! いつもは私の事なんか知らないって顔してるのにこういう時に限って構うんだから! あずにゃんのとーへんぼく!」
「むっ! せっかく弦の交換してあげたのにその言い草はなんですか! いいからこっち向いてください!」
「い、いやぁ~!」


ガシッと肩を掴んで振り向かせようとするあずにゃんの手を振り解いて私は脱兎の如く駆け出した。広いようで狭い音楽室の中とグルグルと走り回りあずにゃんから距離を取る。


「逃がしません!」


少し遅れてその後ろをあずにゃんが追いかけてきた。逃げ惑う私と追いかけるあずにゃんの鬼ごっこが始まる。いつもは私が追いかける側なのに、何を間違ったのか今はその相手に追いかけられている。
ホント、何を間違ったらこんな状況になるんだろう。
私はただギー太の弦を交換して欲しかっただけなのにね。

あずにゃんに追いかけられるというこの状況に嬉しさや戸惑いを感じながら。
結局私達の鬼ごっこは部活終了まで延々と続いたのだった。





「……私達今回完全に空気だったな」
「たぶん『え?いたの?』みたいに思われてるぞ、きっと」
「めったなこと言うなよ律…悲しくなるから」
「ははっ。まぁあの二人も相変わらず。私と澪も相変わらず。そんで…」
「……ムギも相変わらず、だろ?」
「そうそう!」

「●REC(鼻血)」



おしまい



【あとがき】
唯先輩はイケメンあずにゃんにドキドキすればいいと思う。
唯先輩は意外に乙女だったりするのがうちのスタイル。
頑張れ唯先輩!

[ 2011/07/23 22:22 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)
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[ 2011/07/24 00:16 ] [ 編集 ]
さすがあずにゃんの扱いに長けている唯先輩。「私が一番あずにゃんを上手く!」イケメン梓に天然唯、二作品共に楽しませてもらいました!
[ 2011/07/27 12:04 ] [ 編集 ]
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