とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

唯梓SS 『眠り姫は目を覚まさない』

※追記からどうぞ。




放課後――。
長い授業を終えて先に音楽室へと足を運んでいた私は、早々にトンちゃんのエサをやり終え、先輩達が来るまでの間、エサを貰って元気に泳ぎ回るトンちゃんの様子をじっと眺めていた。
しばらくしないうちに先輩達は音楽室にやってきて、今日も疲れただの、授業が退屈だっただの、あらあらまぁまぁだの、そんな事をそれぞれ口にしながら音楽室の敷居を跨いだ。
しかしそこにはいつもと違う所が確かに存在して。
意識せずともその事を口にしている自分がいた。


「あれ? 唯先輩一緒じゃないんですか?」


いつもの4人の先輩達の中に、唯先輩の姿だけ見当たらなかった。


「唯なら教室で居眠りしてるよ。起こそうと思ったんだけど、何しても全然起きなくてな、仕方ないから置いてきたんだ。まぁ置き手紙残してきたから起きたらすぐ来るだろう」


質問に答えたのは澪先輩だった。
いつものように呆れ顔で、困ったようにやれやれと首を振りながらそう言った。
すると隣でおっとりした笑みを浮かべていたムギ先輩が、


「唯ちゃんったら午後に入ってからずっと寝てたのよ。午後の授業もずっと居眠りしててね。先生も起こそうとしたんだけど、まったく反応なしだから最後には諦めちゃって。結局、放課後になるまで起きなかったの。あ、もちろん今も寝てると思うけど」


澪先輩に付け加えるように、唯先輩の午後の様子を細かに説明した。


「そうなんですか…」
「うん、唯ちゃん今日はいつにも増して居眠りさんだったわ。昨日夜更かしでもしたのかしら?」


ムギ先輩は考えるような素振りで眉をしかめる。
するとその横で律先輩がムギ先輩の肩をポンポンと叩きながら屈託ない笑顔で笑った。


「ははっ、どうせ唯のことだから昨日遅くまでギターの練習でもしてたんじゃないか? アイツ、やり出したら朝までやってそうだしな」


確かに。否定できない説得力を感じる。


「ありえそうで怖いですね。ていうか、律先輩にしては結構まともな事言いますね」
「私にしてはってなんだぁー! 一言余計だぁー!」


ギャーギャー喚き散らしている律先輩を余所に、私の頭の中は唯先輩の事でいっぱいだった。
別に心配とかそう言ったことではない。ないはずだけど…。


「あの! 私、ちょっと唯先輩の様子見てきますね!」


何故、こんなことを言い出したのか自分でも分からない。
一人残された唯先輩の事を思うと、何故か胸がざわついた。


「え? あ、ちょ、梓まっ――」


私は澪先輩の制止を振り切って先輩方の横を通り抜ける。
そのまま一段抜かしで階段を駆け下り、廊下に出て、足を止めることなく唯先輩達のクラス、3年2組へと走り抜けた。




息をつかせぬまま廊下を駆け抜けてしばらく、私は目的地の3年2組へと無事到着し、呼吸を整えつつ教室の扉を開いた。
静かな校舎にガラガラという音が一際大きく響き渡る。
教室を見渡すと、一番後ろの窓際の席に一人の女子生徒を視界に捉えた。

やはりというかなんというか、到着した私が見たものは、予想通りの光景だった。
放課後の教室。やはり誰も残ってはいない。とても静かだった。
そんな中、彼女の寝息だけはしっかりと私の耳に届いていた。

唯先輩はいまだに一人夢の中――。

穏やかな放課後、まどろみの中に彼女はいた。
ポツンと、机に身を投げ出して静かな寝息を立てながら。
それはまるで、たった一人だけ世界から切り離されてしまったかのような印象を見ているものに与える。
誰にも見つけてもらえない一筋の光。
私にはそれが、儚げで、寂しげに映って見えた。

私はゆっくりと彼女に近づいて、その寝顔を静かに見据え、そっと頬に触れる。
触れた指先が確かな熱を感じた。柔らかくて、すべすべで、確かな弾力を感じる頬。
いつまでも触れていたい気さえする。
彼女は一瞬身じろぎしただけでまったく目を覚まさない。
起きる気配など皆無だった。
しかし――。


「…すぅ…すぅ…あず、にゃん…」


静かな寝息と共に、突然発せられた彼女の優しい声。
瞬間、ドキリと心臓が跳ね上がる。
私の名前を呼びながら、ふにゃっとした柔らかな笑顔を浮かべる唯先輩。
私は息を飲み、その笑顔に魅入る。
時が止まってしまったかのように、呼吸することすら忘れながら。
心臓がドキドキしてやまない。


「……変なの」


別に、彼女に名前を呼ばれるのは初めてじゃないのに。
それこそ、数えきれないくらい呼ばれてきたはずなのに。
その笑顔で、その優しい声で、指先が、腕が、私に触れながら。
そうだというのに…なぜ。

こんなにも心が震えるのだろう――。


「…唯、先輩…」


私は心の奥から溢れ出してくる何かに従うままに行動を起こす。
今まで幾度となく口にしてきた彼女の名をそっと呟きながら。
彼女の顔に、私の顔を寄せ、そして――。


「ん…」


目を閉じて、まぶたを通して光を感じながら、私の唇が唯先輩の唇のすぐ横に触れた。
柔らかくて、温かくて、ドキドキが止まらなくて、どうにかなってしまいそう。
唇を離しそっと目を開けると、そこには静かな寝息を立てて眠る唯先輩がいた。
眠り姫は変わらず夢の中――。
こうして間近で見ると、唯先輩は本当にきれいな顔をしている。
幼さやあどけなさを残し、ただただ純粋で、汚れを知らないそんな寝顔。
それくらい無垢で、まるで天使みたい。


(…別に、起きるとは思ってなかったけどさ…)


ちょっとくらい気づいてくれたっていいのに――なんてね。
いまだ夢の中にいる眠り姫の鼻先を指で突っつくと「うにゅっ」という可愛らしい寝言が返ってきた。私はそんな唯先輩に笑みをこぼしつつ、唯先輩の肩に手をかけて、眠り姫のサルベージを開始したのだった。


「ほら唯先輩、起きてください。もう放課後ですよ」





おしまい




【あとがき】
暑さで頭がガンガンしているところで書いたこの作品。
茹った頭ではギャグ多めになる私ですが、あまりの暑さに一周して真面目になりました。
ほのぼのなのかシリアスなのか微妙にはっきりしないのでとりあえずほのシリってことでどうか一つよろしくお願いします。
そしてカッコユイ先輩は相変わらず書こうとすると手が止まります。
リハビリはまだ続きそうです…。

[ 2011/07/09 17:30 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2011/07/09 22:45 ] [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2011/07/09 23:50 ] [ 編集 ]
ほのぼのかシリアスか…難しいラインですね。原作等で卒業式が近付いてる頃のイメージだとシリアスでしょうけど…
自分の「本当の」気持ちに気付く前のあずにゃんなのかな?それとも気付いている後なのかな?
脳内イメージでもあずにゃんは「あれこれと考えすぎて奥手になる」タイプなのでこう言うのはすごく好きですね。
[ 2011/07/11 12:46 ] [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2011/07/12 01:44 ] [ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。