※追記からどうぞ。
ここ最近の暑さは尋常じゃない。毎日のように30度超の夏日を記録している。
梅雨入りを果たして少しは涼しくなるかと思ったが実際はそうでもなかった。
雨が降っている内はまだいいが、雨が上がった後の蒸し暑さはサウナ風呂と一緒だ。
とにかく暑い。アツがナツい。なんて冗談を言っている場合じゃない。
衣替えからひと月が経ち、そろそろ本格的な夏が到来しようというこの時期、これ以上暑くなられたら全身の水分が干上がってしまうんじゃないだろうか、なんて。
ちょっと恐ろしいことを考えてしまうのもきっとこの暑さのせいだろう。
「うぁー…あっついよー…助けてあずにゃーん…」
「ふぅ、やれやれですね…」
「暑くて死んじゃうよー…」
そしてここにも一人、尋常じゃない暑さに耐えきれず弱音を吐く先輩が一人いた。
私をあずにゃんなんて呼ぶ先輩は後にも先にも唯先輩しかいないので、もちろんそれは唯先輩のもの。
ここは例によって平沢家の一室、唯先輩のお部屋だ。休日を利用して遊びに来ていた私は、蒸し暑さに負けダラダラと垂れる唯先輩の観察に大忙しだった。
さてさて、この怠惰を絵に書いたような唯先輩の弱音にどう対処しようか。
と、いつもの私ならそんな風に思い悩むところだが、如何せんこの人との付き合いも1年以上になるので一々悩む必要もない。
それに唯先輩がこんなことを言い出すと見越して今日はとっておきのものを用意してきたのだ。
「こんなこともあろうかと、唯先輩にとっておきのアイテムを持ってきました」
「おおっ! あずにゃん頼もしー! さすが私のお嫁さんだね!」
「誰が唯先輩のお嫁さんですか。変な事言わないでください」
「えー、いやなのー?」
「当たり前です。どうして私が嫁なんですか、この場合唯先輩の方が嫁でしょ」
「ほぇ? あずにゃん、それってどういう――」
「とにかく! 暑がりの唯先輩のために用意してきたものはこれです! 心して受け取ってください!」
私は早速、件のアイテムを鞄から取り出し唯先輩へと差し出した。
それは伸縮性のある生地で出来た紺色のワンピース型の衣類。
正式名称「スクール水着」。特にそれは旧スクと呼ばれる学校指定の競泳水着だ。
「あ、あの…あずにゃんや? どうして水着なの?」
「ナニ言ってんですか。暑いなら水着になるしかないじゃないですか」
「えぇ!? そ、そんな…もっと他にもうちわとか扇風機とかあるんじゃ…」
「そんな邪道なもので夏の暑さを凌げると思ったら大間違いです。エロい、いや、偉い人も言ってました。スクール水着着用は夏における究極のクールビズであると!」
「……あずにゃん、この暑いのに今日はずいぶん元気だね」
「とにかく着てください。唯先輩が着てくれないなら私はこのままお暇を貰います」
「えぇ!? そ、そんなぁ! せっかく二人で遊ぶ約束してたのに何もしないまま帰るなんてやだよぅ!」
「ナニかしたいなら、まずはこの水着に身を包んでください。話はまずそれからです」
「うぅ…わかったよぅ」
唯先輩はしぶしぶと言った感じで水着を手に取りその水着を両手で広げた。
「あの…あずにゃん」
「なんですか?」
「あずにゃんが用意したスク水なのに、どうしてここに私の名前が入ってるのかな?」
水着の胸の部分にはご丁寧にも「ひらさわゆい」とひらがなで名前が記載されていた。
「実はその水着、ムギ先輩に言って取り寄せて貰ったんです。オーダーメイドですよ。この世界に二つとない唯先輩だけのスク水なんです」
「あ、あの…私もスク水なら持ってるんですけど…」
「あ。言っておきますけど、学校指定のは着ちゃダメですよ。目の前のそれを着てください。せっかくムギ先輩に頼み込んで、琴吹グループが持つ最先端技術で作ってもらったものなんですから、その心意気に応えてください」
「ムギちゃん何やってんの!? スク水で最先端技術!? そんなのぜったいおかしいよ!!」
「それはいいですから、とにかく着てください。ていうか早く着ないと帰っちゃいますよ?」
「うぅ、それはイヤ。分かったよぅ、着ます、着ますからちょっと後ろ向いてて?」
「あ、私のことはお構いなく。唯先輩の部屋なんですから遠慮しないで着替えてください」
「違うよ!? 遠慮するのはあずにゃんの方だからね!?」
「やれやれ、冗談の通じない人ですね。分かりましたよ」
唯先輩の言うとおり、私は後ろを向いた。
後ろからブツブツと小言が聞こえてくるがまぁ些細な問題だ。
「あ、あれ? あ、あずにゃぁ~ん」
「はい、なんです?」
条件反射で振り向きそうになったが何とか抑え、振り向かずに返事に応える。
唯先輩の困ったような声色から察するに何か問題が発生しているようだ。
「な、なんかこの水着、小さくない? 私のサイズに合ってない気がするだけど? ホントに私の体に合わせて作ったの?」
「もちろんです。出来立てホヤホヤの水着ですから、最初は多少伸縮性に問題あるかもしれません。着ているうちに身体になじんできますよ」
「そ、そうなのかなぁ~」
背後から聞こえてくるごそごそと言う着崩れの音をBGMに私は内心笑いを堪えるのに必死だった。口の端がピクピクと緩んでいくのを抑えられない。
サイズが合ってない? そりゃそうですよ。それはもともとちょっと小さめのサイズで作られたものなんです。何故サイズが小さいかって? その理由はすぐに分かりますよ、クスッ。
「あずにゃぁ~ん…できたよー」
「振り向いても?」
「う、うん…いいけど」
「そうですか、それじゃ――」
準備完了の進言を受け、私は逸る気持ちを抑えきれず残像を残すが如く一瞬で振り向いた。
そこに広がっていたものは、まごうことなき桃源郷であった。
「Oh…YES…」
思わず目を見開いて魅入る。
恥じらう天使の卑猥な姿に私は興奮を抑えることができない。
「あ、あんまりみないでぇ~」
見るなと言われても、目が離れてくれません。
「ね、ねぇあずにゃん…や、やっぱりこの水着ちょっとキツんだけど…胸とかお尻とか…」
もじもじと股を擦り合わせながら、右手や左手で胸や股間を隠している唯先輩。
しかしその少ない面積ですべて隠しきれるはずもなく、小さな水着に包まれた唯先輩の肢体がこれでもかというくらい主張されていた。
明らかに唯先輩に合っていないサイズのスク水。胸や股間がお祭り騒ぎだった。胸は憂よりも小さいとはいえ、水着がギューギューなおかげか、形がハッキリと分かりしかも先っちょが遠目でも分かるくらい浮き出ていた。
ゴクリと唾を飲み込む私。そのまま私の視線は下半身へと移動する。
その先で見たものは理想の世界だった。
股間やお尻が水着に食い込み、指で食い込みを直そうと頑張ろうともさらに食い込みがひどくなるというオマケつき。
「唯先輩、素敵ですよ。本っ当に似合ってます」
「あれ? 良く考えたらこれってクールビズなんだよね。なんだかクールビズ関係なくなってる気がするんだけど」
「そこは気にしちゃいけません。それより唯先輩」
「な、なぁに? なんだか目が怖いよあずにゃん」
ナニ言ってるんですか、私はいつだって唯先輩の天使ですよ。
「とりあえず写真撮ってもいいですか? あ、ベッドに座ってポーズ取ってください」
その後、撮影会という名のパラダイスが夜まで続いた。
一方その頃、平沢家――憂の部屋。
「ど、どうかな…純ちゃん?」
「特盛ッッ!?」
純は、目の前の天使――否、小悪魔に鼻血という名の熱きパトスを迸らせる。
明らかにサイズの合っていないスク水(白ver)に身を包んだ憂がはにかんだような笑みを浮かべながらもじもじしていた。
潤んだ瞳に上気した頬だけにとどまらず上目遣いまで披露する憂。そんな彼女の水着の胸元にはご丁寧にも「ひらさわうい」の文字が見える。
姉の唯よりもけしからんバディをした憂が、姉と同じ小サイズの水着に身を包めばその先に見える天国は計り知れないもの。
その証拠に、胸とその先っちょはミサイルを発射しそうな勢いで、下半身なんて股間や尻が言葉に言い表せないような大変なことになっていた。
純に言わせれば、特盛と言ったところだ。
姉と妹、違うところは何もスタイルだけではない。
姉が頼まれて水着を着用したのに対して、その逆に妹の方は目の前の存在を誘惑するためだけに自主的にそれを着用したのだった。
そしてその水着も姉が着用した物同様、琴吹グループが一枚噛んでいるのは言うまでもない。
おしまい
【あとがき】
二日連続でSS投下です。
あまりの暑さに頭が茹った金たろうが書いたクールビズSSでした…。
とにかく暑くて、もう死にそうな中で書いた内容がどうしてこうなった…orz
ゆいあずSSですが、最後にういじゅんがいい所を持っていった気がしないでもないですが楽しんで頂ければ本当に、ほんとーに! 嬉しいであります。
ほんとに暑い…。目の前が歪んで見えるよ…。うぐぅ…。
熱中症にだけはならないようにみなさんも気を付けてくださいね?
やっぱ、俺・・・ゆいあずの関係ってこっち系が好きかもw
唯が恥じらったりして、梓がちょい攻め見たいな感じが好きかなw
金太郎様、ちょっとずつエロを回復しているのではないでしょうか?
これをY隊方式で分類すると、チョイエロになっちゃうようなんですが・・・ww
とりま、お疲れ三でございますです☆