※追記からどうぞ。
束ねられた栗色の髪の毛。
チラッと見え隠れするうなじ。
吸い込まれそうな綺麗な瞳。
瑞々しく濡れる柔らかそうな唇。
服の上からでもその大きさを主張して止まない未だ発展途上の胸。
女性らしいラインを主張するキュッと括れたウエスト。
確かな肉付きを感じさせるヒップ、etcetc…。
数々の兵器をその身に搭載した最終兵器彼女、その名は平沢憂。
今、巷で話題の「一家に一人は欲しい」と謳われている最強の妹だ。
そんな彼女の魅力は数え上げたら切りがない。
部分的に徹底解析してみても、結局はいつも同じ答えに辿り着いてしまう。
やれやれ実に情けない。しかしそれ以上の答えが見つからないのもまた事実。
つまり何が言いたいかというと、
(憂って、いつ見てもエロいカラダしてるよね…)
憂のカラダはどれをとってもエロくしか見えない、ということだ。
言わばエロスの塊。ビバノンノ。
むろんそんなこと無二の親友を前にして考えることじゃないのは分かってる。でもそれが恋人ともなれば話は別だ。惚れた相手を前にしたらちょっとくらい邪まなこと考えちゃっても仕方ないでしょ。それが普通の反応なんだよ普通の。
憂は私の嫁だ。言い換えれば私の一番大切な、誰よりも愛しい恋人。
その関係に至るまでの経緯には、聞くも涙、語るも涙な様々なドラマが展開されたんだけど、それはまた別の話だから語るのはまた今度。
とにかく。
恋人と二人きりという現状、エロいカラダをした彼女に劣情を催さずにはいられないのだ。
私も若い女。性欲だってそれなりにあるし、えっちぃことにだって興味津々なお年頃だった。
「ふふふーん♪ ふんふんふふーん♪」
私の嫁こと平沢憂は、キッチンにて絶賛夕食の準備中である。
私は憂が夕飯の準備をしている間、何をするでもなくゴロゴロとリビングの床を転げ回りつつ、キッチンで料理を作っている憂の観察に尽力していた。
「にんじんさんに~♪ じゃがいもさん~♪」
鼻歌を口ずさみながら、まるでダンスを踊っているみたいに包丁をカタコト鳴らしている私の嫁。
なんて愛らしいことか。憂はいつにもましてご機嫌がよろしかった。それが私と二人きりであることを喜んでいるんだとしたら、私は今ここで裸踊りを披露してもいい。
一応言っておくけど観客は憂以外ありえないからね。
私はクンクンと鼻を鳴らす。
耳に届いた食材の名とキッチンから漂ってくる香ばしい香りから察するに今夜の献立はカレーらしい。
いいね、カレー。
(私カレー好きなんだよねぇー、でも――)
それ以上に憂が好きなんだよ私は。好き過ぎて死んじゃうですよマジで。
あーもう憂ちゃん大好き。憂ちゃんマジ天使。
らぶりーまいえんじぇる憂たんフォーエバー!
(ああもう! どうして私の嫁はこんなに可愛いの!? 小一時間ほど問い詰めたいよベッドの中で!)
今ここで愛らしい笑顔を向けられたりなんかしたら大変なことになるのは火を見るより明らか。
私の『平沢憂スキスキ症候群』は末期だった。
「純ちゃ~ん、もう少し待っててね。もうちょっとでできるから」
私に覗き見されているとは知らず、憂は料理に集中しながらそう言い放つ。
きっと憂の事だ。私ならテレビでも見ながらゴロゴロしていると思っているに違いない。
私は嫁の料理を待つ旦那の気分を味わいつつ「うん!」と元気よく返事を返し、ゴロゴロ転がりながら憂の観察を続けた。
(あー、憂ってばマジで美味しそう。早く食べたいなぁ)
すでに頭の中からカレーのことは消え失せていた。
今夜のおかずは憂に憂をデコレーションして食べちゃおう。
そんな意味不明なことを考えつつ私の視線は憂の下半身へと移動する。
(…つーか憂も憂だよ、そんな短いスカートなんて穿いちゃってさぁ、ちょっと屈んだだけで中身見えちゃうじゃん。もしかして誘ってる? ご機嫌に腰なんて振っちゃってまぁ。ていうかさっきからピンク色の何かがチラチラ見えちゃってるんですけど? ねぇわざと? それわざと?)
そもそもローアングルからガン見しといて吐くセリフではなかった。
憂は料理に夢中で私が見ていることに気付いていないし、まさか私が憂のパンチラでハァハァしてるなんて露ほども思っていないだろう。
それに短いスカートとは言うが、それはどこからどう見ても学校指定の制服。私も同じスカート履いてるんだから文句を言っても仕方なかった。
ホントどうしようもない。
(前から思ってたけど、うちの制服ってやけにスカート短くない? ただでさえ短いのにさ、それを折って穿いたりなんかしたらちょっと動いただけでパンツ見えちゃうじゃん。思春期の男どもに餌撒くようなもんじゃん)
もちろん憂をそんな目で見るような男子は生まれてきたことを後悔させてやるけど、そもそも憂にはそんな意図は欠片もないだろう。
しかし意図があろうがなかろうが、結果としてそう言った事態を引き起こしかねない危険性を秘めているのも確かだった。
(もしかして私に餌撒いてる? マジで誘ってんの憂? 食べちゃうよ?)
そのスカートの裾から伸びた太ももはそう思わせるほどの凶器である。
正直反則の域まで到達していた。股下数センチのスカートは、足の付け根まで見えてしまいそうなほどギリギリで、そんな卑猥なヒラヒラからムッチリと伸びた太ももは、私好みに厭らしく肉付いている。
(ああもうっ…! 本っ当に美味そう…!)
自称肉食女子としては目の前の黒毛和牛を前にして我慢なんてできようはずがない。
思わずペロペロしたくなるような素肌は陶器のようだ。あれが私だけのモノなんだと自覚するだけで口の中いっぱいに唾液が溜まっていく。
私は、口一杯に溜まったそれをゴクリと飲み込んだ。
もう、辛抱堪らなかった。
お腹も空いてきたことだし、ちょっとくらいつまみ食いしても許されるよね?
「……」
私は無言で床から立ち上がり、そっと足音を立てずに憂に近づいていく。
憂は相変わらず料理に夢中で私が近付いていることに気付いていないので、今がチャンスとばかりに抜き足、差し足、忍び足。気配を絶って憂の背後に回る。
それからそーっと腕を伸ばし、
「う~い!」
愛しいその名を呼んで憂のカラダをギュッと強く抱きしめた。
「きゃっ!? え? ちょ、え? じゅ、純ちゃん?」
条件反射なのかどうかしらないが、憂は私が抱きしめると咄嗟に包丁をまな板に置き、コンロの火を消した。危機察知能力がずば抜けていて素直に驚きだが、今回ばかりはそれはありがたい。これで気兼ねなく憂を食べられる。
驚く憂の表情は戸惑いに染まっていた。まぁ当然の反応と言えるが、私はお構いなしに抱きしめる腕に力を込める。胸を挟み込むように腕を回し、カラダを密着させて憂の艶かしいうなじに唇を這わせた。
すると憂のカラダは否応なく過剰に飛び跳ねた。ビクンっと――。
「んくっ…! や、な、なにするの~純ちゃぁん…っ、く、くすぐったいよぉ…!!」
「よいではないかぁ~♪ よいではないかぁ~♪ あー、憂のカラダはホントやわっこいなぁ。それにぃ…すんすんっ…すっごくいい匂いだし」
「ちょっ、やぁ! に、匂い嗅いじゃだめぇ…! しゃ、シャワー浴びてないから汗臭いよぉ…!」
「いやいや、私的にはご褒美ですからそれは」
憂は擽ったそうに身を捩りながら私の腕から抜け出そうと必死に脱出を試みるが、むろん私が離すはずもない。さらに力を込めて抱きすくめ、憂のホッペに頬擦りを決め込んだ。
憂のホッペはぷにぷにのふわふわで、まるでプリンみたい。
ぺろぺろしたらさぞかし甘いだろうなぁ。じゅるりっ!
「ねぇうい~、私お腹すいちゃったよぉ」
「そ、それならあとちょっとで出来るから大人しく待ってて、ね?」
「んーんダメ! もう我慢できないよ。もうお腹空きすぎて背中とくっついちゃいそうだし。だから空気読まずにつまみ食いに来ました!」
「え、えぇ…つ、ツマミ食いって…」
「だって美味しそうなんだもん」
「で、でも、つまみ食いできるものなんて何もないよ?」
「あるじゃん、私の腕の中に」
「っ!?」
憂は身の危険を感じたのか身体を強張らせて縮こまった。
「あ、あの純ちゃん…? そ、そういうことは、その…ね?」
憂は顔どころか耳まで真っ赤だった。きっと私の思惑を1から10まで理解したのだろう。
でも理解したのなら話は早い。私は憂の肩のあたりに鼻を押し付けて、そこから発せられる匂いを肺一杯に吸い込んだ。
柑橘系の甘い匂いと、ちょっぴり汗の匂いが入り混じった媚薬のような匂いが肺に充満していく。
正直言葉にならない。目の前がクラクラした。熱い。カラダが。どうしようもなく。抑えていたものが暴発してしまいそうだ。
「やっ…はぁぁ…んっ…!」
その喘ぎにも似た熱い吐息が、上気した頬が見せるHな表情が、私を興奮の渦へと巻き込んでいく。胸の動悸は張り裂けんばかりに激しくなっていた。
正直もう我慢の限界。逆に今も理性を保っていられたことの方が驚きだ。
「ね、ねぇ憂、し、シテもいい?」
私は謙虚にそう尋ねながら我慢の利かない右手で憂の太ももにそっと触れた。
「んくっ…あぁっ…!」
感じる憂のカラダ。相変わらず敏感で言うことなし。
触れた太ももは見て感じたとおり、もっちりとしていてスベスベで、そしてこの上なく淫ら。私はゴクリと生唾を飲み込んで、指先をツツーっと上へと走らせた。この上に魅惑のデルタゾーンが広がっているかと思うと気持ちは先走ってしまうのだ。
「やぁっ、あっ、そ、そんなとこだめぇ…!」
ダメとかいいながら決して抵抗はしない憂が可愛いのなんのって。
「ね、ねぇダメぇ? ういぃ?」
「うぅ…だ、ダメって言っても…どうせするんでしょ?」
「うん。します。ペロペロからマミマミまで、言葉で言い表せないようなことをこれでもかってくらいしちゃいます」
「あぅ…」
ポっと頬を赤らめて俯く憂。
ああ、ホント私の嫁は一々可愛いなぁ。
「そ、それじゃあいいよね?」
憂の反応を肯定と受け取り、左手で憂の胸に触れた。
「んっ、あぁっ…はぁあ!」
触れただけだというのに憂は堪らず甘い喘ぎとともに熱い吐息を漏らす。
手のひら全体に伝わるふにゅっという確かな感触。もしここで手を動かしたりなんかしたらどうなっちゃうんだろうと、その先のビジョンを想像するだけで鼻息が荒くなっていく。
それに何より、キッチンで行為に及ぶっていうのがまた興奮を掻き立てる。
おあつらえむきに憂はエプロンなんかしちゃってますしね。
これはもうアレをやるしかないでしょ。
伝説の「裸エプロン」をさ。
でもダメ。焦っちゃダメよ鈴木純。ここで一気に剥ぎ取ったらそれはただの動物と変わりない。じっくりねっとり時間をかけて裸エプロンまで辿りつかなきゃ意味がないのだ。
徐々に肌蹴ていく衣類から零れ落ちる憂の熟れた肢体を堪能し、そしてその都度憂の反応を楽しみつつ、最後に待っているメインディッシュをお腹一杯食べちゃおう。
やばい、私もしかして天才じゃない?
「んぁあ…んくっ…あぁ、やっ、ま、まって純ちゃん…!」
「ど、どうしたの? もしかしてイヤになっちゃった…とか?」
これ以上生殺しなんて私に死ねと?
「ううん、イヤじゃないよ…。イヤなわけないよ。純ちゃんだもん…」
嬉しいこと言ってくれるねぇ。それじゃどうしたの?
「その、ね…する前にひとつだけお願い聞いてもらってもいい?」
「えぇえぇもうなんなりと。火の中水の中竹藪の中、お姫様のためでしたら蜂の巣突っついて蜂と鬼ごっこすることだってやぶさかじゃありませんのことよ」
憂は私の戯言にクスっと笑みを零し、私の耳元にそっと唇を近づけると、
「そ、それじゃぁ、まずは、き、キスから…ね?」
恥ずかしそうに、でも私を誘うように囁いた。
憂の唇に吸い付いたあとのことは私もよく覚えていない。
おしまい。
【あとがき】
憂可愛いよ憂w
ということで憂のことが病的なまでに好きな純ちゃんのお話、お泊り編でした。
ちなみに唯先輩は梓んちにお泊りしてます。きっと裏ではにゃんにゃんタイムです。
一応リハビリSS第一弾なわけですが、痴漢編書くまでにいったいどれだけリハビリをしないといかんのか、正直まだ分かりません…。とにもかくにも楽しんでいただければ幸いです。次回もどうぞよろしくお願いいたします。