とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ゆいあず!!シリーズSS EP04 『軽音旅情浪漫譚 #7 ~残された者達Ⅱ~』

※追記からどうぞ!



――ぶちん、と。

切れてはいけない何かが切れる音とともに、梓ちゃんを包みこんでいたダークサイドが一層膨れ上がって。
それを肌で感じとった私は、冷や汗を拭う暇もなく、ただただゴクリと唾を飲み込んだ。

禍々しい空気がモヤモヤと霧のようにダダ漏れていく。
周囲に暗黒のオーラを放ちながら、ついに梓ちゃんがその重たい口を開いた。


「純…」


第一声からゾクリと背筋が凍るような感覚に襲われるのはこれいかに。
さすがの純ちゃんも異常性に気付かざるを得なくて「あ、あるぇ?」と苦笑い。
口元が引きつり、冷や汗がダラリと頬を伝っている。

怒気と邪気を含んだその雰囲気に、まるで金縛りにあったように動けない私達二人。
刹那、梓ちゃんは行動を起こしその両腕を伸ばす。実際には、伸ばしたように見えた、だった。
その素早い動きを捉えられた人間は果たしていたのだろうか。
瞬きの瞬間に伸ばされたそれは、声を発する間も無く気付いたときには純ちゃんのモフモフとした髪の毛、
ツインテールと呼ぶには短いそれをガシっと容赦なく掴んでいた。
逃げ出そうものなら、今すぐそのトレードマークを毟り取ると言わんばかりだ。


「少し、頭冷やそうか?」
「ぴぇっ!」


ギッと、殺気を込めた瞳で睨みつける黒猫。
心なしか、漆黒の長いツインテールがクワガタのようにわなわなと逆立ってきているような。
そんな梓ちゃんの様子に堪らず悲鳴にも似た声を上げる純ちゃん。
目尻に涙を浮かべプルプルと体を震わせて。
それはさながら、蛇に睨まれた蛙。動けば取って食べられそう。
実際、魂はすでに喰われてしまっているような。

はっきりしていることはただ一つ。
これ以上梓ちゃんを刺激したら純ちゃんのトレードマークは無残な最期を遂げると。
つまり、純ちゃんは準レギュラーからモブキャラへとクラスチェンジしてしまうのだ。


「ねぇ純、この美味しそうなブロッコリー二つ、引き抜いていいかな? 邪魔でしょ?」
「ぶ、ぶろっ!?」


どうやら梓ちゃんの方は殺る気満々のようだ。とはいえ。
その発言には言いえて妙だな、と思わずにはいられなかった。
確かに純ちゃんのトレードマークはブロッコリーに似てなくもない。

もしかすると今の梓ちゃんの目には、比喩でもなんでもなくブロッコリーが二つ生えているように見えているのかもしれないけど。
それは梓ちゃんのみぞ知る世界。私の知るところではなかった。


「あ、あの…それだけはご勘弁を…!」
「なんで?」
「な、なんでって…これが無くなっちゃうと私が誰か分からない人が続出しちゃうんじゃないかなぁー、なんて…ははっ…」


心を折られいつになく下手にまわる純ちゃん。
梓ちゃんを刺激しないように訴えかけ、苦笑いで誤魔化そうとする。
が、そんなもの今の梓ちゃんに通用するはずもないことはここにいる誰もが理解していた。


「くふっ…いいじゃんそれ」


そう、逆に火に油を注ぐようなものだ。
ニタァっと邪悪な笑みを浮かべると、その両手にさらに力を入っていく。
一気に抜いてしまおうか、じわじわと痛みを与えながら引き抜こうか考えているようだ。


「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…れーめん、にゅーめん、ひやそーめん…!」


ちくちくとした頭皮痛みに耐えながら、絶望に満ちた青白い顔で念仏を唱え始める純ちゃん。
最後の方が意味不明だったが、それくらいテンパッているのが痛いほど分かる。
この世界に救いはないと悟った彼女。鈴木純としての「死」は目前だった。


(い、いけない!こ、このままじゃ…!)


しかしここで黙っていないのがこの私。純ちゃんの無二の親友、平沢憂。
このまま純ちゃんのトレードマークを引き抜かれるわけにはいかないと思って、
止めに入ろうと二人の間に割って入ろうと1mもない距離を駆け出したのだが、
しかし割って入ろうとしたその瞬間、突然梓ちゃんの両手が髪の毛からパッと離れた。
まるで私の願いが通じたかのようなタイミング。
私の行動は意味を成さなかったが、止めてくれるならそれに越した事は無い。

いったいどんな心境の変化があったのかと、不思議に思う私と目をパチクリさせている当事者の純ちゃん。
梓ちゃんはフルフルと首を横に振り、ハァ…っと、哀愁漂う表情で溜息を付く。
一瞬、いつもの梓ちゃんに戻ったのでは?と期待した、しかし。
終わり? 否、これが始まりなのだ。
期待するだけ損と言うだけの話。


「純はいいよねぇ、憂がいるしぃ? さっきから人前でイチャイチャイチャイチャして、ホントいいご身分だねぇ? ん?」


言葉の一つ一つに棘を感じた。その瞳は相変わらず死んだ魚のように濁りきっている。
やはり恐怖心が先に立つ。が、それでも私達だっていつまでも黙っているわけじゃない。
その発言にだけはさすがの私達も意義を唱えずにはいられなかった。


「そ、そんな事ないって!そもそもいちゃいちゃなんてしてないし!」
「そ、そうだよ!純ちゃんの言うとおりだよ!いちゃいちゃなんてしてないよ!」


私達はただ普通に、ごく普通にランチタイムを楽しんでいただけなのだ。
それがどうやったらいちゃいちゃしているように見えるだろうか。否、見えるはずが無い。
多少のスキンシップはあったものの、でもそれはあくまで友人レベルのスキンシップ。
恋人レベルにはほど遠いように感じるし、そもそも私たちは恋人同士ですらない。
ましてやそんなことでイチャイチャしてると思われるなんて心外だった。


「ふぅ~ん…」


あーだこーだと必死に否定してみるが、梓ちゃんは聞く耳持たずと言った感じ。
徐々に眉が釣りあがっていき、仕舞いには「はんっ!」と鼻で笑いやがりました。


((…だ、誰か助けて…))


私と純ちゃんの心がシンクロした瞬間、
死んだ魚のような、光宿らぬその瞳で私達をギンッと鋭い目付きで射抜く。
目を逸らせない。動けない。金縛りにあったように微動だにできない。

私達を恐怖のどん底へと突き落とす暗黒面に堕ちた黒猫。
それはさながらダースベイターもといアズベーダーとでも言おうか。
きっとそのうち真っ黒なマスクを被ってコホーコホーとか言い出したりするに違いない。


「クックッ…アハハハッ!」


突然の屈託無い笑い声。しかしその笑い声は暗黒の世界に彩られている。


「ちゃんちゃらおかしいよ。おかしすぎて腹が捩れちゃう。もしかして笑い殺す気?」


言葉の一つ一つに悪意を感じる。
もう駄目だ、そう思った。今の梓ちゃんには何を言っても無駄だろうって。
それに何か言ったって、言った先から反撃されるのは目に見えている。


「イチャイチャしてない? それを本気で言ってるんだとしたら二人ともさっさと病院に行ったほうがいいよ? さっきから何かにつけてラブコメってたくせに。見てるこっちが恥ずかしいよ」


―――それはこっちのセリフだよ!

と瞬間的に叫びたくなるのを何とか抑え込む。
きっと純ちゃんも同じ気持ちなんだろう。口元がプルプルしてる。
言いたいのを必死に我慢しているのが見て取れた。
発言の機会すら失った私達は、ただ言いたい放題言われるだけだった。

そう、見てるこっちが恥ずかしいのはこっちのセリフなのだ。
お姉ちゃんと梓ちゃんのイチャイチャぶりに比べれば、私達のそれはまだ可愛いものだと思わなくもない。
ていうかそもそも比べること自体間違っている。
だって私達は初めからいちゃいちゃなんてしていないのだから。
仮にしていたとしても、正直この二人には敵わない。
そのラブラブっぷりには世界のどのカップルだって裸足で逃げ出すと思う。冗談抜きで。
もし二人の邪魔をしようものなら、不吉の黒猫が不幸を届けに地獄の底まで追ってくるに違いない。


「ハァ~~」


梓ちゃんは盛大な溜息をつきながら、肩をすくめてやれやれと首を横に振った。


「こっちは唯先輩分が切れかけて今にも死にそうだっていうのに」
「死にそうって、そんな大袈裟な」
「そ、そうだよ梓ちゃん」


果たしてそれは本当に大袈裟だろうか、と疑問が残る。
ううん、本当の本当は分かっていた。この半年の二人を見てそれを理解せざるを得なくなった。
梓ちゃんの言ったそれは大袈裟でもなんでもないってことを。

お姉ちゃんと梓ちゃんは二人で一人。どちらか一方が欠けたらなりたたない。
それくらい二人は想い合ってる。それで暴走しちゃうこともしばしばだけど、でも。
その根源は、離れたくない、傍にいたいって気持ちだけ。その気持ちが強すぎるだけ。
梓ちゃんの場合、その気持ちが人一倍強いのだ。お姉ちゃん以上に。

平沢唯という名の光を失った今の梓ちゃんは、ただただ薄暗い闇の世界へと身を投じることしかできない。
梓ちゃんを導くただ一つの光。それは梓ちゃんにとって何よりも大切で必要なもので。
命と同等といっても過言ではない。
果たしてそんな大事なものを失った人間がどうなってしまうのか、私には想像も出来なかった。

脳裏に描かれる未来へのビジョンは、正直目を覆いたくなるような悲しいものだった。
そこにはお姉ちゃんを失った梓ちゃんの末路が延々と繰り返し映し出されていた。
笑顔も温かみの欠片すらない絶望の世界で、梓ちゃんはただ一人ぽつんと取り残されていた。
絶望への階段が見える。上った先に見える一本のロープ。
そのロープの先は首一個分が入りそうな輪っかがあったりなかったり。


(梓チャーン!!そっち逝っちゃダメぇええ!!!)


何故か親友の未来を垣間見せられたような気がして涙が溢れそうになった。
今になって、やっぱり梓ちゃんとお姉ちゃんを引き離したことを後悔した。
梓ちゃんの思うがままに行動させておけばこんな事にはならなかったんじゃないかって。
そう思わずにはいられない。

でもだからって私にはどうすることもできない。

そう、こればっかりは仕方がないのだ。これは学校の決まり。
2年生が3年生の修学旅行についていくなんて出来るはずも無い。
例え紬さんにお願いしたってどうなるものでもないだろう。

それが分かっていたから私は止めた。
たった3日か4日、それだけ我慢すればいいだけの話だって。
確かにそう思っていたけど、でも私は図り損ねていたのだ。
梓ちゃんのお姉ちゃんに対する絶対的な想いを。
今更後悔したって後の祭りだってことは分かってる。けど。


(梓ちゃん…)


それでも、やっぱり梓ちゃんがかわいそうに思えてならなかった。
好きな人と離れ離れになることがどれくらい辛いことなのか、正直それは今の私には理解できない。
でもこれだけは分かる。梓ちゃんをこのままにしておいちゃいけないってことだけは。


(何か、何かないかな…梓ちゃんを元気にする方法)


そんなわけで、なんとか梓ちゃんを立ち直らせる方法を考えなくちゃと、
梓ちゃんの罵倒じみた言葉を話半分に聞きながら思考をめぐらせる。
横でガミガミと怒涛の嵐の如く溜まった鬱憤を放出する梓ちゃんと、しゅんっと落ち込みながら徐々に小さくなっていく純ちゃんを他所に、私はただ無言で頭を悩ませる。


(梓ちゃんを元気に…お姉ちゃんがいなくても、せめて普通の梓ちゃんに戻す方法…)


それはつまり、梓ちゃんの言うところの『唯先輩分』を補給させること。
昨日あれだけ唯先輩分なるものを補給したのに午前中だけで切れかけるのはどうかと思うけど、この際それはいいっこなし。


(ならその『唯先輩分』を補給させる方法は?)


簡単な話、お姉ちゃんを梓ちゃんに与えれば一発で満タンになるだろう。
しかし残念ながら今そのお姉ちゃんは不在だから無理な相談。
それは今更言っても始まらない。
となると、お姉ちゃんに代わるものがあればいいってことだ。


(お姉ちゃんの等身大抱き枕とかあればいいんだけどな…)


お姉ちゃんの匂いつきならさらに効果は増大するだろうなとは思ったが、すぐに考えをあらためる。
そんなものは持ち合わせていないし、きっと梓ちゃんだって持ってないだろうから。
そもそもそんなものが無くったって、常に本人を抱き枕にしている梓ちゃんがそんなものを欲しがるとも思えない。
だいたいそんなのがあるならこの短時間に『唯先輩分』が切れるなんてありえないじゃないか。


(うー!思いつかないよぉおお!!)


すでに梓ちゃんのダークサイドは半径5m近くにもおよび、それを察知した近くのクラスメイトは、恐怖のあまり逃げ出してしまっていた。
それを逃げることも出来ず、真正面から受け止めている純ちゃん。不憫で仕方がない。
今にも泣き出しそうな様子で、潤んだ瞳で私を見つめながら「たすけて…」と訴えかけている。

その乙女ちっくなフェイスにドクンと心臓が高鳴るが、萌えてる場合じゃないと瞬時に頭を切り替える。
とにかく何とかして純ちゃんを助けなければと、さらに思考の奥底まで浸入を試みた。


(何か!何かないの!)


家に変えればお姉ちゃんの物が沢山あるし、梓ちゃんをお姉ちゃんの匂いつきベッドにでも放り込めばミッションコンプリートだ。
しかしここは学校。ベッドどころか下着すらあるはずがない。
まさか『唯先輩分』を補給させるために学校を早退するなんて、そんな滑稽な話は聞いたことがない。
落ち着いて考えても、焦って考えても、結局いい案は思いつかない。
八方塞りかと思われた。しかしその瞬間、ふと頭の上でピコーンと電球が閃く。


(あれ?ちょっとまって…)


私は今の自分の思案に疑問を抱く。

―――――学校にお姉ちゃんの物がないなんて誰が決めた?


(あるじゃない!お姉ちゃんの物ならたくさん!)


そう、それこそ下駄箱から教室の中まで。探せばたくさん出てきそうだ。
一瞬、お姉ちゃんの匂い付きの中靴でも与えようかと考えたけど、あまりに変態的なので却下。
そこで思い出したのは、先ほど購買に行ったときにきたお姉ちゃんからのメールだった。


『憂にお願い!実はね、教室にお弁当箱忘れちゃったから持って帰ってくれないかな?放課後でいいからヨロシクね!』


(これだっ!!)


放課後に行けばいいと思って今の今まで忘れていたけど、これは使えると思った。
梓ちゃんをお姉ちゃんの教室に連れて行けば、少しはお姉ちゃんを感じることが出来るんじゃないだろうか。
そう踏んだ私は、さっそくその旨を伝えるべく、意識を現実へと戻した。


「――聞いてんの!?」
「は、はぃ!聞いてます!」


現実の世界はいまだに混沌の真っ只中にあった。
それどころかさらにヒートアップしているような、ないような。
怒涛の嵐をその身に受け続けていた純ちゃんは、臆しながらも必死になって梓ちゃんに続いている。
健気にもほどがあるだろうと、思わず純ちゃんを抱きしめたくなる衝動に駆られたが、それじゃ何の解決にもならないと首を振った。


「だから私は唯のためなら自分が猫になることだっていとわないの!猫耳だって尻尾だって喜んでつけるし、首輪だって付けちゃうんだから!スッパで四つん這いになってニャーニャーなんて純に出来んの!?」
「できましぇん…」


それも愛の成せる業なのかと言えばそうでもない。正直言って、出来るほうがおかしいと思う。
それでも、そういう突っ込みはこの際入れないことにする。言ったところで反撃されるのがオチだ。
純ちゃんだってそれが分かってるから、刺激しない回答を選んでいるんだろう。
もしここで「できる」なんて言おうものなら、この場でやって見せろと言われそうだもの。


(ちょっと見てみたい気がしないでもないけど…)

げふんげふんっ!

それ以前に、梓ちゃんの話は説教話から何故かノロケ話へと移行していたことに今更ながら気付いた。
唯は世界で一番可愛くて、でも夜になると狼みたいにカッコよくなって、そうなると猫でしかない自分はただ食べられちゃうしか選択肢がないとかなんとか。
よくもまあ衆人観衆の前で恥じらいもなく言えたものだ、と梓ちゃんの病気の進行具合にいささか不安が募る。
よく見れば、話を聞いてしまった数人のクラスメイトが顔を真っ赤にしながらどこか慌しく視線を泳がせている。


(分かる!分かるよその気持ち!)


ここは純ちゃんを含むクラスメイト達を救い出すため、私が頑張らなくては!
ふんすっ!と気合を入れ、一端深呼吸。
肺の中の空気を吐き出し、鼻から息を吸って、そしてまた吐く。
それを何度か繰り返し、私はすべての元凶を断ち切るべく、大きな声で第一声。


「梓ちゃん!!」
「ぁんっ?」


鋭い視線に込めた殺気を難なくATフィールド。絶対防御の下に粉砕した。
睨みを利かせたって今の私には効かないよ、梓ちゃん。
私は今、純ちゃんの、クラスメイト達の期待を一心に背負っているの。
背中を押してくれるみんなのためにも、私はこんなことぐらいで挫けたりしないよ。
そして梓ちゃん、貴女のためにも。本当の梓ちゃんを取り戻すために、私はたった一度の魔法を掛けよう。


「実はさっきお姉ちゃんからメールで、お弁当箱を教室に忘れちゃったから持って帰ってほしいって頼まれたんだけど…」
「……」


ピンっ!と梓ちゃんの頭から猫耳が突き出た…ように見えた。
見えない猫耳をピクピクと動かし、耳をそばだて、私の発言に耳を傾けている。
効果は絶大だ。お姉ちゃんが絡むと、梓ちゃんは途端に借りてきた猫みたいに大人しくなる。
さすが「あずにゃん」という名を冠しているだけのことはある。
その様子は本物の猫を思わせた。前世が猫だと言われたって誰も疑わないだろう。


「それでね、その…放課後にお姉ちゃんのクラスまで取りに行こうと思うんだけど…」


本当は今からでも行きたいところなんだけど、時計を見ればそろそろ昼休みが終わる時間だった。
時間的にもうギリギリ。これから行ったところで十分な「唯先輩分」が補給できるとも思えない。
放課後まで我慢できるかどうか、そこが問題だけど。そこはもう妥協してもらうしかない。


「梓ちゃんも一緒にくる?」
「いくっ!!」

「「「「「はやっ!?」」」」」


クラス中の生徒達の心が一つになった瞬間だった。
さっきまでのダークサイドが一転してライトサイドに早代わり。
いったいさっきまでの異空間はなんだったのだろうか。


(はぁ…やっぱり梓ちゃんにはお姉ちゃんか…現金だなぁ…)


大人しくなった時点で何となくこうなるような気がしていたけど、
梓ちゃんの期待に満ちた笑顔を見ていると、そう思わずにはいられない。
表情にも生気がみなぎり、目を爛々と輝かせ、瞬きするたびに星が飛ぶ。
お肌もつやつやして、まるで赤ちゃんのような珠の肌だった。
あまりの眩しさに梓ちゃんの顔を直視できないよ。

とにかく。何にしても梓ちゃんが元気になってよかった。一件落着だ。
終わってみれば大したことはなかった気がするが、それでも失ったものが無かったといえば嘘になる。


「じゅ、純ちゃんしっかりして!」
「…ふ…ふふっ…」


椅子に腰掛け、だらんと背を預ける一人の女子生徒。
それは言わずもがな、鈴木純ちゃんその人で。
今にも死にそうな笑みを浮かべながら真っ白に燃え尽きていた。
そんな彼女の瞳にキラリと涙が光る。

ああ…可愛そうな純ちゃん。
何か元気付ける方法はないかと考えてみたけど、私に出来ることなんてそう多くなくて。
だから私は自分の出来る精一杯を純ちゃんに差し出そう。

ごめんねと、ありがとうの気持ちを込めて。
そっと純ちゃんの頬に触れるだけのキスをした。


「っ!? う、憂!?」
「あ、あのね…その、元気だして?」


純ちゃんの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
こんなの見られたら、梓ちゃんにまたイチャイチャしてるとか言われそうだけど。
当の本人は放課後に向けて期待に胸を膨らませ私たちのことなど気にも留めていなかった。
笑顔でゴールデンチョコパンを頬張り、何かを思い浮かべてはニヤニヤと顔を綻ばせるのだった。


「あ、あの憂…」
「な、何も言わないで…」
「う、うん…」


ちょっと大胆かなって思うけど、でも。
たまにはいいよね?



つづく
[ 2011/01/07 20:27 ] 未分類 | TB(0) | CM(5)
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[ 2011/01/07 21:08 ] [ 編集 ]
白ならぬ黒い悪魔やらアズベーダーやらww
純ちゃんマジブロッコリーw

最後になんという憂純爆弾!見事にやられました……
[ 2011/01/07 21:15 ] [ 編集 ]
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[ 2011/01/07 23:29 ] [ 編集 ]
ブロッコリーやら、アズベーダやら、れーめん にゅーめん ひやそーめんやら・・・・やってくれますね・・・くくくくく・・・流石金太郎さまですw

純が御臨終しかけていてパナイですね・・・・・でも、そこは流石憂。うん。愛しのブロ・・リーじゃないよ?愛しの純が断崖絶壁の淵に立たされている状況から見事救出できましたね^^

次は唯ということですし、また楽しみが来ます^^
梓と同じようになるのか・・・・・もしなったら、的は律かな?ww
とりま、お疲れ様でした+今週の笑いをありがとうです(≧▽≦
[ 2011/01/08 04:18 ] [ 編集 ]
はじめまして^^
実はずいぶん前からss読ませていただいてました。
コメントとか不慣れなもので、ドキドキしながら書いております。
律澪推しの私ですが、金たろうさんのおかげで、唯梓の素晴らしさに目覚めました!!
そして・・・!
金たろうさんが提供してくれるゆいあず分を補給していたおかげか、2月のけいおんライブ当たりました!!←

最近、投下率があがってきた憂純ss。
私をどこまでけいおんにのめりこませるつもりですか^^

も、もっとお願いします・・・!!
[ 2011/01/08 15:46 ] [ 編集 ]
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