とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ゆいあず!!シリーズSS EP04 『軽音旅情浪漫譚 #7 ~残された者達Ⅰ~』

※追記からどうぞ!




お姉ちゃんが京都へ旅立ってしばらく時間が経ち――。
3年生が修学旅行で不在の今、居残組である1、2年生は当然のように通常運転だった。
3年生がいないということを除けば、昨日までの学校生活となんら変化はない。

授業の方もすでに午前中の部が終了していた。
チャイムが鳴っておおよそ10分くらい。ただ今、お昼休みの真っ最中である。

生徒達は思い思いに過ごし、長いようで短い休み時間を満喫している。
持参したお弁当や購買で買ったパンを食べたり。とりとめのない雑談に花を咲かせたり。
人によって過ごし方はさまざまで。
だけど、何をするにしてもまずは食事からっていうのは誰でも一緒みたい。
もちろんそれは、私達「2年生トリオ」にも言えることだった。


「もぐもぐ…」
「ん~!うまい♪」
「……」


いつもの3人、私と純ちゃんと梓ちゃんで机を囲いながらランチタイムに花が咲く。
メインであるゴールデンチョコパンを3等分に分けて、牛乳と合わせて、もくもくと食べている。
机の上にはメロンパンや焼きそばパンなど、数種類のパンが未開封のまま。
そちらにはまだ手を付けていなかった。


「ゴールデンチョコパンって結構ボリュームあるね」


御大層な名前だけどそういう名前なのだから仕方がない。
パンをあむあむと口に頬張りながら純ちゃんはそう言った。
膨れたホッペがハムスターみたいで可愛いなぁと思って胸がときめいたのはもちろん内緒。
もともと純ちゃんは出会った頃から小動物みたいで、ハムスターとかリスとか、
そんなのが似合いそうだって思っていた。とにかく可愛くて愛らしい。


「そうだね、3人で丁度いい量かも」


とりあえず純ちゃんの発言に相槌を打つ。頭を縦に振りコクンと頷いた。
それからパンに口を付けてひとくち摘んだ。
ビターでスイートなチョコの味が口いっぱいに広がる。


「さすがゴールデンなだけあるよね。一人じゃどうやったって食べきれないよ」


純ちゃんの言うとおり、意外に食べ応えのあるゴールデンチョコパン――。
その実態はこの桜高で幻とされているパンだった。
いつもは売り切れているらしいそのパンは、今までその姿を晒したことがほとんどなく、下級生の間では幻とされていた。
数にも限りがあって、残念ながら3年生しか買えていなかったのが現状だったらしい。
しかし修学旅行で3年生が不在ということで、ついに幻がベールを脱ぐことになる。
つまり、その幻想がぶち殺された、というわけ。略してそげぶ。
現実の世界へと珍しくもその姿を晒したゴールデンチョコパンは、ついに一人の下級生の手に渡った。
そう、つまりそれが純ちゃんだったのだ。

私としても食べるのはもちろん見るのも初めてで。
純ちゃんに教えられるまではその存在にすらまったく気付いていなかった。
きっと今回のように購買を利用しなければ、その存在を知らないまま桜高を卒業していただろう、たぶん。
まぁ私の場合、お弁当持参が主なので購買でパンを買うという習慣がもともとなかったから、仕方ないと言えば仕方ないけど。


『わー♪幻のゴールデンチョコパン!2年にして初めて出会ったぁ!』


例のパンを発見した時の純ちゃんのはしゃぎようは今での脳裏に焼きついて離れない。
ゴールデンチョコパン云々よりも、そのパンを後生大事に胸に抱いて嬉しそうにしてる純ちゃんの笑顔の方が私には印象的だった。


(記念に写真まで撮ったしね…)


と言っても撮影中に偶然にもお姉ちゃんからメールが届いて中断させられてしまったけど。
実は本人には内緒でその後にちゃんと撮ってあげたのだ。密かにシャッターを押していたとも言う。
だって撮らないでいるのは惜しかったから、あのときの純ちゃんは――。

そう、あれはお姉ちゃんからのメールを閉じて顔を上げた瞬間――。
その瞬間、五寸釘を打たれたような衝撃が心臓を貫いた。

目の前に天使が、否、純ちゃんがいた。

真っ赤な顔で、涙目で、バッティングスタイルで立ち尽くす天使――純ちゃん。
健気にもずっとその体勢のまま待っていた彼女に愛しさを覚えると同時に興奮を覚える。
思わず鼻息が荒くなりそうになった。ふんすっふんすっと。
私はお姉ちゃんじゃないんだよ?っていう突っ込みはさて置いて。

純ちゃんマジ純ちゃん。

いつもは子供っぽいくらい元気で明るい純ちゃん。
どこかお姉ちゃんに似ているし、あの律さんにもどこか似ている。
お姉ちゃんと律さんを足して2で割ると丁度いい感じになりそう。
しかしそんな純ちゃんでも、澪さんの様にしおらしくなる瞬間があった。
純ちゃんだって女の子だもの。

私はそのギャップに堪らなく興奮していたのだろう。出会ってから初めて見せるその姿に。
今にも泣きそうな顔で、プルプルと体を震わせながら、しかも微妙に俯き加減からの上目遣い。
何この可愛い生き物って思った。その恥じらいの表情には不覚にも萌え狂いそうになった。
思わず叫びそうになる。「もえもえきゅ~~ん!!」っと。
しかしそこは鋼の精神で定評のある私。なんとか押し留まった。

とにかく思わず撮ってしまったその写真は今も私の携帯に鍵付きで厳重に保存してある。
鍵付きなのは当然誰にも見せるつもりはないからだ。
それがたとえ純ちゃんであっても――。


(私だけが見れればそれでいいもんね…うふふフフ腐腐…)


ぱくぱくと勢いに乗りながらチョコパンを頬張る純ちゃんを見つめながら不当な考え事は続いた。
しかしふとした瞬間にハッとして、首を横に振り、自分の思考回路を呪う。


(……な、何バカなこと考えてるの……?)


おかしい。私は今、純ちゃんに対して明らかに異常と思える心情を示した。
これをおかしいと思わず、何をおかしいと思えというのか。
今までこんなことはなかったのに、いきなりこんな…。


(…なんで…?)


思えば、お花見があったころから微妙に純ちゃんを見る目が変わった気がしないでもない。
あの日何があったかどうしてか思い出せないんだけど、心と体には思念のように残留していた。
純ちゃんの優しさを――。
温かなぬくもりを――。
確かに感じていた。


「……」


正直、今はどれだけ考えようと答えは出そうにない。
思考は行ったり来たりして、堂々巡りを繰り返す。


「はぁ…」


心に巣くうモヤモヤともどかしさから、思わず溜息が漏れる。
それと同じくして、純ちゃんの手がピタっと止まった。
どうしたんだろうと思って、考え事を中断し目を向ける。
純ちゃんはチョコパンから口を離し、口と眉をへの字に曲げてフゥっと息を付いた。
それから一声。


「やっぱ量多いかも。ゴールデンだけでよかったかなぁ?」


その声色から察するに、お腹がいっぱいになってきたのだろう。


「他のは食べられそうにないの?」


心なし首を傾けて質問すると、


「う~ん」


さすさすとお腹を撫で回しながら具合を確かめる。どうやら自分でもよく分からないらしい。
眉間にしわを寄せながら考えこんでいる。食べてみなくちゃ分からないって顔だ。


「微妙なところだね」
「そっか…もぐもぐ…私はまだ大丈夫だけど」


私は普段からそんなにたくさん食べるわけじゃないので、食べようと思えば多めでも何とか頑張れる。
しかも今朝は時間の都合で本当に軽い食事しかできなかったので、お腹は十分に空いていたから。
チョコパンを食べ終わっても、あと1個くらいなら余裕で入りそうな感じだ。


「まぁ、大食いの人なら余裕だろうけど」
「そうかもね」


でも残念ながら私たちはそのカテゴリーには当てはまらない。
よくテレビで見かけるフードファイターの人達とでは天と地ほどの差があるだろう。
正直、いったいどこに食べたものを詰め込んでいるんだろうと不思議で仕方がない。


「私たちみたいな花も恥らう乙女にそれは無理ってもんですよ!」


ふんすっ!と鼻から荒い息をついてドヤ顔でそういう純ちゃんに、私はぷっと吹き出した。
思わず写真を撮りたくなる可愛さ、でもそれ以上に面白くて和んでしまう。癒されてしまう。


「ふふ♪何それ?」
「むむっ、私は乙女じゃないとでもいいたいのかー!」
「………そんなことは、ないと思うよ?」
「あれ?その間はなんですか?ていうかなんで疑問系?」


私達は見つめあいプっと吹き出して笑い合った。笑って笑って笑い倒して。
こんなに楽しい時間を共有できる幸せ。おかげで日頃の鬱憤とか疲れが一気に吹っ飛んでしまう。
純ちゃんとの楽しくて優しい時間――ずっと続いて欲しいと思った。
それは私にとって掛け替えの無い時間であり、癒しを求める心の清涼剤だったから。


「はぁ…ふぅ…、少し笑い疲れちゃったよ」
「ははっ…そうだね…ホントに」
「笑いすぎたらなんかお腹空いてきちゃったかも」
「そう?」
「うん!」


純ちゃんはチョコパン最後のひと欠片を口に放り込んでもぐもぐごっくん。
そして牛乳をゴクゴクと飲んで、プハァ~っと豪快に息を付いた。


「くぅ~♪最っ高!」


花も恥らう乙女の豪快な食べっぷり。
“花も恥らう乙女”の部分が霞んでるような気がするけどそこは突っ込まない方向で。


「んっん~♪」


鼻歌混じりにご機嫌な純ちゃん。先ほどまでの満腹感一歩手前のような表情は見て取れない。
牛乳のパックを机に置いて、お次は未開封のやきそばパンに手を伸ばした。
手際よく開封し、中身を半分くらいまで取り出し、パクッと噛み付く。


「やっぱり食べるんだ?」
「まぁね~、まだぜんぜん余裕だったみたい」


にししっと無邪気な笑顔で焼きそばパンをもきゅもきゅと頬張る。
豪快な食べっぷりだった。よく見ると口の端に焼きそばの切れ端が見事にくっついていた。


「ふふ♪」


思わず笑みが漏れる。純ちゃんらしいなって。
きっと気付いていないだろうと思って、手を伸ばして焼きそばの切れ端を取って上げる。
教えるだけでもよかったかもだけど、何故か口より先に手が出ていた。


「うん?」
「焼きそば、くっついてるよ?」


指の先についた焼きそばを見せつけると、途端に純ちゃんは顔を赤らめた。


「あ、ありがと」


それから少し俯き気味にお礼を言う。
その愛らしい姿に胸がキュンキュンするのは私が彼女を特別に見ているからだろうか。
そんな風に思ってしまい、なんとなく気恥ずかしくなってパッと顔を逸らす。


「……」
「……」


無言で居た堪れない。でも何と無くいいムードが私達の間に流れている。
チラっと横目で様子を伺うと、瞬間視線が交差する。純ちゃんも同じように私を見ていた。
それに気付き、ハッとして、どちらともなくまた顔を逸らす。そしてさらに顔が熱くなっていく。
何やってるんだろうとは思ったけど、こういった雰囲気に不慣れな私にはこんなときどうしたらいいかなんて分かるはずもない。
ドキドキと高鳴る心臓の鼓動。何とか気を紛らわそうと目を向けたのは自分の指の先。
そういえばさっきの焼きそばが手にくっついたままだったなと思って、何の気なしにその焼きそばを口につけた。
純ちゃんの口元に付着していたその焼きそばを――。


「あっ」


純ちゃんが驚いたような声を上げた。私もハッとする。今、私は何をした?
顔を上げると、赤い顔でぱくぱくと金魚みたいに口を開ける純ちゃんが見つめていた。
その意味を理解するのに時間は必要としなかった。私の顔も完熟トマトのように一瞬で真っ赤に染まる。


(なに恥ずかしいことやってるの私ぃいい!!)


内心叫び声を上げながら、のた打ち回りたい気持ちを抑えて頭を振り乱す。
青春の一ページみたいな、恋人同士のきゃっきゃうふふみたいな、そんな嬉し恥ずかしいイベント。
こんなの他人に見られたらまず間違いなく勘違いされてしまうだろう。


「何ラブコメってんの?バカなの?死ぬの?爆発した方がいいんじゃないアンタたち?」


そんな恨みや妬み、嫉妬などの負の声がどこからともなく聞こえてきそう。
ってあれ、今本当に聞こえてきたような。どこから?
いや、すぐ傍からしたような、しなかったような?
具体的に言えば私と純ちゃんのすぐ横から聞こえた気がしたけど、気のせいかな?
まぁ気のせいだよね。そういうことにしておこう。そうしよう。うんそれがいい。

とにかくこんな小恥ずかしいことを平然と仕出かした私に誰か首吊り用ロープを!
プリーズキルミー!!


「もう、憂ったら」


頭を振り乱しながら錯乱状態の私に、純ちゃんが苦笑気味にそっと手を伸ばしてきた。
あっ、と思ったのも束の間、純ちゃんはポンポンと頭を軽く叩き、そしてすぐに優しく撫で始める。
同時に、さきほどまで感じていたざわざわとした胸のわだかまりが解きほぐされていく。
その代わりに心に湧き上がってくるのはほわほわとした温かな何か。
まるで私のすべてを優しく包み込むように、それは私の心の奥底に根付き始める。


「憂ったら気にしすぎだよ」
「そ、そうかな?」
「そうだよ」


私は借りてきた猫みたいに大人しくなって、ただ黙って撫でられ続けていた。
顔が熱くて真っ赤で。心地のいい胸の高鳴りを感じていた。
そして私は思う。
願わくば、この優しい時間がずっと続きますようにと…。


「そんなに気にしなくていいんじゃない? 女の子同士なんだし」
「そ、そうだね…うん、そうする…」


確かに、純ちゃんの言うとおりだよね。
女の子同士ならこんなのスキンシップのうちの一つだと思えばなんてことはない。
こんなにギャーギャー騒いだら、逆に意識しまくってるって思われちゃう。
純ちゃんを特別視してるってバレちゃうよ。


「もしかして私のじゃ嫌だったとか?」


つまりそれは、純ちゃんの口にくっついた焼きそばが嫌だったと聞いているわけで。


「そ、そんなことないよ!? 純ちゃんのなら大歓迎だよ!」


もちろん私は否定した。即答した。身を乗り出して全身でそれを表現する。
そんな私に圧倒された表情をしたのも一瞬で顔を逸らしぽりぽりと頬を指で掻く。


「そ、そんな風に言われると恥ずかしいけど…でもありがと」


大いに照れる純ちゃんの表情にドキューンと心臓を打ちぬかれた私が通ります。
口にくっついたのどころか口の中に入ったのだって大歓迎です、いえす。
とはさすがに言えない。言えるわけがない。


(さっきの焼きそばだって…なんとなく純ちゃんの味がしたような、しなかったような…)


“純ちゃんの味”か…なんとなくエッチな響き、ちょっと興奮するかも…。

って、そうじゃなくて!
とにかく純ちゃんのならなんだって大歓迎だよって話なの。
少し思考が暴走していたことを今更ながらに気付いた。
これじゃさっきと一緒じゃないか。


(……おかしいなぁ……)


もちろんおかしいのは自分の思考回路。今までの私ならこういうことはなかったのに。
内心溜息の嵐。何だかここ最近自分はおかしいと自覚せざるを得なかった。


(まるで自分じゃないみたいな)


誰かに似てると言われればそう、今の私はまるで梓ちゃんみたいだった。
梓ちゃんがお姉ちゃんを求めるあの病的なまでの生き方に。


(もしかしてあの二人の毒気に当てられて、私までおかしくなっちゃったとか?)


ありえないとは思った。けど、どうしてだろう。何故か否定できない何かを感じる。
私もいつか梓ちゃんみたいに「純ちゃんスキスキー!」とか言い出すんじゃないかと気が気じゃない。

ふいに、純ちゃんの手の平が頭から離れる。


「まぁとりあえずこの話はここまでにして、お昼食べちゃお?」
「う、うん。そうだね」


純ちゃんの気遣いが心に染みる、そんな午後のひととき。
今はまだ考えるときじゃない。そう瞬時に思い直しパンを食べるのに集中した。

私の純ちゃんに対する気持ちが特別だっていうのは分かるけど、
それがどういう気持ちなのかはまだ分からない。梓ちゃんと同じなのか違うのか。
ただ一つ言えることがあるとすれば、私は梓ちゃんみたいにはなれないし、なる気も無いってことだけ。
私は私だもの。平沢憂として、いつかこの気持ちになんらかの決着をつける。
そんな日が遅かれ早かれきっとくるはずだから。

だから今はまだ、この一瞬を大切にしながら生きていこう――。



さて、ここから先は穏やかなお昼が過ぎるのかと思えばそうじゃなかった。
終わってくれれば良かったのにと思わざるを得ないが、そうは問屋が卸さないのがお約束。
ここから先は待ったなし。地獄へのカウントダウン。天国から地獄へと急降下しなくちゃいけなかった。
それもそのはず。私はまだ触れていない話題があった。
最初に触れるべきであったのにもかかわらず、触れることを恐れて見てみぬ振りをしていた事。
今まさにそれが明るみに出ようとしていた。


「ところでさ」


運命の歯車は急速に回り始める。
純ちゃんが何かに気付いたように、ある一点に目を向け、怪訝そうな顔をする。
そこは暗黒のオーラが漂っていた。
出来ることならそちらには目を向けて欲しくなかったと思わずにはいられない。


「う、うん?」
「梓はさっきからずっと黙ってるけど、どうしたの?」


ついに純ちゃんはその名を口にしてしまった。これでもう後戻りできなくなった。
何と無く触れちゃいけないような気がしていたのでそっとしておいたが、どうやらそうも言ってられないらしい。
疑問符を浮かべる続ける純ちゃんの瞳が、梓ちゃんから私の瞳へと移り、ロックオンして離さない。
実のところ、純ちゃんにはまだ梓ちゃんのことを説明していなかったのだ。


「えーと…それは…」


別に隠すようなことでもないので話すのは構わない。
けど梓ちゃんの前だ。言葉は選ばないといけない。


(下手なことを言って梓ちゃんの傷を抉るわけにもいかないし…)


さてどうやって説明したものかと思って何気なく梓ちゃんの方に顔を向けた。
しかしそれが間違いの始まり。そうした瞬間、心臓が止まるかと思った。
正確に言えば、息が詰まって呼吸するのを忘れてしまった。


(こわっ…!)


梓ちゃんは無言&無表情、しかも死んだ魚のような目で私達をじっと見つめていた。
背後に見えるドス黒いオーラはこの際気にしないにしても、それを抜きにしても恐怖心が先に出る。
その手に握られた黒い物体、ゴールデンチョコパンはまるで鈍器のように見えてならない。


「おーい梓ー? 元気ないけどどうしたー? ちゃんと見えてるかー? おーい!」
「……」


空気の読めない純ちゃんが、冥王と化した梓ちゃんの顔の前でパタパタと手を振る。
瞬きどころかまったく微動だにしない梓ちゃんが無駄に恐怖心を煽る。


(ダメっ!やめて純ちゃん!今の梓ちゃんを不用意に刺激したら――!!)


思うくらいなら口にしたらいいけど、それが出来ないヘタレな私。
しかし純ちゃんは私の心情を知ってか知らずか、地雷が沢山埋まった平原を何も考えずに突き進んでいく。
地雷を物ともしないその勇敢な姿。恐いもの知らずなところは見習いたい気がしないでもない。
しかしそれとこれとは話が別。
普通に考えれば、地雷を踏むことなく突き進むなんてありえないし無謀な話なのだ。
世の中、そんなに甘くは出来てない。


「あっ、もしかして唯先輩がいないから元気でないとか?」


案の定、ついに純ちゃんは地雷のど真ん中を踏み潰してしまう。
しかしまだ爆発はしない。どうやら時限式の爆弾らしい。でもそれも時間の問題だった。
不発ならそれに越したことはないけど、そんな都合のいいことが起こるわけがない。


「…っ…」


梓ちゃんの体が一瞬ピクンと反応した。ギリっと歯軋りの音が聞こえたのは気のせいではないと思う。
当然それを見逃す純ちゃんじゃない。彼女はニヤリっと笑みを漏らす。図星だと悟ったようだ。
出来れば悟ったままで終わらせてほしかった。もしかしたら運命が変わっていたかもしれないから。
でも、それを口に出して言わなきゃ気がすまないのが純ちゃんという女の子であるからして。
つまりその、純ちゃんは見事に地雷の爆発に巻き込まれてしまった。


「あはは、梓ってば意外とお子様だね~。いっつもベタベタしてるんだし2、3日くらい我慢しなよ。きっと唯先輩だって梓のこと忘れて楽しんでるって」


今の梓ちゃんに言ってはならないひと言、堂々の第一位。
その発言が引き金となったのは言うまでもない。

ぶちんっ!

嫌になまなましい音が教室中に響いた。
その音がどこから聞こえてきたかなんて、正直考えたくもない。
これからの惨事を想像するだけで身震いが止まらない。


願わくば、血の雨が降りませんようにと――。




つづく
[ 2010/12/29 00:04 ] 未分類 | TB(0) | CM(15)
いや〜憂純もいいですね!!
なんか見ててほほえましい光景でした^^

最初梓いたはずなのに全然喋らないから途中で本当に最初からいたのか見直しちゃいましたww
もう完全に梓は唯がいないとだめなようですね!!

次回も楽しみにしてます^^
[ 2010/12/29 00:37 ] [ 編集 ]
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[ 2010/12/29 03:36 ] [ 編集 ]
純・・・・・・・南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・・・
どうか、梓・・・・いや、魔王の鋭い爪などで、血祭りにあげられていない事を祈りますね・・・ww
でも、この回でも吹きましたね・・・・・・・最初は梓の妬みの声がレールガンの引き金ですよ・・・・・んで、梓登場で・・・・・・・・・・はいpcの画面ドンマイものですww
あ、pcドンマイ物は純の梓への快進撃あたりです
梓の雰囲気+憂の心の声ではまだ重症には至らないようにわずかなHPをプルに使ってましたよww

とりま、次回作に期待です(@ω@
[ 2010/12/29 05:34 ] [ 編集 ]
純ちゃんを想う憂ちゃんマジ憂ちゃん。
そして明かされた新たな病あずにゃん病。愛する人を想うあまりバケモノと化してしまうんですねw某伝説超サイヤ人「オレがバケモノ?違う、オレは悪魔だぁ」

次回は波乱の予感……オラ、わくわくすっぞ!
[ 2010/12/29 06:42 ] [ 編集 ]
お疲れ様です^^

予想外の憂純タイムでしたねwまさに憂に対してのごほうびタイム♪やっぱり憂には純ちゃんがいないとですね☆桜華・・の時のときめきもよみがえりました!素晴らしいです。

さて、あずにゃん・・こわいです(ガクガクブルブル)
一体どんな展開になるのでしょう!純ちゃんの運命は?!八つ裂きにされないことを祈ってます(汗)
[ 2010/12/29 14:04 ] [ 編集 ]
純ちゃんェ・・・

中盤から梓が空気になっちxたったからもう最後まで出てこないんじゃないかと思ったらwwwけどこんな2人を目の前で見てたらこんなになっちゃうのも分からなくはない・・・ww

憂純はやっぱり可愛いですね!もう本当になんでこんな甘甘な空気出してるのにこの2人と言ったら・・・
[ 2010/12/29 21:51 ] [ 編集 ]
2年生トリオ好きなんで楽しく読ませてもらったんですが…

唯先輩がいないあずにゃんがかわいそすぎます(;ω;)
最後は純ちゃんの空気を読まない(むしろ読んでる?)発言に暴れ狂ってますがww



憂純のラブラブっぷり見せられ、唯先輩とは会えない散々なあずにゃんをこれからも応援しますwww
[ 2010/12/30 03:38 ] [ 編集 ]
えっと、リンクに追加させていただきました
これからも、よろです^^
[ 2010/12/30 04:12 ] [ 編集 ]
なんという甘甘な憂純ですか!
素晴らしいです・・・。

それにしても梓怖ッ!?
唯成分が足りない梓は何をするかわかりませんねw
[ 2011/01/01 17:38 ] [ 編集 ]
新年、明けましておめでとうございます!
ご挨拶が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
今年もよろしくお願い致します!
やっと!年を越してやっと、金たろうさんの書かれた誕生日SSを読ませていただく事が出来ました!
前半から中盤での梓やムギのぶっとび具合でPC前で笑いを必死で堪え、中盤から後半にかけての展開での師匠の導く姿に感動し、梓が告白を決意するまでのシリアス展開での心情変化にドキドキした後、二人が結ばれてジーンと来てしまった私でした。
そしてその後のR18…さすがのエロさにもう何も言う事はありません…圧巻でした。
そして更に、梓と純のおっぱい戦争が…正直、腹を抱えて爆笑致しました!
これを17日間で完結させた金たろうさんに敬礼(`・ω・´)ゞビシッ!!
いや、本当に尊敬致します。
随分と時間が立ってしまっておりますが、お仕事もお忙しい中本当にお疲れ様でした。

そして…修学旅行!
憂の視点で進んでゆくお話に、唯梓はもちろんの事、憂純の香りがプンプンして正直言ってたまりません!
出発前に憂が掛け布団を取り上げたシーンなど…「私も拝みてぇ!!」と思ってしまいました。
憂が純に対して段々病的になっていくかと思うと、かなり楽しみです。
そして、残されたあずにゃんも気になる…w
続きの楽しみを糧に、私自身も頑張ろうと思います。

最近天候が悪く、寒い日が続いております。
お体には充分気をつけて、リアルのお仕事もこちらのお仕事も頑張られてください。
長文、大変失礼致しました!
[ 2011/01/05 22:37 ] [ 編集 ]
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今年もよろしくお願い致します。

やっと!年を越してやっと、金たろうさんの書かれた誕生日SSを読ませていただく事が出来ました!
前半から中盤での梓やムギのぶっとび具合で笑いを必死で堪え、中盤から後半にかけての展開での師匠の導く姿に感動し、梓が告白を決意するまでのシリアス展開での心情変化にドキドキした後、二人が結ばれてジーンと来てしまった私でした。
そしてその後のR18…さすがのエロさにもう何も言う事はありません…圧巻でした。
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最近天候が悪く、寒い日が続いております。
お体には充分気をつけて、リアルのお仕事もこちらのお仕事も頑張られてください。
長文、大変失礼致しました!
[ 2011/01/05 22:42 ] [ 編集 ]
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[ 2011/01/05 22:43 ] [ 編集 ]
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