ゆいあず誕生日記念!※後日談
※追記からどうぞ!
11月29日、朝――。
月曜日の朝は憂鬱だ――なんて1週間前の私ならまず間違いなくそう言っていたはず。
しかし今の私は先週までの私とは違い、憂鬱の“ゆ”の字も感じていなかった。
それどころか、目に映る全てのものが別世界に見えるほど、気分が高揚しきっていた。
端的に言えば、幸せの絶頂期である。
「憂と純もこんな気持ちだったってことか…」
机に頬杖をつき、ハァっと溜息をつきながら物思いにふける。
なるほどどうして、今になってようやくあの二人の元気の秘訣を身をもって思い知った。
憂鬱な気分なんてお空の彼方へとお引越し。バイバイと手を振って笑顔でお見送りさ。
憂鬱の変わりに大気圏を突き抜けて私の元までやってきたのは果てしない爽快感。
その爽快感を全身で受け取めた私は、私ではない何かに変わった。
もはや1週間前の私なんて欠片も存在していないってことだ。
私は生まれ変わった。そう、新しい存在に。
――NEW中野梓に。
「ふぅ…」
一息つき、自分の席から立ち上がり、軽やかな足取りで窓際へと歩を進める。
窓を通して見える空は雲ひとつない青空。まるで今の私の心を表現しているようだ。
先週までの私なら、空を見上げるのも億劫になるほどの憂鬱気分だったというのに。
人間、変われば変わるものだなと、私はしみじみ思った。
変われたのはやはりあの人のおかげだろうと、ふとあの人の笑顔を思い浮かべる。
天真爛漫で純粋無垢という言葉が似合うその人は、私の生涯の伴侶にして人生のパートナーになった。
その人の名は――平沢唯。
「くふっ…」
思わず笑みを押し殺したような声が漏れた。
ふと思い出されたのは、先日の土曜日から日曜日にかけてのふわふわ時間。
土曜日で終わるかと思われた唯先輩との同棲も、日曜日ということで延長戦に突入し、お泊り会へとあいなった。
平沢家で行われた誕生日パーティーの後、私はそのまま唯先輩にお持ち帰りされ、自室へと連行された。
いや、もしかしたら私のほうがお持ち帰りしちゃった可能性もなきにしもあらずだけど。
まぁそれはそれとして。
その桃色閉鎖空間で何が行われていたかなんて、今更いうまでもないですよね?
「くふっ…ふぅっ…にゃはっ…」
思い出すだけで顔がにやける。
口元がプルプルと痙攣し、笑いを堪えるので必死だった。
傍から見たらニヤニヤした危ない人だ。
こんな顔を誰かに見られたら変人の烙印を押されかねない。
このままじゃ私、痛い人になっちゃうよ!お願い誰か私を止めて!
そんな願いが通じたのか否か、ふいに私の肩をぽんぽんと叩くものあり。
振り向くとそこには、もはや珍しくも何ともない憂純コンビがいた。
彼女らの前にはニヤニヤを押し殺したような滑稽な顔。それはもちろん私のものだ。
二人は私の顔を見るなり、頬を引き攣らせた。まるで汚物でもみるような、とっても失礼な顔で。
親友の顔見てそんな顔するなんて失礼にもほどがある。お前らいったい何様さ!
と、言いたかったけど、ほくほくニヤニヤモードの今の私の顔を見られたのだから仕方がないと言えば仕方がない。
純は顔を引き攣らせながらも、恐る恐る「あ、梓…?」と名前を呼んでくる。
何そのクエスチョンマーク?もしかして中野梓にすら見えないってこと?え?ウソ?
「ちょ、やめてよ…私はれっきとした中野梓だよ?」
私が田井中律にでも見えるっていうの?
ニヤニヤしてたからってあの人の顔になるっていうの?
「そ、そうだよね、うん、分かってた、分かってたよ……たぶん」
たぶんって何!?それってどういうこと!?ねえ!!
「も、もう純ちゃん、冗談はもうそれくらいに……ジー」
「わ、分かってるんだけどさぁ……ジー」
ジーーーーッと、二人の視線が私の顔面に突き刺さる。
「ぅ…」
そんな顔で私を見ないで!そこまで私の顔はひどいってことですか!?
やめてぇぇぇえええ!私のライフはもう0よぉおおお!!!
なんて思ってみたが、よく考えたら見られたのがこの二人で実は運がよかったのかも。
これで他の人に見られてたらと思うとゾッとする。明日の朝日は拝めなかったかもしれない。
ふいに、純がオホンっとワザとらしく咳払いした。
「そ、それで? あんた朝っぱらから何ニヤニヤしてんの?こういっちゃなんだけど、マジでかなりキモイよ?」
「キモっ!?」
ショック!?さすがにキモイはないんじゃない!?
女の子の顔見てキモイなんて、死んでも言っちゃいけないセリフだよ!?
私のガラスのハートが粉みじんに砕けそうだよ!ていうか砕けたよ!!
「あはは…」
顔を引き攣らせたまま苦笑いの憂。
「あ、あれ?憂さん?」
どうしてそこで否定してくれないんですか?
そこは否定するとこですよね?「そんなことないよ!」って。
あれあれ?もしかして憂さんも私のニヤケ面キモイとか思ってる?
あれ?おかしいな…何だか目尻が熱くなってきたよ。
「うぅ…」
ねぇ泣いちゃうよ?
私泣いちゃうけどいいの?
「梓、今日はずいぶん元気だね」
マジで泣いちゃう5秒前の親友を捕まえて「元気だね」はないんじゃない?まぁ実際元気だけどさ。
落ち込んだふりして実はかなり元気いっぱいのつやつやテカテカだけどさ。
そんな声に出さなくてもいいじゃない。心の中に留めておこうよ、親友ならさ。
「えーっと…」
さて何て返答しようかなと、汚れたピンク色に染まった頭で考えてみたのだが…。
えてしてこういう時に限って中々いい言葉が思いつかない。
ここは正直に唯先輩とチョメチョメ的な何かがあったと答えるか?
いや、それはさすがにひどいよね。下手したら痴女として崇められそうだ。
うーん…と海よりも深く悩みこむ私を他所に、
「ほら純ちゃん、梓ちゃん昨日はお姉ちゃんと――」
憂が珍しく空気の読めない発言をした。
「ちょっ、う、憂…!」
まるで見ていたと言わんばかりの的確な物言いだった。
その一言で全てを悟ったように、ピコーンと頭に電球を光らせる純。
「ああ…なるほどね」
妙に納得げの表情で、ニヤつきながらうんうんと頷く。
そのニヤついた視線から逃れるようにプイッと顔を逸らした。
やれやれ、顔が熱い。
「さくばんは おたのしみ でしたね」
「あんたはドット絵の宿屋の主人か!?勇者もびっくりだよ!?」
ていうか懐かしいなぁおい!!と、そんなツッコミはさておいて。
なかなかどうして、純の発言はかなり的を得ていた。
どう考えても、もう誤魔化しなんてできそうにない。
この二人は完全に私と唯先輩がそう言う事をしたと悟ってしまっている。
「でもホントのことなんでしょ?そんなに顔テカテカにしちゃってさー」
「…そ、それは…ま、まぁ…」
「ほーら、やっぱり」
誤魔化せないのならもう諦めようと、私は素直に唯先輩との関係を認めてしまった。
そりゃもうお楽しみだったさ。
人生で二度ないかもしれないくらいお楽しみタイムだったよ。
日曜日なんて朝から晩まで唯先輩のおっぱいに埋まってたって言っても過言じゃないしね。
だってさ、あの膨らみに埋まってるだけで時間忘れちゃうんだよ?
ハチャメチャが押し寄せてきちゃうんだよ?どうしろってのさ?
「やっぱ唯先輩のおっぱいは世界一だと思うんだよね」
すべては唯先輩のおっぱいが招いたこと。
張り、柔らかさ、感度、その他もろもろ、全てにおいて一級品の代物が二つ。
そんなものを私の前に無防備にぶら下げてる方がいけないのだ。
喰ってくれと言っているようなものだもの。
「…なんか語りだしたよ…」
「…あはは…」
唯先輩のおっぱいに敵うおっぱいなんてこの世のどこにもない。あるわけがない。あってたまるかバカヤロー。
あの至高のおっぱいはもう私だけのもの。誰にも触らせないし。渡すなんてもってのほか。
ちゅっちゅしていいのも。ペロペロしていいのも。クリクリしていいのも。もみもみしていいのも。
この私、中野梓だけ。ビバっ!ゆいっぱい☆
「どうやら梓は、唯先輩のおっぱいに夢中みたいだよ?そこんとこどうなの妹として」
「ええ!どうしてそこで私にふるの?ま、まぁ…い、いいんじゃないかな…恋人同士なんだし…」
「そりゃそっか。恋人だもんねぇ。それに私だって憂のおっぱいでパフパフタイムだしね♪」
「ぶふっ!? な、何言ってるの純ちゃん!」
「感度も抜群だし、先っちょクリクリしてあげるだけで甘ったるい声だしちゃってさー」
「や、やめてよ~!そ、それ以上言っちゃだめー!」
「おっぱい弄るのやめちゃうと、うるうるしながら『もう終わりなの?』みたいな顔で見てくるし。正直たまりません!」
「いやあああ!!」
「やっぱ憂のおっぱいって最高だよね。憂のおっぱいに敵うおっぱいなんてあるわけないよ!よっ、世界一!」
瞬間、ピシッ――!と言う音を立てて、教室の温度が一気に急降下した。
それを真っ先に感じ取ったのは憂で、ゴクリと息をのむと、たらりと頬に冷や汗が伝う。
さらに他にも異常を察知した数人のクラスメイトが、こちらの様子を何事かとチラチラと伺っていた。
一触即発の空気の中、先に動いたのは私だった。
「ねぇ純?今何て言ったの?なんか憂のおっぱいが世界一とか聞こえたんだけど…もちろん聞き間違いだよね?」
「聞き間違いじゃないよ?憂のおっぱいは世界一って言った。当然でしょ?」
ビキっと、こめかみ辺りに青筋が立った。
「はぁ?何いってくれちゃってんの?憂のおっぱいが至高?バカなの?死ぬの?」
「死なないよ!なに?私は当たり前のこと言っただけだけど?」
私と純の視線が絡まり、バリバリバリ!っと火花が散った。
世の中、引けない戦いというものは確かに存在するのだ。
サイは投げられた。もはや止められるものは誰もいない。
憂が横からわーわーと喚いているが、私達の耳にはまるで入っていなかった。
全ての音、声をシャットし、目の前の「敵」に集中する。
脳が命令を下す。目の前の「敵」を倒せ倒せ倒せ倒せ、と。
そして今、ゴングが鳴り響いた。
「バカ言わないで!唯先輩のおっぱいが一番に決まってんじゃん!」
「はぁ!?バカじゃないの!?どう考えても憂のおっぱいの方が一番でしょ!一枚も二枚も三枚も上手だよ!」
「ありえないし!憂には悪いけど、こればっかりは引けないよ!唯先輩のおっぱいが世界一だっつーの!」
「あはは!笑わせないでよ!憂のおっぱい見たことあるの?ないでしょ?憂のおっぱいの方が大きいし、形だって最高なんだから!」
「はいはいそこでもう負けてるよー!形は大事だけどおっぱいは大きさじゃないっつーの!あんたこそ唯先輩のおっぱい見たこともないくせしてよくそんな大口たたけるね!あれはもう神が生み出した一種の芸術なの!分かる!?」
「分かってないね梓ァ!大きさだって必要不可欠な要素なの!まぁ万年洗濯板の梓じゃ分からない世界だろうけどね、くふっ☆」
「なぁっ!?人の胸見て笑い堪えんな!このうすらとんかち!」
「うすらっ!?ま、まぁいいよ、私は梓みたいなお子ちゃまとは違うからね。許してあげる。それと憂のおっぱいはね、大きさ、形、感度、張り具合、すべてにおいて最高級の一品なの。そんなの唯先輩には逆立ちしたってマネできないでしょ?」
「ちょー余裕だし!さっきも言ったけど大きさなんて関係ない!あのふわふわもちもちした感触、手に馴染むようなお椀型、その先っちょでぷりっと弾けるグミみたいなさくらんぼ、吸い付いたときに見せる蕩けた表情、甘ったるい声、それら全てが生み出す究極の美!それこそ憂にはマネできないでしょ!」
「楽勝だね!そんなの憂には当たり前すぎて欠伸がでそうだよ!まぁ唯先輩より格段に大きいから、手から零れ落ちそうになっちゃうのが玉に瑕だけどね(笑)」
「くっ!だ、だから大きければいいってもんじゃ――!!ふ、ふん!じゃ、じゃあ純はおっぱいスポンジしてもらったことあるの!?」
「っ! な、何よそのおっぱいスポンジって!」
「あれあれ?大口叩いてるわりに全然分かってないねぇ?おっぱいスポンジっていうのはその名の通り、おっぱいをスポンジにして背中を洗うお風呂での奥義!知らないの?こんなの一般常識だよ?」
「もっももっもちろん知ってたし!そんなの常識だよねー!わ、私なんて背中どころか前もおっぱいスポンジされちゃったよ!」
「んなっ!?ま、前も…だと…?わ、私なんて背中しか…ってげふん!げふん!わ、私だって前もしてもらったもん!」
「ふーん、まぁいいけど。それにさ~感度なんてよすぎて圏外でも余裕で電波3本立っちゃうくらいだよ!両方のさくらんぼ指で挟んであげるだけで、砂糖よりも甘ったるい声が耳元で響くの。脳細胞が死滅するとこだったよ!」
「甘さなら唯先輩の方が上に決まってるし!私のざらついた猫舌でコリコリしたさくらんぼを撫でてあげるだけでトロピカルジュースも真っ青な甘く蕩けるような声が全神経を痺れさすんだよ!?私なんて全身の血管がパーン☆するかと思ったくらいだよ!なんせうちの唯先輩天使ですから!地上に舞い降りた天使ですから!ラブリーマイエンジェルゆいたんですからぁああ!!!」
「そんなものラブリーマイエンジェルういたんに敵うはずないでしょうがぁぁああ!!」
「ああそう!もういいよ!これ以上純と話しててもらちがあかない!こうなったら師匠に決めてもらおう!どっちが上かをね!」
「ムギ先輩のとこね、いいわよ!ま、勝負なんて始めっから見えてるようなものだけどね!」
「唯先輩が勝つし!」
「憂だっつーの!」
「唯先輩!」
「憂!」
長い長い長~い口論もひとまず終結……するはずもなく。
私と純は、真っ赤な顔して止めに入ろうとしていた憂の制止を振り切って教室から飛び出していった。
全速力で駆け出す私たち。もちろん行き先は2年生の教室。ムギ師匠のところだ。
「師匠!」
「ムギ先輩!」
「「私を導いてください!」」
まぁ結果から言えば、私達のおっぱい戦争は決着が付かずに終わってしまった。
2年生は朝のHR真っ最中。そうとも知らずに教室に乱入した私たちは、当然のように先生に叱られるのだった。
そしてその後、私と純はクラスメイトから敬意を込めてこう呼ばれるようになる。
『おっぱい皇帝☆中野梓』
『おっぱい帝王☆鈴木純』
不名誉極まりない称号だった。
【あとがき】
というわけで番外編1でした~♪
「唯の梓がこんなに変態なわけがない!」
とりあえずその一言に尽きるお話じゃないかとw
純の方も憂のおっぱいが世界一だと信じて疑いません。
お互い、引けない想いがあるなら衝突は必至です。
なんて、かっこいいこと言ってみても結局はバリバリの変態モードですがw
番外編2は憂純週末編になるかと思います。
ま、楽園といっても学校で授業中に行くんだけど…今耐えれれば・・・・まさか、鼻血までは・・・・ないよね?ww
とりま、すごく吹きましたwwww
まさかの、ホームルーム中に出ていったあげく先生からのお叱りなんて・・・・・wwwww
ま、二人の愛がすさまじかったんでしょうねww
あと、番外編1とかいてあるんですが・・・・・2があると期待していいんですよね!?
しちゃいますよ?馬路でしちゃいますよ?
とりま、学校で鼻血まで出しながら行かないようにちとあた・・・まひや・・・し・・・て・・・・・・きま・・・・す・・・・・・・・・・