とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

ゆいあず!!シリーズSS EP03『夢見る乙女と求婚騒動 前編 ~亡き女を想うと書いて妄想~』

※追記からどうぞ!


その日はとても静かな夜だった。
いつもはギー太の心地いい音を響かせるこの部屋も、まるで水を打ったように静まり返っていて。
音と言えるものは時計の秒針がコチコチ言う音と自身の息遣いくらいだった。


5月も半ばを過ぎ、周りはもうじきやってくる修学旅行に浮き足立っているそんな頃――。
しかし残念なことに私こと平沢唯の頭の中は、楽しい楽しい修学旅行の事など欠片も存在を許さない。
いつもの私なら、そう言った楽しげなイベント間際になると無性に胸が躍るはずだった。
遠足前の子供のようにドキドキワクワクで眠れぬ夜を過ごすのだ。

眠れぬ夜というならば、今のこの状況もまさにそれだったけど。
しかしそれはワクワクとかドキドキとは程遠いもので。
まるで歯に挟まった魚の骨が中々取れなくてイライラしているような。
そんなもどかしさで胸がざわざわ言っている。

どうせ眠れぬ夜を過ごすなら、あずにゃんとにゃんにゃんしていた方が幾分かマシに思える。
いや、すでに比べる方が間違っていた。
ていうかあずにゃんとにゃんにゃんすることを天秤にかけるなんて何様さ。
さすがの私も怒っちゃうよ? あれ? この場合自分に対して怒らなきゃいけないのかな?かな?

何にしても、あずにゃんとのにゃんにゃんは全てにおける最優先事項。
あずにゃんとにゃんにゃん。略してあずにゃん。あれ?そのまんまだね。
どうやら私、あずにゃんにとてもエッチなあだ名をつけていたようです。

あずにゃんとにゃんにゃん――。
したいなぁ…。したいけど、残念な事に今夜は私一人。
毎日のようにお互いの家に泊まっているわけじゃないから別に珍しいことでもないけど…。
あずにゃんが隣で眠るのが当たり前になりつつあるせいか、ベッドが少し広く感じる。
それが無性に寂しかった。
しかし。

寂しさを感じる余裕が今の私に無いこともまた事実だった。


「…どういう意味だったのかなぁ…あれ…」


その呟きの意味するところは――。
それはもちろん私の悩み事、その核心への問いかけ。

確かに修学旅行も楽しみではあるし…。
あずにゃんとにゃんにゃんもしたいけど…。

今の私にはそれ以上に懸念すべきことがあった。
ただひたすらボーっと、その「ある事」について考えていた。
考えて、考えて、考えているのに。全然答えは出ない。


「うー…」


唸るような声を上げて身じろぎする。
ごろんと寝返りを打つとベッドのスプリングがギシっと鈍い音を立てて。
胸に抱えたクッションがぎゅむっと潰れた。


「あー…」


小さい唸り声を上げながら、同じように今度は反対側に寝返りを打つ。ごろんと。
もう幾度か同じ行動を繰り返し、ゴロゴロとベッドの上を転げては唸り声を上げている。
明らかにおかしな行動と言えるそれも、今の私には変だと思えるだけの余裕は無い。
思考はある一点に集中し、そこから抜け出せない。


「…」


本当にたった一つだけだった。
そのたった一つのことが頭から離れず、延々と考えて。
出口の見えないゴールを目指して思い悩む。

私の悩み事。
その理由は――。



『私の目が届く範囲にいてください!』



―――――数日前、あずにゃんに言われたその言葉が原因だった。



数日前――。
それはゴールデンウィークが終わり、ムギちゃんが退院してきてすぐの事だった。
久しぶりに5人が揃った放課後、いつも通りトンちゃんを愛でたり、ティータイムに花を咲かせていたり。
実に放課後ティータイムらしい楽しい時間を送っていたのだが、そんな中ただ一人りっちゃんだけは違っていて。
和ちゃんが持ってきた軽音部の活動記録、そのライブ映像を見た途端に「ドラムやだー!」と涙ながらに言い出した。
聞けば、理由は壇上で目立っていないからという単純なもので。
確かにりっちゃんの言う通り壇上に立つ私達の中でりっちゃんだけが照明の関係で顔が映っていなかった。
1年生の時も。2年生の時も。
映っているのはりっちゃんのトレードマークであるオデコだけという悲惨な光景。
さすがの私達も少し可愛そうに思えてならなかった。

そこで決行されたのが「輝けりっちゃん作戦!」と言う名のりっちゃん改造計画。
自分も輝きたい、目立ちたいと言うりっちゃんの決意表明から、私が命名した作戦名だった。
作戦の内容はドラム以外の楽器を演奏してみようっていうもので。
私のギー太から始まり、ムギちゃんのキーボード、そして最後は澪ちゃんのベースを…。

…と思ったけど、結局澪ちゃんのベースには手を出さなかったりっちゃん。

りっちゃんは澪ちゃんがベースを選んだ理由を誰よりも分かっていたから。
ベースは澪ちゃんそのものだと。ベースは澪ちゃん以外考えられないと。
それを理解していたからこそ、りっちゃんは澪ちゃんのベースには手を出さなかった。

それは澪ちゃんにも言えることだった。
りっちゃんが本気でドラムをやめたいなんて露程も思っていなかったから。
誰よりドラムが好きだって事もちゃんと理解していたし、
りっちゃんの笑顔を見た瞬間「ああやっぱり…」って、優しい笑みを浮かべてた。
以心伝心な幼馴染コンビ。私は素直に羨ましいと思った。


少し話がそれたけど
「輝けりっちゃん作戦!」が終わる前日、その帰り道にあずにゃんに言われた言葉がそれだったのだ。
りっちゃんがスランプになったんじゃないかと危惧した私は、りっちゃんの変わりにドラムを叩こうと密かに決意したのだが、しかし。


『というわけで私ドラム!あずにゃんの後ろでドラム叩くよ!』


そう言った私に対し、あずにゃんは首を縦に振ってはくれなかった。
そこにはまるで付け入る隙がなく、私の提案をあっさりと一刀両断してしまう。
そのとき放たれた言葉がつまり――。


『ダメです!私の目が届く範囲にいてください!』


あずにゃんはとても真剣だった。真剣な顔でそう言った。
一見無表情に見えた彼女の表情。
けど、そう言ったときのあずにゃんの顔には冗談の欠片もなくて。
本気と書いてマジだって事がこれでもかってくらい伝わってきた。
こればかりは絶対に引かないと。許さないと。
その瞳に宿る光には有無を言わせない何かがあった。

私はその瞳に心臓を射抜かれたような感覚に陥った。
思わずあずにゃんの言葉に素直に頷いてしまう。多少の反論はしたけどね。
でも、私に頷く以外の選択肢は用意されていなかった。

その時は深く考えていなかったあずにゃんのその言葉。
「輝けりっちゃん作戦!」が終わって数日経った今、何故かその言葉が突然私の脳裏を過ぎった。
それはその言葉を忘れかけていた矢先の事で、自分でも驚く位に、本当にポっと浮かび上がった。
お風呂に入りながら鼻歌交じりに髪を洗っていたその時に「ん?」と思い出したくらいだったから。
自分だって、何故今になって思い出したのか理解に苦しんだ。

分からないからこそ、今その事で悩んでいたりするんだけど…。


まぁ実際、別に悩むようなことじゃないのかもしれない。
けど、一度悩みだすと答えが出るまで止まらないのが私の長所でもあり短所でもある。
意識しだすともう手遅れなのだ。長い長い迷路を抜け出すまで私の戦いは終わらない。
いったい何の戦いだよという疑問は残るが。

果たして、出来の悪い私の頭で納得のいく答えに行き着くかどうか…。
なんだか事件は迷宮入りしそうな気がしてならなかった。
私にはどうあがいても、逆立ちしたってホームズにはなれないもの。
こんな宿題を残してくれた子猫ちゃんに敬意を込めて「やれやれ…」を贈りたい。


「私の目が届く範囲に…かぁ…」


自室のベッドに大の字に寝転がりながら、天井を見上げながらボソッと呟いた。
果たしてあずにゃんの言葉の意味するところは何なのか。
一体どんな意味を込めてその言葉を言ったのか。
悩んで、そして考える。


「…」


普通に考えれば特に深い意味はないと思う。
まだまだギターも下手くそなのに、突然ドラムとか何言い出すんだーって、あずにゃん怒っていたのかも。
突然あんな事を言い出した私に、心配で心配で仕方なくなって、目が離せなくなっただけかもしれない。
確かに普通の人ならそう考えるだろう。



でも生憎と私は普通じゃなかった。



私そんなに頭良くないから。言い換えればバカってことだけど。
特にあずにゃんの事が絡むと途端に私の頭は弱くなってしまう。つまり。

わたくしこと平沢唯は、あの言葉の意味を自分の都合よく考えてしまっていたわけです。

私が出した結論。
それは――。



「…ぷ、プロポーズだったりして…」



何をトチ狂ったのか、私はあの言葉をプロポーズと勘違いしていた。
いや、勘違いかどうかはまだ分からないんだけど…。
とにかく私はあずにゃんの言葉をプロポーズだと思い込んでしまった。

プロポーズ――それは愛する人への求婚のサイン。

私の目の届く範囲にって事はつまり、ずっとあずにゃんの傍を離れるなってことで。
傍を離れるなってことは、あずにゃんとずっと一緒にいなきゃいけないってことで。
ずっと一緒にいるってことは、生涯を共にすることになって。
生涯を共にするってことは、伴侶になれということ。

だから答えはおのずと――。


「~~っ!!~~~っ!!!」


あずにゃんにプロポーズされてる情景を思い浮かべた瞬間、ポンっという音を立てて、一瞬で顔が真っ赤に染まり火を噴いた。
クッションを胸に抱いて、声にならない声を上げて、ベッドの上をゴロゴロと転がりまわる。


「くふふっ…ふっ…もー!あずにゃんったらぁ~♪」


照れた。私は大いに照れていた。照れすぎて顔が熱い。
顔の筋肉が緩みに緩み、ここに極まった。
ニヤニヤした顔がとどまることを知らない。
頭は沸騰して、ヤカンを乗せたら一瞬でピーピー音を立てそう。


「はっ!? もも、ももちついて私っ…! まだプロポーズだって決まったわけじゃないよぉ~!」


とか何とか言いながら、全然落ち着けない私。
頭の中はあずにゃんとの幸せ家族計画でいっぱいだった。
キャー!キャー!と、内心黄色い悲鳴をあげ続けている。
まるでアイドルを前にしたファンのようだ。


(あ、あずにゃんと…けけ、け、けっこん…)


それは女の子なら誰しも夢見る人生の分岐点。
常識的に考えれば女の子同士では結婚できないけど、しかし今の私にとってそれは些細な問題。
頭の中はフリーダムな思考で埋め尽くされていて、日本の法律など露程も考えちゃいない。


将来は一戸建ての家に住みたいな~とか。


(そうだ!おおきなワンちゃんを飼おう!きっともふもふしてて気持ちいいよ~。あずにゃんと二人でもふもふするだぁ~、えへへ♪)


二人の愛の巣は大きめのダブルベッドがいいな~とか。


(あずにゃんってベッドの上だと最強無敵のトラちゃんになっちゃうからねー。少し大き目のほうがいいよね。小さいとベッドから落ちちゃいそうだし)


仕事帰りの旦那様(あずにゃん)に「お帰りなさいアナタ♪ お風呂にする? ご飯する? それともワァ~タァ~スィ?」な~んて、私を襲ってぇ~と言わんばかりに裸エプロンにしてみたりだとか。


(は、はだ、はだだ…裸エプロンだなんてっ…あずにゃんがライオンになっちゃうよぉ~!もー♪)


子供は二人くらい欲しいだとか。


(出来ればあずにゃん似の可愛い女の子がいいな~。ちっちゃいあずにゃんかぁ~、きっと子猫みたいで可愛いんだろうなぁ~♪)


生まれた子供の名前は何がいいかなーとか。


(ゆいとあずさから一文字とって、ゆずとか? えへへ、いいかも♪)


etcetc…。



「ふみゃ~~~~~!!!」


妄想もここまで来ればいっそ清々しかった。
そんな事ばかり考えていたらまた恥ずかしくなって、またベッドの上を転がり回る。
転がり過ぎて、今度は勢い余ってベッドから落ちてしまった。

ズドンっ!

全体重をかけたボディプレスが決まった床は大きな音を立てる。


「…ぃたぁ~…」


ちょっと腰を打って痛い。腰に手を当ててさすさすと擦ってみたけどやっぱり痛い。
それからさらに残念な事に――。


『もう!お姉ちゃんうるさい~!近所迷惑になっちゃうよー!』


どうやら騒々しかったようです。
隣の部屋にお住まいの憂からお叱りの言葉を頂いてしまいました。
とりあえずうるさかったのは事実なので「ごめんよ憂~!」と謝っておいた。
ベッドから転げ落ちただけならまだ良かったけど、憂に怒られるのはさすがに勘弁願いたい。
あれでも怒ると恐いんだよ、憂って。普段から滅多に怒らない分、怒ると恐いんだから。
下手したら食後のアイス抜きにされちゃうよ。


「はぁ…何やってんだろ私…」


よろよろと立ち上がり、ベッドに寝転がってまた天井を見上げた。それから溜息を一つ。
ベッドから転げ落ちたおかげか否か、だいぶ頭の方も落ち着きを取り戻していた。
まぁ落ち着いたら落ち着いたらで、今までの妄想がさすがに行き過ぎだということに気付いて。
さらに残念な事に、私の思考回路じゃ逆立ちしたって答えが出ないことを自覚した。


「明日…みんなに相談してみよっかな…」


自分にどうにも出来ないなら、これはもう誰かに相談しかない。
これ以上考えても私には答えが出なさそうだし。それに待ってたって答えが出るわけでもないし。
きっと他の皆なら、あずにゃんの言葉の意味を納得のいく形で解釈してくれるに違いない。
ようは自分で考えると都合のいいことばかり考えちゃうから、みんなに丸投げするともいう。


(…でもあずにゃんには内緒にしとこ…)


言った本人に聞けば一番手っ取り早い気がするけど何か恥ずかしいしね。


「…うにゅ…」


考えることをやめたら突然眠気が襲ってきた。
うつらうつらと目が開いたり閉じたりを繰り返す。


「ふわぁ~~!」


大きな欠伸をしてゴソゴソと布団を被った。見れば時計の針は夜10時を回ったあたり。
まだ眠るには早いような時間だけど眠くなったのだから仕方がない。
一度襲ってきた睡魔に逆らうなんて私には出来ないので、ここは素直に寝てしまおうと思います。
早寝するに越したことはないもんね。夜更かしは美容の大敵です!フンスッ!


「…オヤスミ~…あずにゃん…」


ここにはいない愛しい子猫ちゃんに言葉を残し
私の意識は闇へと落ちていった。





―次へ―

[ 2010/10/17 16:24 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。