とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『COOL EDITION』

※拍手お礼SS20
※朝倉さんネタw
※追記からどうぞ!


その日は生憎の曇り空だった。
今にも雨が降り出しそうなそんな空模様で。

ゴロゴロ…ピカッ!!!

ときたま鳴り響く雷の音が耳に響く。
そのたびに私の小さな体が小刻みに震えた。

私は雷があまり好きじゃなかった。
音大きいし、ピカって光るし、おへそ取られちゃうし。
とにかくこんな日は気分が落ち込み気味なのが私という人間だった。
何かよくないことが起こるんじゃないかと不安になってしまうのだ。


「ハァ…」


溜息を一つついて。
それから私専用のネコのマグカップに手を伸ばし、お茶を口に含んだ。
鼻をつくハーブの香り。おかげで私の心も少しは落ち着いた。


「ねぇ梓ちゃん、ちょっといいかしら? 質問があるの」
「はい、何ですか?」


目の前でティータイムの準備を進めているムギ先輩の突然の呼びかけ。
他の席には誰も座っていなくて。めずらしくムギ先輩と二人きりだった。
他の先輩方は日直だったり、掃除当番だったり。とにかく色々と用事があるらしい。
私はカップを机に置いて、ムギ先輩に返事を返す。


「人はよく、やらなくて後悔するよりやって後悔した方がいいっていうよね?」
「へあ?」


突然何を言い出すんだと、私は思わずにはいられなかった。
言葉の意味を理解できなくて。思わず間抜けな声を上げてしまう。


「あ、あの…どういう意味ですかそれ?」
「どうって。言葉通りの意味よ。どう思う?」


言葉どおりの意味――。
つまり、深く考えるなということ。
やらないよりもやった方ががいいんじゃないか――。
それに対して純粋に質問しているってことだ。


「どうして、急にそんな事聞くんですか?」


質問を質問で返すと、ムギ先輩は肩をすくめ微笑んだ。


「ふふ…ちょっと気になって」


その微笑みはいつものおっとりしたものとは少し違って見えた。
どこが違うかと問われても答えようがないけど。

とりあえず私はコホンと咳払いをして。


「まぁ、いいですけど…」


それから思考をめぐらせる。


『やらなくて後悔するよりやって後悔した方がいい』


ムギ先輩は一言一句間違いなくそう言った。
意味はさっきも言った通り、その言葉が示すとおり。
何事もやらないよりはやって涙を呑んだほうがマシっていう精神で。
どうせ後悔するなら行動を起こした後に後悔したほうがいいってこと。
つまりは当たって砕けろってことだ。
まぁ、もちろん砕けないことに越したことはないけど…。

私はどちらかと言えば――。


「やって後悔する方がいいですね、私的には」


やらないでくすぶっているよりは何倍もマシに思えるし。
どちらか一つを選ばなきゃいけないというなら、私は迷わず行動する方を選ぶ。
結果よりもまずは行動することに意味があると私は思うから。


「そう。実は私も梓ちゃんの意見に賛成」
「そうですか…」


これで話も終わりかと思った矢先だった。


「それじゃあもう一つ質問」


どうやらまだまだ話は続くらしい。

いったい、ムギ先輩に何があったんだろう。
いつもと少し様子が違うような気がするし。

それに――。

いつもよりその特徴的な眉毛が目立っているような気がして嫌でも目に付いてしまう。


「例え話なんだけど、現状を維持するままじゃジリ貧になることは解ってるんだけど、
 どうすれば良い方向に向かうことが出来るのか解らないとき、梓ちゃんならどうする?」
「えと…経済の話かなんかですか?」


先ほどと同じように質問を質問で返すと、ムギ先輩は変わらぬ笑顔でフルフルと首を横に振った。
それから私が質問の答えを言う前に、言葉を続けた。


「とりあえず何でもいいから変えてみようと思うんじゃないかしら?どうせ今のままじゃ何も変わらないんだし」
「まぁ、分からなくもないですけど…」
「でしょ?」


私の回答に満足したのか、ウフフっと妖しく笑みを浮かべるムギ先輩。
正直言おう。その笑顔には若干ながら恐怖を覚えた。
いつものおっとりぽわぽわした雰囲気がまるでなかったから。

ムギ先輩は手に持ったティーポットを机に置き、私の横にゆっくりと歩み寄る。


「急な変化にはついていけない人もいると思うけど…。
 でもそうも言ってられないの。手をこまねいていたらどんどん良くないことになりそうだから。
 だったら、もう独断で強硬に変革を進めちゃってもいいわよね?」
「ムギ…先輩?」

分からない。なんだこれは。いったいムギ先輩は何を言っている?
ムギ先輩が何を言わんとしているのか、まったく理解できない。

先輩の顔を怪訝そうな顔で見つめると、ムギ先輩はくつくつと楽しそうに笑った。


「何も変化しない観察対象に、私はもう飽き飽きしてるの。だから…」


ゴクリっと唾を飲み込んで、ムギ先輩の言葉を聞き漏らさないように耳を傾ける。
聞き逃したら、一生後悔するような、そんな気がしていたから。


「唯ちゃんに告白して、梓ちゃんの出方を見る」


その瞬間、ビカっ!!!と一際大きな光を放ちゴロゴロっと雷鳴が響き渡った。
音楽室が雷光で明るく照らされたのも束の間、ザーザーと降り始めた雨がパチパチと窓を叩き始める。
雷光に照らされたときに一瞬見えたムギ先輩の顔は恐ろしいまでに笑顔だった。
胸がドクドクと激しく鳴り響く。

今、ムギ先輩は何て言った――?


「な、にを…言って、るんですか?」


理解が及ばない私は、恐る恐る聞き返す。


「言葉どおりの意味よ?さっきも言ったでしょ?」


言葉どおりの意味でも、今回のはまったく意味が分からない。
唯先輩に告白?
私の出方?
いったい何を言っているこの人は。
解る人がいたらここに来て。
そして私に説明して。


「実は私ね、唯ちゃんの事が大好きなの。もちろん愛してるという意味で」
「っ…!」


ズキッと、まるで五寸釘でも打ち込んだような痛みが胸に走った。


「冗談はやめてください」
「冗談だと思う?」


くつくつと楽しそうに笑うムギ先輩。
それを見ているとまるで本気には見えない。
しかし目は冗談を言っていなかった。
本気だこの人は。ムギ先輩はすると言ったら絶対にする。

つまり、唯先輩に愛の告白――。

その情景を想像して、今までと比べ物にならない大きな痛みが胸を貫いた。
思わずギュッと唇を噛み締め、顔を俯かせた。
そんな私の様子にムギ先輩は「ふーん…」と。
まるで感情の篭っていないような声を洩らす。


「唯ちゃん取られるのいや? 告白されたくない?」
「……別に、私には関係ないですし」


好きにすればいい、とは言えなかった。
胸がざわざわする。ムカムカする。
ムギ先輩の言葉一つ一つに棘があるように聞こえてならなくて。


「そう、なら問題ないわよね? 唯ちゃんは私が貰うわ」


その一言に「ちっ」と思わず舌打ちをしてしまう。
確かに問題はないように思えるけど。でも。
絶対に告白なんてさせちゃいけないと思っている自分もいることも確かだった。


「やめましょう告白なんて。意味が解らないし笑えません」
「うん。それ無理♪」


無邪気な笑顔で楽しそうに笑いながら私の言葉を無視する。
そして。


「だって、私は本当に唯ちゃんのことが欲しいんだもの♪」


そう言われた瞬間、カァっと一瞬で頭に血が上った。
ギリギリと、血が滲み出そうなくらい拳を握る。
痛い。すごく痛いけど。でも――。


「やめてください告白なんて」
「今日はもう遅いから、明日のお昼にでも屋上に呼び出して告白しようかなぁ~」
「やめて!!」


声を荒げて言い放つが、ムギ先輩はケロッとした顔で笑っている。
その笑顔が無性に私をイライラさせた。


「どうして?何か問題でもあるの?梓ちゃんには関係ないんじゃなかったかしら?」


関係?
確かに関係なんて、ないけど…。
でも…。


「女の子同士じゃないですか」
「だから?それこそ私には関係ないわ」
「唯先輩に変に思われたらどうするんですか?」


それでもムギ先輩の微笑みは絶えることはなかった。
それどころか、さらに笑顔に輝きが増した気がした。
眉毛も一層目立っているような。


「ふふ、そのときはそのときよ。言ったでしょ?私はやって後悔する女なの」


私だってそうだ。
でも、それとこれとは話が別じゃないか。


「もし告白が失敗して、軽音部全体が変な雰囲気になって、挙句の果てにバラバラになったりしたらどうするつもりですか!」
「……」


そう考えるだけで震えが止まらなくなる。今の関係を壊したくない。
放課後ティータイムがバラバラになってしまうなんて、そんなのは絶対に嫌だ。


「今のままでいいじゃないですか!いまのままで…。それなのに、どうしてムギ先輩は…」
「うふふ。何だか梓ちゃん、私に言ってるよりは自分に向けて言ってるみたいよ。そのセリフ」
「っ!? そ、そんなことっ――!」
「無いって言える?」


そこで初めて、ムギ先輩から笑みが消えた。その表情は真剣そのもの。
冗談なんて欠片も感じさせない。
まるで抜身の刀みたいな鋭い瞳が私の心を掴んで離さなかった。
その瞳に見つめられるだけで、息苦しくて、呼吸がままならなくなる。

けどそれも一瞬で。


「ふふ♪」


ムギ先輩は表情を崩し、いままでのがウソのように微笑む。
それはいつも私たちに見せるような、おっとりぽわぽわしたそれだった。


「私は明日のお昼に告白するつもり。これは決定事項よ。でも一つだけ、その決定を覆す方法があるんだけど、聞きたい?」
「……」


私は何も応えず、黙ってムギ先輩を睨みつける。
気を抜くと、また先輩の雰囲気に呑まれてしまいそうだから。
ムギ先輩は私の様子から肯定の意思を感じ取ったのか、話を続けた。


「明日のお昼までに、他の誰かが唯ちゃんに告白して、唯ちゃんがそれを受け入れたら私は諦めようと思うの。
 唯ちゃんの幸せを壊す様なマネはしたくないからね」
「明日のお昼までって…そんな都合よく…」
「そうね。私もそう思うわ。そんなに都合よく“誰か”が現れることなんてありえないわよね」


ムギ先輩の瞳が私の瞳をロックして離さない。
逸らそうにも逸らせなくて。また息が詰まって息苦しくて。
口を開いて言葉を発しようとしてもまるで声がでなかった。


「でも世の中に絶対なんてないから。もしかしたらあるかもしれない」


ムギ先輩は「私としてはないことを祈るけど」と言葉を続けて。
それからまたくつくつと楽しそうに笑い始める。
その様子はやっぱり嘘っぽくて冗談にしか見えなかった。


「それじゃあこの話はもうおしまい」
「え?」
「もうみんな来る頃だしね」


そう言った次の瞬間、ガチャリという音がして。
唯先輩、澪先輩、律先輩がぞろぞろと入ってきた。

唯先輩――。


「いやー…やっぱ掃除ってめんどくせー…」
「何言ってんだ。ぜんぜん真面目にやってないくせに」
「そんなことないぞ澪!私だってなー」
「あーはいはい」
「真面目に聞けー!」


律先輩と澪先輩のやりとりなど耳にも入れずに、
私の視線は唯先輩をロックオンしていた。
私には今この瞬間、唯先輩のことしか見えていなくて。
席を立って、唯先輩の前へと歩き出す。


「どうしたのあずにゃん?」
「……」


ギー太を壁に立てかけ、鞄をソファに置いた唯先輩。
私が目の前に立つと、不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。


「あの、唯先輩」
「なあに?」
「少し、時間いいですか?ちょっとお話があるんです」
「え?別にいいけど…ってどこ行くのあずにゃん?」


肯定の言葉を聞いてすぐ、私は唯先輩の手を引いて音楽室の扉へと向かい外へ出た。
出る前、後ろを振り向いたときに一瞬視界に入ったムギ先輩の顔はどこまでも晴れやかな笑顔だった。
その笑顔の真の意味を知る余裕なんて、今の私にはなかったけど。


「誰もいないところで話したいんです。ダメですか?」
「えーと、ダメな事ないけど」
「じゃあ行きましょう」
「う、うん」


そのまま素直に手を引かれて、唯先輩は私の後を付いてくる。

私はいったい、唯先輩に何を言おうとしているんだろう。
頭が真っ白で、自分の行動の意味をまったく理解できていない。
体だけが勝手に動いていた。思考はまったく働かないのに。

まるで誰かに洗脳されているみたいで、あまりいい気分はしなかった。





「ふふ…計画通り…」

その呟きは誰のものだったのか今となっては誰にもわからない。
雷鳴と共にかき消され、それを耳にしたものは誰一人としていなかった――。



おしまい

[ 2010/10/04 21:42 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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