とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ゆいあず!!シリーズSS EP02 『桜華狂咲 #3 ~桜は散り際が一番美しいと人は言う~』

※追記からどうぞ!


週末の日曜日――予定通り軽音部inお花見が行われることになった。
空を見上げれば天気は良好。
雲一つない快晴で、絶好のお花見日和で何よりだった。
前日の天気予報では曇りだとか、下手をしたら雨がぱらつくような話をしていたのだが…。
どうやらお天気お姉さんの予報は見事に外れてしまったようで。
雨が降る気配すらない。
悪天候をまったく感じさせない空模様で、一同ホッと一安心だった。

唯ちゃんが言うには、てるてる坊主を100個作ってお祈りしたおかげだそうで。
実際のところ本当にそのお祈りが効いたかどうかは定かじゃないけど…。
でもそのおかげと思っていた方が、夢があっていいんじゃないかと私は思う。

ここだけの話、そのてるてる坊主作りには梓ちゃんも手伝ったそうだ。
昨晩は二人して夜遅くまでティッシュと格闘していたらしいのだが。
どうせ格闘するなら、二人でプロレスごっこでもしてくれればいいのにと思ったのはもちろん内緒だ。



目的のお花見会場は、電車を2本乗り継ぎ、徒歩で30分ほど歩いた先にあった。
実はその場所は私の家の近所にあって、私の家からなら徒歩10分もかからなかったりする。
ちなみに私は、近所ということもあって他のみんなとは違い自宅待機を命じられていた。
でもじっとしているのも勿体無かったから、電車到着の時刻の30分前にはみんなの見送りに行って、そのまま合流した。

お花見会場に行く前に私の家に寄って休憩でもと提案したのだが、それはまたの機会にということで満場一致。
少し寂しかったけど、それも仕方がないと言えば仕方がないことだ。
休憩ならお花見会場でいくらでもすればいいし、せっかくのお花見に寄り道するのも時間が勿体無かったから。
そういう理由から、一同はお花見会場に直行することになった。
今回の目的はあくまでお花見だということを忘れてはいけない。


現在、時刻は11時30分を回ったあたり。
みんなそれぞれ荷物を抱えながら、黙々と歩いている。
時間が時間だけに、お昼ご飯にはお花見スポットに到着する予定だった。

獣道とも思えるような木々が覆い茂る場所に、その場所に続く階段があった。
急な斜面になっていて、少し上り下りがつらいのが難点。


「うへー…これ上るのぉ…?」


その断崖絶壁にも見える階段を前に、唯ちゃんがぼやく。
とは言え、そこを上らなければ目的の場所には辿り着けないので頑張るしか道はない。
唯ちゃんはトホホっとうな垂れる。


「これを上りきればすぐに到着よ。唯ちゃん頑張って」
「うん…」


私は安心させるように言ったのだが、唯ちゃんは力なく頷くだけだった。
そんな唯ちゃんの様子に、隣を歩いていた梓ちゃんがやれやれといった様子で溜息をついた。


「あともう一息ですから頑張ってください、唯先輩」
「あずにゃん…うん!私頑張るよ。でもあずにゃんが手を繋いでくれたらもっと頑張れるかも!」
「はぁ…やれやれ、仕方ないですねぇ唯先輩は」


仕方ないとか言いながら嬉しそうな顔で唯ちゃんの手を握る梓ちゃん。
唯ちゃんの方も頬を赤く染めながら、「えへへ…」と嬉しそうだった。
さすが恋人といったところでしょうかね。
私の言葉よりも梓ちゃんの言葉の方が効果覿面のようです。


「何だ唯。だらしないなー、これくらいの階段どうってことないだろー?」


唯ちゃんとは逆に、元気一杯なりっちゃんだった。
早くお花見したいって気持ちが前面に開放されていて、いつもよりオデコが輝いているように見える。
あくまで見えるってだけで気のせいかもしれないけど。


「つーわけで、お先にしつれーい!!」


脱兎のごとく駆け出し、階段を駆け上がっていくりっちゃん。本当に元気いっぱい。
その元気を少しでいいから分けてほしいと思ったのはきっと私だけじゃなかったはずだ。


「あっ、お、おい律…まてよ!」


りっちゃんの後を澪ちゃんが追っていく。
そんな二人に触発されたのか、他のみんなも「それじゃあ私達も…」と荷物を握る手に力を込めて一斉に階段を上り始めた。



それからほどなくして階段を上り終え、その先に目的の場所が姿を見せる。
つまりはお花見の会場に到着したのだ。


草原が広がる小高い丘のうえ。
無数の桜の木が春の優しい風に撫でられていた。
ざわざわという音が耳に心地よく響く。
パラパラと散りゆく桜の花びらが見目麗しく、実に風情があって。
桜吹雪とはよく言ったもので、桜は散り際が一番綺麗というのも頷ける光景だった。


「すげぇ…」


先頭きって子供みたいにはしゃいでいたはずのりっちゃん。
その場所に辿り着いてすぐに足を止めた。止めざるを得なかった。
そのまま呆然と立ち尽くしながら、自身の目に映る光景に感嘆の声を上げる。
そんなりっちゃんの後に続くように澪ちゃんが、そして他のみんなもその場に到着する。
りっちゃん同様、みんなもその騒然たる景色に大きく目を見開いて声すら上げることができないでいた。
ある者はゴクリと喉を鳴らし。
またある者は持っていた荷物から手を離し。


「なんだよこれ…こんなすごいとこだなんて聞いてないぞ…」


澪ちゃんは予想だにしていなかった光景に圧倒され、震える唇でそう言った。
言いながら膝をつき、ドサっと草原の上に膝を付く。
その瞳は揺れ動き、体が小刻みに震えていた。
私はその様子におかしくなって、思わずクスっと笑ってしまう。


「ね、ねぇムギちゃん…こ、こんな場所ホントに使っちゃっていいの…?」
「そ、そうです…! あ、明らかに私達凡人には場違いですよ…!」


唯ちゃんと梓ちゃんはおろおろと慌てた様子で質問してくる。


「全然大丈夫よ。ちゃんと許可はとってあるし、ぜんぜん気兼ねしなくていいから。なんなら自分の家の庭だと思ってくれていいわよ♪」
「じ、自分ちの庭って…」
「そ、それはさすがに無理があるような…」
「そうかしら?」


そうでもないと思うけど…と、半ば本気で不思議がっていると、二人は顔を見合わせてポカーンとしていた。
どうやら二人は本当にそういう風には思えないらしい。
と言うことは。つまりはまた私の悪い癖が出たのだ。
どうにも私は、自分の価値観でものを言ってしまうくせがあって。
合宿の別荘で驚かれていたのもきっとそのせいで、今二人が驚いているのもつまりはそういうことなんだろう。


(…あのことは、やっぱり内緒にしておいた方がいいわよね…)


実のところ、そのお花見スポットは日本でも有数を誇る場所だったりする。
つまりは琴吹家の私有地の中でも重要度の高い貴重な場所なのだ。
当然、みんなにはこの事は話していなし、これから説明するつもりもない。
言ったら言ったで、みんな遠慮しちゃいそうな気がしていたし。
それに今のみんなの反応から見ても、話さなくて正解と言える。
折角のお花見がギクシャクしたものになってしまったら悲しいもの。
出来ることなら、みんな気兼ねなく楽しんでほしいから――。

ちなみに一応言っておくと
その場所は世界中に点在する琴吹の別荘なんて物の数にも入らないほど貴重なところだったりする。
ニュースでも何度か取り上げられたことがあり、春になると沢山の報道陣が詰め寄る。
日本の要人らが使用する場所でもあるのだから有名であって当然なのだ。

そんな場所にも関わらず、他のみんなの様子を見るにどうやら知らないみたい。
いや、もしかしたら一度はテレビやら雑誌やら、何かしらで目にしたことはあるのかもしれないけど…。
でも、お花見の名所というのは何もここだけじゃないから、それらの名所と一緒くたになっていてもおかしくなかった。
自分には関係のない、それこそ一生縁のなさそうな記憶というものは、得てしてすぐに風化してしまうものなのかもしれない。



今この瞬間、その目に映る景色を網膜に焼き付け、感動に身を震わせる一同。
と、よく見たらまだ二人ほどその場には来ていなかった。
どうやらまだ階段で手間取っているらしい。
その場にいない人物の性格や行動を思うと、まぁそれも仕方がないなと思う私だった。

未だ居ない二人を除くメンバーの顔を一人一人一瞥してから、私は正面を向いた。
それから深呼吸を一つ。
その時、さぁーっと春の暖かい風が一際強く吹いた。
私は風で靡く髪を必死に押さえながら目を閉じた。
風が止んで、すぐにまた開くと――。


「ぁ…」


思わず漏れでる小さな声。
その先に広がるのは、微かに記憶に残る、懐かしい景色だった。
緑多い茂る草原に百をゆうに超える桜の木が騒然と立ち並び、右も左も、辺り一面が全て桃色で覆いつくされていた。
まさに百花繚乱という言葉が相応しく、一体どこまで桜が続いているのか見当もつかなかった。
何度か見たことのある私ですら、その光景にはハァっと感嘆の溜息をついてしまう。

でも…それもある意味仕方のないことだと言えた。
なぜなら私としてもこの場にくるのは随分と久しぶりだったから。


(本当に久しぶり…5年ぶり位かな…?)


久方ぶりに目にした光景に感慨深くなった私は、少しだけ昔のことを思い出した。
小学校の頃は毎年のように来ていたはずなのに、中学に上がる頃にはそれはぱったりと止んでしまった。
近所にあったにもかかわらずだ。
色々理由はあったはずだけど、なぜか思い出せない。
頭に霧がかかったみたいにそれを邪魔する。
それを思い出すには時が経ちすぎたんだろうと私は思うけど
でも、忘れたままでもいいかなと思う自分もいる。
過去よりも現在だと私は思うから。

桜高に入学してから今に至るまでの時間は、今までの人生の中で最も幸せな時間で。
みんなと出会えたことが私にとって何にも代えがたい宝物だし、
今こうして思い出の場所に大切な仲間たちと来れただけで十分だ。
だからそれでいい。

そんな風に物思いに耽っていると、ふと私の横に人の気配を感じた。
私はハッとして横を向くと、そこには見慣れた顔がひとつ。


「あ、あの~…つ、紬さん?」


唯ちゃんの妹、憂ちゃんだった。


「どうしたの憂ちゃん?」
「えと…こ、こんな凄い場所に部外者の私が来ちゃってもよかったんですか? これって軽音部のお花見ですよね…?」


憂ちゃんはビクビクしながらそう聞いてくる。
私は「気にしなくていいのよ~」と笑顔で返したが、憂ちゃんはどこか納得のいかない顔をしていた。

確かに憂ちゃんの言うとおりこれは名目上、軽音部のお花見ってことにはなってる。
けど、他の人が参加しちゃいけない理由なんて一つもないのだ。
いつかのクリスマスも憂ちゃんだけじゃなく和ちゃんも参加していたし。
ようは楽しければ何でもよかったりする。
それが気の知れた友人達ならなおさら問題ない。
何をするにも人数が多いほうが楽しいのだから。


「そ、そうですよ、ムギ先輩! 憂はまだいいけど、私なんて完全に部外者ですよ! 場違いですよ! 月とすっぽんですよ!」


憂ちゃんの助け舟と言わんばかりに横からひょっこりと顔を出したのは、憂ちゃんの親友の一人、鈴木純ちゃんだった。
純ちゃんはあわあわと落ち着かない様子で、捲くし立てるように私に言い放つ。
とりあえず、最後の方は何を言っているのかよく分からない。
なぜ月とすっぽん?


「憂ちゃんも純ちゃんも、本当に気にしなくていいからね。気にせず楽しんでもらえた方が私としてもすごく嬉しいから。せっかくのお花見なんだし、余計なこと考えないで楽しみましょう?」
「うぅ…そ、そんな風に言われると…」
「う、頷くしか選択肢がない…」


二人は同時にガクンとうな垂れた。
それからすぐに顔をあげると、顔を見合わせて、ふっと微笑んだ。


「そういえば純ちゃん…私はまだいいってどういうこと?」
「ん? そりゃだって憂は唯先輩の妹じゃん」
「え? う、うーん…お姉ちゃんの妹って理由はあんまり関係ない気がするけど…。それに、それを言ったら純ちゃんは私の親友だよ?」
「…う…そ、それは…って!それこそ全然関係ないじゃん!」
「むっ…そんなことないもん!純ちゃんだって私にとって大事な人だよ!」


純ちゃんのその一言に、あの憂ちゃんがぷくーっとほっぺを膨らませて声を荒立てた。
そのめずらしい光景に私は思わず目を見開いてしまった。
だって、あの憂ちゃんが感情をあらわにするところなんて始めて見たんですもの。
憂ちゃんにとって純ちゃんは、そうさせるほど大切な存在というわけですか。
純ちゃんをこのお花見に真っ先に誘ったのも憂ちゃんだったらしいし。


「うっ…も、もうっ…そんな恥ずかしいこと大きな声で言わないでよ!…う、嬉しいけどさ…」


どもりながら頬を赤く染める純ちゃん。
最後の一言は残念ながらボソボソしててよく聞き取れなかった。
もちろん憂ちゃんに聞こえていないのだから私にだって聞こえていない…と思ったら大間違い。
私の地獄耳はそんな小さな声ですら聞き逃さない。


「恥ずかしくないもん!」
「恥ずかしい!」


顔を見合わせながらさらにヒートアップしていく二人。
私はそんな二人を陰ながら見守った。
傍観者に徹したとも言う。
ある意味、これが私の本来の姿である。


(憂純…なるほど、そういうのもあるのか…)


私の百合センサーが強力な電波をキャッチしているのだから、この二人にも間違いなく百合の素質がある。
いつもの私なら「キマシタワーーwww」と心の中で全力歓喜していることろですが――。


(なんで今までそれに気付かなかった――!!)


私としたことが何たる不覚――!!


自分の不甲斐なさに憤慨し、思わず唇を噛み締めた。
理由はなんとなくだが分かっている。分からいでか。
つまり至高のゆいあず、そしてりつみおにばかり気を取られていたせい。
それ故こんな身近に百合の卵が存在していたことに気付かなかったのだとそう結論づける。

ただでさえ軽音部は極上の百合が咲き乱れているのだから他に目がいかなくても仕方ないと言えば仕方ないけど…。
でも、私からすればそんなもの何の言い訳にもならない。なっていいわけがない。
何故なら私の目指す”百合王”の称号に妥協なんて許されて言いはずがないのだから。


「やっぱり…私はまだまだ修行が足りませんね…」
「え、なんですか紬さん?」


思わず口を告いでしまう私のぼやき。それに反応した憂ちゃん。
二人は口論するのも忘れて、不思議そうな顔で私を見つめてくる。
そんな二人に首を振って、なんでもないと苦笑い。


今この瞬間、私の観察対象に憂純が含まれたことをここに記しておく――。




―次へ―

[ 2010/09/13 23:55 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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