とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『邂逅~Jihad of the princess and black cat~ 前編 』

※追記からどうぞ!


放課後、それは私たち軽音部にとって安らぎの時間である。
練習もそうだけど、その中でも絶対に欠かせないのがティータイムだ。
それはすでに毎日の日課であり、今更説明しようがないくらい当たり前になっちゃってる。
おかげで“放課後ティータイム”というバンド名まで誕生したくらいだ。
今や私たち軽音部にとって一番の持ち味と言えるだろう。

しかしまぁ、それは周りから見ればただだらけているようにしか見えないのかもしれない。
よく純にも「本当に部活してるの?」と問われることがある。
何せミーティングが1時間半で練習時間が30分なのだから、純がそう言うのも無理はないのだ。
そんな事を言われた日には、決まって言い訳染みた言葉を並べ、あたふたしてしまう。
一応、私も自覚してはいる。
私だって入部し立ての頃は、そのあまりのだらしなさにさじを投げそうになったもの。
それでも踏みとどまった私は、意外と大物になれるのかもしれない。
自分で言うのもなんだけど。

いいじゃないティータイム。
それが私たちの持ち味だもの。
これがなくなったら放課後ティータイムじゃなくなっちゃうよ。
顧問だって喜んでるし。
etcetc…。

そんな風に色々と自分に言い聞かせ続けてきたせいか
今では仕方のないことだと諦めている。

得てして、こういうものは時間が経つにつれて徐々に薄れていくものだ。
ようは慣れたってことです。
私が軽音部に入部してから1年と半年近くたった。
今では、ティータイムがない方が逆に不自然だと思うようになった。

一度は昔の私をカムバックさせようと躍起になってみたけど、すぐに断念した。
断念せざるを得なかった。どうやっても無理だと判断したから。
軽音部に染まりすぎて、昔の私を思い出せない。
昔の私ってどんな感じだったっけ?
そうそう、確か頭に猫耳が付いてたはず。
うん。間違いない。

……もはや昔の自分に戻るのは不可能な域に達していた。
人間、諦めが肝心だよね。


それからもう一つ、放課後の音楽室で行われる、とある日課を忘れちゃいけない。
それも一応ティータイムと同じく日課と化しているわけだが、私からすればノーサンキュー。
何故ノーサンキューかと問われれば、私がそれを望んでいないからと言う他ない。
それくらい御免被りたいのだ、私的に。

その日課とは、ある人物が私のみに仕掛けてくるものだった。
いくら私が止めてくれと口を酸っぱくして言っても、聞いてくれる気配すらなくて。
まったくのお手上げ。
残念なことに、私の選択肢の中には“白旗を振る”しか並んでいないのだ。

そんな絶対降伏宣言を余儀なくされる日課の正体。
それは。

ま…いまさら言わなくても誰でも知ってることだけどね…。







「あーずにゃん♪」
「にゃっ!」


時は放課後、ティータイムの真っ最中のことである。
ぎゅう~!っと、そんな擬音が聞こえてきそうなくらい私に熱い抱擁をかましてくる人物がいた。
平沢唯――私の一つ上の先輩で、軽音部いち困った人だ。
甘いものと可愛いものが大好きで、自分のギターにギー太などという素っ頓狂な名前をつけるくらいおかしな人だった。
私に「あずにゃん」などと言う不本意なあだ名を付けたのも、この唯先輩だったりする。


「今日の分のあずにゃん分補給ー♪」
「っ…な、何言ってんですかっ…もう」


相変わらず意味不明なことを言いながら、背後から私を包み込んでくる。
優しく、それでいて情熱的に。
それは唯先輩の明確な愛情表現。
スキンシップだった。

つまるところ、その行為こそが私がお断りしたい日課の正体なのだ。

先輩のそれは私が入部して以来ずっと行われている儀式のようなもので。
今ではすっかり見慣れた光景になってしまっていた。
ならなくてもいいのに…。

スキンシップのバリエーションもさまざまだった。
ギュっと抱きつく、頬擦りする、猫耳付けてめでる、etcetc…。
正直言って数え上げたら切がない。
もしかしたら、どこぞの殺人技よろしく48個あるかもね。
いや、さすがにそれはありすぎか…。

最近ではそのスキンシップも激しさを増していく一方だった。
ハグだけじゃ飽き足らず、キスまで迫ってくる勢いだ。
そんなときは決まって私のビンタが飛ぶのだが、それはまた別のお話。


私は何とか唯先輩から離れようと身動ぎしてみた。
だが、そうすることで逆に密着感が増し、背中に当たる二つの膨らみも、ふにふにと形を変えた。
その柔らかな感触を意識すると、どうにも顔が火照って仕方がない。


「っ…」


背中に感じる温かいぬくもりに、徐々に心臓の鼓動が激しさを増していった。
唯先輩のぬくもりにドキッとするなんて、不覚にもほどがある。
一度死んだ方がいいのかもしれない。
いや、死ぬべきだ。
うん、死のう。


(…昔はこんなことなかったのに…)


昔を振り返ってみたけど、今までに唯先輩のスキンシップから逃れられた記憶はなかった。
それでもドキドキすることなんて、ここ最近まではなかったはずなのに。
一体、私にどんな心境の変化があったというのだろう。
自分の事なのに、まったく分からない。

とりあえず。
何故ドキドキするかは…考えないことにした。
考えたら負けかなと思ったから。


「はぁ…」


私は思わずため息を付いた。
そこには明らかな諦めが含まれていた。

唯先輩と言う名の太陽に近づきすぎた私は、地に落ちるしか選択肢がない。
イカロスよろしく、もう後戻り出来ないところまで来ているのかも。
認めたくないけど…。

出来ることなら昔の私をカムバックさせたいと思ってる。


(…でもねぇ…)


そうは思ってみても、何となくそれは無理なんじゃないかなーと。
そんな諦めにも似た感情を抱いていているのもまた事実だった。
はぁ~…と、またも心の中で盛大なため息をついた。

カムバックさせる唯一の方法。
それは一度死んで転生するしか他はないのかもしれない。
さすがに死ぬ勇気は持ち合わせちゃいないので実行には移さないけど。
私まだ若いのに、死にたくないもん。

……

唯先輩のスキンシップが始まってから5分が経過した。
いつもは大体平均して10分~15分はスキンシップが続くので、5分じゃまだ早い。
当然、終わる気配すらない。
それどころか、ハグだけでは足りないと言わんばかりに、頬擦りまでしてくる始末。
まったく手におえない。


「あずにゃんは今日もお肌すべすべだねぇ~。すんすんっ! ん~いい匂い~♪」
「ひゃっ!」


擦れる頬がくすぐったくて、思わず変な声を上げてしまった。
恥ずかしいことこの上ない。
だから嫌なのだ、唯先輩のスキンシップは。
自分が自分でなくなってしまいそうだもの。

先輩の柔らかな頬が擦られるたび、密着した部分に徐々に熱が篭っていく。
もちろんそれはただの摩擦熱による放熱現象でしかない。
それ以外考えられないし、考える必要もなかった。
断じて私が照れているわけじゃないし、ましてやそうされることを喜んでいるわけでもない。
そんなことは天地が引っくり返ったって、絶対にありえないから。
唯先輩のふわふわした肉まん二つにムラムラしてるなんて、どう考えたってありえないでしょ?


「もー…いい加減離してくださいよぉ」
「やーだ♪」


なおも唯先輩の頬擦り攻撃は止まらない。
ついにスキンシップの時間が10分の大台に突入した。
そろそろ離してくれるだろうと分かっていても、「離して」という言葉が尽きることはなかった。
とは言っても、それで離してくれた試しはないけど。
結局、返ってくる言葉は「いやだ」の一点張り。
取り付く島がない。

唯先輩はラストスパートと言わんばかりに、さらに頬を強く押し付け豪快に擦ってくる。
そこには遠慮なんてものは欠片もなかった。
摩擦熱で頬が焼けそうだ。


「ちょっ…や、やめっ…そ、そんなに擦りつないでくださいよっ…! く、くすぐったいですっ…! にゃぁあっ…」


その遠慮のない頬擦りにくすぐったさが頂点に達した。
堪らず私は、猫みたいな声を上げてしまう。
おかげで恥ずかしさの方も限界突破して、カァッと一瞬で顔が真っ赤に染まる。
そんな私の反応をクスクスと楽しそうに笑いながら、唯先輩の腕にさらに力が籠った。
ダメだと思ってももう遅い。


「もー、そんな可愛い反応されるともっとしたくなっちゃうじゃん。もしかして誘ってる?」
「そ、そんなわけ…あるはずないですっ…や、やめてくださいよっ…!」


一応拒否してみるけど、当然、唯先輩の反応はNO。
ついでに私の体をくるり回すと、正面から私を抱きしめてくる。


「~っ!!」


突然思いがけない行動に出た唯先輩。
さすがの私もそれには驚いて、息を詰まらせる。
呼吸がうまく出来なくて息苦しい。

それと当たり前のことだが、唯先輩の二つの肉まんも私の洗濯板に押し当てられ、ぐにゅっと形を変えていた。
洗濯板って…何だか自分で言ってて悲しくなってきたよ…。


「あずにゃんの体は柔らかいねぇ~。癖になっちゃうよぉ」
「ふにゃあぁああ…!!」


唯先輩はまるでわざとやっているみたいに、体を上下させながら肉まん二つを私の洗濯板に擦り付けてくる。


(だ、ダメです唯先輩…)


洗剤を使わないと汚れは落ちませんよ?
あ、そうだ。
今度お風呂で洗いっこしましょう。そうしましょう。
もちろん、スポンジはその柔らかい二つの肉まんで――


(ハッ…!)


思わず危ない思考に行きかけて、ハッとする。
何を考えてるんだ自分!
カムバック私!

一度深呼吸して落ち着こうと息を吸い込んだ。


「はっ…はぁ、すぅ~はぁ~…」


しかしそれが間違いだと気付いたのは息を吸った後だった。
大きく息を吸った瞬間、とたんに先輩の甘い香りが肺いっぱいに広がった。
一瞬、頭がクラっとして意識が飛びそうになるが何とか持ちこたえる。


(な、何という威力っ…唯先輩はその身に兵器を内包するのかっ…!)


もしかしたら唯先輩は全身が凶器なのではないだろうかと思わずにはいられない。


「っ…や、やめっ…これだめっ…」
「んー?何がダメなのー?」
「…そ、それはっ…そのっ…」


貴女の匂いが私にとって劇薬だからですとは言わないでおく。
言ったところで、唯先輩が腕を離してくれるはずがないのだから。


「お、お願いですから離してっ…」
「んーあともうちょっとー」
「もうちょっとじゃないですっ…もう15分はやってますよっ…!」
「じゃー今日は20分ねー♪」
「うなー! は~な~せ~!」
「いーやーだー!」


相変わらず離してくれないが、どうしてもその匂いから逃れたい私は、先輩の腕の中でジタバタ暴れてみた。
だが、所詮私の力ではどうすることもできず、当然唯先輩の腕は決して緩まない。
間違って、息を整えようと吸って吐いてを繰り返したらさぁ大変。
先輩のフローラルな香りが一気に肺中に溜まっていった。
脳が蕩けそうだった。

唯先輩特有の匂いと、シャンプーの香りが相乗効果を発揮していた。
混ぜるな危険とはまさにこういう事を言うのだろう。
気を抜いたら、魂を持って行かれそうだった。


(誰か助けてヘルプミー!)


当然、助けてくれる人なんて誰もいない。


「うふっ、でもさぁ~。実際本当はあずにゃんもして欲しいんじゃないの~」
「っ…そ、そそ、そんなわけありますかっ!! いい加減にしてください!!」


その言葉に私はついに吼えた。
勝手なことばかり言いやがるので、我慢できなくなって怒鳴りつけてやった。
やったのだが…。


「おおっ、あずにゃんが怒った!」


しかし残念なことに、唯先輩は怯むことなくケロッとした表情をしていた。
それだけならまだしも、怒り心頭の私を宥めようと頭を撫でてきた。
ほっといてくれたらいいのに…。


「よしよ~し、怒っちゃダメだよ~。どうどう」
「っ…ふにゃ…」


先輩に頭を撫でられ、途端に全身からふっと力が抜ける。
いくら私がダメだと思っていても、体は意に反して唯先輩のそれに逆らえない。
言っておくが、あくまで体だけで、思考は常に逆らっていることを分かって欲しい。

さて。

そんな私たちのやりとりを眺めていた3つの視線があった。
それは言わずもがな、律先輩、澪先輩、ムギ先輩の3人だ。
実は私と唯先輩が死闘を繰り広げている間もずっといたんです。


「やれやれ、唯は相変わらず梓が好きだなー」
「ふふ、よく飽きないもんだな。律とは大違いだ」
「ふっ…ふぅっ…Excellen…Lily is still a good thing…ハァハァ…」


先輩たちは、私たちを止めるでもなく、こんな会話をしていたりする。


(人事だと思って…)


そのスキンシップはすでに見慣れた光景であるせいか、他のメンバーは完全に傍観者に徹していた。
律先輩は言いたい放題で、「お茶ウマー!」とか言いながら当たり前のようにお茶を啜っている。
中にはビデオカメラ片手にハァハァしている沢庵もいるが、それは気にしない方向で。
気にしたら負けですからね。ていうか何で英語?
一応分からない人もいるだろうから訳しておきます。
“すばらしい…やはり百合はいいものだ”
何が百合ですか、こんちくしょう。

結局のところ、この軽音部内には唯先輩のスキンシップを止めてくれる人なんて誰一人としていないのだ。
頼みの綱の澪先輩ですら当たり前のような顔をしているのだから、お手上げとしか言いようがない。

だからと言って、そのことを他の先輩達に文句を言うつもりがないのもまた事実だった。
なぜなら、澪先輩達がそれに慣れてしまっているように、私もまた唯先輩のスキンシップに慣れつつあるからだ。
そのことを最近、文字通り肌で感じてしまっている。
大変嘆かわしいことですが…。


(…慣れってホント怖いなぁ…)


慣れどころか、今じゃ唯先輩のスキンシップを今か今かと――


(って! それは無いし! ありえないし!)


無意識に浮かんだ考えにハッとして、思いっきり首を横に振った。
今の頭の悪い考えはすぐに記憶から消去しないといけない。
そうしないと今後の生活に支障がでる恐れがあるから。


「ど、どうしたのあずにゃん?」


突然前触れもなしに首を振った私に、唯先輩も驚いて腕を緩める。
そのまま離してくれればいいのに…と思えなかった私に核ミサイルを撃ち込みたい。
一度消し炭になった方が自分のためかもしれないと思いました。


「いえ…別に…自分の不甲斐なさに打ちのめされていただけです…」
「えーと…よく分かんないけど大変なんだね」
「…ええ、大変なんですよ」

主にあなたのせいで…とは間違っても言わない。
言ったって何にも解決しないのは分かっているし、それにこれはあくまで私の心の問題だ。
唯先輩がスキンシップしてきたって、私自身が心を強く持っていればいいだけなのだから。
スキンシップされても動じない鋼の精神が欲しい…。
誰かゆずって…。


「唯先輩…もういい加減離してくださいよ」
「えーやだよー。まだ全然あずにゃん分溜まってないし」


まぁ、何となくこう来るって分かってましたけどね。
離れてと言って、素直に離してくれる人なら最初から苦労はしない。
結局、この人が満足するまで私は我慢するしかないのだ。
柔らかい体の感触とか、鼻腔をくすぐる甘い香りとか。
唯先輩風に言えば、あずにゃん分が溜まるまでの間、この生き地獄を味合わないといけない。


「はぁ…唯先輩はホントに困った人ですね…」
「えーそっかなぁ? そんなに褒められると照れちゃうよぉ~」


溜息混じりに皮肉を込めていったにもかかわらず、唯先輩にはまったく通用しない。
それどころか、自分の都合のいいように解釈されてしまっている。
しかも本気で照れているようで、頬を朱に染めて、頭をポリポリ掻いている。

どうやったら今の言葉が褒めてるように聞こえるのか不思議でならない。


「…今のをどう聞いたら褒め言葉になるんですか…」
「ええっ! 違うのっ!?」


その言葉に心底驚きを隠せない唯先輩。驚愕に目を見開く。
どうやら本当に褒められていたと思っていたらしい。
どんだけおつむが弱いんですかあなたは…おバカにもほどがあります。


(でもそんな貴女にふぉーりんら…げふんっげふんっ!)


そ、それは兎も角として…
今のが褒め言葉に聞こえるのなら唯先輩はすぐにでも精神科に見てもらうべきだ。
手遅れになる前に早々に。


(まぁでも…この人の年中お花畑な思考が精神科に掛かったくらいでどうにかできるとは思えないけどね)


何気にひどい事を考えている私。


(はぁ…やれやれ、仕方ないなぁ…)


とりあえず、今日のところはもう唯先輩の好きにさせようと思った。
もう何を言っても、何をしても無駄だと思ったし。
それに、暴れれば暴れるほどスキンシップが長くなるような気がしたから。


そうして唯先輩の体に身を委ねようとしたその時だった――


――ガチャッ


ふいにした扉の音に、私はビクリと体を震わせ硬直。
その音に反応した私の――いや全員の視線が一斉に扉に向いた。

扉が開いたということはつまり、この音楽室に来訪者が来たということ。
めずらしいこともあるものだと思ってみたけど、よく考えたら和先輩や憂、純とかはたまに来たりする。
ちなみにさわ子先生は曲がりなりにも顧問なのでその中には入っていない。

私としては、ティータイムにあやかろうと、さわ子先生が来たんじゃないかと思ったんだけど…。
でも、私の予想は的を大きく外れて大気圏を突き抜けた。
ようは的外れもいいとこだってこと。


(…誰?)


扉の前に立っていたのは私の記憶にはない女子生徒だった――。




―次へ―
[ 2010/08/20 05:46 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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