とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『LOVE GAME―前編―』

※追記からどうぞ!



「ポッキーゲームやろうぜっ!!」


我らが軽音部部長である田井中律先輩が、声高らかにそう宣言した。

今日もいつもと変わらずに、お茶して、練習して、帰宅する。
そんな代わり映えのしない、当たり前のような時間が過ぎていくと思っていた矢先。
それは放課後の音楽室、ティータイム真っ最中に起こった。


「ポッキーゲーム…ですか?」


私がそう聞き返すと、律先輩はニヤリと楽しそうな笑みを浮かべると、カバンからコンビニの袋を取り出した。
その袋の中からお菓子の箱を取り出す。
それは日本人なら誰もが目にしたことがあるであろうお菓子の箱。

――つまりポッキーだった。


「今朝コンビニに寄ってたと思ったら、そんなの買ってたのか?」


澪先輩が呆れ顔でそう言った。
どうやら登校中に買ってきたものらしく、律先輩もコクンと頷く。


「いや、まあ別にポッキー買うために入ったわけじゃないぞ? 一応消しゴム買うために入ったんだし。そこで丁度ポッキーが目に入っちゃってなー。買わずにはいられなかった!」


フンスっ、と荒い鼻息をつきながら腰に手を当てて踏ん反り返っている我らが部長様。
何故そんなに偉そうなのか、不思議で仕方がない。
たかが消しゴム、たかがポッキーにここまで自信家になれる律先輩がとても不憫でならない。
現に澪先輩も、そんな律先輩の様子に「バカりつ…」といつもの様に呆れた溜息を付いている。


「まーそんなのはどうでもいいや。それよりこれでポッキーゲームしようぜ!」
「あのー…ポッキーゲームってなんなの? りっちゃん?」
「えっ! ムギ、ポッキーゲーム知らないのか?」
「え、ええ…初めて聞くけど…」


律先輩が最初にポッキーゲームを宣言してから、ずっと疑問符を浮かべていたムギ先輩が律先輩に質問した。
ムギ先輩はどうやらポッキーゲームを知らなかったらしい。
まぁ、普通に生活してればポッキーゲームなんてする機会は滅多に訪れないので知らなくてもしかたがないが。
しかもムギ先輩は、一般人と違って、お嬢様っていう名前も持ち合わせているスーパー女子高生なのだ。
ポッキーゲームに限らず、私たちが当たり前のように知っているものでも、知らなかったりすることが多い。


「ムギちゃんムギちゃん! ポッキーゲームって言うのはね? ポッキーの両端を二人で咥えて、交互に食べていくゲームなんだよ!」


ムギ先輩の質問に答えたのは律先輩ではなく唯先輩だった。
さすがの唯先輩もポッキーゲームは知っていたらしい。
現役の女子高生なら大抵の子が知っているはずなので、別に驚く事でもないけど。

唯先輩の言うとおり、ポッキーゲームというのは二人で両端を咥え、少しずつ食べていくゲームである。
当然、二人の距離、つまり唇は近づいていき、ポッキーを先に折った方が負けになる。


「あっ、あああ、あの? そ、そんな事したら、く、唇がくっ付いちゃうんじゃないかしら???」


ムギ先輩は唯先輩の説明を聞くと、途端にフンスっフンスっと鼻息を荒くして、目を爛々と輝かせる。


「まーそうだな。したいヤツはそのままチューしちゃってもいいんじゃないか? まぁ大体触れる前にどっちかが折っちまうけどな」
「そっ…それは素晴らしいゲームね!やりましょう!今すぐやりましょう!ええ!ええ!いいですともッ!」


一体何が「いいですともッ!」なのか分らないけど。
ムギ先輩は突然やる気になりだした。
いったいムギ先輩の中で何が変化したのだろうか。
いや、まあ、聞かなくても何となく分かるけど…。


「おおっ! ムギちゃんが急にやる気になった!」
「よしっ! んじゃ決定だな! 今日の部活はポッキーゲームに決まりだ!」


どうやら今日の部活動はポッキーゲームで過ぎていくらしいことが今決まった。
普通に軽音部らしい練習しましょうよ、と言っても今更聞くわけがない。
律先輩が一度決めたことをやめるなんて事あるわけないし、それに唯先輩とムギ先輩も乗り気だ。

この中でまったくやる気のないのは私と澪先輩だけ。
澪先輩は「やれやれ…」と首を横に振って、私は「はぁ~」と大きく溜息を付いた。
気苦労が絶えない。まったく…本当にやれやれだ。


「んじゃ早速やるか! じゃーまずは組み合わせだな。どうする?」
「はいはーい!私あずにゃんとやりたい!」
「んなっ!?」


唯先輩が楽しそうに目を輝かせて、テーブルから身を乗り出して手を上げた。
名指しされた私はといえば、あまりに突然のことに驚きの声を上げてしまう。


「な、なな、何言ってんですか唯先輩! 私イヤですよそんなの!」
「えー!いいじゃん!やろーよぉーあずにゃ~ん!」
「イヤです!」


だ、誰が好き好んで唯先輩なんぞとポッキーゲームしますかっ!
も、もし唯先輩として、まかり間違って唇と唇がくっ付いちゃったりなんかしたら…。
その柔らかな、プリプリした唇が私のそれに重なったら…。

重なったら…。

…。


「だー!! 何考えてんの私ー!!」


変な妄想にいきかけた私は、頭をブンブンと横に振った。


「あ、あずにゃん? ど、どうしたの?」
「はっ!…い、いえ、別になんでも…。と、とにかく私はイヤですから!」


プイッとそっぽを向いてそう言うと、唯先輩は落ち込みながら、ブーたれる。
「ちょっとくらいいいじゃん…」とか言いながら、ほっぺを膨らませて。

言いたくはないが、その”ちょっと”がいけないのだ。
その”ちょっと”だけで私の心のシーソーが傾いてしまう。
傾くどころか1周してしまうかもしれない。
物理的に不可能だけど…。


「んーこれじゃ全然決まらないなぁ。んー…あ、そうだ! ムギ、くじ引き作れないか?」
「うふふふ…そう言うと思って、すでに作っておいたわ!」
「うおぅ! さすがムギだなぁ…」


私と唯先輩とのやり取りを見守っていた律先輩がムギ先輩に進言する。
が、すでにムギ先輩は行動を起こしていた後だったらしい。
なんて準備がいいんだろう。
本当にやる気満々なんですね、ムギ先輩。


「よし!んじゃこれでペアになったもの同士は絶対にすることってことでいいな!」
「私はそれでオッケーだよ、りっちゃん!」
「まぁ、別に何でもいいけどな…ホントはやりたくないけど…」


澪先輩は相変わらずだった。もちろん私だって乗り気じゃない。
出来ればやりたくないところなんだけど、この雰囲気じゃ自分だけやらないなんて通らないだろう。


「梓もそれでいいな? 誰と当たっても絶対にやること!」


律先輩も、どうやら私を逃してくれる気はないらしい。


「う…わ、分りました…仕方ないですね…」


まぁ、いいか。仕方ない。やってやるです。
それにくじ引きってことは、唯先輩と当たる確立は格段に減ったと言える。
唯先輩とさえ当たらなければ、それでいいのだ。


私達はそれぞれ、ムギ先輩の作ったノートの切れ端を手に取っていく。
どうやらそれぞれ番号がふってあるらしく、同じ番号同士がペアになるようだ。


「えーと…じゃあ私はコレで…」


くじを取ろうとしたところで、ふと、ムギ先輩と目が合った。
ムギ先輩は、一瞬ニヤリといやらしい笑みを浮かべると、すぐにいつものおっとりした笑顔に戻る。
その一瞬見せた笑顔に内心ゾクッとした私だったけど、とりあえず気にせずにくじを手にした。


「よし! んじゃ全員引いたな? それじゃ結果発表!」


律先輩はダンっという音を立てて、テーブルにノートの切れ端を置いた。
その開かれた切れ端にはでかでかと「1」とふってある。
これは同じ「1」を引いた人とペアを組むという意味に加え、1番手という意味も含まれている。

それから他のメンバーもおずおずとノートの切れ端を開き、それぞれテーブルにくじを置いていく。
その結果――。


1番手 りつ×みお
2番手 ゆい×あず
撮影係 ムギ


「ちょ、ちょちょちょっと待ってください! 何ですか! この狙ったような組み合わせはッ!! それに何ですかムギ先輩、この撮影係って!!」


どう考えてもおかしい結果に、私は憤慨する。
唯先輩と当たる確立が極めて減ったはずなのに、この結果。
これが運命だと言われればそれまでだけど、私は生憎運命なんて信じない。

間違いない。これはイカサマだ。
見えざる手によるイカサマ行為なのだ。

そしてそのイカサマをした人物は間違いなく――


「うふふふふ、だって人数は五人いるんだし、一人余っちゃうじゃない? それなら一人には撮影係してもらおうと思って~♪ うふふ~♪」


ムギ先輩しかいない。この人がくじを作った張本人なのだから。
そもそも撮影して喜ぶ人間なんてムギ先輩しかいないじゃないか。


「イカサマしましたね…ムギ先輩…」
「あら?」


私が言うと、ムギ先輩は何を言っているか分らないと言った風に首を傾げる。
白々しいったらありゃしない。


「私はイカサマなんてしてないわよ? 私が手渡ししたわけじゃないし、引いたのはあくまでみんなでしょ?」
「そ、それは…」


そう言われてしまうと、もう言い返せなくなってしまう。
それにムギ先輩がイカサマをしたという証拠もないし。
ムギ先輩の言うとおり、数字の書いてある切れ端を手に取ったのは私達自身なのだから。
手に取った切れ端の番号を操作なんてできるはずがないし、そんなことは魔法でも使わないかぎり無理だ。


(…イカサマしてないの?)


でも…。


「によによ♪」


こんなすっごくいい笑顔でニヤニヤしているムギ先輩を見ていると、勘ぐらずにはいられない。
絶対何か、裏で私達には分らない方法で番号操作をしたに違いない。
そうでもなければ、唯先輩とは当たりたくないと思っていた矢先に唯先輩と当たるなんて、あまりにも不自然すぎる。
くじ運が良過ぎただけって可能性もなくはないんだけど…。


「あずにゃは~~~ん♪ やったね! 私達ペアだよ!」
「にゃっ!?」


くじの結果に憤慨していた私に、私とペアになれて喜びを隠せない唯先輩が背後から勢いよく抱きついてきた。
突然のことで驚いた私は、思わず猫みたいな声を上げてしまう。ちょっと恥ずかしい。
唯先輩は抱きつくだけでは飽き足らず、私のほっぺに自分のそれを重ねて頬ずりまでしてくる始末。
先輩の柔らかなほっぺが擦られるたび、私の頬が熱を帯びていく。
その様子をムギ先輩がニヤニヤと眺めていたのを私は見逃さない。

こっち見んなです!


「あらあら♪」


今日ほどそのおっとりした笑顔を不愉快だと思った日はないです。
この人は自分の私利私欲のためなら多少の犠牲はいとわない人だ。
今日の事でそれがよく分かった。


「私は澪とか~。よろしくな澪! なんなら、ぶちゅ~っとやってくれてもいいからな!」
「…速攻でポッキー折ってやる」
「おいおい、そんなつれないこと言うなよ~みおしゃ~ん」
「ふんっ!」


一方、律先輩と澪先輩もくじの結果で騒いでいた。
律先輩は結果に満足のようでニコニコ笑顔。
澪先輩は不満そうな顔をしているけど、頬を赤らめているところを見ると、どうやら満更でもないらしい。

こうして始まったポッキーゲーム。
何となくだけど、ムギ先輩の手のひらで踊っているだけのように思えるのは私だけ?



―次へ―

[ 2010/07/04 19:39 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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