とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『 カッコユイ:急 ―最終兵器彼女― 後編 』

※追記からどうぞ!



「もしかして…唯先輩、ですか…?」

その一言に、その人はコクンと頷いた。

「そうだよ…もしかして気付いてなかった?」

その人――唯先輩は、目を細めて微笑む。
その笑顔は見るもの全てを魅了する。
綺麗で、カッコよくて、そして優しさに溢れている…そんな笑顔。

「~ッ!?」

その微笑みを向けられた私は、心臓が一際大きく跳ね、そのままドクドクと煩いくらいに動悸する。
胸に手を当てて確認してみたけど、まるで自分の心臓じゃないみたいだった。

(や、や…な、なにこれ…うそ…)
「どうしたの、あずにゃん? 何だか顔が真っ赤だよ?」

先輩は相変わらずの優しい微笑みを浮かべながら、そう言ってきた。
それから何を思ったのか、私に近づいてくる。
でも私は、唯先輩の接近に気付かなかった。顔を逸らしていたから。
先輩は私の前で立ち止まり、そして私の額に手を当て前髪を上げた。

「あっ…」

触れられたことに気付いて小さく声を漏らすが、その瞬間、私の額に唯先輩の額がコツンと重なった。
途端に私の視界には唯先輩の顔がドアップで映る。

「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?」
 
――ぱぷんっ!

鼻から魂的な何かが抜けかけた。
ていうか、心臓が止まるかと思った。
ううん。一回死んだね、これ。
顔は一気に真っ赤に染まり、頭からは煙が吹き出す。
どうしていいかわからない。
思考がうまく働かない。
もう、何も考えられない。

「あわっ…あわわっ…ゆ、ゆいせんぱっ…」
「熱はないみたいだね…でもどうして顔が真っ赤なのかなぁ?」
「っ…そ、それは…」

先輩はクスクスとおかしそうに笑う。
バっと慌てて唯先輩から離れた私は、真っ赤な顔を見られないようにぐるんと後ろを向く。
これ以上今の唯先輩にくっついていられたら、私の魂は完全に抜けてしまう気がする。
女神の微笑み(私命名)なんか食らった日には、二度死にかねない。

「ふふ♪ おかしなあずにゃん」
「っ…」

わ、私は別におかしくないです。
おかしいって言うなら、唯先輩の方がおかしいんです、絶対に。
これじゃ、いつもの唯先輩とまるで別人じゃないか。

「ゆ、唯先輩?」
「ん、なあに?」
「ど、どうしてそんな格好してるんですか…? 何かあったんですか…?」

火照ってオーバーヒート気味の顔を誤魔化すように、唯先輩に聞いた。
というか聞かずにはいられない。
その格好が気にならないわけがないのだから。
昨日までは文字通りの「かわゆい」先輩だったのに。
今ではすっかり「かっこゆい」先輩じゃないか。
いったい、唯先輩にどんな心境の変化があったっていうんだろう。

唯先輩は顎に手を当てて、考える素振りを見せるとこう言った。

「んー…イメチェン、かな?」

イメチェン?
本当にそれだけ?
何だか、ちょっと納得いかない…。
ていうかなんで疑問系?

「そういえば朝もね、みんなからあずにゃんと同じような反応されたよ」
「え? そ、そうなんですか?」
「うん」

その気持ちはよく分かる。
誰だって、今の唯先輩を見れば驚くに決まってる。
これじゃ下級生が転校生と間違えても仕方がない。

「人の顔見るなり、口ぱくぱくさせて、まるで幽霊でも見てるみたいな顔してるんだもん。ちょっとひどいよね?」
「ま、まぁ…そうですね」

昨日の今日で、ここまで大変身を遂げているのだから、驚くなという方がムリです。

「それに、なんかみんなして顔赤いし、教室の外は1年生とか2年生で溢れかえってるし、何だったんだろうね一体?」
「さ、さぁ…」

そんなの、カッコいい先輩を見るために決まってるじゃないですか。
唯先輩は、本気で自分が惹き起こしている影響が分かっていないようだった。
天然ジゴロの気質があるかもしれない。

「澪ちゃんなんか私が傍によっただけで、倒れちゃうし…」
「はぁっ!? な、何ですかそれ」

澪先輩が倒れた? どうして? 何があったの?

「えーと顔真っ赤にしてたから風邪かなって思って、さっきあずにゃんにした見たいにオデコとオデコをコツンとしたんだけど、そしたら頭から煙出して倒れちゃったの」
「んなっ!? み、澪先輩にもそれやったんですかっ!」
「うん」

唯先輩はさも当然のような顔をしてコクンと頷いた。

(ぐぬぬ…)

澪先輩とはあとできっちりと話しをしなければいけないようですね。
唯先輩のオデコにコツンだなんて、神が許しても私が許しません。
それをされていいのは私だけだもん。

「ふふ…まぁそれはいいんだけどね。それよりさ、どうかなこの格好。似合ってるかな?」
「へ?」

唯先輩が突然そんな事を聞いてくる。
少し照れたように頬を染めながら、髪の毛をくりくりと弄っている。
その仕草がまた、胸をきゅんきゅんさせる。
恐るべし、カッコユイ先輩。

「え、えーと…その…」

そ、そりゃ似合ってますよ。似合いすぎて困るくらいです。
カッコよすぎてその顔を直視できませんよ。

…と、大きな声で言いたい。言ってあげたい。
でもそんなの恥ずかしくて言えないよ。

(でも…ホントにカッコいいなぁ、今日の唯先輩…)

直視すると心臓が止まりそうなので、相変わらずチラッと横目で見るだけだけど、唯先輩の格好を改めて観察する。

雰囲気なんて、昨日までの、のほほんとしたものとはまるで違う。
それに言動もどことなく大人っぽい。
髪型を変えて、性格まで変わってしまったんだろうか?
髪は女の命というのも、あながち間違いではないのかもしれない。
髪が変われば人も変わるってこと?

でも…。

(…笑顔はそのままの唯先輩だよね…)

確かにカッコいい補正が掛かってはいるけど、笑顔だけはいつものままの唯先輩だった。
私の大好きな、温かくて、優しくて、心を包み込んでしまいそうな柔らかな笑顔。
それだけで、唯先輩の本質は全然変っていないことが分かる。

(あー! でもやっぱりカッコいいよぉ…どうしよ…)

前髪で隠れた片目がちらりと覗くたび、私の心臓が跳ねる。
その甘いマスクで微笑みかけられると、顔が火照るのを止められない。
ストレートの髪がさらりと靡くたびに、目で追ってしまう。

正直、どうにかなってしまいそうだった。
今の先輩になら何をされても許しちゃ――

(って!私何考えてっ!!)

おかしな考えを振り払うため頭を思いっきり左右に振った。
そんな私の様子を変に感じ取ってしまったのか、唯先輩の表情が途端に曇る。

「やっぱり…似合ってないかな?」

悲しげな表情のまま、唯先輩はそう言った。
その表情もまた随分と絵になっている。まるで薄倖の美少女だ。
って、そんな事考えてる場合じゃない。

「そ、そんな事ないです! すごく似合ってます! カッコよくてどうにかなっちゃいそうです!」
「…あ、あずにゃん…」
「はっ!」

捲し立てるように言った自分の言葉に、思わずハッとする。
何がカッコよくてどうにかなっちゃいそうだ。
これじゃ私が唯先輩にメロメロになっちゃってるみたいじゃないか。
…いやまて、今まさにその通りの状況になってるんじゃないか?

「あーあー…えーと…そ、そんな事より…唯先輩の話って何なんですか? 昨日大切な話があるとか言ってましたけど…」

とりあえず私は誤魔化すことに決めた。今決めた。
手始めに、先輩の言った「大切な話」について話しを持ちかけた。
ていうか、よく考えたら、音楽室に来た目的って唯先輩の“大切な話”を聞くためだったのを思い出す。
唯先輩の雰囲気に呑まれて、今の今まで忘れていた。
いつまでも唯先輩の雰囲気に呑まれてちゃダメだ。
気持ちを切り替えないと。

「あーうん…。そうだったね…。えっと大切な話の事なんだけど…」
「は、はい…」
「昨日の話の続きをしようと思って…」
「え?」

昨日の話の続き? それっていったい…。

「昨日、あずにゃん私の好きな人の事聞いてきたでしょ?」
「あ…はい」

昨日は、見事にはぐらかされちゃいましたけどね。
おかげで気になって夜も眠れませんでしたよ。
今でもやっぱり気になるんだけど、でも教えてくれないよね…。

…と思ったんだけど、その考えは間違いだった。

「私の好きな人、教えてあげようか?」

唯先輩は真面目な顔をしてそう言った。
その表情には冗談の欠片もなくて、唯先輩の本気がうかがい知れる。

「な?…え?」
「知りたいんでしょ? 私の好きな人」
「そ、それは…」
「知りたくないの?」

…知りたい、すっごく知りたい。
でも、どうして今ここでそんな事を?
それを私に教えて何の意味があるの?
唯先輩はいったい何を考えてるの?
でも…そんなことよりも今は――。

「べ、別に…知りたくなんかないです…」

ああ、何で私はこんな時でも素直になれないんだろう。
やっぱり気になるし。聞けるなら、聞きたいのに。

でも、やっぱり聞くのが怖い。
いざそのときになって見ると、恐怖で足がすくむ。
もしここで私の知らない誰かの名前を言われたら、私は立ち直れる自信がない。
笑顔でいられる自信がない。

しかし唯先輩は、私の返答を半ば予想していたのか、途端にクスクス笑いだす。

「ふふふ…ごめんね、あずにゃん」
「え…?」
「それは却下だよ。知りたくないって言っても、言っちゃうから…」

先輩はそう言って、妖しく微笑む。
その妖艶な笑顔に、私の心臓はドクンと跳ねた。
それに、息が詰まって呼吸が出来ない。

「私の好きな人はね…」

唯先輩はゆっくりと私に近づいてくる。
私は何故かそれに合わせるように一歩一歩後ろに下がる。
そんな私の様子を見て、唯先輩は目を細めながらニコッと微笑んだ。

「ど、どうして近づいてくるんですか…?」
「あずにゃんこそ、どうして離れるの?」
「そ、それは…」

理由なんて、私にも分からない。
ただ勝手に足が動くのだ。

「くすっ…」

先輩は笑いながら、なおも近づくことをやめない。
そして遂に

――トン…

「あ…」

私の背中は壁についてしまった。
もう一歩も下がることは許されない。

「あずにゃん…逃げないで」
「べ、別に…逃げてなんか…」

そう、別に逃げてるわけじゃない。
ただ何となく、先輩に近づいちゃいけないと、そう思っただけで。
今の先輩に触れられたら、今まで培ってきたものが全て台無しになってしまうような気がして。

「そっか…じゃあ私が捕まえておいてあげる」

唯先輩はそう言うと、私の身体を壁に押し付けるように、自分の身体を密着させてきた。
顔の横に手を付いて、股の間に足を差し入れて、私を動けないようにした。

「はぅっ…」

一瞬、先輩の太ももが私の股の敏感な部分に擦れて変な声を上げてしまった。
それに、唯先輩の柔らかな胸が私の胸に潰れて、変な気分になってくる。
唯先輩の顔がすぐそばにあって、胸のドキドキを抑えることが出来ない。

「ねぇ…梓…」
「っ!?」

い、今、唯先輩…私のこと名前で…。
何で?どうして?何ゆえ?
でも嬉しい…じゃなくてっ!

「な、何で…急に名前で呼ぶんですか?」
「いやだった? いやならやめるけど…」
「そっ…」

そんなの、嫌なわけないじゃないですか…。
好きな人に名前で呼ばれて、嬉しくない人間なんていない。

「嫌がらないってことは呼んでいいってことでいいんだよね? ていうか梓、どうしたの? すっごくドキドキいってるよ? それにいつも見たいに離れてって言わないんだね?」
「…そ、それはっ…だ、だって…唯先輩が…」
「私が…何?」
「な、何でもないです…」

今の唯先輩に離れてなんていえるはずない。
先輩の雰囲気に完全に呑まれてしまっている私には、もう抗う術が無い。
それに、私の心は先輩に抱きしめられて嬉しがってる。
離したくない、離れたくないって…。

「ふふ…。で…私の好きな人なんだけど…」
「んぁっ」

先輩はいきなり私の耳元に唇を寄せ、息を吹きかけるように囁く。
熱い吐息が、甘い声が、私の敏感な耳を刺激して、思わず喘ぎのような声が漏れてしまう。

「回りくどいのは嫌いだから単刀直入に言うよ…。私の好きな人は、今私の腕の中にいる女の子だよ…」
「ぇ…?」

今、私の腕の中にいる女の子?
どういう意味?
今、先輩の腕の中にいるのは私じゃ…。
てことはつまり…唯先輩の好きな人っていうのは――。

「ッッ!!」

その意味を瞬時に理解した私の頭は一気に沸騰する。
心臓の鼓動も、当然早くなる。
そんな私の様子を無視して、唯先輩は止めの一言を放った。

「私は梓の事が好きだよ。誰よりも何よりも、私は梓のことを愛してる」
「あぁ…ぅ…」

甘い声で耳元で囁かれ、私の身体から力が抜けてしまう。
くてっとなった私の身体を唯先輩の腕が支える。
相変わらず目の前には唯先輩の顔がある。
唯先輩は優しい笑顔で私を見つめていた。
私は顔を逸らすことが出来なかった。
ただその瞳を見つめて、言葉を放つ。

「で、でも…私達女の子同士ですよ…? それっておかしいですよ…」

嘘だ。本当はこんな事を言うつもりなんてなかった。
ただ、私も先輩のことを好きだって、そう言いたかった。
なのに、口を告いで出た言葉はそれを否定する言葉だった。
いざそのときになってみると、その気持ちを口にするのが怖くなった。
やっぱり、私達が同性であることは変えようのない事実だから。

「そんなにおかしいかな?」

先輩はちょっと寂しそうな顔をして聞き返してくる。

「そ、そうですよ…」
「何で?」
「え?」
「なんで女の子同士がダメなの?」
「何でって…だって同性愛ですよ? そんなの誰もいい顔しませんよ…」
「はぁ…ねぇ、梓。私はそんなことは聞いてないよ。人の目なんかどうだっていいの。恋愛って人の目気にしてするもんじゃないでしょ」
「…それは…」

確かにそうかもしれないけど、でも…。

「それに、女の子同士で恋愛しちゃいけないなんて、誰が決めたの?」
「え…だ、だって…普通は男女でするものですよ、恋愛なんて…」
「そんなのは人間の勝手な固定観念だよ。そもそも恋愛にルールなんてない。誰かが誰かを好きになることにルールなんてあっていいわけがない」
「っ!」

先輩のその言葉に、私の心が動いた。
唯先輩の言うとおりだった。
好きという気持ちに、愛するという気持ちに、男も女もない。あっていいわけがない。
男だから、女だから、そんな境界線を引いて人を好きになる世界はおかしい。
それが当たり前だと思っているこの世界は、その矛盾に気付かずに生活し、ただ淡々と、その”普通”を信じて生きていく。
それが本当に普通かどうかなんて、誰にもはっきりさせることなんて出来ないのに。

「ねぇ梓…。梓の気持ちを教えて。梓自身が私の事をどう想ってるか…それを教えて」

先輩は真剣な瞳で私を見つめ、はっきりと言った。
きっと、これが最後のチャンス。
私が唯先輩に自分の想いを伝える、最後のチャンス。

伝えようと思った。自分の想いのすべてを。
先の事とか世間体とか、そんな事はもう考えるのはやめだ。
正直、考えるのがバカらしくなってきた。

私は先輩の目を見つめ、一呼吸置いてから

「私も…私も唯先輩の事が…好きです…ずっとずっと好きでした…」

自分の気持ちを先輩に伝えた。
それはずっと隠し続けてきた気持ち。
きっとこれから先も伝えることはないと思っていた気持ち。

「本当?」
「はい…本当は、ずっと好きだったんです。それこそ1年くらい前から、先輩と出会って、先輩の温かさを知ったときから」
「…そう、だったんだ…」
「ごめんなさい…私が素直じゃなかったから…きっと先輩にも嫌な思いさせましたよね…」
「ううん。そんな事ないよ…。それに、梓だっていっぱい悩んだんだよね…」
「それは…」
「ねぇ梓…、もう一度聞いてもいい? 梓は私のこと好き?」

その言葉に、コクンと頷いた私は、もう一度はっきりと愛の言葉を口にする。

「好き…大好きです…誰よりも唯先輩の事を愛してます」
「梓…嬉しい…」

唯先輩は少し痛いくらいに私を抱きしめてくる。
でも、その痛みが逆に心地よかった。

「梓…」
「ぁ…」

ふいに、私の頬に唯先輩の唇が触れる。
頬には柔らかい感触が広がり、先輩の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

でも…出来ることなら唇にして欲しかったかも…。
ちょっと贅沢かもしれないけど。
私達もう恋人同士…なんだし、それくらい考えても罰当たらないよね。

「ねぇ…梓。いいかな?」
「んっ…」

…と思ったんだけど、唯先輩は以外にせっかちさんだったようだ。
先輩はそう言いながら、私の胸に手を当ててやんわりと揉み始める。
その意味はもちろん理解している。
先輩は私が欲しいと、そう言っているのだ。
しかし、想いを伝え合って数分で身体を求めるとか、どんだけ?
溜まりまくってますね、先輩。

もちろん私としては、断る理由はない。
それに私自身、望んでいたことでもある。
でも…。

「あ、あの…その…」
「ダメなの?」
「だ、ダメじゃないです! た、ただその…さっき体育だったから汗かいちゃってますし…それにもうお昼終わっちゃいますよ?」

さすがに汗まみれの身体で先輩に抱かれるのは気が引ける。
出来るなら綺麗な身体で先輩にすべてを捧げたい。
それにお昼は――

――キーンコーンカーンコーン…

ちょうど終わってしまった。お昼休み終了の鐘が校舎に鳴り響く。
結構長く語り合っていたから、お昼ご飯を食べてる時間すらなかった。
正直お腹も減ってる。
それにすぐに教室に戻らないと、5時限目が始まってしまう。

「ごめん…梓…」

でも唯先輩は、私の身体を離そうとはしなかった。そして何故か謝ってくる。
抱きしめる力も強くなり、絶対に離さないと安易に告げている。
唯先輩はそっと耳元に唇を寄せた。それから優しく囁く。

「…私、もう我慢できない…」
「えっ…そ…ああぁっ!」

先輩はそう言うと、私の首筋に吸い付いてきた。
私は何も言葉を掛けることすら出来ず、甘い喘ぎをあげてしまう。
その甘美な刺激に、私の全身に電流が駆け巡った。

「ふふ…梓の汗…甘いよ…」
「や、やぁあ…」

抵抗しようと腕に力を込めるけど、まったく身体に力が入らない。
それどころか、先輩が私の首筋を舐め上げるたびに、さらに力が抜けてしまう。

「ふふ…午後の授業は二人でサボっちゃおうね…?」
「……」

この先輩相手に抵抗なんて最初から無意味だと知る。
そもそも抵抗しようとしていたかどうかも怪しい。
先輩のその言葉に、私はコクンと頷く。

それが合図。私たちの熱くて長い午後が、今始まる。






カッコユイ 真・裏 ―堕ちてゆく二人―
R-18です。閲覧の際は自己責任でお願いします。







放課後、最初に音楽室にやってきたのは澪ちゃんとムギちゃんだった。
りっちゃんは掃除当番らしく、遅れてくるそうだ。

「で、結局唯はなんで午後の授業に出なかったんだ?」

テーブルに並べられた、お茶とお菓子。
ムギちゃんが用意してくれたそれを、おのおの口にしながら、いつも通りのティータイムを過ごしていた私達。
ふいに、澪ちゃんが私に向かって、そんな事を聞いてきた。

「ふふ…聞きたい?」

ニヤリと厭らしい笑みを浮かべながら、澪ちゃんに返すと、澪ちゃんはポっと頬を赤らめて顔を逸らしてしまった。

「べ、べべ、別に知りたくなんか…そ、それにどうして梓は唯の膝の上に乗ってるんだよ?」

澪ちゃんの言うとおり、梓は私の膝の上に乗って、私の胸に顔を摺り寄せていた。

「まぁ簡単に言えば、梓が私のモノになったって事かな」
「なっ!」

目を見開いて驚く澪ちゃん。
何を想像したのか、一瞬で顔を真っ赤に染めて煙を噴く。

「ね…梓?」
「はい…私は先輩だけのモノです」

梓は甘く蕩けるような声でそう言った。

「ふふ、いい子だね」

頭を撫でてあげると、目を細めながら喜んでいる。

「せんぱぁい…」

頬を朱に染め、きゅっと私の袖を握って身を寄せてくる。
それがちょっとくすぐったいけど、梓が可愛いので全然気にならない。

「いったい何があったて言うんだよ…」
「うふふ…それは聞くだけ野暮だよ、澪ちゃん」

澪ちゃんの言葉にムギちゃんはそう言うと、相変わらずのおっとりした笑顔で私達に目を向ける。
それから何かを思い出したように、顎に手を当てるムギちゃん。

「あ、そうそう…唯ちゃん」
「ん、なぁにムギちゃん?」
「一応先生には具合が悪くなって保健室で休んでるって伝えといたわ」
「さすがムギちゃん。分かってるね」

うふふっと私とムギちゃんは笑いあう。その笑顔はどこか黒い。

「あ、そういえばさ、澪ちゃんはもう大丈夫なの? 今朝倒れちゃったけど」
「へっ! や、あれはだって…その…」

私が言うと、澪ちゃんは何故か慌て出す。
そわそわと落ち着きが無くなって、目も泳ぎだす。
しかも顔は茹蛸みたいに真っ赤だ。

そんな澪ちゃんの様子を怪訝そうな顔で見つめていた梓が、キっと澪ちゃんを睨みつけた。

「澪先輩…言っておきますけど…」
「なな、なんだよ…」

梓の睨みに少し恐怖を覚えた澪ちゃんは、顔を強張らせている。

「唯先輩は私のですからね? そこんとこ勘違いしないでくださいよ」
「なっ!ば、ばば、ばかっ!別に私はそんな…」

梓のその言葉に、澪ちゃんの顔に火がついた。

「ほらほら梓…ダメだよ、そんなに睨んじゃ…澪ちゃん怖がってるよ?」
「あ、す、すみません…」

私が言うと、梓は途端にしゅんっと落ち込んだ。
いちいち反応が可愛らしい。

「もう、そんな心配しなくたって大丈夫だよ? 私は梓一筋なんだからね?」
「あ…は、はい!」

その言葉に、梓はパァッと顔を綻ばせると、私の首に腕を回してギュッと抱きついてくる。
私は梓を抱きしめながら、頭を撫でる。
それだけで梓は「にゃぁ」とネコみたいな鳴き声を上げて蕩けてしまう。
私は梓の耳元に唇を寄せて、もう一言付け足した。

「今日からたっぷりと可愛がってあげるからね?」
「っっ!!」

そう言うと、梓の身体がビクンと跳ね、途端にもぞもぞと股を擦り合わせる。
その様子に、私はニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。
どうやら、私の「可愛がり」を想像して、股間を熱くしてしまったようだ。
やれやれ…厭らしいったらないね。
梓の身体をそんな風にした私が言えた義理じゃないけど。

「ふふ…梓ったらまた濡らして…いけない子だね…これは帰ったらオシオキが必要かな?」

オシオキ…もちろん性的な意味でね。

「っ!…はぁはぁ…」

耳元で、梓以外誰にも聞こえないように囁くと、梓は荒い息をつき始める。
顔も真っ赤に火照り、心臓の音はバクバクと鳴っている。

(どんなオシオキにしようかなぁ…ふふふ)

頭の中で今晩するオシオキについて考えていたその時

――バターン!!

けたたましい音を響かせて、音楽室の扉が開かれた。
入ってきたのは言うまでも無く、掃除当番で遅れてきたりっちゃんだ。
どうやらここまで走ってきたようで、荒い息をついている。
しかも何故か慌てた様子だった。

「お、おい大変だぞ!唯!」
「え?どうしたの?」
「お前のファンクラブが出来た! もういたるところで騒ぎになってるぞ!」
「はぁ?」

私のファンクラブ?何それ?
そんなのが私に出来ちゃったの?

「何でまた…」
「何でって…お前なぁ~…今の自分の格好見てなんとも思わねーのかよ…」

あのね、りっちゃん。別に何にも思わないよ。
この格好だって、梓のために望んだことだし。
正直、他のことなんて知らないよ。

「わ、私はそんなの認めません!」

ファンクラブの話を聞いて、梓は慌てた様子で、私を抱きしめる腕に力を込めた。

「あぁ…今朝の様子から何となくできてしまうんじゃないかと思ってたけど…まさか本当にできるなんて」

澪ちゃんが遠くを見つめながら、感慨深くそう言った。

「うふふ…何だか楽しくなってきたわね~」

ムギちゃんは相変わらずのおっとりぽわぽわ。


はぁ…やれやれ、人気者も結構つらいんだねぇ。
澪ちゃんの気持ちが何となく分かった気がするよ。
カッコいいのも案外楽じゃないんだね。


(ま、そんなことはどうでもいいや…今は…今晩のオシオキを考える方が先だよね…うふふ)


そんなことを考えつつ、私は膝の上に乗った梓の頭を優しく撫でていた――。



おしまい



【あとがき】
真っ白に燃え尽きました…。
ようやくカッコユイ完結です…。
正直、唯とユイが別人のようです。
でも、いいよね、うん。
カッコユイだもの!
ED唯見てたらこんな性格想像しちゃうよ!

裏もありますので、よかったら見てやってください!

それでは、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました!
[ 2010/06/19 21:57 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)
さすがはかっこ唯…
桜高全てを虜にする日も近い…かも。
[ 2010/06/19 23:01 ] [ 編集 ]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2010/06/20 04:25 ] [ 編集 ]
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