とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『カッコユイ:序 ―始まりの唄―』

※2期ED唯ネタ

※追記からどうぞ!


「あーずにゃんっ!」


その日も私は、いつものようにあずにゃんに抱きついていた。


「も、もうっ…またですか? 離してくださいよ…苦しいですっ…」


いつもと同じなのは、もちろんあずにゃんも同じ。
あずにゃんはまるでネコみたいに「にゃっ」と小さく悲鳴を上げると、相変わらずツンケンした態度で私を邪険に扱うのだ。


私とあずにゃん、二人だけしかいない音楽室。


私は、他のみんながいないのをいい事に、あずにゃんのそのちんまいボディにアタックを仕掛けていた。
それはまるで恋人同士がするような熱いスキンシップ…に見えなくもない。
腕の中にすっぽりと納まったその小さな身体を、私は少し痛いくらいに抱きしめた。
その途端に漂ってくる甘くていい香り。そして身体の柔らかい感触。
それら全てが、私の胸をドキドキさせる。

――あずにゃんって本当に可愛い。

大げさかもしれないけど「この世にあずにゃんより可愛いものは存在しない」ってくらい可愛いと思う。
そのちっちゃなボディはマシュマロみたいに柔らかくて。
二つに結ばれたその長い黒髪は、とってもさらさらで、甘いお菓子みたいにいい香り。
ネコ耳つけて「にゃ~」なんてされた日には頭の中はヘブンだよ。

そんなあずにゃんに一目惚れしちゃった私こと平沢唯。
女の子が女の子を好きになるっていう異例の事態だけど…でもそんなの関係ない。
そんな事はあずにゃんを諦める理由にはならないのです。

あずにゃんに惚れちゃってからというもの、ありとあらゆる手を使ってアプローチを掛けている。
もちろん、毎日のようにしているスキンシップもその一つ。

出来ることならずっと抱きしめていたいって思う。
温かいぬくもりをずっとその身に感じていたいって思う。
ずっと私の隣に、ずっと私の傍にいて欲しいって思う。
いつまでも。どこまでも。

それは独占欲って言うのかもしれない。
あずにゃんを誰にも渡したくないっていう独占欲…。


でも…。


「あずにゃんは可愛いねぇ~♪ ぎゅ~!」

「んんっ…あ、暑苦しいから離れてください!」


そんな想いとは裏腹に、あずにゃんは私の気持ちをちっとも分かってくれない。
まぁ、分かれって方が無理かもしれないけど…。ただ強引にスキンシップしてるだけだし…。
でもさ、少しくらい大目に見てくれたっていいじゃない。

――私はこんなにもあずにゃんの事が大好きなんだから。


「うー…まだ抱きついたばっかりじゃん。もうちょっとだけー」

「はぁ…ホント、唯先輩はしょうがない人ですねぇ…」


あずにゃんはボソッと呆れたように呟く。


「えー、それどういう意味ー?」

「さぁどういう意味でしょう。そんな事はいいですから早く離してください」

「えー!」


まるで尖った鉛筆みたいにツンツンしてて「離してください」の一点張り。
落ち着いてそのぬくもりを感じる暇すらない。
まぁだからと言って、そんな事くらいでめげる私じゃないけど。
あずにゃんの言葉を無視して、今度はその柔らかなほっぺに頬擦りです。


「ん~♪ あずにゃんあったか~い」

「んっ…も、もう! お願いだからやめてください! いい加減にしないと人を呼びますよ!」

「ひ、人を呼ぶって…し、しどいっ…」


そりゃないよ、あずにゃん…。
それじゃまるで、私変質者みたいじゃん。
ぶー…。

頬擦りされたあずにゃんは、少し困ったような、呆れたような顔だった。
そこにいたのは、1年前からちっとも変わらない相変わらずのあずにゃん。

毎日のようにスキンシップを繰り返しているというのに、あずにゃんという名の子猫は未だに私に懐いてはくれない。
嫌がられてるんじゃないか、と普通思うだろうけど、実際のところ本気で嫌がってるような感じはしなかった。
あずにゃんの雰囲気もそうだし、もし本気で嫌がっているなら、力いっぱい私の腕を振り解くはずだもの。
それをしないって事は、たぶんあずにゃんの中では私の行動はまだ許容範囲内なのかもしれない。


(けど…いつ爆発してもおかしくないよね。あずにゃん怒ると怖いし…)


でもやめられない。どうしてもやめられない。
離して――と耳に蛸が出来るくらい言われても。
いい加減にして――と口を酸っぱくして言われても。
それでも私は、あずにゃんから離れたくない。

仕方ないよね?
だって私、とっくの昔に病気にかかってるんだもん。
その名も、『あずにゃん症候群』別名、恋の病。
正直、治る見込みはありません。すでに不治の病です。

私、あずにゃん無しじゃ生きられません。ふんすっ!


「もうちょっとくらいいいじゃん。いつもの事なんだしー」

「い、イヤです。もうすぐ他の先輩達だって来るんですから、離してください!」

「おーねーがーいー! あとでタイ焼き奢って上げるからぁ~」

「っ!…ハッ…だ、ダメです。そんなモノで吊られるほど私は軽い女じゃありません! いい加減にしてください!」


今、ちょっと吊られそうになったよね。

あずにゃんから離れたくない私は、なんとか粘ろうとあずにゃんの説得を試みる。説得になってるか微妙だけど…。
しかし、あずにゃんは「イヤ」「いい加減にして」「離して」のトリプルコンボで攻めてきた。
まったく取り付く島がない。本当に頑固なネコさんだ。
これならまだ道端でたむろってる野良猫さんの方がよっぽど素直だよ。


(はぁ…たまには気まぐれとか起こしてくれないかな…)


やれやれ、仕方ないかぁ…。


「ぶー…、わかったよぅ…」


私はぶーたれながら、しぶしぶあずにゃんから離れた。すごく名残惜しい。

はぁ…今日はたったの3分だけ。
昨日は1分だったから、倍以上はスキンシップできたんだけど。
とは言っても、1分でも3分でも、そんあの無いのと一緒だよ。
それに、あずにゃん分だってまだ全然溜まってないし。
私の中のあずにゃん分タンクはエンプティー寸前。
こんな状態で、私はこれからどうやって生きていけばいいの?
もしかして、あずにゃんは私に死んで欲しいの?

そんな事を考えながら、ふと疑問が沸きあがった。


(ん…? そういえば…今日もだったなぁ…)


今日も、ていうかいつもなんだけど、あずにゃんは自分から腕を振り解こうとはしないのだ。絶対に。100%と言ってもいい。
「離して」とか「いい加減にして」とか、言葉では言うんだけど、自分からは絶対に離れようとしない。
私が離すまで、その毒舌ともいえる言葉で抵抗するだけ。身体はまったくといっていいほど無抵抗。
その身でネコみたいに暴れて抵抗すれば一発で離れられるのに、どうしてそれをしないんだろう?
もしかして、抵抗しても無駄だと思ってるのかな?
いつもの事だし。


「あずにゃんってさ、私が抱きつくと自分から離れようとしないよね? なんで?」


それでもやっぱりちょっと気になったから、あずにゃんに聞いてみた。
ちょっと直球すぎかな~とも思ったけど、こんな事を回りくどく言っても仕方ない。
ここは直球ど真ん中のストレート勝負だよ。


「っ!」


私の質問にあずにゃんはギョッとした顔を見せると、その途端ポっと頬を赤らめ、私から目を逸らす。
その目はあっちにいったりこっちにいったり、まるでお魚さんみたいに泳いでる。
何だかすっごく挙動不審。どうしちゃったんだろ?


「べ、別に…特に理由なんてありません…。ど、どうせ抵抗したって無駄だから…、が、我慢してるだけですっ」


あずにゃんはわたわたと慌てた様子で、しどろもどろになりながらそう言った。
その様子は多少気になったけど、でもあずにゃんの言葉がショックで気も抜けた。
それは私が思ったとおりの答え。一言一句間違いなく。


(やっぱりそう思ってるんだ…)


ちょっと悲しいかも…。


「そっか…ごめんね。いっつもいっつも」


どうして謝ったのかな…。今まで一度も謝ったことなんてなかったのに。
ま、いっか。いつもあずにゃんに迷惑かけてるのは事実だし。
ここらで一発、それを清算しないと悪いよね。


「い、いや…あの…わ、分かればいいんですよ」


あずにゃんも急に謝ってきた私に対して、驚いたように目を見開く。
それからバツが悪そうに私から目を逸らした。
微妙に顔が赤らんでいるのは何でなんだろう。
風邪かな?




(はぁ…)


まぁいっか、と心の中で溜息をつく。
今のままでもあずにゃんに触れることは出来るんだから。それで我慢しなくちゃ。
でも欲を言えば、もう少し素直になってくれてもいいんじゃないかって思う。
それこそ、あずにゃんの方から私にスキンシップして来てくれるくらい。


(……)


ごめん…さすがにそれはないよね。素直になりすぎ。ちょっと行き過ぎちゃった。
あのあずにゃんが、自分から私に抱きつくなんて天変地異の前触れとしか思えない。
そんな事になったら明日は槍の雨が降る。地球はあっという間に血の海だよ。
くわばらくわばら…。


(うーん…)


…でもやっぱり、ちょっと考えちゃうな。


(何かいい方法ないかなぁ…あずにゃんを素直にさせる方法…)


あまりいいとは言えない頭で考えてみるけど、中々いい方法は思い浮かばない。


(あずにゃんを素直に…素直…かぁ…)


でも素直って言っても、あずにゃんって私が抱きつかなくても、日常的に素直じゃないんだよね。

特に私に対しては。これ重要。

仮に、これが澪ちゃん相手だったりすると、まるでご主人様に懐くネコみたいに擦り寄っていくんだよね。
笑った顔とか照れた顔、そう言った表情を澪ちゃんには当たり前のように向ける。


(はぁ…澪ちゃんに向ける笑顔の半分くらいでいいから、私にも笑いかけてくれればいいのに…)


そんな事になったら私は発狂して、あずにゃんを襲っちゃうかもしれないけど。
それによく考えたら私、あずにゃんの呆れ顔と怒った顔しか見たことないかもしれない。
あずにゃんって基本、頼りがいがあって優しくてカッコいい人に弱いみたいだから。
そんな完璧超人どこにいるのって言いたいけど、いるんだよね身近に。
さっきも言ったとおり、澪ちゃんがまさにそれなんだ。

澪ちゃんカッコいいし頼りがいあるし優しいし、おまけに勉強もスポーツも出来て、非の打ち所がない女の子。
痛いのとか怖いものが苦手っていうけど、そんなの逆に澪ちゃんの可愛さを惹きたててるだけだし。
そんな歩く萌え要素な澪ちゃんに私が勝てるところなんて、あるわけない。


「はぁ…」


自分の不甲斐なさに思わず溜息をついてしまう。


「どうかしたんですか? 唯先輩」


あずにゃんはそんな私に気付いて声を掛けてくる。


「んーん。別に何でもないよ。ただ自分のダメさ加減に悲しくなっただけで…」

「?」

「あはは…気にしないで。大丈夫だから」


どうやらちょっと心配かけちゃったみたい。
私の落ち込みモードに不思議そうな顔をしているあずにゃん。
でも、その表情には明らかに心配そうな色が見えた。

そっか…私の事、心配してくれてるんだ、あずにゃん…。


(えへへ…あずにゃんに心配してもらえるのって、すっごく嬉しいかも…)


そんな事を思いながら、私は顔を緩め、思わずニヤけてしまった。


(もう…そんな顔されたら私、我慢できなくなっちゃうじゃん…。よ、よーし…ここは玉砕覚悟でもっと大胆に攻めてみよっかな!)


そう思って、私は行動を起こす。
両手を広げて、あずにゃんにダイブです!


「あずにゃーん! むちゅちゅ~♪」

「へ…? きゃっ!」


――パチーンっ!


我慢出来ずにちゅーしようとしたら、叩かれた。
景気のいい音を響かせて、私のほっぺが震える。
きっと綺麗な紅葉ができてるね。自分じゃ見えないけど。
うぅ…あずにゃんにビンタされちゃった。ぐすん…。


「きゅ、急に何するんですかっ!」

「うー痛いよあずにゃん…。何って、ちゅーに決まってるじゃん?」

「ちゅっ!?」


そりゃー急にキスしようとしたのは悪かったけどさ。
何もビンタすることないじゃん。
ん?…ていうか、アレ? 
何か、前にも同じようなことがあった気が…。
そう、あれは確か文化祭の――。


「も、もうっ! 唯先輩ってどうしてそーいう事しようとするんですか?」

「へ? そりゃーしたいからだよ」

「そ、そういうことは好きな人にしてやったらいいじゃないですか…」


いや、だから好きだからしたいんだけど。
まぁ、あずにゃんは私の気持ちを知らないんだから仕方ないけど。


「…そ、その…いないんですか、そういう人?」

「へ?」


あずにゃんは頬を赤らめ、突然そんな事を聞いてきた。
私から顔を逸らしてるんだけど、時折チラチラとこちらを見てくる。
その様子もちょっと気になったけど、それ以上に今、私は驚いていた。
まさかあずにゃんから、そう言う事を聞いてくるなんて思わなかったから。
もしかして、少しは気にしてくれてるのかな?


好きな人なら、目の前にいるよ。


(って、言いたいよ…うぅ…)


でも言えない…。
今のままじゃ絶対、NO以外の返事は返ってこない…と思う。


(うーん…どうしよう…。でも…)


大いに悩む乙女が一人。それはもちろんこの私。


(いつか言わなきゃいけないとは思ってたし…。それにいつまでもだらだらと先延ばしにしてるのもなんだかなー…)


…言っちゃおうかなぁ。


「えーとね…まぁ、好きな人はいるよ?」

「えぇっ!」


私の一言にあずにゃんは驚愕の表情を見せる。
まさか「いる」なんて返答が返ってくるとは思っていなかったんだろう。
驚いた顔で口をパクパクさせている。まるで金魚みたい。


「あの…今、いるっていいました?」

「うん…」


あずにゃんは驚きの表情のまま聞き返してきた。
私は頬を赤らめてコクンと頷く。


「だ、誰っ!」


ようやく私の言った意味を理解したのか、急に慌てだすあずにゃん。
私の肩に掴み掛かってきそうな勢いだ。


「ど、どうしたの、あずにゃん?」


私はあずにゃんのその様子に驚きを隠せない。
何だかすごく焦ってるような、そんな様子。
どうしちゃったんだろう?

それに――


「誰なんですかっ、唯先輩の好きな人って!」


ちょっとしつこい位に私の好きな人を聞いてくる。
ホントにどうしちゃったの、あずにゃん?


「し、知りたいの?」


そう聞き返すと、あずにゃんはハっとして目を逸らした。
その顔は茹蛸みたいに赤く染まっている。


「…べ、別にそこまで知りたいってわけじゃ…」

「でも…知りたいんだよね?」

「ぅ……ま、まぁ…多少は…」


やっぱり少しは気にしてくれてるみたい。
ただの好奇心って可能性もあるけど。


「えっと…私の好きな人はね――」

「は、はい…」


あずにゃんはゴクリと唾を飲み込み、揺れる瞳で私の言葉を待っている。
そんな目で見られるとすごく言いづらいんだけど…。


(うぅ…どうしよ、ホントに言っちゃっていいの?)


今言って、ホントにOK貰える?


(ダメ…ムリ…絶対ムリだって~…たぶんだけど…)


心の中では完全に負け戦だった。
そんな心の表れからか、私は結局――


「…な、内緒、だよ…」


そう言って、折角の告白のチャンスを棒に振ってしまった。
ヘタレ唯の誕生です。はぁ…。


「…そっ!…そ、そうですか…」


私の答えに、あずにゃんは表情を曇らせ、俯いてしまった。
しかしそれは一瞬の事で、すぐに顔を上げ、表情を戻す。


「ま、まぁ…無理に聞くのも悪いですからね…」

「ご、ごめんね…あずにゃん」

「い、いいですよ…別に…。こっちこそすみませんでした。変なこと聞いちゃって…」


あずにゃんのその言葉を最後に、それっきりこの話は終わってしまった。

それから他のみんなも音楽室にやってきて、いつもと変わらない放課後がやってくる。
ティータイムの時はちょっと気まずくて、私とあずにゃんはお互いチラチラと横目で様子を伺ってた。
目が合うたびに、お互いパッと顔を逸らして。そんな私達の様子に他のみんなにも不思議がっていた。

でも、練習が始まる頃にはそれもなくなっていた。
帰る頃にはいつもの私達に戻っていたしね。



でも――。

きっとこれが全ての始まりだったんだ――。




―続く―
[ 2010/06/12 11:06 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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