とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『茜色に染まる世界の下で―前編―』

※拍手お礼SS13

※追記からどうぞ!




放課後になってから、どれだけの時間が経過したのだろうか。
脇目もふらずにギターの練習に打ち込んでいたせいか、時間経過の感覚がなかった。


私はふと、ギー太を弾く手を止めた。


窓の外に目をやると、空は綺麗な夕焼けで、真っ赤に染まっている。
そんな光景を綺麗と思う反面、何故か少しだけ恐怖を覚えた。
だって

それはまるで、すべてを焼き尽くす炎のようにも見えたから。


西日でオレンジ色に染まった部室。
その中で鳴り響くのは、ただ一つの音。
それはとても聞きなれたギターの音で。
ずっと、いつまでも、聞いていたいと思える…そんな音。
私が何よりも大好きな、君の音。

優しく力強いギターの音色を聞きながら
私はギー太をスタンドに置き、物音を立てずにそ~っとソファに座った。
君の背中を見つめながら、ギターの音に耳を傾け
それから私は…君の名前をそっと呼ぶ。


「ねぇ…あずにゃん…」

「…何ですか?」


背中を向けながらギターを弾きつづけるあずにゃん。
私の呼びかけに返事をするだけで、振り向かないし、ギターの音も止まらない。

でもそれでいいんだ。

別にギターを止めさせるために名前を呼んだわけじゃないし。
それに何か言いたい事があったわけでもない。
ただ名前を呼んでみただけ。
君が傍にいるってことを、ただ感じたかっただけ。


「あずにゃん」

「…はい」


もう一度名前を呼んだ。
今度はただ呼んだだけじゃない。
伝えたい事があった。


伝えたい。
この時を。
この瞬間に感じるすべてを。
今、目の前にいる君に。


そっと胸に手を当てる。
トクントクンと一定のリズムを刻んでいた鼓動。
今ではトットットット…っと小刻みに早くなっていた。
すぅっと大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐いた。
そして夕日に染まった背中を見つめながら、言った。


「好きだよ…」

「えっ…!」


愛の告白とも取れるその言葉。
途端にあずにゃんの身体がビクンと跳ねる。
さすがのあずにゃんもその一言には驚いたみたいだ。
ギャン!…という鈍い音を最後に、ギターの音が止まった。

ゆっくりと振り向くと、何を言われた分からないといった、驚愕の表情で私を見つめている。
まあ、あずにゃんの気持ちも分からなくもない。
ただ「好き」といっただけなのだから。
いったい何に対しての好きか、言わなければきっと伝わらないよね。


「あずにゃんのギターの音…私大好きだよ」

「え?…あ、ああ…そう言う意味ですか…」


私の言葉に、一瞬ポカーンとした表情を浮かべたあずにゃん。
私から目を逸らすと、人差し指でポリポリと頬を掻きはじめる。
それにその顔はどこか朱に染まっていて、照れているようにも見えた。
もしかしたら夕日のせいでそう見えたのかもしれないけれど。


「紛らわしい言い方しないでくださいよ…もう…」

「……」


ねぇ、あずにゃん…。
たぶん君は、愛の告白だと思って勘違いしたと思ってるかもしれない。
でもね…それは勘違いなんかじゃないんだよ。

だって

私は今この瞬間に感じたすべてに対して「好き」という気持ちを口にしたのだから。
その中にはもちろん、君の事が愛しいという気持ちも含まれてるんだよ。


「ね、あずにゃん」

「今度は何です?」

「…こっちおいで…?」


そう言って、私は自分の股の間をポンポンと叩いた。


「なっ…何言って…」

「おいで」

「っ…」


私はできる限り優しい声で、そして自分の出来る最高の笑顔を向けて、あずにゃんを呼んだ。
あずにゃんは一瞬大きく目を見開くと、息を呑み、そしてポっと頬を赤らめる。
今度のは夕日のせいなんかじゃない。
それくらいはっきりと染まっていた。

ふふ、可愛いなぁ…。


「……」


あずにゃんは無言でギターストラップを肩から外すと、そっとスタンドに置いた。
そして私の前までくると、くるりと背を向け、ポスンという音をたてて私の股の間に座る。


「こ、これで…いいですか?」

「うん…ごめんね」

「…珍しいですね、唯先輩がそんな事で誤るなんて。いつもなら有無を言わさず抱きついてくるのに…」

「あはは…」


ちょっと苦笑気味の私。
確かにあずにゃんの言うとおりだね。
いつもの私ならあずにゃんが嫌がろうと飛び掛っていく位の事はするから。


私はあずにゃんのお腹に腕を回して、そっと抱き寄せた。
途端に感じる君の背中のぬくもりと、髪の毛から香る甘い匂い。
それがとても心地いい…。

一瞬「あっ…」と切ない声を漏らしたあずにゃん。
だけど、私の腕を振り解こうとはしなかった。
それどころか、ごろごろとまるでネコみたいに、すりすりと私に身を預けてくる。
それが何だか嬉しくて、私は抱きしめる腕に力を込めた。


「あずにゃんは温かいね…すごく気持ちいいよ…」

「…唯先輩だって…温かくて気持ちいいですよ」


そう言うと、私の手をそっと握ってきた。
小さくて可愛いあずにゃんの手。
私もそっと握り返す。
何だかちょっぴり恥ずかしかった。


「ふふ♪ 何だか今日のあずにゃん…素直だね」


いつもならプンスカ怒りながら、「苦しいですー!」なんて言ってジタバタ暴れるのに。
今日は珍しく、しおらしい…。
私としては可愛いからいいと思うけど、何だかちょっと拍子抜けだった。


「そ、それは…だって…唯先輩が…」

「私が…何?」

「っ…な、何でもないです!」


あずにゃんの顔を横目で見る。
頬どころか耳まで真っ赤だった。

ふふ…照れてるんだ。
可愛いなぁ…。
もう、そんな可愛いところ見せられたら私、我慢出来なくなっちゃうじゃん。

あずにゃんの肩に顎を乗せて、その朱に染まった柔らかい頬に自分のそれをくっつけた。

ピトッと。


「にゃっ! あ…ゆ、唯先輩…?」

「うふふ、あずにゃんが可愛いからいけないんだよ?」

「な、何言ってるんですか…もう」


あずにゃんの火照った頬の熱が、私の頬にも伝わってくる。
まるであずにゃんの熱が私に乗り移ったみたいに、私の頬も火照っていく。
何だか…あずにゃんと1つになれたみたい。

もう、離したくない。
君を。
君の心を。
君のすべてを。


「ねぇ、あずにゃん…」

「はい…?」

「好きだよ」


心を込めて、私はもう一度、さっきも伝えた言葉を口にする。
言葉に込められた気持ちも意味も最初と変わってない。
さて…今度はあずにゃん、ちゃんと気付いてくれるかな?


「っ…も、もう分りましたから…ギターの事は…」

「……」


やれやれ…あずにゃんって実は鈍感さん?
仕方ないなぁ…。
できればあずにゃん自信に気付いて欲しかったんだけど…。
待ってるだけじゃ何も変わらないのは、私が一番良く分かってるから。


「あずにゃん…私は別に、ギターの音"だけ"好きなんて、ひと言も言ってないよ?」

「っ!」


その言葉に、あずにゃんは息を呑んだ。
あずにゃんの背中から伝わる鼓動が、一瞬ドクンと跳ねたのを感じた。

それじゃあ、あずにゃん…。
これが最後だよ?

私はあずにゃんの耳元に唇を寄せて、優しく、囁くように言った。


「私は好きなの。あずにゃんが…大好き…。ギターの音だけじゃない…。こうして抱きしめた時のぬくもりも、髪の毛から香る甘い匂いも…」

「……」


あずにゃんは黙って私の話を聞いている。
でもあずにゃんの心臓の音は黙ってはいなかった。
ドクンドクンとうるさい位に高鳴った鼓動は、私の身体にも伝わってきていたから。


「――あずにゃんといっしょの時間が…あずにゃんのすべてが…私は好き…」


その言葉を最後に、私は抱きしめる腕にさらに力を込める。
一瞬ビクっと身体を反応させたあずにゃんだったけど、すぐに力を抜いた。


静かな時間が流れていた。
たっぷり1分ほど、黙り込んでいた私達。
そんな沈黙を破ったのは、他でもないあずにゃんだった。


「ほんと…ですか…?」

「…うん?」

「私の事…好きって…その」

「…うん、本当だよ…ずっと、これからも…私はあずにゃんの事が大好きだよ…」

「…そ、そうですか…」


私のその言葉を確認すると、あずにゃんは俯いてしまった。
表情は読めなかったから、今あずにゃんが何を考えているのか分らない。
でも、やっぱり…ダメなのかな…。


「やっぱり…気持ちわるいかな…? 女の子同士だもんね…」


実際、自分でもおかしいとは思ってるんだ。
私は女の子で。あずにゃんも女の子。
同性同士での恋愛。
世間一般では決して認められるはずのない、その気持ち。

それでも、私はこの子を好きになってしまった。
恋してしまった。
その気持ちを捨てる事なんて、私には出来ない。
たとえ結ばれなくても、私はずっと、君を想って生きていきたい。


「ごめんねあずにゃん…変な事言っちゃって…もう、忘れていいから…」

「っ…イヤですッ! 忘れたくありません!」


それは一瞬の出来事だった。
あずにゃんはその言葉をきっかけに、一度立ち上がり正面を向いた。
そしてそのままの勢いで、体当たりの如く、私の胸に飛びついてきた。


「忘れるなんて…出来ません…。わた…私だって…唯先輩の事…」

「あずにゃん…」

「こ、こんな時くらい…梓って呼んでください…」


あずにゃんは顔を上げて、私を見つめる。
瞳は潤み、頬は赤く染まっている。
純粋に綺麗だと思った。
夕日に照らされているおかげか、その顔はいつもよりも綺麗に見える。


「うん、わかった。じゃあ梓も唯って呼んでね?」

「う、うん…唯…」


何だか改めて名前で呼び合うのって、ちょっと恥ずかしい。
でもそれ以上に、喜びの方が上だった。


「ねぇ、私…梓の事好きでいてもいいのかな…」

「…いて、ください…私も唯の事が好きですから…」


嬉しい…。
嬉しいよ…梓。


「梓…好き…」

「私も好きです、唯…」


今、私達の気持ちは1つになったんだ。
そうしたらもう、言葉なんて必要ないよね。
ただ、気持ちを行動で示せばいいのだから。


「梓…」

「唯…」


私達は名前を呼び合いゆっくりと互いの唇を寄せた。
梓は私の首に腕を回して、私は梓の腰に腕を回して
ぎゅっと、強く、抱きしめ合う。

そして――


「…ん…」

「…ちゅ…」


初めて触れた梓の唇は、ほんのりと甘く、ちょっぴり湿っていた。
柔らかくて、温かかくて、もっとしていたい気分になる。
ゆっくりと唇を離すと、梓はトロンとした表情で私を見ていた。


「梓…?」

「もう…おしまいですか?」


どうやらもっとして欲しいって事らしい。
私としてもそうしたいのはやまやまなんだけど…。
でもこれ以上すると、私は自分を止められる自信がない。


「ダメ、だよ…梓…」

「どうして…?」

「これ以上したら私…梓の事、汚しちゃう…」

「……」


その言葉に、梓は一瞬大きく目を見開くと、ふふっと優しく微笑んだ。


「いいですよ…私、唯になら何されたってかまいません…」

「梓…ダメ…」


もう、ダメだよ…それ以上言ったら私…。

しかしそんな私の心情を他所に、梓は私に止めを刺す。
私の耳元に唇を寄せて、止めの一言を放った。


「ねぇお願い…汚して…?」


どこまでも、甘く、蕩けるような
私の欲情を駆り立てるようなそんな声。
その言葉が最後だった。

――プツン…と

私の中で、何かが音を立てて切れた。




―後編へ続く―

[ 2010/06/07 20:17 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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