とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ゆいあず!シリーズSS EPFINAL『rondo of the sun and moon 後編 ―太陽の願い― 』(終)

※追記からどうぞ!



ぽつりぽつりと、静かに雪が降っていた。
そんな中、君はたった一人でそこにいて。
校門の柱に背中を預けながら、じっと空の彼方を見つめていた。

どこか儚げに見えるその姿は、吹いてしまえば消えてしまいそうで。
まるで、夢か幻でも見ているような、そんな気分だった。
君の持つその幻想的な姿に、私は少しの間見惚れてしまう。

そんな私を、強く凍えるような横風が正気に引き戻す。
その冷たさが、寒さが、嫌でも私の思考を現実に引き戻す。
そして。


「ぁ…」


思わず小さく声が出た。
そして目の前の光景に言葉を失った。
見れば、梓が腕を抱くようにして寒さに耐えている。
寒さに耐えながら、必死に私を待っている。
そんな梓を前にして、私は言葉を発することが出来なかった。

この寒空の下、待たせてしまった罪悪感とか。
頭に雪を被りながらも、待っていてくれた梓への感謝の気持ちとか。
そんな気持ちで胸が一杯で、胸がジワっと温かくなる。
胸の奥から溢れ出してくるその気持ちは、ちょっとの切なさと、限りない愛しさだった。

君に触れたい。
声が聞きたい。
笑顔が見たい。

――早く、早く!

そんな激しい衝動で胸が張り裂けそうで。
今すぐにでも駆け出して、抱きしめてあげたかった。
でも。
出来なかった。
私は、それらの気持ちを必死に抑えた。
抑え込んでしまった。

理由は…何となく分かる。
きっと梓の、その儚げな雰囲気がそうさせた。
まるで天空から舞う雪のように、触れた先から消えてしまうんじゃないかって。
それが怖くなって、私にそうさせることを躊躇わせた。

実際そんな事はあるはずがないと頭では分かっていても、心は必死にブレーキをかける。
そのせいで、ゆっくりと、本当にゆっくりと歩を進めていく事しか出来なかった。

一歩。
また一歩と。
ゆっくりと君に近づいていく。
そして。


「唯…」


君との距離もあと数メートルというところで、ふいに名前を呼ばれる。
別に私に気付いた様子はなくて、ただじっと、ぼんやりと、薄暗い天空を見つめたままの梓。
その瞳はどこか虚ろで。
心ここにあらずといった感じ。

しかし、そんな梓の口から漏れ出たのは私の名前。
私を求める心からの声だった。

嬉しかった。
すごく嬉しくて、思わず涙が出そうになる。
君はいつでも、どんな時でも私の事を想ってくれてるんだね。

なら、私もそれに応えなきゃ。
君が名前を呼んでくれるなら、いつだって私は、君の傍にいる。
そんな気持ちを込めて、私は梓の呼びかけに応えた。


「呼んだ? あずにゃん」


その呼びかけの言葉に、梓がゆっくりと振り向く。
その先にはきっと、輝く笑顔があって。
私の大好きな笑顔があると願って。
そう信じて。
でも…。


「唯…先輩」


君の向けてくれた笑顔は、どこかいつもと違っていた。
笑顔じゃなかったわけじゃない。
梓の表情は間違いなく笑顔だった。
笑顔だったのに…。
なのに、違う…。
どこが違うって言われても、答えようがない。
たぶんそれは、私にしか分からない違い。
他の人、それこそ軽音部のみんなにだって分からない。
きっと、他人から見ればいつもの笑顔にしか見えない。

でも、私の目にはそうは映らない。
最初は勘違いだと思ったけど、でもそうじゃなかった。
私の家に泊りたいと言った時の梓の表情もそうだった。
その顔は、どこか寂しそうで、悲しそうで…。
笑ってるはずなのに、涙を流しているような、そんな顔。
そんな梓を見てるだけで、胸が締付けられるようにギュって苦しくなっていく。

どうして…?
どうしてそんな寂しい顔をしているの…?
どうしてそんな悲しい顔をしているの…?
君にそんな顔をさせているのは一体何…?

考えても考えても、その理由が分からない。
本人に聞けば、教えてくれるかもしれないけど。
でも…何故かそれを聞く気にはなれなくて。
君から話してくれないことを無理に聞くことなんて出来ないし。
そして何より、君と出会ってから始めて見るその表情に、聞くことを躊躇わせた。

だから私は自分の出来ることをしようと思う。
そう、私に出来ることはただ一つ。

――笑顔。

そう、私はありったけの笑顔を梓に向けた。
自分の出来る精一杯の笑顔で、梓の笑顔に本当の輝きを取り戻したかった。

君は以前言ってくれたよね?
私の笑顔は太陽みたいだって。
だから自分はお月様なんだよって。
私が笑っていてくれるだけで、自分も笑顔になれる――輝けるって。

なら私は笑顔でいるから。
君が何に悩んで、苦しんでいるか分からないけど。
私がそれを解決できるかなんて分からないけど。

でも。
それでも…。

君の本当の笑顔を取り戻すために、私は笑顔でいようと思う。
今までも、そしてこれからもずっと。

――君だけの太陽でありたいと、心から願う。







「ただいま~」

「お邪魔します」


あれから私と梓は、途中、梓の家によってお泊りの準備をして、それから私の家に帰宅した。
梓は小さめのボストンバックと通学鞄を手に持ち、背中にはギターケースを背負っている。
明日はそのまま学校に登校するのだから、ギターは必需品だ。
無いと練習ができないし、一人だけ何もしないっていうのも優等生の梓には我慢の出来ないことだろうから。

私はとりあえず靴を脱ぎ、家に上がった。
そしてお客様用のスリッパを梓に差し出すと、梓は「ありがとうございます」と言って、ニコっと微笑んだ。
その微笑みは、さっきまでの寂しげなものじゃなかったから、少しだけホッとする。
さっきまでのは何かの見間違いだと思いたいけど……きっと勘違いじゃないんだろうね。
何となくだけど、私の勘がそう告げている。
まぁ実際は、勘だけじゃない。
さっきまでの梓を見ていれば、梓が何かに悩んでるって事は一目瞭然だった。

そんな事を考えながら、私達はリビングに上がる。
すると、台所から何とも言えない良い香りが漂ってきた。
どうやら憂が夕食の準備をしているようだ。
中からは包丁のトントンって言う家庭的な音と、グツグツと煮込まれた鍋の音が聞こえてきた。
そして中から香ってくるこの匂いはやっぱり…。


「…カレー、ですかね?」


梓が言った。


「…カレー、だねぇ」


私もその言葉に同意する。
確かに、漂ってくるこの匂いは、カレー以外の何物でもない。
日本人なら一度は嗅いだことのある、あの匂いだ。
カレー独特の香りというものは、正直間違えようがない。


「憂ー?」


私が呼ぶと、ふいにトントン言っていた包丁の音が止んだ。
そして台所からエプロン姿の憂がひょっこりと顔を出す。


「あ、お姉ちゃんお帰りなさい」

「ただいま憂」


私達は笑顔で挨拶を交わす。
すると憂が私の後ろにいた梓に気付く。


「あれ、梓ちゃんも一緒なんだ? どうしたの?」


憂が疑問に思うのも無理はない。
遊びのときも、お泊りのときも、大体事前に憂に知らせるから。
今回みたいな急なお泊りは初めてだったから、連絡するのを忘れていたのだ。


「あーうん。今日あずにゃんお泊りなんだ」

「あ、そうなんだ?」

「うん。急にごめんね、憂」


梓の謝罪の言葉に、憂は左右に頭をふって「ううん、全然気にしなくっていいよ」と笑顔で返した。
そしてその瞬間、憂は「あっ」と何かを思い出したように口を開く。


「じゃあちょうど良かった。さっきお風呂沸かしたところだから、二人とも入ってきていいよ。外寒かったでしょ?」

「あ、そうなんだ」


さすが憂。
きっと寒さに震えて帰ってくる私のために用意してくれていたんだろう。
気配り上手もここまでくると神様みたいに思えてくる。
ちょうどお風呂に入りたかったところなんだよね。
梓も身体冷えちゃってるだろうし、本当にちょうどよかった。
ここはお言葉に甘えよう。


「そっか、じゃあ私達お風呂入ってくるね」

「うん。梓ちゃんも温まってきてね」

「え、わ、私も一緒に…?」

「そりゃそうだよ。どうしたのあずにゃん?」


私一人だけ入ったって意味ないよ。
どっちかって言うと、身体が冷えてるのは梓の方なんだから。
梓こそが入るべきなんだ。

なのに梓は、私の言葉に何故かギョッとした顔を見せると、途端にポっと顔を赤らめた。

なんでそこで赤くなるの?
お風呂入るだけなのに…不思議だなぁ。


「あっ!」


私がそんな事を思っていると、憂も何かに気付いたように声を上げ、梓みたいに顔を真っ赤にした。


「どうしたの、憂?」


問いかけると、憂は真っ赤な顔を隠すようにパタパタと顔の前で両手を振った。


「へっ!? あ、ああ、あの! 別に何でも無いよ! もうすぐお夕飯だから出来れば早めに上がってもらえると嬉しいかなぁって…」

「う、憂! 何言ってんの!」

「や、べ、別にお風呂で何かするとか、そんな事はこれっぽっちも思ってないよ!!」

「~~っ!? う、憂っ!」


何だか二人でヒートアップしてる。
二人とも顔真っ赤だし。
何か恥ずかしい事でもあるのかな?
ていうか私だけ仲間外れにされたようで、お姉ちゃんちょっと寂しいです。


「ところで憂。今日の夕飯はカレーなの?」

「あ、うん。そうだよ。やっぱり寒いときはお鍋かカレーだよね」


真っ赤な顔で俯いていた憂は、私の言葉に瞬時に表情を切り換えると、笑顔でそう言った。

寒さには鍋かカレーか…。
さすが憂、分かってるねぇ。
きっとこれも寒さで震える私のための配慮なんだろう。
しかも憂の場合、それを気遣いとは思ってなくて、当たり前のようにやってるんだから凄いよ。
ここまで完璧超人だと、さすがに私の立つ瀬が無くなるね。
お姉ちゃんも憂に負けないように頑張らないと。


「と、こんな話してる場合じゃなかったよ。じゃー憂、私達お風呂入ってくるね」

「あ、うん。いってらっしゃい」


憂にそう言って、半ば強引に梓の手を引いてお風呂場へ直行した。


「ちょ、ちょっと! 唯先輩!? わ、私は後で入りますから~」


そんな梓の声が聞こえたけど、無視を決め込みました。

ダメだよ梓。我侭いっちゃ。
身体が冷えたままの梓を放置できるほど、私は人間できてないんだから。
それに、裸の付き合いだって大切だもん。
お互い裸になって、生まれたままの姿で時間を共有すれば、梓だって思わず悩み事をゲロっちゃうかもしれないし。

あれ?
そういえば…。
裸の付き合いって、何かエッチな響きがするかも。







ぴちょーん、と言う音が浴室に響いた。
天井から水滴が湯船に零れ落ち、波紋を描いている。

私と梓は向かい合いながら、湯船に浸かっていた。
もちろんお互い真っ裸で、タオルすら巻いていない状態だ。
胸もお尻も隠す必要なんてないし、それにエッチの時はもっと恥ずかしいところも見せてるんだから、今更だもん。
でも梓はそうじゃないのか、私から距離を取り、顔を逸らして頬を赤く染めている。
それから時折、こちらの方をチラチラと見ながら様子を伺っていた。

もう、梓ったらホントにエッチなんだから。
お風呂でしなくたって、ベッドでならいくらでも出来るのに…それこそ朝までだってね。
けど、ある意味私にも責任があるんだよね…梓がエッチなのって。
梓をエッチな子にしちゃったのって私だし、それに私だって梓にエッチな女の子にされちゃったし。
付き合い始めて約半年経ったけど…エッチだってもう数え切れないくらいしてる。
回数は…うーん100回から先は覚えてないなぁ…。

でもね?

だからと言って私は、お風呂で事に及ぶほど落ちぶれちゃいません。

……。

ごめんなさい、嘘つきました。
たぶん20回くらいはお風呂でエッチしちゃいました。
だって、梓の裸見てたらムラムラしてきちゃうんだもん。
仕方ないじゃん…。

でもまあ、今日はさすがにそれはしない。
梓の様子だっておかしいし、今は梓が心配って気持ちで一杯だったから。
だから今の私は、梓を元気にしてあげる事しか頭にないのだ。


「ねぇ梓…おいで?」


私はそう言って、両手を広げた。
それは梓を迎え入れるポーズ。
ようは抱きしめてあげたいって事。


「あッ!なッ!」


「穴? 穴がどうしたの?」


「ち、ちがっ…そうじゃなくて…だ、ダメですよ! う、嬉しいですけど、その…憂だってお夕飯作って待ってますし…」


て言うか、もしかして梓ったら勘違いしてる?
いや、もしかしてじゃなくて完全に勘違いしてるよね?
思いっきり顔真っ赤だし…。
絶対エッチな事考えてるよね…?


「もー、梓ったらホントにエッチなんだから…。言っとくけど、抱きしめるだけだからね?」

「え? あ、そ、そうですか…抱きしめるだけ…ね…。なんだ…」


私の言葉に真っ赤な顔で俯いた梓は、ぶつぶつと何かを言っていた。
声が小さくて、なんて言ってるか聞き取れなかったけど…。


「ほらほら早く~」


さすがに腕を広げたままのポーズは疲れるので、早めにダイブして欲しいのが正直な所で。
私は梓を急かすと、梓はおずおずと動き始め、私の方に寄ってきた。
そして私の胸に顔を埋めると、ギュッと抱きしめてくる。
私も同じように梓を抱きしめ返す。
そして、ゆっくりと梓の黒髪を撫でた。
さらさらと私の手から零れ落ちる黒髪を撫でながら、私は梓に言った。


「どう、梓? 気持ちいい?」

「うん…。唯の胸、あったかくて柔らかくて凄く気持ちいい…。それに頭撫でられるの好き。もっとして…」

「ふふ♪ 梓は甘えんぼさんだねー」


優しく頭を撫でながらそう言うと、梓は顔を上げて私の目を見つめた。
梓の頬は、熱でピンク色に染まった肌と比べても分かるくらい、はっきりと赤く染まっていた。
瞳は潤んでて、それに、何か言いたげな眼差しをしている。


「いっぱい…甘えていいですか?」

「うん、いいよ。たくさん甘えて…」

「…うん、ありがとう唯」


梓はお礼を言って、また私の胸に顔を埋めた。
私はそんな梓の頭を優しく撫で続ける。


「私は、とっても幸せな女の子です…」

「ん…?」


少しの間黙って頭を撫で続けていると、ふいに梓がポツポツ語り始める。


「辛いとき…寂しいとき…唯が、愛する人が傍にいてくれる。これ以上の幸せなんて、きっとありませんよ…」

「…梓」

「唯は…気付いてますよね? 私が何かに悩んでるって…」

「…!」


言葉が出せなかった。
梓は気付いてたんだ、私が梓の様子がおかしい事に気付いた事を。
私が気付いたように、梓も気付いたんだ。
何て言うか…以心伝心だね、私たち。


「話して、くれるの…?」

「…他愛ない悩み事ですよ…?」

「それでもいいよ。梓が何か悩んでるなら、私も梓と一緒に悩むから」


私に何が出来るかなんて分らないけど、それくらいの事はしてあげたい。


「唯…」

「半分こしよ? 寂しいことも、悲しいことも、辛いことも…全部全部」


そうすればきっと、それらを乗り越えた時の笑顔だって2倍になるから。
それに、二人一緒ならきっと何だって乗り越えられるよ。


「分かりました…。でも、笑ったりしないでくださいよ?」

「笑うはずないよ…」


梓が本気で悩んでいることを笑うなんて私には出来ない。
そんな事をする人だって絶対に許さない。

梓は一瞬微笑むと、ふぅっと一息ついて、私の目を見つめながら語り始めた。


「今日、卒業式あったじゃないですか…」

「うん」


そう、今日は先輩達が桜ヶ丘を卒業していった日。
私達だって1年後には卒業するのだから、あながち無関係とも言えない。

そう言えば、梓はあと2年あるんだっけ。
そうなると、梓は――。


「ちょっと、不安になっちゃって…。あと1年したら唯達は卒業しちゃうじゃないですか…」

「うん…」

「その時…桜高軽音部は“放課後ティータイム”はどうなっちゃうんだろうって考えて…それで」

「…」


ああ、そっか…。なるほど…。
やっと分かった。やっと理解した。
梓が何に悩んでいるのかを…。

梓は、来年やってくる私たちの卒業で、放課後ティータイムが無くなってしまうんじゃないかって、そう思ってしまったんだ。
まだ進路は決まってないけど、もし私達の進路が違えばバラバラになってしまって。
そうなれば、自然と放課後ティータイムも終わっちゃうんじゃないかって。
そんな風に考えて、梓は不安になっちゃったんだ。

それに、梓は卒業まであと2年ある。
私達が卒業したら、梓は一人になってしまう。
そこらへんも、梓の不安の一つでもあるはずだ。

梓はきっと、こう思ってる。

私と。
澪ちゃんと。
りっちゃんと。
ムギちゃんと。

これからもずっとこの5人で、一緒に音楽を、放課後ティータイムを続けたいって、そう思ってるんだ。
だから卒業なんかで、進路がバラバラになってしまったくらいで、終わらせたくないんだよね。

なら話は簡単だよ。
私が梓に言うことは一つだけ。


「終わらないよ」

「え…?」

「放課後ティータイムは絶対終わらない。終わらせないよ」


そう、終わるはずが無い。終わってたまるか。
私だって、ずっとみんなでバンドを続けて行きたいと思ってる。
高校に入って、みんなに出会ったのは運命だって胸を張って言える。
軽音楽に出会ったのも、ギー太に出会ったのも。

そして何より、梓に出会えたんだから。

これを運命と言わずになんて言うんだろう。


「な、んで…どうして…そんなに簡単に言っちゃうんですか…? そんなの、分からないじゃないですか」

「ううん、分かるよ」


梓はポロポロと涙を流していた。
零れ落ちる涙を、私は指で拭き取りながら話を続ける。


「ねぇ梓…。梓は放課後ティータイムが続いて欲しいって思ってるんだよね?」

「そんなの、当たり前じゃないですか…」

「なら大丈夫だよ。その気持ちがあるなら、絶対終わったりしないから。私だって梓と同じ気持ちだし」

「でも…他のみなさんは…」



違う…違うよ梓…。
これは、私達だけの願いじゃないから。
きっとみんなも同じ気持ちだから。
私はそう信じてるし、胸を張って言える。

いつも笑顔の絶えない「放課後ティータイム」
それはまるで家族の団欒みたいな――そんな光景。
血の繋がりなんてなくても、そこにあるのは一家団欒の姿。
私達は、誰よりも、何よりも自由な家族なんだよ。

私達5人の絆は、そう簡単に切れたりするほどやわじゃないから。
梓がみんなの事を大好きだと思ってるように、私達だって梓の事が大好きなんだから。
だから大丈夫だよ。
そんな不安そうな顔しないで。
寂しそうな顔しないで。


「じゃあさ、みんなに聞いてみようよ。放課後ティータイムの事どう思ってるか」

「え…? で、でも…何て聞けばいいんですか?」

「え? うーん、一言でいいと思うよ? 好きかどうか…ね」

「そ、そんな簡単な事だけでいいんですか?」


うん、そう…それだけでいいんだよ。
たったそれだけの事で、私達の未来は繋がり、交わるはずだから。


「ふふ♪ 絶対、大丈夫だよ。返事はみんな一緒だから」


返ってくる返事なんて分りきってる。
何なら命を懸けたっていい。


「…不思議です。唯にそう言われると本当にそうなっちゃいそうです」

「えへへ…そっかな?」

「はい♪」


そう言われると、ちょっと照れちゃうよ。
何だか、らしくない事いっぱい言っちゃった気がするけど…まあいいや。
だって今私、とっても幸せだから。

やっと、梓が笑ってくれたんだもん。
その笑顔はとっても輝いてて。
それは満天の星空にひときわ輝くお月様みたいで。
そして、私の一番大好きな笑顔だったんだから。


「…信じますよ。唯の言葉。絶対大丈夫だよって…」

「うん!」


もう大丈夫だよね、梓…。







EP20『rondo of the sun and moon 裏 ―太陽と月のロンド― 』

※夜の部です。R-18指定ですので閲覧の際は自己責任でお願いします。







翌日――

私達はいつも通りの放課後を過ごしていた。
ムギちゃんはお茶とお菓子の用意で忙しく、私はそれを今か今かと待っていた。
りっちゃんは珍しくお菓子よりも澪ちゃんとのお話に夢中みたい。
二人してソファに座って、何か話してる。


「なぁ律。新しい歌詞書いてきたんだけど…」

「んーどれどれ~…。はーこりゃまたメルヘンチックな歌詞だなぁー」

「なっ、だ、ダメなのかよ」

「うんにゃ、誰もダメだとは言ってないぞ。まあ澪らしくていいと思うけど、私は」

「ほ、ホントか?」


どうやら澪ちゃん作の新しい歌詞の感想を聞いてるみたい。
それを聞く限り、どうやらまた、澪ちゃんの歌詞は可愛い感じに仕上がってるんだろうね。
よくあんな歌詞書けるな~とは思うけど、私は澪ちゃんの書く歌詞は大好きだ。
もちろんそれは私だけじゃなくて、りっちゃんも、ムギちゃんも、梓も同じはず。


「ふふ♪ 澪ちゃん今度はどんな歌詞書いたのかしら? 曲作るの楽しみだわ♪」


カップに紅茶を注ぎながら、笑顔でそう言うムギちゃん。
その瞳はとっても優しかった。
いつも思うけど、ムギちゃんてすごいよね。
あの可愛い系の歌詞から、あんなカッコいい系の曲を作り出すんだから。
尊敬しちゃうよ、ホント。


テーブルの上に両手で頬杖を付きながら、ぼんやりとそんな事を考えていると
いつの間にか、ティータイムの準備は整っていた。


「りっちゃん、澪ちゃん。お茶の準備できたよ」


ムギちゃんが二人に呼びかけると、二人は待ってましたと言わんばかりにテーブルに寄ってきた。
そして二人が席に付いたその時――


「あ、あのっ」


さっきからずっと黙ったまま俯いていた梓が顔を上げ、声を上げた。
梓は真剣な表情をしていて、その瞳にも明らかな決意のようなものが見て取れる。
これから何か大事なことを話そうとしているような、そんな表情だった。
これって、もしかして…。


「えと、その…」


他のみんなは「どうした?」って感じで不思議そうに梓を見つめている。
私も梓を見ていたけど、みんなとは感じていることは違う。
だって、梓はきっと…。


「みなさんに、ちょっと聞きたい事があるんです」


ああやっぱりね…。

その言葉だけで、私は梓が何を言おうとしているか分かった。
たぶん、いやきっと、昨日お風呂場で言ったことをみんなに聞くつもりなんだ。
私としては、昨日の今日だから無いんじゃないかと思ってたけど。
梓の性格を考えれば、容易に考えられる。
だって、梓って結構せっかちさんだもん。


(頑張って…梓)


私は心の中で激励を送りながら、みんなはじっと梓を見つめたまま、梓の言葉を待つ。

梓はゆっくりと口を開いた。
そして。


「みなさんは、“放課後ティータイム”の事、好きですか?」


しっかりとした口調で、はっきりとそう言った。
その真っ直ぐな瞳と気持ちは、とても梓らしかった。

そして、質問された3人はと言えば、ポカーンとした顔をしていた。
そんなみんなの様子に、私は思わず心の中でクスっと笑ってしまう。

みんなは目をぱちくりさせながら、それぞれ顔を見合わせる。
そして、その顔はすぐに笑顔に変わった。
もちろん3人とも。

そして――。


「あったりまえだろ!」


りっちゃんは元気一杯の笑顔で。


「ああ、大好きだぞ」


澪ちゃんはちょっと照れた顔で。


「ええ♪ とっても大好きよ」


ムギちゃんはおっとりした笑顔で。


――梓にそれぞれ返事を返した。


その瞬間、梓の顔も笑顔に変わった。
それはとても輝いた、優しい笑顔で。
見ているこっちが幸せになれるような、そんな笑顔だった。


ふふ!ほらね?
私の言った通りだったでしょ?
絶対、みんな同じ気持ちだって。
そうじゃなきゃおかしいもん。

だって。

私達の「放課後ティータイム」は、この世界で一番あったかくて優しい場所なんだから。



ねぇ梓?
私は、君の太陽でいられたかな?
これからも君の太陽でいられるかな?


そんな気持ちを込めて梓を見つめる。
そんな私に気付いた梓は、ニッコリと私に笑顔を返した。
それはまるで「そんな当たり前の事、聞かないでください!」と言っているように見えた。

それが何だかおかしくて、嬉しくて、私もつられて笑ってしまった。




おしまい♪



【あとがき】
というわけで、長きに渡って連載してきたゆいあず!シリーズもひとまず完結です!
でも途中読んでて気付いた方もいると思いますが、実は「おまけ」が残ってますw
でも完全にR-18ですので見るときは気をつけてくださいね?

そしてそして!
次回からは2部がスタートです!
学年が上がって、ちょっと大人になった彼女らにご期待ください。
一応、アニメの設定で行こうと思ってるんでトンちゃんも出そうかと思ってます。
あと、純ちゃんの出番も沢山欲しいなー、自分的に。
とりあえず、いつも通り、ゆるゆるやってこうかと思ってますのでこれからもどうぞ宜しくです!
それと、2部の題名はアニメにのっとって、ビックリマークが一個増えて「ゆいあず!!」シリーズとでも名づけたいと思います。
こらそこっ、手抜きとか言わない!

それにしても完結かー。なんかすごく嬉しい。
それに最初の方に比べると、ずいぶんと私も文章書けるようになったなぁってしみじみ思います。
読み返してみると、ずいぶんと作風も変わったなーって思うんですよねー。
ボキャブラリーが増えたというか何というか…たぶん、少しは成長したってことですよね?
ていうか、これだけSS書いてきて何にも変わってなかったら逆に問題ですね、すみません。

ではでは最後になりますが、一個一個見てくれた方も一気読みしてくれた方も
最後まで読んでいただきまして本当にありがとうございました!

[ 2010/05/26 23:42 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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