とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『桜の花の咲く頃に』

※追記からどうぞ!


桜の花びらが舞い、やっと春らしい麗らかな陽気になってきた4月の上旬。
私こと中野梓は無事に2年生に上がっていた。
もちろんそれを同じくして、新入生も無事に入学している。
つい先日、入学式も無事終わったところだ。

新入生はこれから始まる新しい生活に期待や不安を抱いて、どこか浮き足立っている。
でもそれは新入生に限った事じゃなくて、在校する2、3年生も同じだった。
学校には部活動があるのは言うまでもなく、各部活は入部してくれる新入生を求めて躍起になっている。
ビラ配りに始まり、体験入部などなど。
それはもちろん我ら軽音楽部も同じで、ビラ配りだけでなく、他の部活のスパイ活動なども行っていた。

しかし結果は惨敗…。

それは新歓ライブが終わってからも同じで、何故か軽音部には一向に新入生が入部しなかった。
今日も今日とて、音楽室の扉が開く気配すらありません。


「なんで入部してくれないのかなぁ…」


原因を考えたところで、私にはその理由は分からない。色々あるのだろう、新入生にだって。
それにそんな事を考えている暇があるなら、一枚でも多くのビラを配っていたほうがいい。
そして興味を持ってくれる人を探した方が有意義だ。
まぁ、今のところそう言う人はまだ見つかっていないけど…。
でも、まだ終わらない。終わらせない。諦めるにはまだ早いと思うから。
最後の最後まで頑張らないと!

私はグッと拳を握って気合を入れる。
そしてふと、自分が入部した時の事を思い出した。


(1年前の私も同じだったんだもんね…)


思い出してみると、よく軽音部に残っていられたなって思う。
今でこそ軽音部のよさを理解している私だけど、最初はあまりのやる気のなさに辞めようとしたこともある。
でも、結局そうはならなくて、私はあの人達の仲間としてやっていこうと決めたんだ。
それについては後悔なんてしていないし、逆に辞めていた方がきっと後悔していただろう。
辞めなくて本当に良かったって、今ではそう思ってる。

それに…軽音部にはあの人がいるのだから…。

あの人との出会いが私を変えた。
ただギターを弾くしか脳の無かった私に、ギターの弾く意味を、楽しさを教えてくれたのはあの人だ。
あの人の演奏は、聞いてるこっちまで笑顔になってしてしまうような力がある。
それはギターを通して、その人の“楽しい”って気持ちがこれでもかってくらい伝わってくるから。

私はあの人の隣でギターを弾きたい。弾き続けたい。
それはきっとこれから先も変わらない。絶対に…。

あの人の演奏を、歌っている横顔を、この目に焼き付ける。
そして私は、あの人から教えられたありったけの“楽しい”をギターにぶつけるんだ。
ああ、なんて幸せなんだろう。これ以上無いくらいの幸せだよ。

でもそうだね…。
私の一番の幸せは、きっとあの人の隣にいることなんだと思う。
それは音楽を抜きにしても言えることで
あの人の傍にいられればそれだけでいいと、そう思っている自分がいる。


「…あぅ…」


いけない…。
ちょっと自分でも恥ずかしい事を考えてしまった。
手で頬に触れてみると、風邪でも引いたんじゃないかってくらい火照っていた。
きっと、今私は顔が真っ赤だ。絶対。もしかしたら蒸気を噴いているかもしれない。
周りに人がいないことが唯一の救いかもね。
もしこんな所を誰かに見られてたら、変な人だって思われちゃうよ。


(あ、そうだ…早く教室戻らないと)


今はお昼休みだった。
これ以上考え事をしていては、お昼ご飯を食べる暇がなくなってしまう。
さすがにお昼も食べないで午後の授業に臨むのは得策じゃないし、お腹が減って勉強どころじゃないだろう。
私はこれでも真面目な生徒で通ってるし、授業中にお腹を鳴らすわけにはいかない。

そう思った私は、両手で『パンっ!』と頬を叩き、火照った顔を鎮める。
…まあ、鎮まったかどうかは分からなかったけど。
でも考え事をやめるって意味では、いい感じに効果を発揮していた。

それから私は、廊下を走らない程度の早歩きで教室までの道をテクテク歩き始めた。







「あ、梓ちゃん」

「おつかれ~」


教室に戻ってきて早々、私に労いの言葉をかけてきたのは親友の憂と純だった。
見ると、二つ合わされた机の上に食べかけのお弁当がある。
どうやら二人は先に食事中だったようだ。
私もさっそく自分のお弁当を取り出して二人の間に座った。
座るとすぐに、純は飲みかけのジュースを私に差し出してくる。


「ん…」


差し出されたそれのストローをパクッと咥え、ちゅーっと吸う。
すると乾いた喉に、冷たいジュースが潤いを与えた。


(はぁー生き返る…)


ビラ配りで疲れた身体にジュースの甘酸っぱい味が染み渡る。
これだけで、また次もがんばれる気がするよ。
まぁ、がんばれるからって弱気にならないってわけじゃないけど…。


「新入部員まだ入ってないのー?」


純はちゅーっとジュースを飲みながら、何気なく質問してくる。
私はといえば、その質問の結果を思い出し「はぁ…」と溜息をついた。


「うん…、軽音部って人気ないのかなぁ」


ここまで入部してくれないのは、それしか考えられない気がする。
軽音部は人気がないよ、と言われている証拠のようで、ちょっと悲しくなる。
しかし憂と純は、私のその言葉に意義を唱えた。


「そんな事ないと思うよー?」

「新歓ライブカッコよかったし…」

「そう言ってた新入生結構いたよー」

「えっ!?」


二人のその言葉に、私は驚きを隠せない。
それならどうして軽音部に入部してくれる新入生がいないんだろうか。不思議で仕方がない。
そんな風に思ってくれている人達がいるのなら、せめて見学にくらい来てくれてもいい気がするのに…。
もしかして、カッコいいって思うだけで、軽音をやろうって気持ちにまではなってないって事なのかな…。


「たぶん軽音部って5人が結束して見えて、外から入りにくいんじゃないかなぁ」


そんな私の疑問に答えてくれたのは純だった。


「…そ、そっかな…」

「みんな仲よくて楽しそうだもん!」


憂も純の言葉に賛成らしい。


「うん…」


私たち5人が結束してる、か…。
何だかそう言われるとすごく嬉しかった。
お茶飲んで、お菓子食べて、だらけてばかりの軽音部。
でもやる時はやる人達で。本当にすばらしい演奏をしてくれる先輩たち。
この4人の結束力は、他のバンドにはないものを感じたんだ。

そんな先輩たちと一緒にやっていこうと決めて1年が経った。
私としては、4人の先輩たちとうまくやれてるのかなって思う時もたまにあるけど
こうして他人の目から見たときに、私たち5人が結束して見えるって言われると
私も本当の意味であの人達の仲間になれたんだなって実感が沸いてくる。
純のその言葉は、私にとって何にも代えがたい贈り物だった。


「それか軽音部の怪しい匂いを嗅ぎ取ってるか!」

「えぇー…」


あのね純…。
お願いだからいい事言った後に、崖から叩き落すような事言わないでよ…。


「純ちゃん!」

「うそうそ♪」


もう、純のバカ…。


「あ、憂の玉子焼きおいしそう!」

「ふふ、食べる?」

「いっただき~♪」


純は何事もなかったかのように、憂のお弁当から玉子焼きをつまんで美味しそうに食べていた。
ちょっと羨ましかった。憂の料理って美味しいからね、すごく。


「ほらほら、そんな事より早くお弁当食べないとお昼終わっちゃうよ?」

「あー、うん」


そう言えば純の言うとおりだ。
話に夢中でさっきから箸がまったく動いてなかった。
純はそんな私に苦笑を浮かべると、さっきみたいにジュースのストローを差し出してきた。
そして私はそれに躊躇なくパクッと吸い付き、ゴクゴクとジュースを飲んでいく。
さっきの嫌味のお返しに、このジュース全部飲み干してくれようか!
…と、ちょっと思ったけど、やっぱり悪いのでやめておく。

ちゅぽんっという音を立てて、私はストローから口を離した。
しかしそこで、私はあることに気付いてしまう。


(あれ…? そういえばこれって…間接キス…だよね…)


あまりにも自然に差し出されたので、最初も今も深く考えていなかったけど、よく考えたらこれは間接キスだ。
しかしまあ、だからと言って何だってわけでもないんだけどね。それに相手は純だし。
純だってまったく気にしていないようで、私の口をつけたストローで当たり前のような顔で飲んでいる。
それにこんな事は女の子同士ではよくあることだ。意識したってあまり意味はない。


(…でも…)


もしこれがあの人だったら…と考えてみた。


ポンっ!


瞬間、そんな効果音とともに、顔が茹った。茹蛸もびっくりの赤さだ。
憂と純の2人は話に夢中のようで、そんな私の様子には気が付かなかったようだけど。


(そそそそそんなっ! ゆ、ゆいせんぱいと…キ、キキ、キスだなんてっ!?)


実際はキスじゃなくて、間接キスなんだけど
茹った私の頭では、自分の都合のいい事を考えてしまうのは半ば仕方がない。
私の頭の中では、あの人――唯先輩とのキスシーンの風景が、まるで映画のワンシーンのように流れていた。
妄想もここまでいくと、逆に清清しさすら感じる。





『梓…愛してるよ…』


愛の言葉を囁きながら、唯先輩は私の事をぎゅっと、優しく包み込むように抱きしめてくる。
私はそんな唯先輩の柔らかい双丘に包まれながら「私も愛してる…唯…」と言葉を返した。

妄想の中の私は、唯先輩の事を「唯」と呼び捨てで呼んでいた。
もちろん唯先輩も同じで、私の事を「梓」と呼び捨てである。
これはあくまで妄想時の仕様なので、あまり深く追求しないでほしい。
簡単に言えば、これは私の心の内が具現化した願望だ。
いつか本当にこんな風に呼び合えたらいいなっていう気持ちの表れなのだ。


『ねぇ梓…』

『…ぁ…』


妄想の唯先輩に動きがあった。
抱きしめた腕をすっと解くと、私の顎に手をかけ、クイっと持ち上げてきたのだ。
その体勢はまるで、今からキスしますよって言っているみたいで、嫌でも心臓が高鳴ってしまう。
そして私の目を熱く潤んだ瞳で見つめながら、唯先輩は甘い声でこう言うんだ。


『…キスしてもいい?』


ああ、なんてずるい人なんだろう。
そんな熱い目で見られ、甘く蕩けるような声で言われたら、拒めるはずなんて無いのに。
だから私は、返事はしない。返事をする代わりにそっと目を閉じて唯先輩に唇を差し出すんだ。
ああ、私はこれから大人の階段を一歩上ってしまうんだね。

…妄想だけど。

唯先輩が私の頬に手を添えた。
そして先輩の顔が近づいてくるのが気配で分かる。
吐息が私の鼻先にかかり、先輩の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
そのお菓子のような甘い香りを感じるだけで、私の心臓は激しく鳴り響く。

私はスッと薄く目を開けてみた。
すると先輩の顔がドアップで映った。
なんて綺麗な顔をしているんだろう…。
先輩も目を閉じて、私の唇に迫ってきていた。
もう、私との距離は10cmもない。
5cm…3cm…と徐々に距離が縮められていく。
そして、私の唇に先輩の吐息を感じた次の瞬間――




(きゃーきゃー! ダメです先輩っ! 私たちまだそんな関係じゃないですっ!)


妄想中の私だけど、現実でも私は絶賛活動中だった。
顔は緩みきっていてニヤニヤが止まらない。しかも思わず机をバンバン叩いていた。
それに驚いたのは一緒に机を囲っている憂と純だ。


「あ、梓っ!?」

「ど、どうしたの梓ちゃん!?」

「はっ!!」


いきなり意味もなく机を叩かれたら、誰だって驚くに決まっている。
二人の声で我に返った私は、キョロキョロと辺りを見渡し、憂の顔と純の顔を交互に見比べた。
二人とも驚きの顔で私を見つめており、開いた口が塞がっていない。
私はわたわたと無意味に慌てながら、言葉を選んだ。


「え、えと、その、別に何でもないんだよ。ちょっと考え事してただけで…その、ホントに何でもないから! ほ、ほら…早くお弁当食べちゃおう!」

「えーと…まぁ、うん」

「梓ちゃんがそこまで言うなら…深くは聞かないけど…」


よし!何とか乗り切った!
ここで根掘り葉掘り聞かれたら、厄介なことになっていた。
相手は何と言っても、憂と純だ。
純はともかくとして、あの憂を相手にしたら、私は心の奥底まで暴露させられてしまう。
それほどまでに憂の誘導尋問は群を抜いている。まさに警察要らずだ。


「ま。どーせ唯先輩の事でも考えてたんでしょ」

「あ!純ちゃんもそう思うんだ。私もそう思ったんだよね~」

「…」


どうやら暴露するしない以前に、私が唯先輩を妄想するのは周知の事実になっているようだ。何故かな…?
私が妄想するのは唯先輩以外ありえないと、そう言われているような気がするのは気のせいか?
ま、まぁ…間違ってはいないけど…。でも、そんなに当たり前の様に言わなくたっていいじゃない。
私だって別に好きで妄想してるわけじゃないもん!勝手に頭の中に現れるんだもん!
も、妄想なんかより本物の方が…って何言わせるの!


「何か梓が百面相してる…」

「あはは…。たぶん図星だったんだろうね…」







それから。
午後の授業も無事終わり、今はもう放課後だ。
私はいつものように音楽室への道のりを歩いていた。
歩きながら考えるのはやっぱり新入部員の事だ。
きっと今日も部室の門をくぐった新入生はいないんだろうな。そう考えるとちょっと悲しい…。
でもお昼に純に言われた事を思い出すと、今のままでもいいかなって気にさせられていた。

ずっと5人で。
私達の音楽を。
「放課後ティータイム」を続けていくんだって…。
そんな気持ちでいっぱいだった。


私はふぅっと一息つき、音楽室前の階段を一歩一歩しっかりとした足取りであがって行く。
ふと前方を見ると、部室の前には何もなかった。まあ当たり前っていえば当たり前なんだけど。
放っておくと、また唯先輩がカエルの置物を置きかねないから。
あれだけ片付けてと念を押しておいたのだから、昨日の今日で同じ事を繰り返したりはしないだろう。

そんな事を考えながら、私は扉のノブに手をかけた。
そして中に入ろうとした瞬間、中から声が聞こえた。


『今はまだこのままでいいよ』

(え…? 唯先輩…?)


どうやら声の主は唯先輩だったようで、その声は私の耳にもはっきり聞こえてきた。
聞き耳を立てるなんてあまりいい趣味とは言えないけれど、私はそっと扉の前に耳を済ませた。
どんな話をしているか、ちょっと気になったから…。


『こうやってみんなと部室に集って…、あ、今あずにゃんがいないけど…、お茶飲んで…練習して…演奏して…ずっと5人で…』


唯先輩のその言葉に、私の心臓がドクンと、一瞬大きく跳ねた。
そして、心の中にじんわりと温かいものが流れ込んでくる。


(先輩も、同じ事考えてたんですね…)


先輩が話しているのはきっと、新入部員についての事なんだろう。
そして先輩は、新入生が入ってこなくてもいいと言った。
今のまま、5人でずっと一緒にやっていこうって、そう言っていた。

嬉しいって気持ちでいっぱいだった。
純に言われたからっていうのもあるけど、それは私と同じ気持ちだったから。
何だか唯先輩と気持ちが1つになれたような気がして胸が熱くなる。
トクントクンと規則正しく鳴っていた心臓は、今ではドキドキと高鳴っていた。


(このまま私の想いも、貴女と1つになれたらいいのに…)


そんな自分自身の考えにふっと笑みを漏らす。

でも現実はそう簡単には行かない事を私は知っている。
言葉にしないで伝わるなんてそうそう有りはしないのだ。
それに相手はあの唯先輩。あのにぶちんな先輩に私の想いを正しく伝えるのは生半可な事じゃない。
それに、今はまだこのままでもいいかなって気持ちもあるし。
焦らなくっていい。焦る必要なんてないよ。
何故なら「放課後ティータイム」はこれからもまだまだ続いていくのだから。
貴女の隣にいられる限り、その内チャンスも巡ってくるだろう。


そんな事を思いながら、さてそろそろ中に入ろうかな…とノブに力を入れようとした瞬間
また、唯先輩の声が耳に響いてきた。


『ところでムギちゃん!今日のおやつは~♪』


…。
さすが唯先輩。
真面目な話をしていたと思ったら、すぐに甘いものの話ですか。
まあ唯先輩らしいって言えばらしいけどね。
目には見えないけど、唯先輩の満面の笑顔が浮かぶようだよ。


『はい、どうぞ~♪』

『うわ~♪ みんな何味がいい~♪』


聞こえてくる嬉しそうな唯先輩の声。その声を聞いているだけで、私まで笑顔になってくる。
この声色から察するに、たぶん今日のおやつはケーキかもしれない。
何と言っても唯先輩の大好物だしね。声のトーンがいつもより高いから分かってしまうのだ。
先輩の声を聞いただけで、おやつを何か当てられるまでに成長した自分自身に「ふふ…」と心の中で苦笑してしまう。


『あっ!あずにゃんはバナナだと思うんだ~。だから残しといて上げて~』


(っ…!)


先輩の思いがけない言葉に私は息が詰まる。
もちろん唯先輩の言ってる事は当たってる。
そのケーキの中にバナナがあるなら、きっと私はバナナを選んでいたはずだ。
でもそれ以上に、そのセリフはまるで、私の事なら何でも知ってるよって感じの言い方だった。
もしかして私の気持ちもばれてるんじゃないかって思ってしまう。
「あずにゃんって私の事好きなんでしょ?」って言われているようで気が気じゃない。

顔が火照ってくるのを感じた。
きっと今の私は顔が真っ赤に違いない。

別に唯先輩に私の気持ちが伝わっているのならそれはそれでかまわないんだけど、私にも心の準備というものがある。
それに、どうして今ここで、そんな嬉しくなっちゃうような事言うんですか先輩…。
私だって我慢してるんですよ? これでも…。
そんな事言われたら、今すぐにでもこの想いを伝えてしまいたくなるじゃないですか。
先輩の柔らかい胸に抱きついて、頬ずりして、いっぱいいっぱい甘えてしまいたくなるじゃないですか。


(うぅ…)


ダメだ。このままボーっとしてるとまた妄想モードに突入してしまう。
それにいつまでもここで聞き耳立ててるわけにもいかない。
そう思って、頭をブルンブルンと横に振り、妄想をかき消した。
そして一旦ふぅっと息をついてから、改めて音楽室の中に入った。

中に入ると、ちょうど唯先輩と律先輩がケーキを口に含んだところだったんだけど


「「ぶーーー!!!」」


何故か私の顔を見て噴出してしまった。
どうして?っと思ったのも束の間、唯先輩が席を立ち私にこう言った。


「ごご、ごめんごめん!すぐビラ配りに行くからっ!」


ああ、なるほど。そういう事ですか。
勧誘もせずにお茶してたから私が怒ると思ってるんですね。
でも、もういいんですよ。その事は。

唯先輩は駆け足で私の横を通り過ぎようとする。
でも――


「ムギ先輩、私ミルクティください」

「えっ」


私の言葉に、先輩が小さく驚きの声を上げ、立ち止まった。
その顔は見えなかったけど、きっと唖然としてるんだろうな。
何となく分かってしまう。


「あと…バナナケーキも…」


もちろん、唯先輩の残してくれたバナナケーキも頂きますよ。

それと、もう1つ言っておかないといけない事があります。
私の気持ち云々は置いておくとして、これだけは言っておかないと気がすまない。
私が唯先輩と同じ気持ちだって事を…。


「私、今年まではこの5人だけでやりたくなりました」

「…あずにゃん……あずにゃんっ!」


きっと振り向けば、嬉しそうな唯先輩が笑顔を見せてくれる。
けど、5人だけでやるって決めたからにはもっと唯先輩にも頑張ってもらわないと!
ギターは私と貴女だけなんですから、リードギターがしっかりしてくれないと困りますよ。

私は振り向いて唯先輩に言った。


「唯先輩。これからはもっと厳しくいきますからね! はい、ギター出して」


ふふ♪
そんな嫌そうな顔したって許しませんよ。
私がいる限り、唯先輩の面倒は私が見ちゃうんですから!

これからもずっとね!







~おまけ~



「ところであずにゃん」

「なんですか?」

「ちょっと小耳に挟んだんだけど、お昼に純ちゃんと間接ちゅーしたってホントなのかな?」

「ぶふっ!? な、なんでっ!?」

「ムギちゃんに聞いたの…。なんか電波が~とか言いながら教室飛び出してっちゃって。戻ってきたら何かうっとりしてるし…」


私はぎゅるんと頭を振ってムギ先輩を見る。
ムギ先輩はこれでもかってくらいイイ笑顔で親指をグっと立てていた。

くっ…余計な事を…。
ていうか、もう何でもありですねムギ先輩は…。


「で、どうなのかな? ホントにしてたのかな?」

「あ、あれ? 何だか唯先輩怒ってます…?」

「別に怒ってないよ。うん、全然怒ってない」


嘘だ!何だか顔に凄みがありますよ!
思いっきり不機嫌じゃないですか!

でもあれ…?
ちょっとまって…。
これってもしかして…。


「もしかして…唯先輩、それってヤキモチですか?」

「っ! そ、そんなんじゃないもん! 自意識過剰もいいとこだよあずにゃんっ! ぷぃっ!」


そんな事を言って、顔を逸らしてしまう唯先輩。
ぷくぅ~と頬を膨らませながら、真っ赤な顔をしている。
そんな真っ赤な顔で言っても説得力がないって事を、この人はちゃんと分かってるんだろうか。


「もう…こっち向いてくださいよ」

「ぶーっ…」


ぜんぜん取り付くしまがない。
はぁ…まったく仕方ないですね。
こうなったらもう、最後の手段を使うしかないじゃないですか。
ホントはこんなところで使う気はなかったんですが、この際仕方ありません。
覚悟してくださいよ、唯先輩!


ちゅっ!


「~~っ!? あ、あずにゃっ!? い、今…ほっぺに…」


はい。ほっぺにちゅーしました。してやりましたよ。
わ、私だってやる時はやるんです。
いつまでも手をこまねいているような、待ってるだけの女じゃないんですよ私は。


「い、今は…その…ほっぺで我慢してください…。唇はまだ、ちょっと勇気がいるので…」

「…う、うん」




そんな光景を遠目で眺めていたムギ先輩が鼻血のアーチを描いたのは言うまでもない。





おしまい




【あとがき】
ということで、2期1話ネタを使ったお話でした。最後まで読んで頂いてありがとうございます!
1話からゆいあず分に困らないのでネタの宝庫ですね!
これからも2話、3話のネタ使ったssも書けたらイイなぁ~なんて思ってます^^

にしても…なんかうちのあずにゃんがだんだん妄想キャラになりつつあります…。
私が書くとどうしてもあずにゃんに妄想させちゃうんですよね…。



[ 2010/05/02 01:10 ] 未分類 | TB(0) | CM(3)
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[ 2010/05/02 03:27 ] [ 編集 ]
丁度昨日の録画を見ながらだったので足りないあずにゃん分が補完されました。しかし唯達の卒業後はどうなるんでしょうねぇ。
[ 2010/05/02 09:52 ] [ 編集 ]
はじめまして
はじめまして。

すんごい量のSSですね。
しかもお上手!

ときどき訪問させていただきます。
よろしくお願いしまーす。
[ 2010/05/02 19:36 ] [ 編集 ]
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