とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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唯梓SS 『愛生』

※拍手お礼ss10

※追記からどうぞ!





放課後の音楽室、それは私たち軽音部の憩いの場。
甘いお菓子の香りに誘われる唯先輩と律先輩は、まるで花の蜜を求める蜂のように吸い寄せられるのはいつもの事で。
そんな二人をムギ先輩や澪先輩達とやれやれといった感じで見守るのもまた、放課後の音楽室では見慣れた光景なのだが――


「あうー、お菓子分が足りないよー…」
「仕方ないじゃないですか…、まあ、私も食べたかったですけど…」


その言葉から察して頂けるかと思うが、今日は珍しくお菓子がなかった。
実際はお菓子だけじゃなくティータイムそのものがないのだ。
理由は簡単。何故ならいつもティータイムの準備をしてくれているムギ先輩が休みだから。

実はムギ先輩だけじゃなく、律先輩、澪先輩も休みなのだ。
3人ともどうしても外せない用事があるとかで、本日の活動を休んでいる。
ということで本日のお菓子はお預けである。かなーり残念だ。
私がこれだけ残念だと思っているのだから、唯先輩の落胆振りは計り知れないものだろう。
なんたって、三度の飯より甘いものが好きな唯先輩だもの。
あー、あと可愛いものもね。


「にしても、二人だけだと静かですね…」
「まぁねー…」


私の問いかけに、唯先輩はテーブルに突っ伏しながら力なく答える。
もうちょっとしゃきっとして欲しいところだが
糖分の切れた唯先輩ではそれは不可能だと分かっているので大きいことは言わない。
私だって、少なからずその気持ちは分かるから。


「…」
「…」


コチコチと時計の針が進む音だけが室内に聞こえていた。
シーンっと静まり返った音楽室。正直、普段なら考えられない状況だ。
唯先輩はテーブルに突っ伏したままで
私は椅子の背もたれに背中を預けながら天井を見上げている。

二人して。
ただひたすら無言で。
ボーっと。

会話が無いからって居心地が悪いとか、そんな事はまったくなかった。
それどころか逆に、落ち着いた雰囲気が音楽室という空間に漂っている。
きっと一緒にいる相手が唯先輩だからだろう。
他の人だったら、きっとこうはならないと思う。
どうしてそう思うかは自分でも分からないけど。


(…はぁ…)


私は心の中で溜息をつく。
たまにはこんな風にだらけるのも悪くはないのだが、もうちょっと何か刺激が欲しい気分だった。
そんな事をボーっとしている頭で考えていると、ふいに唯先輩が顔を上げた。
どうしたんだろうと思い、私は唯先輩の顔を見つめた。
唯先輩はその場で目を閉じ、一度深呼吸をするとパッと目を見開いた。

そして――


君を見てるといつもハートどきどき
揺れる想いはマシュマロみたいにふわふわ
いつもがんばる君の横顔
ずっと見てても気づかないよね
夢の中なら二人の距離縮められるのにな



唯先輩は歌い始めた。
曲はふわふわ時間。甘い甘いラブソング。
澪先輩作詞でムギ先輩作曲のその曲は、放課後ティータイムを代表する曲だ。
何故今ここで歌いだすんだろうと多少疑問には思ったけど、すぐにそんな事はどうでも良くなっていた。
そんな事よりも今はただ目を閉じ、素直な気持ちで唯先輩の歌声に耳を傾けたい。そんな気分だった。


ああカミサマお願い
二人だけのドリームタイムください
お気に入りのうさちゃん抱いて今夜もお休み
ふわふわ時間 ふわふわ時間



綺麗で。優しくて。温かさすら感じるそんな歌声。
私はそんな唯先輩の歌声が大好きだった。
唯先輩の声は、例えるならば甘いお菓子。
そんなどこまでも甘く澄んだ声を聞いているだけで、私の心は柔らかい何かに包まれる。
それはまるでいつも唯先輩に抱きしめられているときのような、そんな感覚。
あたたかくて、ふわふわして、とても気持ちいい。
私の大好きなぬくもり――


「――ふわふわ時間」


歌が終わり、私は閉じていた目をゆっくりと開いた。
瞬間、唯先輩と目が合う。
先輩は私の目を見つめながらにっこりと微笑むと「どうだった?」と優しく言葉を紡ぐ。


「すごく…良かったですよ…」


その微笑みに胸が高鳴るのを感じながら素直な感想を述べた。


「えへへ、ありがとあずにゃん♪」


無邪気な笑顔でお礼を言う唯先輩に、私も自然と笑顔になる。
ころころと変わる表情は、見ていてとても和む。


「でもどうして急に歌いだしたんですか?」
「え? うーん。何でかな?」
「私に聞かれたって分かるわけないじゃないですか」
「ふふ。まーまーいいじゃん! なんとなーく歌いたくなっちゃったの♪」
「??……ま、まあいいですけど…」


何だか誤魔化されたような気がするけど…。まあいいか。


「じゃあそろそろギターの練習でもしましょうか」


そう言って椅子から立ち上がる。
そして唯先輩に背を向けた瞬間――


「――」
「っ!」


声が聞こえた。
どこまでも甘く、優しい、そんな声。
ボソッと、とても小さな声だったけど、私の耳には何故かはっきりと聞こえた。
瞬時にぐるんと唯先輩に顔を向けると、相変わらずニコニコ笑顔で私を見つめている。


「んー? どうしたのあずにゃん?」
「…い、いえ…別に…」


今の声は確かに唯先輩だった。
というかここには私と先輩しかいないのだから、私じゃなかったら先輩しかいないのだ。


『伝わったかなぁ…私の気持ち…』


唯先輩は確かにそう言った。間違いなく。
その言葉の意味するところを理解できないほど私は鈍感じゃない。
その証拠に、私の心臓はドクンドクンと早鐘のように鳴り響いていた。


「っ…ほ、ほら唯先輩。はやく練習しますよ」
「は~い」


意識すればするほど、顔が熱く火照っていって
それを隠すように、私は唯先輩に背を向ける。


(う、うそ…ど、どうしよう…)


その日、その時、その場所で。 私は確かに感じていた。
私の心の奥底で、何か大切な感情が生まれたことを――



END

[ 2010/03/29 20:12 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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