とある百合好きの駄文置場。二次創作SSやアニメ・漫画等の雑記中心。ゆいあずLOVE!

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ふぉーしーずん !シリーズSS EP04『1月 ~はじまり!~Ⅴ ―ゆいあず!―』(終)

※追記からどうぞ!


梓side



「澪っ!」


そんな大声に一瞬だけ反応を見せた澪先輩は、結局何も言わずに音楽室から出て行った。
出て行く寸前、床にポタッと水滴が落ちたのを私は見逃さなかった。
それが澪先輩の涙だってことは分かっていたし、何故泣いたのかももちろん理解してる。

飛び出していった澪先輩に、ただ手を伸ばすだけで動き出さなかった律先輩。
しかし暫らくすると、何かを決意したような表情を見せる。
そして唯先輩に一言二言話し、私に目もくれずに音楽室を出て行った。
きっと澪先輩を追いかけたんだろう。それ以外考えられないし…。

そうなると必然的に私と唯先輩が音楽室に二人きり。
音楽室がシーン…と静まり返っている。とても居心地が悪い。悪いのに…
…なのに何故だろう?


あんな光景を目の当たりにしたというのに、私の心はいつも以上に落ち着いていた。
もちろん最初にあの光景を見た時は頭が真っ白になっちゃたけど、でもそれは一瞬だけ。

ドキドキと高鳴っていた心臓も、今ではトクントクンと一定のリズムを刻んでいた。自分でも驚きだ。
自分の想い人が他の人とキスしてたんだから、もっとこう動揺してもいいような気がするのに…。
なのになんで私はこんなにも平静でいられるのだろう。

――唯先輩と律先輩がキスしてたってどうでもいいから?

いや、違う。そんな事があるはずがない。
律先輩に限らず、唯先輩が――自分の想い人が誰かとキスするなんて考えたくないし、考えられるはずがない。
そんな事は私に限らず誰だって同じはずだ。
もしそんな事を思っているのなら、きっと私は唯先輩の事なんて好きでもなんでもないってことだし。

――あれ?…好き、じゃない?

という事は、本当は唯先輩の事なんて始めから好きでもなんでもなかったってこと?
…ううん、それもやっぱり違う。
そんな事は絶対にない。私の心から溢れでる想いは、それが唯先輩への愛情だということを明確に教えてくれる。

――なら何故?

何で私はこんなにも落ち着いていられるの?
なんで…どうして――


私の頭は疑問の言葉で埋め尽くされていた。
しかしそんな時、ふいに私の身体が暖かなぬくもりに包まれる。
それは私のよく知っているぬくもりで、私が何よりも大好きなものだった。


「え…あ…ゆ、唯先輩…?」


いつの間にか私は、唯先輩の腕の中にいた。
ギュッと、まるで壊れ物を扱うかのように、いつも以上に優しく私を抱きしめる唯先輩に、私は動揺してしまう。
どうして唯先輩が私なんかを抱きしめてるんだろう。律先輩とあんな事していたのに、いまさら私なんかを…。
もうこれ以上、私に夢を見させないで欲しいのに…。

きっと私にくれたマフラーだって、友人としてとか可愛い後輩のためとかその程度のものでしかなかったんだ。
特別なんて言うから…もしかしたら唯先輩も――なんて思ってしまった…。
それも結局…全部私の思い込み、勘違いだったんだ…。

そう考えると涙が出そうだった。
好きだって伝える前に全部終わってしまったのだから…。


「は、離してください…唯先輩…」


私は唯先輩から離れようとした。
しかし先輩はそれを許さない。
それどころかさらに強く、包み込むように抱きしめてくる。

そして私の耳元で優しく囁いた。


「離さないよ…。だって…今あずにゃんとっても悲しそうな顔してたんだもん」

「っ…」

「私、あずにゃんのそんな顔見たくない。だって私…あずにゃんの笑顔大好きだから…」

「っ…だ、ダメですっ…そんな事言っちゃ――」


そうだよ…どうしてそんな事言うの…?
そんな事言われたら私…諦められないよ…。


「唯先輩には…り、律先輩がいるじゃないですか…だ、だから…そんな事言っちゃダメです…」

「ふぇ? どうしてそこでりっちゃんが出てくるの?」


唯先輩は一旦私から離れると、不思議そうな顔で私の顔を見つめてくる。
その顔は、本気で何の事を言っているか分かっていないって表情だった。


「だ、だってさっき…律先輩と…き、キス…してたじゃないですか…」

「え…」

「だ、だから…律先輩と付き合ってるのかと…」

「ええっ!何それ!?」


とたんに唯先輩は驚きの声を上げる。


「私りっちゃんとキスなんてしてないし、付き合ってもいないよ?」

「はぇ?」


先輩の衝撃の告白に、私はマヌケな声を上げてしまう。
今…先輩は何て言った?
キス…してない。
付き合って…ない。

…。

……。

………。


唯先輩の言葉をたっぷり10秒ほど何度も何度も頭の中で反復して、ようやく理解するに至った。


「ど、どういうことですかっ! だ、だってさっき顔近づけてキスしてたじゃないですかっ!?」


私はぶんぶんと腕を振り回しながら、先輩に問う。


「んー? えーと、顔は近づけてたけどキスしてたんじゃないよ? 目の中にゴミが入っちゃったから、それを取ってもらってたの」


唯先輩は一瞬考え込むような素振りを見せると、やんわりとした笑顔でそう言った。


「う、うそ…」

「うそじゃないよ。あ! もしかしてそれで勘違いしちゃったのあずにゃん?」

「そ、それは…まぁ…その…」


はい、勘違いしちゃいました。
だってあの角度から見たら、誰だってキスしてるって思うじゃないですか。
澪先輩だって間違いなく勘違いして出て行ったんだと思うし…。


でも、ああ…そうか。
なんとなくだけど分かったような気がした。
なんで私が二人のキス?を目の前にして落ち着いていられたのかを…。

きっと知っていたんだ…私の心は…。
ううん、知ってたんじゃない…信じてたんだ。
唯先輩がキスなんてしていないって事を…。
唯先輩への絶対的な信頼と愛情が、私の心の奥底で“こんな事は絶対にありえない”と確信していたんじゃないかと思う。

まあ、現実逃避といわれたらそれまでだけど…。そんな事は絶対にないと信じたい。
人間の心って不思議だね。頭では目の前の事をそのままの意味で認識していても、心だけは決して騙されない。
それはきっと人それぞれで、本当の所はどうか分からない。私は心理学者じゃないからね。
でもそう思ったいた方がロマンもあるし素敵だと思うんだ。


「あずにゃんっておっちょこちょいだねぇ♪ あ、もしかして澪ちゃんもそれで出て行っちゃったのかなぁ?」

「そ、そりゃそうですよ…、あんなの見せられたら誰だって誤解します。それに澪先輩は律先輩の事が――」


おっと、これは私が言っていいことじゃないですね。


「りっちゃんのことが…なに?」


唯先輩は私の言葉に不思議そうな顔を見せると、私の顔を覗き込んできた。
その距離があまりにも近くて、私は反射的にバッと顔を逸らした。
きっと私の顔は真っ赤になっているだろう。でも仕方ないと思う。
好きな人の顔が目の前にあったら誰だってこうなっちゃうよ。

そんな私の行動に、唯先輩は何かを感じ取ったのか、急に真剣な表情になる。
今先輩が何を思っているのかは知らないけど、その表情からは何か決意のようなものが見て取れた。
そして「よしっ」と小さく声を漏らす。それはまるで自分に気合を入れているように見えた。


「ねぇ、あずにゃん」

「は、はい…なんですか?」

「あのね…キスはしたことないけど…キス“したい”人ならいるよ」

「っ!?」


先輩のその言葉に、私の心臓がドクンと跳ねる。
唯先輩はしっかりと私の目を見つめ、決して逸らそうとしない。
唯先輩の頬は朱に染まり、瞳ははっきりと分かるくらい潤んでいる。


「…それって…誰…ですか…」


私の心臓はすでに自分のものとは思えなくらいドクンドクンと高鳴っていた。

ずるいな私…。
こんな事聞かなくたってもう分かりきってるのに。
唯先輩の瞳が訴えかけてるんだ。
今この瞬間だけは、私以外の存在を映したくないと…。

唯先輩は私の質問には答えない。
答える代わりに、私の頬に手を添えるとゆっくりと唇を近づけてくる。
そんな唯先輩を見つめながら、私はゆっくりと瞳を閉じた。

唯先輩の顔がどんどん近づいてくるのが気配で分かる。
そしてついに先輩の吐息を唇に感じ――


「私…あずにゃんのこと…す――」


そして――



ガチャっ!

「ごめんなさい遅れちゃって! お掃除が…長…引い…ちゃっ…て…」


――お約束をありがとうムギ先輩…。



「…」
「…」
「…」


突然開かれた扉の向こうにはムギ先輩がいて、その目の前には、今まさに唇が触れ合おうとしている私達。
これはもう誤魔化しきれるレベルを遥かに超えてしまっている。
とっさに離れればよかったのかもしれないけど、そんな器用な事は私と唯先輩には無理だったみたい。
唯先輩なんか完全に固まってるし。


「…」
「…」
「…」


静寂が音楽室を支配する。
私は唇が触れる寸前の状態で、横目でムギ先輩の顔を見つめていた。
ムギ先輩の表情は完全に凍りついていて、瞬き一つしていない。なんだか時間が止まったような錯覚を覚えた。
しかしそう思ったのも一瞬の事――

パタン…

ムギ先輩は今まで見た事も無いような満面の笑みを浮べると無言で扉を閉めた…。
間違いない。あれはもう完全に誤解(誤解ではないけど)している。
あのニヤッとしたいやらしい笑みは「私に構わずどうぞ続きを♪」って顔だったもん。

うぐぅ…。







それからが大変だった。
我に帰った唯先輩とともに外に出て行ったムギ先輩を捕まえてさっきの状況を説明したのだ。
一応、目に入ったゴミを取っていたってことで誤魔化したんだけど、それを聞いている間のムギ先輩は終始笑顔を絶やす事はありませんでした。

…あれは絶対に信じていませんでしたね。

しかも「私…この部に入部して本当によかったわぁ」なんてブツブツと呟いていたのを私は聞き逃しません。
何だかムギ先輩に弱みを握られた気分です…。
さらにムギ先輩は、戻ってきた律先輩と澪先輩にもキラリと目を光らせていました。
二人の間にある空気が僅かながら変化したことに気付いたのでしょう。
さすがムギ先輩。百合王の名は伊達ではありません。

そして私と唯先輩も、さっきのキス(未遂)なんて最初からなかったかのようにいつも通りに戻ってしまいました。
ちょっと残念に思いましたけど、今はまだこれでいいのかもしれない。
だって、私はまだ唯先輩に気持ちを伝えてないのだから。

それに唯先輩の気持ちだってまだ確証はない。
さっきはキスしようとしたけど、はっきりと好きだと言われたわけじゃない。
もしかしたら雰囲気に流されただけって可能性もある。…まあそんな風には考えたくないけどね。

やっぱり、こういう事はお互いの気持ちをはっきりさせてからするべきだと思うんだ。
まだまだ時間はあるんだし、焦らなくたっていいはずだ。
唯先輩だってもしかしたらそう思ってくれているかもしれないし。



(でもちょっとくらい夢見たっていいよね…)



私達の気持ちが同じだってことを――



おしまい




【あとがき】
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
ずいぶんお待たせしてすみませんでした><
最近仕事がかーなーりー忙しかったので!←言い訳
でもまあ何とか完成してよかったです。
とりあえず律澪も唯梓もまだ友達以上恋人未満な状態です。
まだまだくっつけはしませんよーw

次回はたぶん節分ss
ようやく2月に入ります。
[ 2010/02/27 14:12 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)
よかったです。
話の作り方も、内容も。
ゆいあずが離れていくなんて・・・想像できません・・
誤解も打ち解けてよかったです☆
これからも頑張ってくださいね
[ 2010/02/27 18:15 ] [ 編集 ]
お疲れ様ですー
楽しく読ませてもらいましたー。待っている間もドキドキワクワク。笑 やっぱりゆいあずですねっ! 律澪もいいけれど。

前回の記事の話になってしまいますが、消失見に行くんですかー!うらやましいっ! ぜひ、感想をお願いしますねっ。期待しています♪
[ 2010/02/27 18:40 ] [ 編集 ]
お疲れさまでした!
非常によかったです。
もう思い残す事はない…
[ 2010/02/27 21:20 ] [ 編集 ]
ふぉーしーずん完成おめでとうございます!!!
実によかった・・・
節分ssがんばってください!(Rー18だったらいいなーなんて・・・w)
[ 2010/02/28 00:31 ] [ 編集 ]
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